日野自動車

登録日:2017/08/25 Fri 21:02:07
更新日:2025/01/05 Sun 23:25:12
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トントントンヒノノニトン
「え、なんすかそれ……?」



東京都日野市に本社を置く商用車を製造する自動車メーカー。トヨタ自動車の子会社の一社で、トヨタグループ16社を構成する。通称日野。将来的に日野市の工場は茨城県古河市へ移転する予定だが、本社と研究所機能は日野市に残る予定である。

主にバス・トラックの商用車を手がけ、トヨタからの生産委託という形でランドクルーザーなどの製造も行っている。なおバス部門については合理化のためいすゞ自動車との合弁で設立したジェイ・バスに製造を移管し、車種もいすゞと相互に供給しあっている。

製造する車種は往々にしてニックネームで呼ばれることが多く、中型トラックのレンジャーはレンプロ・クルージングレンジャー・ライジングレンジャー・スペースレンジャーなどと呼ばれ、バスも大型路線系のブルーリボンであればブルリ、観光系のセレガはいすゞのガーラと合わせてセレガーラと呼ばれることが多い。

その前身は東京瓦斯電気工業株式会社。1930年代に国策によって東京瓦斯電気工業株式会社自動車部と自動車工業株式会社、および共同国産自動車株式会社とが合併し、ヂーゼル自動車工業が誕生。このヂーゼル自動車工業は現在のいすゞ自動車の前身であり、実質日野といすゞは兄弟とも言える関係である。

職業能力開発校として日野工業高等学園も運営している。

ラリーレイド

日野といえばパリ・ダカールラリーへの参戦を思い浮かべる人も多いだろう。1991年にパリ・ダカールラリーへ参戦し、以後現在に至るまで参戦を続け、毎年4万km近い距離を中型トラックのレンジャーで走り抜けている。
参戦体制は菅原義正率いるチームスガワラの全面サポートによるセミワークス体制。メカニックは全国の日野ディーラーの中でも優秀なメカニックを選抜している。

ちなみにパリダカ以外にもラリー・モンゴリアなどのラリーにも参戦している。

販売車種

トラック

  • デュトロ
ヒノノニトンのCMでおなじみの小型トラック。トヨタへはダイナ・トヨエースとしてOEM供給している。ハイブリッドモデルの設定あり。

  • レンジャー
中型トラック。パリダカへの参戦でも知られる。CMに桂歌丸が出演していたこともある。

  • プロフィア
大型トラック。2017年のモデルチェンジ前後にはテレビCMを放送した。

バス

  • ブルーリボン(2代目)
大型路線バス。いすゞ・エルガのOEM車で見た目は全く同じ。現行モデルはノンステップ車のみの設定。前中ドア配置と前ドアのみの2種類をラインナップ。トランスミッションはATとAMTの2種類。

  • ブルーリボンハイブリッド
大型路線バス。ボディスタイルこそブルーリボン・エルガと全く同じだが、動力系は日野オリジナル。今までのハイブリッド車に比べて屋根上のバッテリーやコントロールユニットが小型化されているのと、バッテリーへの充電量が十分であればEVのようにモーターの動力だけでも発進できるのが特徴。

  • レインボー
中型路線バス。いすゞ・エルガミオのOEM車で見た目はやっぱり同じ。現行モデルはノンステップのみの設定。トランスミッションはAMTのみ。

  • ポンチョ
ポンと乗ってチョコっと行く小型路線バス。初代と2代目が存在し、初代はフランスのPSAプジョーシトロエンからシャーシを輸入し、日本でオリジナルの車体を架装したもの。2代目はシャーシも車体も日本オリジナル。
2代目は小型バスのリエッセをベースにしたもので、バスでは一般的なリアエンジン・リアドライブ。トランスミッションはATのみ。

  • セレガ(2代目)
大型観光・高速バス
ハイデッカー・スーパーハイデッカー・ハイデッカーショートの3種類を設定。スーパーハイデッカー車であっても床下トランクの容量を確保するために屋根上エアコンに拘った結果、全高が3.75mとダブルデッカー車並*1に高い上、ハイデッカー車でも3.5mとこれまた従来のスーパーハイデッカー並に高い。このため、高さ制限の厳しいバスターミナル*2を所有する会社ではスーパーハイデッカー車を導入していない。
余談だが、ある会社で現行セレガを導入した時、某ホテルの車寄せの屋根にぶつけたことがあるとか。
いすゞ自動車へ「ガーラ」として供給されている。

  • メルファ
中型観光・送迎バス。いすゞへは「ガーラミオ」として供給されている。2017年のモデルチェンジでAMTのみの設定となったが、それまではロッド式6速MT*3と5速ATが設定されていた。

  • リエッセII
マイクロバス。トヨタ自動車のコースターのOEM車で、ほとんど瓜二つである。

その他

  • MH
消防はしご車専用シャーシ。消防車専用設計のため、四輪操舵や酸素ボンベを背負った状態でも座れるリアシートなど専用仕様が随所に見られるが、トルコンATやエンジン、パネルなどは民生品と共用。

絶版車種

乗用車

  • ルノー4CV
フランスのルノー・4CVのライセンス生産車。当初は輸入部品で作られていたが、順次国産部品への切り替えが行われ、最末期には100%国産化を達成した。通称亀の子ルノー

  • コンテッサ
ルノー4CVの生産で得た経験を元に開発されたRRの乗用車。日野にとって自社開発した唯一の乗用車でもある。車名はイタリア語で「伯爵夫人」を意味する。

  • スプリント1300GT
コンテッサの派生系。乗用車の自社開発から日野が撤退したために試作車が製造されただけに終わった。

  • コンマース
キャブオーバーのワンボックスカー。ルノー4CVで得た経験を元に開発されたFF構造車で、当時としては先進的なモデル。ただ弱点が色々多く、2年で市場から姿を消している。

トラック

  • ブリスカ
小型トラック。現在のハイラックスの先祖とも言える車種で、日野とトヨタの業務提携の際に日野の車種からトヨタの車種となった。

  • スーパードルフィン→スーパードルフィン・プロフィア
現在のプロフィアの先祖とも言える大型トラック。スーパードルフィンは映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の作中に描かれたことがある。

バス

  • ブルーリボン(センターアンダーフロアエンジン車)
エンジンを前輪と後輪の間のホイールベースに配置するいわゆる「センターアンダーフロアエンジン」とした大型バス。
中ドアのみのツーマン車、前後ドア・前中ドアのワンマン・ツーマン兼用車などに対応した。
後述のブルーリボンとは全くの別物。

  • ブルーリボン(初代)
大型路線・自家用バス。小排気量垂直式エンジンのEM100型を搭載したモデルもあったが、先進的すぎたのであまり売れなかった。
水平対向エンジンのHT/HU系はブルーリボンシティがデビューするまでマイナーチェンジを加えながら製造が続けられた。

  • ブルーリボンHIMR
初代ブルーリボンをベースにディーゼル・電気ハイブリッドのHIMRを搭載したモデル。

  • ブルーリボンシティ
大型路線・自家用バス。初代ブルーリボンのボディスタイルを曲線を多用したボディに変更した。
ディーゼル車は1代限りで終わったが、全国にそれなりに導入例が存在する。

  • ブルーリボンシティHIMR・ブルーリボンシティハイブリッド
大型ディーゼル・電気ハイブリッドバス。ブルーリボンシティをベースにしたハイブリッド車で、ごく初期の物がワンステップ構造のHIMRとして販売された他は、ノンステップのブルーリボンシティハイブリッドとして売られた。
ディーゼルが1代限りで終わったのに対し、こちらはブルーリボンハイブリッドがデビューするまで製造が続いた。

  • ブルーリボンII
いすゞ・エルガの名前違い。KL-KV系・PJ-KV系はエルガと外観の違いがほとんど存在せず、見分けるのが困難。
2代目ブルーリボンのデビュー後もツーステップ車・教習車モデルのみが販売されていたが、2017年に販売を終了した。

  • レインボーRJ・レインボーRR
丸っこいモノコックボディだった中型バスのRL系を角ばったスケルトンボディに変更した中型バス。RJは板バネオンリー、RRはエアサス・板バネ併用。

  • レインボー7M・7W
レインボーRRの車体長を7mに縮めた小型バス。7Mは観光系、7Wは路線バス向きの設計がなされている。

  • レインボーHR
レインボーRRのノンステップバス専用モデル。車体長10.5m、9m、7mと幅広い選択肢を用意していたが、7mは1代限りで終わった。
登場当初はブルーリボンシティノンステップがATしかなく、MTを欲しがった事業者の間で10.5m仕様車が大ヒットした。

  • レインボーII
現在のレインボーの親と言えるモデル。いすゞ・エルガミオの名前違いで、初期モデルは見分けがつけづらい。レインボーIIの登場により、ラインナップが重複していたレインボーRRワンステップ、レインボーHR9m車が終売となった。

  • メルファ7
レインボー7M・7Wをメルファと同等のボディスタイルにした小型バス。車両定員が29人以下のため法律上はマイクロバスとして扱われ、タクシー会社の貸切バスやレンタカーとしてヒットした。

  • リエッセ
現在売られているリエッセIIとは全く関連のない日野自社開発のマイクロバス。マイクロバスでありながらリアエンジン・リアドライブを採用した珍しいモデルで、小回りの良さやワンマン運転に容易に対応できることから過疎地の路線バスとしての導入例も多い。

  • セレガ(初代)
大型観光・高速バス。路線系のブルーリボンと同じシリーズに属していた物をフルモデルチェンジして登場した。ブルーリボンよりも柔らかな印象を与える曲線の多いボディが特色。
キャッチコピーは「ドラマチック・メディア」で、バスとしては珍しくテレビCMを放送した。
床の高さでFM・FS・FD・GD・GJ・GTを展開。FMは送迎バス向き、FSとFDは観光・高速路線バス向き、GDとGJはハイグレード観光・夜行高速バス向け、GTは床を傾斜させたシアターシート仕様となっている。

  • セレガR
初代セレガのマイナーチェンジモデル。ボディの強度アップ、集中故障診断システム、強力な駐車ブレーキなど安全性・信頼性をより上げている。初代セレガと比べると顔つきがより精悍になっている。

  • セレガFC
セレガのボディ幅をそのままに、車体長を9mに縮めた車種。現在のセレガハイデッカーショートの先祖。

  • セレガHIMR・セレガR HIMR・セレガRハイブリッド
ディーゼル・電気ハイブリッドの大型観光・高速車。セレガハイブリッド同様、床下のトランク1区画をバッテリーやコントロールユニットの搭載場所として使用している。

  • セレガハイブリッド
大型観光・高速系ハイブリッド車。主に発進停止の多い定期観光バスや自然豊かな観光地での路線バス用のモデルだが、JR東海バスや富士急行などが都市間高速バスとしても導入している。こちらは床下にバッテリーやコントロールユニットを配置している関係上、出入口側のトランクが1スパン少ない。いすゞへは供給されていない。

追記・修正はパリダカを完走してからお願いします

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最終更新:2025年01月05日 23:25

*1 参考までに三菱ふそう・エアロキングの全高が3.8mである

*2 一例として名古屋名鉄バスセンター、大阪阪急3番街高速バスターミナル、長崎新地バスターミナル

*3 シフトレバーとギアが直接リンクしているタイプ。エアアシストにより軽い力でシフト操作ができる。