SCP-444-KO

登録日:2017/01/23 Mon 14:22:55
更新日:2025/04/21 Mon 02:39:00
所要時間:約 24 分で読めます







警告: SCP-444-KOは致命的な情報災害です。

プロジェクト・アヴィーチーの遂行に関する追加情報は、クリアランス1~4/444Kを保有する職員のみが閲覧を許可されています。いかなる状況においても、クリアランス1~4/444Kを持たない職員への情報漏洩は厳禁です。規則違反は、極めて危険な事態を招く可能性があることに留意してください。




SCP-444-KOはシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)。
オブジェクトクラスは1983年時点ではSafeからのEuclid、2004年時点でKeter
(初版ではKeterのみだったが、最近著者により大幅改稿されたのでそちらに準ずる。)

ナンバーを見て嫌な予感がした諸兄はきっと、認識=破滅の鳥さんを思い浮かべたことだろう。
それは正しい。コイツも大差はない。

知ったら終わり、という意味ではヤツと大して変わりないのだ。



概要

まず、このオブジェクトが何であるのか、から行こう。
SCP-444-KOは、某国のとある山に佇む山荘に存在する、5人の人物の遺体である人型実体の総称である。
それぞれ、SCP-444-KO-1から5までのナンバーが振られている。

一番最初に発見されたのは、SCP-444-KO-5であった。当初は単なる認識災害、あるいはミーム汚染系のオブジェクトと推定されていたが、「事件444-K2」の発生と、山荘の至るところに隠されていた他のオブジェクトの発見により、その危険な特性が明らかとなった。

SCP-444-KO-5を除く4つの遺体は1983年に死亡したと考えられているにも関わらず腐敗しておらず、身元が確認できた。しかし、SCP-444-KO-5については酷い歪曲のため、確認不可能であった。
また、5つの遺体はそれぞれの場所に固定されており、動かすことは不可能である。

そして、忘れてはならないのは、このオブジェクトは情報災害であるということだ。
韓国支部のサイト-657の職員全員がこの情報災害に感染しており、収容プロトコルはそれを踏まえたものとなっている。要約すると、

  • サイト-657の、情報災害に感染した職員全員にセキュリティクリアランス1~4/444Kを与える。
  • 当該クリアランスを持つ職員は、感染拡大を防ぐためクリアランスを持たない=感染していない職員とのコミュニケーションを禁止される。
  • このオブジェクトに関するレポートの担当者のみが、報告の際に限ってそれを許される。
  • SCP-444-KO-5の視覚的な観察は、当該クリアランスを持つ職員のみに許可される。
  • 当該クリアランスを持つ職員は、サイト-657から出てはならない。
これならまあ、情報災害に関する封じ込め手順としてはまっとうな部類である。
だが、問題なのはこれに続く、当該クリアランス職員の業務内容である。曰く、

  • 研究員は、SCP-444-KO-5を殺害した犯人の身元を明らかにすることを優先する。また、副次的業務として、過去に「山荘」で起きた「殺人劇」に関して分析しなければならない。
  • レポート担当者は、情報災害に感染した職員と感染していない職員とのコミュニケーションを担当する。そして、情報災害が含まれていない最小限の情報と研究の進捗状況を非感染者に報告しなければならない。また、規約を施行するかどうかを決定しなければならない。
  • 調査担当者は、山荘を直接調査して殺人劇についての手掛かりを見つける必要がある。また、見つけた手がかりは研究者が分析することになる。

というもの。
つまり、SCP-444-KOのナンバーで括られる5つの遺体は、山荘で起きた殺人事件の被害者だった、ということになる。
が、問題なのは研究者の業務内容。SCP-444-KO-5を殺害した犯人を見つけ出せ、というのがその内容だが、この続きにはこう書かれている。

SCP-444-KO-5を殺害した犯人は必ず見つけ、犯人が発見された時にはSCP-444-KO-5のオブジェクトクラスは、クリアランス1〜4/444K保持者の報告に基づいてEuclidに再分類され、クリアランス1〜4/444K保持者はクリアランス1〜4/444Kが解除されて、本来の業務に戻ります。クリアランス1〜4/444K保持者は、一日ごとに必ずSCP-444-KO-5を殺害した犯人を見つけるための調査を続行しなければならず、これを続行できない時にはクリアランス1〜4/444K報告者によって規約「コピー」が発動されます。

……何かおかしくないだろうか?
確かにSCPオブジェクトである以上警察の領分ではない。しかし、財団の理念は「確保・収容・保護」。オブジェクトを確保し、収容し、その異常な特性から外界を保護する。それが財団の業務であり、使命である。
たとえそれが殺人事件の被害者であろうとも、オブジェクトであるならば収容するだけだ。犯人を律儀に見つけ出す必要はない。

しかし、注目すべきはこれが特別収容プロトコル、つまりSCP-444-KOを収容するための手順である、ということだ。
裏を返せば、このようにすればこのオブジェクトを収容する、収容を試みることが出来る、と財団に確信させるだけの何かしらの情報が、彼らのもとにある、ということだ。

それは何なのか? このオブジェクトの正体は?
役に立たないプロトコルだ。部屋に閉じこもって祈るんだな。

オブジェクト詳細

このオブジェクトは先述した通り、5人の遺体で構成されている。それぞれの遺体について述べる。

  • SCP-444-KO-1
40代の黒人男性、エイブラム・オズモンドの遺体。1階玄関先の地面に埋もれていた。刃物で腹部を刺されたことにより失血死。生前は葬儀業を隠れ蓑に消費者金融をやっていた。

  • SCP-444-KO-2
20代の白人女性、ローラ・シャーマンの遺体。2階のマットレスに隠されていた。ガラスの植木鉢で後頭部を殴られたことにより即死。錆びたナイフを握っていた。生前は酒場「イヴリン」に勤務しており、巨額の借金があった。

  • SCP-444-KO-3
30代の黄色人男性、ペリー・オーランドの遺体。庭に埋もれていた。転落により首の骨を折って即死。生前は実業家の息子であり、不動産を運用して生計を立てていた。

  • SCP-444-KO-4
30代の白人女性、サラ・ジョーダンの遺体。屋根の隅に張り付けられていた。全身を刃物で刺されたことにより失血死。手に大きな切り傷があった。また、ローラが勤務していた酒場「イヴリン」の店主であった。

  • SCP-444-KO-5
詳細不明。山荘の地下室にてロープで首を吊っていた。殺害された後自殺に偽装されたものと思われる。歪曲が酷く性別や素性の判断は不可能だが、女性であるとの仮説が出ている。手で直接触れると、異様な悲壮感と絶望感を覚えるようになる。
彼女は自殺した。

このうち、SCP-444-KO-5は最初に発見され、SCP-444-KOのナンバーは当初この遺体に振られていた。
その後、事件444-K12と他の4つの遺体の発見に伴いナンバーが変更された。

SCP-444-KO-5を現場で、かつ直接目視すると、その被験者は「このオブジェクトは人間であり、何者かに殺害されたのだ」と確信するような精神干渉を受ける。
しかし、事件444K-12により、SCP-444-KO-5が人間というのは事実であり、山荘の中で殺人劇が繰り広げられたことが明らかとされた。
研究員はこのオブジェクトに対して、SCP-444-KO-5が「殺人劇の主犯であり、4人を殺して自殺した」もしくは「主犯に殺されるのを嫌い、先に自殺した」二つのケースを推定している。

が、SCP-444-KO-5がぶら下げられているロープを解こうとしたときにそれを試みた職員が突然消失するという事案が発生。この職員は未だに現れていない。

そして、4つの遺体が発見されて以来、SCP-444-KOは新たな災害特性を発揮するようになった。
これが事件444K-12の原因である。

まず、SCP-444-KO-1〜4や殺人劇に関する情報をどの手段であれ認識した時に、この情報を知った人物はSCP-444-KO-5を現場で直接視認した時に似た、異常な現象をいくつか経験する。そしてこれにより、殺人劇に関する情報から類推した情報も追加情報として記録されることになった。
その新たな特性とは、

  • 山荘に入った時、悲鳴と「大勢」の疑問の声が聞こえるようになる。
  • SCP-444-KO-5を視覚的に直接目視した時の現象に対する免疫を得る。

さらに、事件444K-12当時、曝露した者たちに記憶処理が行われたが、記憶消去を受けた者は一日後にすべて「殺害された」のように死亡するという事件が発生。
これに関する調査はクリアランス1~4/444Kを与えられた職員に別の任務として与えられ、現在進行している。
曝露された人物がすべて財団の重要人物だったことをかんがみて、SCP-444-KOはKeterへと分類されることになった。


ちょっと整理

  • SCP-444-KOって?
とある山の中の山荘と、そこにある五つの遺体。

  • このオブジェクトの災害特性って?
地下室の遺体ことSCP-444-KO-5の持つ特性。目で見ると「これは人間だ、誰かに殺されたんだ」と確信させられる。手で触れると悲しくなって絶望する。

  • 新しい特性って?
他の4人の遺体が発見されてから起きるようになった現象。山荘に入ると、悲鳴と大勢の疑問の声が聞こえる。それと、SCP-444-KO-5を直接見ても確信しなくなる。


事件444K-12

2004年7月8日。約10人の職員で構成された調査チームが山荘に向かったところ、そのうちの一人が玄関前の床から突き出ていたSCP-444-KO-1の腕につまずいて転んだ。これを受けての調査の結果、4つの遺体が山荘のあちこちから発見された。その後、このオブジェクトについて記述された情報はサイト-657に移動された。

しかし、事件は起きた。
翌7月9日、サイト-657で28人の財団職員が様々な理由で死亡するという事案が発生。
自殺か他殺かが不明な6人を除けば、それらの死亡はすべて「殺人」であると推定されるものであった。
約10人は火器による脳の損傷で即死、5人は転落、7人は後頭部粉砕による死亡であった。しかもこのうち、10人は山荘を調査した調査チームのメンバーだったのだ。

この28人が殺害される事案から約2時間後、調査チームの報告を受けた司令部の、セキュリティクリアランスレベル4を持つ3人が銃殺される事件が発生。さらには、後にサイト-657に配属されている約50%の職員が死亡するという一大事にまで発展した。

これらの異常特性の危険性により、サイト研究員にこれらの共通点を見つけるための任務が与えられた。
そして調査の結果、死亡した全員がSCP-444-KO-1~4について記述された文書を読んだことによる情報災害によるものだと判明した。
つまり、オブジェクトのうち、それ自体が異常性を持っているのはSCP-444-KO-5だけだが、他の4人の遺体は「それについて記述した文書が異常特性を持つ」オブジェクトだったのだ。その異常特性はズバリ、「このオブジェクトについて記述した情報を読み、その上で殺人劇の犯人を見つける試みを中断する、全く行わない、一日以上進まないと殺される」というものである。

とはいえ、彼らが結局誰に殺されたのかは明らかにならなかった。
これもSCP-444-KO-5によるものだという説が提起されている。それを受け、彼らが一体誰に殺されたのかを正確に突き止めることが、現在のクリアランス1~4/444K保持者の二番目に優先される任務となっている。

当該クリアランスを持つ職員の一人、ジョン研究員は次のように語っている。

SCP-444-KO-1~4に関しては、これ以上の異常性は発見されていない。そのため、我々はSCP-444-KO-5の研究に専念している。
現在、我々はSCP-444-KO-5が死亡した人間の魂を宿しているという仮説に基づいて研究している。このオブジェクトの研究には、過去に何が起こったのかが非常に重要であり、SCP-444-KO-5に触れた際に現れる特性もまた重要である。この点から、SCP-444-KO-5が殺害されたものであるという推論には、疑問が残る。
SCP-444-KO-5があの山荘で起こった殺人劇の犯人であるという点については、私も少し同意する。おそらく当時、-5は誰かに「復讐」する目的で何らかの方法を用いて山荘に-1~-4全員を呼び寄せ、全員を殺害したものの、-5自身も知らなかった自分を殺そうとした第三者が存在していたのだ。
この第三者がどんな理由でSCP-444-KO-5を殺害したのかは、まだ明らかにされていない。さらに、この第三者の存在もあくまで推測に過ぎず、これまで完全に信頼できる情報は事実上得られていない。
ただ、いまだに理解できない点がある。それは、SCP-444-KO-5がなぜ凶器をそれほど多様に使い分ける必要があったのかについてである。SCP-444-KO-5が刃物を所持していたことは確かだが、まだ我々が知らないことが多い。
見当違いをしてしまって申し訳ない。私の責任だ。


追記・修正は殺人劇の真相を突き止めてからお願いします。





























我々がこれまで調査してきたことは一体何だったのでしょうか?ただの無駄骨でした。











事実は違った。
クリアランス職員の一人であるカイル・デイモン報告担当者は憔悴しきっていた。眼の前で殺人劇が繰り広げ仲間が殆ど死んだだけではなく、彼は2つのことを知ってしまったから。
1つは、「実は自分達よりずっと前に財団がSCP-444-KOを発見されており、自分達以外にも死者が多数いる」ということ、
もう1つは、自分の研究の協力者でありながら眼の前で殺されたマーカス博士を襲ったのを含め、財団サイトで起こった「殺人劇」の直接の「加害者」が誰であるかということ。
そして、直後に彼の端末にマーカス博士の最後のメッセージが入った。

そこに書かれていたのはマーカス博士が知ってしまった、SCP-444-KOのどうしようもない、恐ろしい真実についての暴露であった。




結論から言おう。SCP-444-KO-5を殺した犯人はいない。仮に「彼女」としておくが、「彼女」はやはり自殺していたのだ。
そして、調査を進めるうちにそこに至ったマーカス博士は、全てを知ってしまった。

山荘に残された5つの遺体。彼らは、互いに殺し合ったのである。このうち4人については素性がはっきりしており、そこから足取りや痕跡を掴むことは容易であった。
エイブはローラに。ローラはサラに。サラはペリーに。ペリーはSCP-444-KO-5に、それぞれ殺されたのである。
SCP-444-KO-5は一人しか殺していないのだ。

マーカス博士が掴んだところでは、彼らはそれぞれ各自にメッセージを送って山荘に集まり、彼らが計画した通り互いに殺し合ったということらしい。

そして、その殺人劇は知られてはならなかった。財団がこれを発見した時点から、財団は間違っていた。その殺人劇は終わらなければならなかった。誰も知らないまま終わらなければならなかったのである。

事件が起きたのをきっかけに28人が死亡し、その次にクリアランスレベル4を持つ職員3人が死亡した。そして、文書に記載されていないが、このメッセージを博士が発信する前日までに、実に45人が死亡しているのだ。

つまりどういうことか? その殺人劇は再び起こったのである。
忘れられたまま終わるはずだったそれを、財団が発見して調査してしまったばかりに、今度はそれが財団で起きてしまったのである。

要するにSCP-444-KOとは、その山荘で起きた「殺人劇」そのもの……つまり、財団世界恒例の「どうやって収容するんだシリーズ」、現象系のオブジェクトである。
SCP-444-KO-5が発見されるまでの間は現象が停止していたが、財団が発見することで再びその危険性が発現されたのである。しかし、なぜSCP-444-KO-5が死んでからは停止していたのか?

答えは簡単。
感染した者のうち一人が自殺すると連続殺人……否、連鎖殺人が停止するのだ。それがSCP-444-KO-5という、酷く歪曲した遺体なのだ。ところが、そのオブジェクトには異常性が現れてしまった。
つまり、自殺すれば-5のように……永遠に死骸に閉じ込められ、新しい異常オブジェクトになるのである。
そして、自殺したときの痛みを一生感じ続けるのだ。-5の場合、首を締められ、永遠に生きるのである。その痛みをはかり知ることは、我々には不可能であろう。

では、果たしてこの再び起きた殺人劇にて、誰が自殺するのか? マーカス博士はそれを知ってしまった。

殺人劇という名の情報災害、SCP-444-KO。それは未だに財団職員を苦しめている。
言うなれば「犯人なんていないが、とにかくよく探すように」ということである。感染した誰かが誰かを殺し、そしてその誰かが誰かに殺される。その誰かもまた別の誰かに殺され、その誰かがさらに別の誰かに殺され……と連鎖し続ける。
これを防ぐためには、事件について調査し続け、「犯人」を捜す試みを永遠に続けるしかない。そうすることでしか、今は殺人劇を遅らせる方法がない。そうしないと連鎖殺人が起きてしまう。
それがプロトコルなのだ。

が、タチの悪いことにこの情報災害、感染していない者にこの情報を明かす=感染を拡大する試みが行われないと、感染者を自殺させようとする*1のである。その自殺した者は新たなオブジェクトとなり、それに曝露した者からさらに感染が広がり……タチ悪いってレベルじゃねえぞコレ。


そしてこの情報は、知っただけでは終わらない。
マーカス博士曰く、

もうすぐ…あなたも死ぬでしょうし、我々も死ぬでしょうし、そして誰もいなくなるでしょう。そして財団は何の手がかりも得られないまま終わるのでしょう。情報災害のせいで、文書を確認することすらできないのですから。

とのこと。この事件は感染が広がらない限り、感染者の全滅と共に闇に葬られることになる。そして、この真実を知るのは情報災害として封印された文書だけになる。
どこの緋色の鳥だ。





そして、最後に。
マーカス博士は、カイル達研究員にこう告げた。
誰かが死亡記録を遺している。パスワードがかかっているが、見つけること自体は出来るだろう、と。
そして、博士が見つけた「最悪の選択」。それは、SCP-444-KO-5を吊っているロープを解くことだ。

1回目は消えただけで済んだ。2回目を行ってはならない。なぜなら―――。


==このメッセージは3分以上発信者の応答がないため、自動的に発信されました。==





追記・修正は殺人劇に巻き込まれないうちにお願いします。




















2004年時点のカイル・デイモンが絶望しながら記していった、取り消し線が多い自暴自棄すら感じるような報告書。
その中のデータベースにはメールの送受信記録や彼の日記のほかにこんな文書が残っている。


回収記録444K-11 - 444-KO関連死亡者リスト


そこに記されていたのは、発見から現在に至るまでの殺人劇の、加害者と被害者の連鎖であった。


まず、SCP-444-KO-6から8。これは全て黒塗りにされていて詳細が分からない。

大きく番号が飛ぶ。
SCP-444-KO-68。
ロイド・コールソンが、アロイス・ニッソンに拳銃で頭を撃たれて殺された。
SCP-444-KO-69。
アロイス・ニッソンが、ケイティ・フリッツに拳銃で頭を撃たれて殺された。
SCP-444-KO-70。
ケイティ・フリッツが、ハーシェル・ホーレイスにサイトの屋上から突き落とされて殺された。
SCP-444-KO-71。
ハーシェル・ホーレイスがその直後、ロジャー・ヘッドライアンに刺され、その後撃たれて殺された。
SCP-444-KO-72。
ロジャー・ヘッドライアンが財団重要人物と思しき誰かに殺された。
SCP-444-KO-73から74。
誰かが誰かに殺された。誰かが誰かに殺された。誰かが誰かに殺された。

また番号が飛ぶ。
SCP-444-KO-97。
誰かがマリー・ハリソンにバットで殴られて殺された。
SCP-444-KO-98。
マリー・ハリソンがジャック・ハイドにバットを奪われ、殴られて殺された。
SCP-444-KO-99。
ジャック・ハイドがスティーブ・コスに致死量の睡眠薬を投与されて殺された。
SCP-444-KO-100。
スティーブ・コスがフランシス・サーツに、急所にクリーンヒットを食らって殺された。
SCP-444-KO-101。
フランシス・サーツが、ロバート・パライに致死量の睡眠薬を投与されて殺された。

またまた番号が飛ぶ。
SCP-444-KO-140。
ケイリー・マゲトリックが、ノーラン・オビに手りゅう弾で爆破されて殺された。
SCP-444-KO-141。
ノーラン・オビが、ロイド・マーカスを殺そうとして返り討ちにあって殺された。
SCP-444-KO-142。
ロイド・マーカスが、バージル・ハースに拳銃で撃たれて殺された。……その直後、生き残った職員らにメールが届いた。
SCP-444-KO-143。
バージル・ハースがスタニスラフ・セバスティアノフに殺された。

報告書の中のメールの送受信記録の中にはメッセージが残っている。

すまない、無駄な努力を一緒にしてくれた友たちよ。
2日前に…調査を終えたよ。ロープを解いたが…行方不明だった職員が…代わりに…一体…あいつらは一体…どうやって…
仕方なかった。 私は…

セバスティアノフ博士はSCP-444-KO-5のロープを解いてしまったらしい。そこで彼は何を見たのか……。
恐らくは、自分達より以前調査していたが消えてしまった職員たちが現れたのだろう。無事とは到底言い難い姿で。

改稿版はその後も続く。なお、カイル研究員は見ていないようだが「恐らく確実なリスト」と記されている。

SCP-444-KO-144。
???がSCP-444-KOに殺された。

これには報告書の中でも取り消し線が入っている。

SCP-444-KO-144。
スタニスラフ・セバスティアノフがイーライ・オータムに鳩尾を撃たれ殺された。
SCP-444-KO-145。
イーライ・オータムがジョージ・グルンダーにナイフで刺され殺された。
SCP-444-KO-146。
ジョージ・グルンダーがスティーブ・ハンに頭を撃たれ殺された。
SCP-444-KO-147。
スティーブ・ハンがエイドリアン・トットにトイレの鏡に頭を叩きつけられ殺された。
SCP-444-KO-148
エイドリアン・トットがキャロライン・フォブナに突き落とされて殺された。
SCP-144-KO-149
キャロライン・フォブナがカイル・デイモンに殺された。
報告書の説明には一言。「すまない」とあった。


そして、メールの送受信記録の最後の部分。カイル研究員がすでに死んだ仲間達に送信した「いた」というタイトルのメールにはこんな写真が添付されている。




茂みを掻き分けカメラに向かって手を伸ばす、奇妙に歪曲した不気味な人型実体。




改稿前初期の写真のアドレスには「medium」と記されている*2
ミーディアム、つまり「手段」「媒介」。


―――情報災害の本体であるSCP-444-KO-5を、セバスティアノフ博士は解放してしまった。
SCP-444-KO-5は解放された後、自分達を縛っていたであろう「???」というべきナニカを見つけ、そして殺害した。
そして、阻む者のなくなったSCP-444-KO-5は、死をもたらす情報災害ベクターは、いままでの死者達を全て解き放った。
人の世界へと。

一方、かつての仲間たちの死者の声を聞きながらたった1人生き延びたカイル・デイモンは今出来る中で唯一取れる、しかし最悪の決断を迫られていた。

「自らが自殺をして殺人劇を止める」。
それは自らが解放されたSCP-444-KO-5のように永遠の激痛を味わう地獄に落ちることを意味する。
報告書を全て仕上げたカイル研究員は財団サイトにこだまする死者達の声に耳を遮り、バスタブに篭もりこう思うことしかできなかった。

サイト-657がこの殺人劇に巻き込まれたのは偶然ではない。最後には自殺してしまった-5が、自分を殺した者が存在すると信じさせる精神操作を引き起こしたのも、きっと意味があるはずだ。
そうでも考えなければ我々が巻き込まれたことがどうしても納得できない。






追記・修正は殺人劇に巻き込まれてからお願いします。





















忘れないでください。これ以上の失敗はもう許されません。SCP-444-KOは我々の代で完全に無力化しなければなりません。我々が本当に恐れるべきものはお互いではありません。本当に恐れなければならないのは、真相解明に失敗することで残る世界規模の失敗例なのです。

犯人を見つけ出してください。


22:57:31

SCP-444-KO

オブジェクトクラス: Apollyon

撹乱クラス:5=Amida / リスククラス:5=Critical

2024年6月、SCP-KOにて著者本人によりSCP-444-KOの項目は大幅改稿が行われ、
これまで解説した旧版に相当する2004年、オブジェクト誕生直後に財団が極秘に調査していた1983年、そしてここから解説する2024年の報告書を読んでいく構成になっている。
また、この改稿により舞台がカナダのアルバータ地方であると明記されている。

財団は-5が解き放たれた後も20年間、何らかの方法でSCP-444-KOが世間に暴露されないよう奮闘していたらしい。
しかし、とある職員のミス(まあ、ただでさえ情報災害を持つ腐らない死体の山が積み上がるオブジェクトなだけに、いつか限界が来るのは目に見えてたが)によってSCP-444-KOの情報が流出、ついにカナダ中の人々が知ってしまい、2024年の報告書が作成された段階でその異常性が人々に牙を剥くまであと1日しか無い状況になってしまった。

これにより財団は緊急で「プロジェクト・アヴィーチ」を発足。どうやら、山荘の5人に殺し合いをさせた「犯人」が別にいるのを確認したらしく、SCP-444-KOを無力化させるため専門の機動部隊MTFΨ-43「除霊探偵」は、全力を挙げて「犯人」を探し求めている。
そして、もしタイムリミットが来て殺し合いが始まった場合、財団はSCP-444-KOに関する全ての機密を公表し、市民達に「犯人」を見つけるヒントを与えるということまで計画している(当然、SCP-444-KOの異常性が無力化された場合、記憶処理剤を空中散布するらしいが)。


山荘の5人の恨みに火を付け、それを財団に、そして一般社会にまで延焼させ地獄を誘発した「犯人」は誰なのだろうか。

もし答えが出なかった場合、その先に何が起きるのかは、誰にもわからない。
だが、その果てに待っているのは、恐らく――――








SCP-444-KO


무간지옥(無間地獄)






殺人劇は終わらない。


知る者全てを殺すまで。


知る者全てが殺すまで。





最 後 の 一 人 を 殺 す の は ?











追記・修正は大勢を殺人劇に巻き込んだ「犯人」を突き止めてからお願いします。



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最終更新:2025年04月21日 02:39

*1 人数が増えないまま殺人劇が進むといつか感染者がたった1人になってしまうため。

*2 なお、現在は画像が差し替えられた事情で「444komystery」になっている。