大日本帝国異常事例調査局(SCP Foundation)

登録日: 2017/05/07 Sun 02:38:32
更新日:2025/04/07 Mon 06:30:13
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大日本帝国異常事例調査局は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場する架空の団体。
英名(原語)は「Imperial Japanese Anomalous Matters Examination Agency」。
国内外共通で、英名の略語であるIJAMEAが通称として用いられる。
そちらに倣い、以降は本記事でもIJAMEAと表記する。


概要

SCP世界に数多く存在する、要注意団体のひとつ。

それらの中でIJAMEAの特徴的な点は、我らが日本を舞台としていることだろう。
舞台こそ日本だが、海外の執筆者であるDrSolo氏とMrWrong氏が大部分の背景設定を確立して、
本家SCPサイト(日本版ではない)に寄稿した。
後に日本支部でもいくつかの記事がIJAMEAと関連付けられている。

Imperial Japanease(大日本帝国)の名の通り、
そのアイディアは現実の大戦時代の日本政府や旧日本軍を背景としている。
そこに妖怪や陰陽術といった日本伝承要素が加わる。

ところで、SCP日本支部にはIJAMEAと大きく役割が重複する設定群「扶桑紀」「負号部隊」などがあり、
これらはIJAMEAよりも先に登場していた。
『和ホラー』と『滅びゆく軍事帝国』の組み合わせは、
エスニックで神秘的な怖さや社会の負の側面といった観点でSCPの世界像と親和性が高く、
SCP愛好家たちが国境を越えてこの組み合わせに行き着いたのも必然だったのかもしれない。
なお、詳細は後述するが、負号部隊など一部日本支部の設定はIJAMEA考案時にあちらに輸入されている。
IJAMEA登場以前にSCP日本支部を訪れていた読者の中には混乱された方もいたかもしれない。

上記の通り、国内外で愛されるテーマであって、
アンチ日本的な意図の創作ではないので安心して欲しい。
あちらの書き手サイドも日本嫌いというわけではなく、むしろ熱烈な日本好きである。
そもそも財団世界の政府はどこもかしこも色々とどす黒くなっているので、
日本政府だけが悪辣に描かれるわけではない*1
それこそ日本と対立していたアメリカなんて歴代大統領がアノマリーだし…。

作中設定

明治維新後~第二次世界大戦

財団世界における大日本帝国にかつて存在していた、アノマリー研究機関。
明治維新後、大日本帝国は超常的なものを研究する必要性に迫られたが、
既存の蒐集院・陰陽寮といったある種の「魔術」的な団体に関しては見下しており、
近代国家として科学的に異常物を研究・活用することを目指して設立された。

設立にあたっては独逸帝国異常事例調査局 (Imperial German Anomalous Matters Examination Agency/IGAMEA) が日本政府に招かれ、
IJAMEAに対して超常現象への助言を行った。どうも日本とドイツが富国強兵策という点で一致していたことが、
IJAMEAがIGAMEAを参考にする強い理由であったようである。
更にIGAMEAはIJAMEAに対して、既に超常現象への理解がある者を多数構成員に取り込むべきと考え、
陰陽寮や蒐集院の若いメンバーを含め多数の精通者を集めてIJAMEAの初期メンバーとした。
このせいで陰陽寮は1901年、組織の維持ができなくなって解散してしまったらしい。
…が、その後陰陽寮のメンバーは財団に参画したようである。

IJAMEAは日本全域における異常存在・超常現象をまとめ上げることを目標にハクタク計画を推し進めていた。
…忘れてはいけないのは、ここでいう日本全域とは当時の日本全域であるため、台湾・韓国・更に後には満州国もエリアに組み入れられた。

研究対象地域
ハクタク計画(Project Hakutaku) 日本
後ハクタク計画(Project Hakutaku II) 台湾
第三次ハクタク計画(Project Hakutaku III) 韓国
第四次ハクタク計画(Project Hakutaku IV) 満州国

このことから、当初はIJAMEAは賞賛されていたものの、後にはその解釈が他地域に対しての日本の優位性を示すものではという指摘がなされ、
「なんで台湾や韓国の神話や怪談を勝手に日本流に解釈しようとすんだよ頭おかしいのか?」と批判された模様である。
これに限らずIJAMEAはアジア主義を標榜する団体である(隠れ蓑として利用した団体も主義主張が近い団体である)ため、
日中韓含めアジア諸国のものを日本流に吸収しようとした感が強い。

IJAMEAは当初こそIJA*2とは折り合いがつかなかったものの、
日露戦争時にIJN*3がIJAMEAを置いてったため、
IJAとIJNの対立を引き起こしており、後年このこともあってかIJAMEAとIJAは接近する。
財団世界でも対立してんのか、IJAとIJNは…。

IJAMEAは当初こそIJAやIJNに一歩遅れていたものの、中国での戦闘において、
本質的には独立した結社であった団体を、中華民国が支えているオカルティストたちであると主張し、
自分たちの必要性を強弁した。結構無茶苦茶なことやってますねえ…。
また玄洋社や黒龍会といった右派組織をIJAMEAは隠れ蓑として利用し、影響力を高めていく。
このことで国家主義を共有するIJAとは協力体制を築き、特殊支援大隊・妖怪大隊の編成などに関与する。

しかしながらこの蜜月関係にも関わらず、IJAは大日本帝国陸軍特別医療部隊(通称”負号部隊”)などを別に有し、
IJAのみで研究していた超常現象もあったようだ。

財団とは当初は仲も悪くなかったが、最終的にはIJAMEAサイドから決別しており*4
同盟オカルト連合*5とも関係を築いていたが決裂している。

いくつかの計画などには関与したものの、はっきり言ってほとんどが成果を収めることはできていない。
「我々は他の団体よりも優れているのだ」ということを示そうとした上層部のちっぽけなプライドが、
歪な意思決定に寄与し、空回りして現実には対して役立たなかったようでもある。
というかやろうとしたことが先にIJAやIJNにやられたりってこともあったようだ。おいおい。

戦後

戦後はIJAMEAは解体され、その際にIJAMEAの調査データなどの資産は大半が財団に移された。
そして構成員は多くが財団、GOC、GRU-P部局、カオス・インサージェンシー、MC&D社などに雇用された。
また、戦後は一般市民として暮らすことを決め、アノマリーとの関連を切った人もいた。

…だが、一部の残党たちはIJAMEAとして現在も活動中である。
これらのエージェントは腐敗した上層部の部分がいい意味でも悪い意味でも抜けてしまったため、
非常に国家主義的にやる気満々なグループになってしまっている。
ある種、理想化されてしまった大日本帝国に尽くす人々、という印象である。

【隠将軍(Kakure Shogun)】
呼称はあくまで他称であり、当人たちは正当なIJAMEAエージェントであると自認している。
もともとIJAMEAの将軍にまで就いた人はごく僅かであり、実際にはそこまで行かなかったけれど
帝国主義の崩壊に従い最後の拠り所を血縁に求め、建前と本音で生活するようになった人たち。
表ではサラリーマンとかアニメーターとかミュージシャンとか普通の生活をしているが、
家族や身内の間ではIJAMEAの「将軍」としての姿を見せる。

本質的にはアメリカに勝ちたいしアジア主義を推し進めたいようだが、そんなの無理なのは明々白々なので、
代わりに世界中にIJAMEA計画群を推し進める方向性に走った国家主義グループ。
また非軍事的目標として日本国内の超常現象グループの保護を主張しており、
非人間実体の将軍も存在している。
鉄拳ゴッドフィニッシュは出さない。

【ジライ(”Jirai”)】
秘密主義的で無差別攻撃に転じやすい、ある種のテロ組織に近いグループ。やはり呼称は他称。
というか「いきなり暴発する」様を「地雷」に例えたのがジライであるため自称な訳がない。

隠将軍たちがどちらかといえば現実主義的に落ち着いているのに対して、ジライは行動重視。
なのでIJAMEA計画群の完遂なんて目指してない。はっきり言って質が悪い。
ただ、グループというよりはローン・ウルフに近いのがジライなので、
一部にはIJAMEA計画軍を推し進めるジライもいないわけではない。

第一波ジライは残留日本兵のように、日本の降伏を知らない/認めない人たちがIJAMEAとして活動しているというもの。
つまりIJAMEAがなくなったなんて知らない/認めないというわけである。
その後はベトコンに触発された第二波ジライや、21世紀テロ組織に感化され、隠将軍の子孫がより直接的な行動に打って出た、
というか焦れてこじれた第三波ジライが登場している。

上述2つ以外にも残党や新規構成員を自認するものが存在するが、いずれの残党もゆっくり構成員数が減少しつつある。

関連用語

【ハクタク計画(Project Hakutaku)】
日本・台湾(後)・韓国(第三次)・満州国(第四次)で行われた、
「日本中の異常存在・超常現象を調べて回る」計画。
ただしその解釈はすごく主観的であり、大日本帝国的な見識を前提としたものである。
台湾や韓国の神格すら日本の優位性を象徴するために取り入れようという発想が、
ある種日本が嫌っていたはずの欧米的な文化侵略とダブってるあたりが厳しい。

【ダッキ計画(Project Dakki)】
転生した現人神とみられるSCP-2953(遺伝的多型誘発岩石)の被験者を調べ、
それが狐の神格として見做せることを理由に、アジアで唯一狐の神格を認識した日本がアジアで優れているということを示そうとしたもの…らしい。

すごくざっくりいうと、SCP-2953に触れた人は「人じゃなくなる」。
目標は「中国指導者層との間の協力関係の構築」。
非協力的な指導者たちを悪魔に変えて支持を失わせ、日本に協力的な支持者を擁立するというのが狙いのようだ。

なおクミホは妖狐だから神格じゃないということらしい。すごくIJAMEAらしい見方である。
(クミホのオブジェクトは財団世界に存在しているがIJAMEAが知っているかは不明)

どうも帝国軍が国民党を鎮圧することを理由にダッキ計画は凍結されたようだ。

【妖怪大隊(Youkai Battalion)】
非人間実体をIJAに組み入れるというもの。だが日本人視点で妖怪に見えないといけないので、
SCP-2478(一般的日本人)は妖怪大隊には加わっていない。

【陰陽寮(Bureau of Onmyō)】
本家で度々登場する日本の超常現象への対抗組織。
詳しいことは不明だが、陰陽道を用いてオブジェクトを鎮めていたと思われる。
IJAMEAの結成に伴いメンバーの引き抜きで解散に追い込まれたが、財団の前身組織の一つになったようだ。
初代O5メンバーのひとりは陰陽寮出身者である、というのがロングの提言の肝。
ちなみにロングの提言の作者は上記にも書かれているIJAMEAの基本設定を考えたうちの1人であるMrWrong氏

【蒐集院(Shūshū-In)】
財団日本支部の要注意団体のひとつ。
日本支部においては財団が日本進出時に吸収した団体のひとつになっており、
日本支部というカノンを採択しない本家でも違和感なく吸収できる設定であるためか、採用された。

【負号部隊(Unit Negative Number)】
大日本帝国陸軍特別医療部隊(Imperial Japanese Army Special Medical Force)の通称で、
IJAが蒐集院と共同で立ち上げた部隊。ジョフク・タタラ・ツチグモの3グループが存在した。
生化学・工学・隠秘学の連携による不死の兵士の創造・量産(通称トキジク計画)を推し進めたオカルト攻防の要。
実質的トップは蒐集院から招聘された葦舟龍臣であり、量産は漕ぎ着けなかったものの完成したアノマリーはえげつないものが多い。葦舟龍臣と「アイスヴァインちゃんの保護者」の間に関係がありそうだが…?

蒐集院絡みの設定でわかると思うがこちらも財団日本支部の要注意団体のひとつ。
IJAMEAと対立しそうな組織だが、それがかえってIJAMEAのポジションが危ういものだったことを示すのに好都合だったためか採用された。

日本支部GoIである蒐集院と負号部隊が本部準GoIであるIJAMEAの設定に深く関わる理由として、
「大山椒魚計画2006(未訳)」のディスカッションでMrWrong氏がfumeinadebaisu氏に、
「IJAMEAと絡められる日本支部の要注意団体・準要注意団体はないか」と尋ね、
fumeinadebaisu氏が「それなら蒐集院・負号部隊・艦隊・幻島同盟はいけるのではないか」と返したため。
かつてロシア支部・スペイン支部のオブジェクトが翻訳されて本家デビューを果たしたことはあったが、
GOIという設定が輸出されるのは珍しい。

IJAMEAが調査していたアノマリー

SCP-2953 - Polymorphism-Inducing Rocks (遺伝的多型誘発岩石)

簡単に言えば、触ると狐になる石。といっても、実際には狐といっていいのかわからない化け物になるが。
IJAMEAはセイメイ・ギャラリー(晴明館、宮内省が管理していた収容施設)からこれを貸与され、
非協力的な支持者を悪魔に変えて支持を失わせる「ダッキ計画」に用いようとした。
日本の見立てでは鳥羽上皇を病気で謀殺しようとしたタマモノマエの変化したもの(殺生石)であるようだ。
なおダッキ計画はIJAが物理的に国民党を鎮圧することで出番がなくなった。

SCP-2863 - がしゃどくろ*6

30m級のでっかい人形骨格の非人間実体。人間を捕食することで生きているという不思議な実体であり、
IJAMEAはその存在を制御下に置こうとしていたようだ(うまく行かなかったが)。
財団がIJAMEAのデータを引き継いだあとも確認され、現在206実体もいることがわかっている。
全然収容できてないのでKeter。
1938年1月に中国・南京に出現していたり、2011年3月15日には東北沖に出現し仙台に接近したりしている。

SCP-2478 - Ordinary Japanese People (一般的日本人)

穢多村の住民が七人でひとりの実体に組み替えられた、7つの頭と7組の手足を持つ実体。
しかし日本人にはただの巨人症のふつうのひとにしか見えず、7組の手足に物を持つと浮いて見える。

IJAMEAの関連オブジェクトではあるが、IJAMEAやIJAが妖怪大隊に「組み込まなかった」実体というのが肝。
IJAMEAはあくまで「刀剣や銃を浮かせて戦う」部分を超常現象として調べており、当のSCP-2478個体群のことは普通の人とみなしていた。

SCP-2937 - A Pottery Set (一揃いの陶器)

39の完全なオブジェクトと74の破片、しめて114実体の陶器のセット。
興安文明と呼ばれる中国に存在した文明によって生み出されたものと考えられており、
陶器の文様は徐々に陶器の内側に移動している。

興安文明と日本は非常に深い関係にあったことが示されているが、
この陶器を使った儀式を執り行うことで人を呪殺できるとIJAMEAは判断し、
現地人を使った実験までしている。…がどうもIJAMEAにも呪いが跳ね返ってしまっている。
自業自得とはいえ、財団に所属していた日本人スタッフまでなぜか後に呪いで死んでいるなど不審な点も強い。
彼らもIJAMEAに所属していたのだろうか?


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最終更新:2025年04月07日 06:30

*1 だいたい人類の側に立つ財団やGOCについてだって目的に必要不可欠ならいくらでも冷酷になれるわけで。

*2 Imperial Japanese Army/大日本帝国陸軍

*3 Imperial Japanese Navy/大日本帝国海軍

*4 財団が超国家的組織であったのも理由だろうか

*5 Allied Occult Coalition/AOC、世界オカルト連合の前身だろうか?

*6 もともとの項目名もひらがなである。