東京国際空港

登録日:2017/10/08 Sun 14:27:03
更新日:2025/04/12 Sat 13:31:00
所要時間:約 3 分で読めます




東京国際空港とは東京都大田区羽田空港にある空港。通称は羽田空港・羽田

概要

日本最大の規模を誇り、世界の空港の中で5番目の利用者数を数え、日本航空・全日本空輸・スカイマーク、ソラシドエア、AIRDOが国内線ハブ空港としている。
また日本で最初にSkytrax certified ratingsの5つ星空港に選ばれ、またSkytrax World's Top 100 Airportsにおいて近年は上位に来ることが多く、2019年度はシンガポール・チャンギ国際空港に次いで第2位だった。

新東京国際空港(成田空港)が開業してから30年ほどは国際線は成田・国内線は羽田*1と棲み分けをしていた。
しかし、韓国に仁川国際空港が開業してからは、外国人客だけでなく日本人の乗客の一部までもがハブ機能に優れるそちらへの逸走が見られるようになったこと、
成田空港の容量に限界が訪れつつあることから、空港を拡張して2010年より再度国際化。国際線ターミナルも大リニューアルされた。
それ以降は東京都心への近さを重視して、こちらに拠点を移す外国航空会社が増加。
成田は羽田に入らない国際線枠や格安航空会社(LCC)向けの空港として役割分担されることになった。

なお、皇族や総理大臣が政府専用機を使用する場合は再国際化以前より行先が国内・国外関係なく羽田を利用することが多く、国外からの要人が訪日する場合も羽田を利用することが多い。
これは成田空港が都心からかなり遠く、警備に要する手間がかかるためである。
他にもVIP用の貴賓室が羽田空港にあり、一般客と接することなく乗り降りできるように完備されているのも理由の一つ。

日本国内で数少ないほぼ24時間運用が可能な空港の一つ。日中は旅客便、早朝・深夜は貨物便が主に発着するが、再国際化後は早朝・深夜出発の国際線も何本か設定されるようになった。


構内施設

滑走路は4本あり、A滑走路とC滑走路は同時離着陸が可能。南風で天気がいい場合はB滑走路とD滑走路を使用して同時進入ができる。
B/Dは平行に見えて約7.5度ずれている。そのため数字はLRでなく04/05と振られている。
23時以降は騒音対策のため、海側に近いC/Dが優先となり、両方使えない場合に限りA→Bの順で使用が許可される。

旅客ターミナルビルは第1〜第3まであり、それぞれのターミナル間は京浜急行バスが運行する無料連絡バスで移動できる。第1・第2ターミナル間は地下を通ることで徒歩移動も可能。因みに、連絡通路の両端脇に設けられているのが京急線の『羽田空港第1・第2ターミナル駅』の改札口で、京急を利用する場合は航空会社に応じて利用するターミナル側の改札を利用する事になる。
また国内・国際線乗り継ぎ時のセキュリティーチェックを簡略化する目的で内際トンネルを建設中である。
第1ターミナルは国内線のJALグループ・スカイマークが利用する他、ANAと業務提携しているスターフライヤーが発着する。
スターフライヤーは就航以来、行き先によって第1・第2の両方を使っていた為かなりややこしい運用がされていたが、最終的に全ての運航便を第1ターミナルに集約している。
第2ターミナルには国内線のANAグループ・AIRDO・ソラシドエアが発着する。国際線のANA便の一部も第2ターミナルからの発着に変更され、2020年に施設が完成・運用を開始したが、某流行り病で一時閉鎖され、2023年の再開まで再度全便が第3ターミナル発着となっていた。
出発階と到着階は分離されているが、内部で繋がっているので問題ない。
因みに66〜70番ゲートは内際共用ゲートになっている為、国内線用の改札機と国際線用の改札機が併存しており、時間帯によって入れる搭乗客が異なる。


第2ターミナルでは、国際化に伴うスポット数確保の為「サテライト」と呼ばれる飛行機にはボーディングブリッジで乗り降りするものの、バス移動でしか行き来できない施設が作られた。本館と切り離されていた為、搭乗口の番号も46〜48と本館側のゲートと連続しない番号が割り当てらていた。
元々将来的に本館と接続させる前提で作られており、2025年まで第2ターミナルと物理的に接続する工事を実施した。これにより工事で一時的に使えない駐機場も出たが、2025年3月に完成。新たに接続部に5つスポットが設けられ、旧サテライト棟の搭乗口も接続部分と番号が連続する形で47〜49に割り振り直された。
また、この接続工事完了に伴い南側の66〜70番搭乗口が内際共用から国際線専用に変更された。

503・504・506スポットは所謂オープンスポットの為、バスゲートからバスに乗って向かうが、スポットにボーディングブリッジが備え付けられた簡易的な建屋が設けられており、タラップを使わずに搭乗・降機できる仕様になっている。

各ターミナル屋上には展望デッキが存在し、1/3タミからはA滑走路、2タミからはB滑走路が撮影可能。
2/3タミは午前中逆光の午後順光、1タミは午前順光の午後逆光なのでその辺を頼りに。
長さ的には1/2タミは35mm換算350mm辺り、3タミは400mmoverクラスが目安。

第3ターミナルは国際線専用で、第1・2ターミナルよりやや離れた場所にあり、前述の無料連絡バスで結ばれている他、京急空港線東京モノレールで移動できる。国内線と国際線を乗り継ぐ場合は乗り継ぎ票を提示することで無料で乗車できる。
早朝・深夜便に対応する為ここだけ24時間開いている。
都心に近いこともあり、一部の航空会社は再国際化に伴い成田から拠点を移転している。
かつてのノースウエスト航空から引き継いだ成田のハブ機能をまるごと放棄して羽田(と仁川)に集約したデルタ航空がその最たる例。

タクシー乗り場も充実しており、ターミナルビル1つにつき1箇所待機場が設けられている。第1・第2待機場へはナンバープレートの奇数・偶数で入構できる車両が決まっているが、国際線待機場は資格を満たした車両・運転手しか入構出来ない。羽田空港自体は東京都にあるが、神奈川県のタクシー会社の車両も入構することがある。

空港アクセス

鉄道

京急空港線東京モノレールが乗入れている。京急の場合、京急蒲田でスイッチバックして横浜方面、スイッチバックせずに品川・都営浅草線方面へ向かう。
モノレール浜松町までで、そこから先へはJR山手線京浜東北線へ乗り換えとなる。所要時間は最速でおよそ20分。

なお、空港駅は以下の4駅が存在する。
ちなみに2010年10月以降、「羽田空港」を名乗る駅は存在しない。

  • 羽田空港第1ターミナル駅(東京モノレール)
    かつて「羽田空港」を名乗っていたが、2004年の第2ターミナル駅開業に伴い「羽田空港第1ビル」へ改称。更に2020年に現在の名前となり今に至る。ちなみに同ターミナルの前身となる旧ターミナルの地下にあった駅は、空港が付かない「羽田駅」であった。こちらは現第1ターミナル開業時の新線切り替え後、事実上移転する形で新線上の近隣エリア向けに途中駅の「天空橋駅」として開業している。

  • 羽田空港第2ターミナル駅(東京モノレール)
    第2ターミナル開業に伴う延伸により開業した終着駅。当初は「羽田空港第2ビル」だったが、こちらも2020年より現在の駅名に。

  • 羽田空港第1・第2ターミナル駅(京急)
    京急側の羽田空港駅かつ空港線の終着駅。実は2代目であり、初代は羽田空港の対岸にあるという、空港アクセス詐欺もいいとこの立地だった。こちらは現在の天空橋駅に移転した上で廃止となっている。
    こちらも2010年までは「羽田空港」だったが、後述の国際線ターミナル駅開業に伴い「羽田空港国内線ターミナル」に改称。更にターミナルビルの改称に合わせて、2020年3月より現在の駅名に。ただし、駅名が長いので車両の行き先表示は今も昔も「羽田空港」である。

  • 羽田空港第3ターミナル駅(東京モノレール・京急)
    2010年の国際線ターミナルビル開業に合わせ開業した新駅。京急側はトンネルの両サイドに駅を新設しただけだが、東京モノレールのほうは3階の出発ロビーにダイレクトエントリーできるよう駅を設置したことにに伴い一部軌道を変更している。当初は「羽田空港国際線ターミナル(京急)/羽田空港国際線ビル(モノレール)」だったが、ターミナルビルの改称に合わせて、2020年3月より現在の駅名に変更・統合された。

バス

一般道経由の路線バスと高速経由のリムジンバスが乗入れており、路線バスは大森駅・川崎駅・蒲田駅から、リムジンバスは首都圏各地や静岡・長野方面から運行されている。リムジンバスは東京空港交通と共同運行する各社によって運行されており、行先は限られるが深夜バスもある。

タクシー

羽田空港から乗車する場合、都内・神奈川の空港近接地域を除く地域で定額運賃が適用される。逆に羽田へ向かう場合、定額運賃適用地域からの乗車でも事前予約がない場合は原則定額運賃の適用対象外となる。

自動車

自動車でのアクセスは首都高速道路1号羽田線と首都高速湾岸線、東京湾岸道路・環八が利用可能。空港内には駐車場も完備されている。

横浜ぷかりさん橋とお台場海浜公園桟橋の間を毎週日曜日にだけ1往復ずつ運航する航路が設定されている。

徒歩・自転車

穴守橋(空港島の入り口)〜第3ターミナルが大体2kmで、一応駐輪場もある。
第1・2ターミナルへはA・C滑走路の中央部の地下を抜けられそうに見えて、実際は歩道がなく自転車も通行止めになっている。
そのため環八・東京湾岸道路経由の遠回りルートを5km近く通ってようやく穴守橋とを行き来できるという有様である。更にこのルートでは滑走路下の歩道が狭く、しかも自転車も強制的に歩道を通行させられる。自転車で苦労して抜けたとしても肝心の駐輪場は無し…
よって徒歩・自転車は基本お勧めできないが、行くなら精々第3ターミナルまでに留めて、あとは無料連絡バスに頼るのが得策である。

ちなみに水曜どうでしょうにて放送された企画「東京2泊3日70km*2」において、どうでしょう班は羽田空港を徒歩で出ようとしたものの、道路全てが歩行者通行止めだったため、仕方なくシャトルバスで空港を脱出している。

国内線就航都市

北海道

札幌/新千歳、旭川、函館、釧路、女満別、帯広、稚内、紋別、中標津

東北

青森、三沢、秋田、大館能代、庄内、山形

伊豆諸島

八丈島

中部

名古屋/中部、小松、能登、富山

関西

大阪/伊丹、大阪/関空、大阪/神戸、南紀白浜

中国

岡山、広島、鳥取、米子、出雲、萩・石見、岩国、山口宇部

四国

高松、松山、徳島、高知

九州

福岡、北九州、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、奄美

沖縄

那覇、宮古、石垣、下地島、久米島(季節運行)

国際線就航都市

東アジア

台湾

台北/松山、台北/桃園

中国

北京/首都、北京/大興、上海/虹橋、上海/浦東、広州、天津、深圳、青島、大連

香港

韓国

ソウル/金浦、ソウル/仁川

東南アジア

フィリピン

マニラ

ベトナム

ハノイ、ホーチミンシティ、ダナン

タイ

バンコク/スワンナプーム

マレーシア

クアラルンプール

シンガポール

インドネシア

ジャカルタ

その他アジア

インド

デリー

アラブ首長国連邦

ドバイ

カタール

ドーハ

オセアニア・ポリネシア

オーストラリア

シドニー、ケアンズ

アメリカ自治領グアム

アメリカ合衆国ハワイ州

ホノルル

北米

アメリカ合衆国

ニューヨーク/ジョン・F・ケネディ、ニューアーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンノゼ、シアトル、ポートランド、シカゴ/オヘア、ミネアポリス、ヒューストン、ダラス/フォートワース、デトロイト、アトランタ、ワシントンD.C.

カナダ

バンクーバー、トロント

欧州

イギリス

ロンドン/ヒースロー

フランス

パリ/シャルル・ド・ゴール

ドイツ

フランクフルト、ミュンヘン

オーストリア

ウィーン

デンマーク

コペンハーゲン

イタリア

ミラノ/マルペンサ、ローマ/フィウミチーノ

フィンランド

ヘルシンキ

トルコ

イスタンブール

スウェーデン

ストックホルム/アーランダ

余談

  • アメリカ合衆国大統領専用機であるエアフォースワンが来日すると大概羽田へ降り立つ。ただし羽田に長い時間止めておくことは出来ないので、羽田到着後は米軍の横田飛行場へ回送される。
  • 国際線・国内線が24時間各地にひっきりなしに行き交う為とにかく発着枠がカツカツで、ルート開拓などで発着枠が開放された途端に各社で取り合いになる状態。この為スペック上では発着可能なエアバスA380の乗り入れは、べらぼうに大きい後方乱気流による離着陸間隔の長さやそれに伴う滑走路の混雑などが理由で認められていない。
  • 成田と羽田の間をJALやANAの回送便が多数飛んでいる。これはJAL・ANAの整備工場が羽田周辺に多数あるのと国内線の拠点・国際線の拠点がバラバラなため。
  • 羽田空港の奇跡という曲がある。歌っているのは農家兼バンドのTOKIO
  • 空港から少し離れた場所に大きな鳥居が立っている。これは穴守稲荷神社の鳥居で、戦後占領軍が空港を拡張しようとしてこの鳥居を撤去しようとしたら事故が続出して撤去を諦め、結局移転という形に落ち着いた。
  • 現在の第1ターミナルが完成したのは1993年。この当時は1つのターミナルでJAL・ANA・後にJALに吸収されたJAS及び各社のグループ会社が旅客を取り扱っていた。
    それ以前に使用されていたターミナルは現在の第3ターミナル西側・B滑走路南側辺りに1955年から幾度となく増改築を繰り返しながら使われていたが、日本の国内線の最大拠点として運用する為には容量オーバーかつ老朽化が進行していたことから、現在の沖合地区に移転拡張された。
    旧ターミナル最末期は各社のカウンターが行き先別にバラけていたり、出発・到着ロビーが各社で全く異なる場所*3にバラバラに設けられ、就航路線数・便数に対して、ターミナル横付け可能なスポットの絶対数が足りず大半がオープンスポットに沖止めされた飛行機へバスで移動してタラップで搭乗するのが常という、まるで魔境のようなターミナルとなっていた。
  • 運輸省航空局が保有していたYS-11量産初号機が引退後国立科学博物館に移管され、長年人目に触れることなく羽田の格納庫で動態保存されていた。
    茨城県の科博廣澤航空博物館に移動する際に分解したことで飛行不能になり、ダートエンジンを積んだ飛行可能なYS-11は航空自衛隊のYS-11FC引退によって日本では姿を消した。*4

追記・修正をお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 空港
  • 羽田空港
  • 東京国際空港
  • 大田区
  • 東京都
  • 東京モノレール
  • 京浜急行電鉄
最終更新:2025年04月12日 13:31

*1 一部の台湾便と「定期チャーター」名目の便は羽田発着だった。また貨物便については特に早朝・深夜帯は成田空港の運用時間の関係で羽田発着も多く設定されていた。

*2 ここから大泉学園まで文字通り踏破する企画。

*3 特にJALやANAだと「第1出発ロビー」「第2出発ロビー」と、同じ会社でも行き先で案内される出発ロビーのフロアが違うと言う有様だった。

*4 YS-11自体はエンジンなどを改修したタイプが航空自衛隊で2023年時点でも現役である