ペガサスサンダー/ドラゴンクルーザー

登録日:2017/07/07 Fri 17:28:55
更新日:2024/04/18 Thu 22:51:54
所要時間:約 11 分で読めます








恭介! 直樹! なんや、そのカッコええ車は!?
天の川の伝説の車ぁ!?
なにぃ!? 空も飛ぶんか、そらぁ反則や!
……でも、ええなぁ~♪

「こらっ! 一人で全部言うな~っ!」


次回!


試乗最高の名車!!


「車の周りで遊ぶと……」

「あかんでぇ~っ!」









ペガサスサンダードラゴンクルーザーは、スーパー戦隊シリーズ第20作『激走戦隊カーレンジャー』に登場する野生の車
初登場は第20話「試乗最高の名車!!」。



△【概要】△

激走戦隊カーレンジャーのリーダー・レッドレーサーにして自動車会社ペガサスのテストドライバーを自称する猿顔の一般市民陣内恭介ではあるものの、
車を運転できない鬱憤を公園で子供とゴーカート勝負して遊んだり(当の本人はテストドライバーの腕を上げるためのトレーニングと称している)、
ゲーセンのレーシングゲームではブルーレーサーこと土門直樹との勝負に13戦中13連敗する、
と直樹本人はおろか、彼の運転テクニックを見たこともない他のメンバーもその腕に疑問を感じざるを得なかった。

挙句の果てに七夕の夜、ペガサスの看板外に笹竹を飾り、短冊に「立派なテストドライバーになれますように 恭介」と書き記して天の川に祈るのを思い出し、「今更神様にお願いするってことは、やっぱり大したテストドライバーじゃないんじゃないでしょうか?」と疑われてしまうのだった。

そんな恭介と直樹が出会ったのが、このペガサスサンダードラゴンクルーザーである。



一方、宇宙暴走族ボーゾックの根城である人工惑星バリバリアンでは、
宇宙の悪のコンサルタント・リッチハイカー教授が静かな読書のためガイナモ専用トイレに座り込み、とある本に記された伝承を読んでいた。


天の川の伝説      第44章

隕石に閉じ込められた
二台の野生の車


むか~しむかし、天の川にだ~れにも心を開かない二台の野生の車があったとさ。
二台の車は、どんな宇宙人であろうとも乗られることを嫌がり、
一台はペガサスのように優雅に走り
もう一台はドラゴンのように力強く走ったそうな。

そんな二台の車のことを、神に抗議する者が現れた。
織姫と、牽牛であった。

織姫「もーっ! 神様…私達、年に一度七夕の日にしか会うチャンスないのに、あんな車がいる天の川じゃあ危なくて会えないわ!」

牽牛「ちゃんと取り締まってくださいよ!」

抗議された神は、二台の野生の車を隕石に閉じ込めたとさ。


……野生の車ってなんだよ、とかツッコミ所満載だが、カーレンジャーにはよくあることなので気にしちゃいけない。

何はともあれ、その伝承に目を付けたリッチハイカーは、野生の車を手に入れ、カーレンジャー打倒の兵器として利用せんと目論む。
そして、オシッコが漏れる寸前でリッチハイカーと入れ替わる形でトイレに入ったガイナモの提案で、
ボーゾック一の発掘野郎WW(ワーワー)ワリッチョに天の川を探索を命令。
隕石に封じ込められた野生の車の発掘に向かわせた。

しかし、天の川を無数に泳ぐ隕石は数え切れぬほど多く、見つけ出すのには骨が折れると感じたワリッチョは一休みのため巨大な隕石に腰掛ける。
ところがどっこい、そこにある(神)と書かれた石に腰掛けた途端、割れた金属音と共に願掛けが千切れ、もしかして…と嫌な予感がよぎ、それは見事に的中。
たちまち地割れが起き、ワリッチョは大急ぎで背中のウイングを展開し平泳ぎで緊急離脱する。

かくして蘇った野生の車は、赤いペガサスと青いドラゴンのオーラをみなぎらせ復活。
本能の赴くまま流星となってチーキュ(地球)のニッポンポン(日本)へ突っ走るのだった。

直樹を巻き込んで笹竹を捨てることになった恭介は、この野生の車と遭遇。
ドライバーなしで爆走するこの二台の車を解剖せんとするワリッチョとゼルモダに対し、
「お前ら、車に対する愛情ってもんがねぇのか!? 野生だか何だか知らねえけど、この車はお前らには渡さねえ!!」
と激怒。

青い野生の車ごとさらわれた直樹を救い出さんと、赤い野生の車を乗りこなさんと体を張って命がけの試運転に挑み、乗りこなすことに成功する。

最高の名車に巡り合った恭介は、ワリッチョを倒した後願い事の描かれた短冊を燃やし、一同と共に夜のドライブに乗り出すのだった。



△【ペガサスサンダー】△


シボレー・カマロに似た赤い野生の車で、しなやかなまでに流線を描くその姿はペガサスを思わせる。
…が、見た目と異なりかなりの暴れ馬で、乗った者を猛スピードで振り落としたり、半ドアの状態から足を思いっきり挟み込んだりして退けてしまう。
当初は「ちょっと乗ってみようか」と好奇心で直樹に向かって呟いた恭介も、その言葉が癪に障ったのか後輪で足を踏みつけられてしまうほどだった。

車体上部にはペガサスレーザーというキャノン砲を装備しており、邪魔する者を容赦なく攻撃する。
チーキュでは最高時速650kmで地上を突っ走り、フルアクセル状態で後部のノズルからジェット噴射、空中に飛びスカイモードに変形。
フロントノーズが伸び、ペガサスの顔にも似た状態となり、前輪タイヤ部が水平上に曲がる。
屋根からはキャノン砲が伸び、水平尾翼を構成。
さらに後部からは主翼が展開され、底部からデルタ翼が伸びて大空を自由に飛び回る。
必殺技はスカイモードの状態で全火器を一斉掃射するペガサスファイナルバーニング

相棒的存在であるドラゴンクルーザーと直樹を救い出したい恭介の頼みも聞き入れず、左ドアを展開しラリアットするが、恭介はなお立ち上がり叫ぶ。

「おい野生の車! 俺はテストドライバーだ! お前を乗りこなし、直樹を助け出す!!」

本気を出し、ヘルメットを被りコックピットに乗る恭介だが、ペガサスサンダーは猛スピードで彼を振り落とす。
再び乗り込む恭介に対し、今度はジグザグ走行で攪乱。やがて、いつもの行き止まり目がけ猛スピードで突進せんと目論む。

「このぉ!! テストドライバーの恭介さまをなめんなぁ!!」

ブレーキも効かない土壇場の状態で恭介はフルアクセル
後部のノズルからジェット噴射され、機体はそのまま上昇しスカイモードに変形。
「お前、飛べんのね……」と呆気に取られる恭介を認めたのか、ご丁寧にシートベルトを固定。
レッドレーサーに変身するとフロントノーズにカーレンジャーのエムブレムを自動的に施した。
荒ぶる野生の車を乗りこなすレッドレーサーを見て、ようやく他三名も恭介のドライビングテクニックを認めるのだった。

イエローレーサー「レッドレーサーのドライビング、並のテクニックじゃないわ!」
ピンクレーサー「さっすがペガサスのテストドライバー…!」
グリーンレーサー「お前ら、さっきと言うてることちゃうやん?」
ピンクレーサー「……え?」

まあカーレンジャーにはよくあること。

戦闘終了後、この車と心が通じ合った恭介はペガサスサンダーと命名。
まんざらでもないようにライトを点滅させていた。

ハンドルは左座席にあり、右座席にはピンクレーサーが同乗。彼女が作った強化武器・カーナビックも装備可能。
第37話「恐怖の大宇宙ハイウェイ計画」では、連戦連勝が続くなか変身した状態で上機嫌にこの車を駆り買い出しへ向かうこともあった。

レッドレーサー「いや~、買い物する時はペガサスサンダーが一番便利だよな~!」
ピンクレーサー「ほんとほんと、空だって飛べちゃうしね!」

それでいいのか? 野生の車。

第43話「メリークルマジッククリスマス」では、戦い終えた後のクリスマスパーティーでピンクレーサーの代わりに乗り込んだダップが、
飛行中のペガサスサンダーからクルマジックパワーで雪を降らせ、ホワイトクリスマスに変えるという粋なクリスマスプレゼントをしている。

なお、チーキュの空を全速力で飛び回ってもシグナルマンの管轄外なのでスピード違反切符は切られない模様。
そんなシグナルマンはVシネマ『激走戦隊カーレンジャーVSオーレンジャー』にて、ペガサスサンダーに同乗。
SSスタタンゾに『家出をしたくなるガソリン』を注入され暴走するチーキュの車に「ふるさと」を熱唱し暴走行為を止めさせている。



△【ドラゴンクルーザー】△


ジープ・ラングラーにも似た青い野生の車で、ペガサスサンダーと異なりパワフルな走りが特徴。
ウインチ部からはドラゴンクローというアンカーを射出。
敵の動きを封じるだけでなく、ペガサスサンダーの後部パネルに接続し飛行することも可能。
機体上部にはカーレンジャーの必殺武器であるフォーミュラーノバやギガブースターをセット可能で、出力は集合時に劣るがかなりの威力を誇る。
チーキュでの最高時速は550kmで、地中に潜って走行することも可能。

ペガサスサンダーと同じく他人に乗り回されるのを嫌がる気質だが、ワリッチョの投網で直樹共々捕らえられてしまう。
荒ぶるパワーを鎖で押さえつけられ解剖されかける青い野生の車を庇い、直樹は吠える。

「野生の車を解剖するくらいなら、わたくしを解剖するでございます!」

変身できない状態でワンパーに立ち向かう直樹の姿にライトを点滅させ、ブレーキを激しく鳴らし感涙する青い野生の車は、
相棒の赤い車の来訪に喜ぶかのようにドラゴンクローを放ち、直樹を運転席に乗せ共に脱出するのだった。

なお、この車は直樹がブルーレーサーに変身する前にレッドレーサーの姿が気に入ったのか、
ペガサスサンダーと同様にカーレンジャーのエムブレムを自然に車体に施している。

直樹と仲良くなった縁で、ドラゴンクルーザーの名を名付けられた青い野生の車もご機嫌そうにライトを明滅させた。
以後、ブルーレーサーと共に右座席にイエローレーサーが、コンテナ部にはグリーンレーサーが同乗している。
ペガサスサンダーと同様にハンドルは左座席に位置し、基本的にはブルーレーサーが運転する。

第26話「ノンストップ宅配武器」ではグリーンレーサーが搭乗。
ゆりかごと間違えてうっかり広瀬さん家に届けてしまったギガブースターを取り返すため、カーナビックのサーチ機能を使って北海道へ向かう宅配トラックを追うが、
福島県会津若松市で赤信号に引っかかった挙句、近所の小学生の注目の的となって後続車両に怒られる羽目になってしまう。

「これやから戦う交通安全はつらいわ~!」

その後、変身解除した実はドラゴンクルーザーに頼み込んで自力で帰らせて、自身はレンタカーで宅配トラックを追うのだった。
その後、色々あってギガブースターを取り返すことになるのだが、その経緯は……お察しください。

第37話ラストでは、ノリシロン12とボーゾックの背後にうごめく巨悪・暴走皇帝エグゾスの脅威を知りながらも実ら三名がドラゴンクルーザーを駆りパトロールついでに果汁100%のジュースを購入。
恭介ら他三名におすそ分けしようとして、「反省が足りないダップよ~!!」とダップの怒りを買ってしまうことになった。
これに対して野生の車もどう思ったのやら…。

第44話「不屈のチキチキ激走チェイス!」では、暴走皇帝エグゾスが提供した暴走車の97年型ニューモデル・エグゾスターの攻撃を受け重傷を負うが、
その身を推して相棒たるペガサスサンダーと仲間たるカーレンジャーを救うため火花をショートさせながら走らせている。
その後、イエローレーサーこと志ノ原菜摘の懸命な修理を受け戦線復帰。ラストでは本来の相棒である直樹を差し置いて菜摘に懐くのだった。その武骨さと裏腹な忠犬っぷりに愛らしさを感じざるを得ない。



△【余談】△


第27話「単身赴任の分岐点…」では、ボーゾック一のピザ作り職人・XX(クスクス)ミレーノの攻撃で二台の野生の車のハンドルとタイヤにピザが付着して操られてしまう。
その際、ライトが黄色から緑色に変化している。シグナルマンが「宇宙共通! 赤信号は止まれだ!」とスーツとシグナイザーの赤ランプを点滅させて停止させなかったら危なかった。
正義の交通ルールを守りましょう!

第36話「怪しい排ガス一掃作戦」では、ボーゾック一の植木職人・BB(ブンブン)コイヤに種を植え付けられ宇宙バチに刺されてしまい、二台の野生の車体が虫刺され腫れだらけになってしまう事態に陥っている。

…書けば書くほど意味がわからない状況ばかりだが、カーレンジャーにはよくあることだから仕方ない。

放送当時、スポンサーのバンダイから「プラデラ」シリーズとしてペガサスサンダーとドラゴンクルーザーが発売。
ペガサスサンダーは劇中同様スカイモードに変形、ドラゴンクルーザーはフロント部がマグネットとなっており、ウインチを引き延ばしてドラゴンクロー遊びができる。
さすがにウインチが伸びる範囲は限られており、劇中のようにペガサスサンダーの後部に接続もできないのが残念。
いずれもアクションフィギュア「激走ヒーローシリーズ」を乗せることができ、これらの手に持たせられる二種類のカーナビック(ナビックコム&ナビックショット)が付属している。

また、プラデラドラゴンクルーザーにはギガブースターが付属しており、ブースターマシン形態から台車を外すことでブースタージェット形態となり、ドラゴンクルーザーの荷台に搭載可能。
ブースターマシンの代わりに「激走ヒーローシリーズ」に付属しているパーツが合体するフォーミュラーノバを搭載することもできる。
荷台部をスライドすることで「激走ヒーローシリーズ」を固定する足場が現れ、ギガブースターorフォーミュラーノバを持たせられる。

2017年現在、スーパー戦隊シリーズにおけるプラデラ名義の車玩具に関しては、このペガサスサンダー&ドラゴンクルーザーを最後に発売されていない。*1

なお、変形ギミックをオミットされたミニカー玩具「ミニポピニカ」も発売。
カーレンジャーからはこのペガサスサンダーとドラゴンクルーザーに加え、レッドビークル、ブルービークル、サイレンダー(パトカーモード) がラインナップされている。



テーマソング:「ペガサスサンダーGO!GO!GO!」(歌:坂井紀雄)*2



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最終更新:2024年04月18日 22:51

*1 後年発売されたシリーズの車玩具としては「特捜戦隊デカレンジャー」のマシンドーベルマン&マシンブルがあるが、車体前部のストッパーを外して車体を開けると、フィギュアを収納できる方式となっており、プラデラのような純粋な搭乗式とは言いがたい。

*2 ドラゴンクルーザーの個別テーマソングは存在せず、2番Aメロ後半で軽く触れられるのみである。後に2番サビをドラゴンクルーザーの歌詞にした「ペガサスサンダーGO!GO!GO!Type B」が作成された。いずれも作詞は渡辺勝也監督。