Delver-Blade

登録日:2016/06/26 (日) 10:42:23
更新日:2022/02/18 Fri 07:44:17
所要時間:約 5 分で読めます



概要


Delver-Bladeとはマジック:ザ・ギャザリングのデッキ。
世界初の禁止プレーヤーを出しかけたデッキとして有名である。
活躍を見せたのは「ミラディンの傷跡・ブロック」+「基本セット2012」+「イニストラード・ブロック」期のスタンダード。

良くCaw-Bladeと比較されるが、
  • 装備品を重視したデッキ構成
  • 色が白青と共通
  • 禁止カード議論が浮上すること
ぐらいの共通点しかない。
向こうはギデオンや全体除去まで入れた中速コントロールデッキだが、こちらは4マナが重いとまで言われるウィニーに近いデッキである。

構成

キーカードは名前にもなっているこちら
《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》 (青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそのカードを公開してもよい。これによりインスタント・カードかソーサリー・カードが公開された場合、秘密を掘り下げる者を変身させる。
1/1

《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》
〔青〕 クリーチャー — 人間(Human) 昆虫(Insect)
飛行
3/2

実質1マナ3/2飛行という頭の悪いハイスペックな秘密を掘り下げる者に装備品を付けてぶん殴る。
こいつを高速で変身させるため、クリーチャーの数を絞り、軽量ドローを多数搭載。
大体デッキの半分近くが非クリーチャー呪文となっている。

相手の妨害については
《マナ漏出/Mana Leak》によるカウンターと《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》によるバウンスでで捌き、相手に何かさせる前に倒す。というのが基本の動き。
妨害の枚数が足りなくなったら墓地のインスタント・ソーサリーを一度だけ再利用可能な《瞬唱の魔道士Snapcaster Mage》で水増し。
ある程度相手の動きをコントロールしながら、序盤から展開する飛行3点クロックにより、相手の体制が整う前に勝つというクロック・パーミッションと呼ばれるデッキである。

しかしこのデッキで真に壊れていたと言われるのは秘密を掘り下げる者でも剣でもなくこちら

《ルーン唱えの長槍/Runechanter's Pike》(2)
アーティファクト — 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは先制攻撃を持つとともに+X/+0の修整を受ける。Xは、あなたの墓地にあるインスタント・カードとソーサリー・カードの総数である。
装備(2)

《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》(1)(白)(青)
伝説のクリーチャー — スピリット(Spirit) クレリック(Cleric)
呪禁(このクリーチャーは、あなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。)
聖トラフトの霊が攻撃するたび、タップ状態で攻撃している、飛行を持つ白の4/4の天使(Angel)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。戦闘終了時に、そのトークンを追放する。
2/2

元々秘密を掘り下げる者を変身させるためにインスタント・ソーサリーが大量に詰め込まれているため、ルーン唱えの長槍が育ちやすい。
それに除去耐性である呪禁を持つトラフトの相性は異常な物だった。
ブロックで討ち取ろうにも付与された先制攻撃で肉壁にしかならず、また上からは変身した昆虫の逸脱者が3点クロック、出てくる天使トークンが4点とプレッシャーを与えてくるという地獄絵図。
だからと言って全体除去を使おうにも先にライフが尽き、使えたとしてもマナ漏出のせいで無駄になる。
デッキ名に騙されてるけど、なんでトラフトが刷られたのか…とヤソは後日マナバーン紙の対談で漏らしている。

活躍

で、このデッキはデッキの基本骨格が完成してからの1プロツアーと6グランプリで5勝を上げ、その中でも2連勝したナベが禁止候補になるほどの壊れデッキという印象が強いが、結局スタンダードを完走。
その原因はプレイングが異常なほど難しい。というのがあるだろう。
軽量ドローが多いとはいえ、土地を限界まで切り詰めているため、土地事故を起こしやすい。
そしてどこにカウンターを当て、どこでカウンターを構えずにターンを渡すのかという判断で裏目になりやすい。
秘密を掘り下げるものが延々変身しなかったりだとか、トラフト引いても槍が来なかったりだとか、カウンターを構えずターンを返したら致命的な物が飛んで来る…など、とにかく敗着に繋がる手が多すぎるのである。
とりあえず作れば勝てる、というデッキじゃなかったのがCaw-Bladeとの違いだったのだろう。

その後のDelver-Blade

ローテーションにより「ミラディンの傷跡・ブロック」と「基本セット2012」が使用不能となり、「基本セット2013」「ラヴニカへの回帰・ブロック」が参入。
槍、トラフト、デルバーの3種の神器こそ残っていたものの、その強さを支えていた2ターン目に槍を置くか置かないかの判別に役に立った《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》、デルバーの変身を高速化させる《思案/Ponder》、更にはメインカウンターである《マナ漏出/Mana Leak》の代用品は一切手に入らなかった。
そのため強さの支えを失い、一瞬にして解体となってしまった。
一応諦めなかった少数のプレイヤーが使い続け、グランプリベスト8までは行けたのだが。

…が、傷跡はスタンダードだけでは済まなかった。
ライブラリートップ操作に更に長けているレガシーでは青系クロック・パーミッションのメインアタッカーとして。
さほど恵まれているとは言えないモダンでもハーフバーンやハンデスとのハイブリッドデッキとして。
ヴィンテージにおいてもメタ外であるのを利用して。
pauperでも豊富なドローサポートとカウンターで一時代を築いた。
そんなDelver-Bladeの末裔はあちこちで活躍している。

余談

ナベが禁止プレーヤーになりかかったのはGP2連勝後「《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》と《思案/Ponder》、禁止になるならどっちだと思う?」と友人であるマーティン・ジュザ(こちらも有名なプロプレーヤー)に聞いたら「お前が禁止でいいよ」という斜め上の解答をもらう
→Twitterで暴露したらあっという間に広まる
というのが真相、日本公式サイトですらネタにしたほどのインパクトを与えていた。
ナベが使った最終形ではメインデッキに剣が1本も入らなかった。しかもサイドにも1本のみ。
割と初期から剣よりもDelver-Pikeっつーた方が正解なデッキなのにBladeにされたのは、やはりCawの印象が強かったということか。


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最終更新:2022年02月18日 07:44