ナッシュ・ラトキエ

登録日:2012/01/08(日) 03:18:46
更新日:2025/04/09 Wed 03:11:18
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ナッシュ・ラトキエとは、『幻想水滸外伝Vol.1 ハルモニアの剣士』、『幻想水滸外伝Vol.2 クリスタルバレーの決闘』の主人公。及び『幻想水滸伝3』に108星の一人として登場するキャラクターである。


◇キャラクター

元々はハルモニア神聖国の名門貴族・ラトキエ家の長男であったが、ある事件をきっかけに家を出奔することとなる。

かつては「吼え猛る声の組合」に所属していたが、『外伝』のストーリー開始時点ではハルモニア神聖国・南部辺境警備隊の特殊工作員として各地に出向いている。以前はカレリアの傭兵隊に属していたこともあった模様。

ダボッとした印象の緑色の厚い服を着用しているが、その中にはワイヤー、スパイク、火薬、紋章札など、様々な武器や道具が仕込まれている。
平常時はこれらを併用したトリッキーな戦法を主軸に相手を翻弄するが、しかし本来は双剣使いで、切り札としてラトキエ家に伝わる「双蛇剣グローサー・フルス」という二振りのガリアンソードを隠し持っている。これらはそれぞれ「ヴァイス」、「シュバルツ」という名があり、剣に特殊な猛毒が仕込まれていたり、魔法を弾く力があったりと通常の武器とは一線を画する特別な能力を有している。また、「星辰剣」のように剣そのものが意思を持っているのか、はたまたナッシュ自身がグローサー・フルスを多用することを忌避しているがゆえの自問自答のようなものだったのかは定かでないが、ピンチに陥ったナッシュの心に剣を抜くよう訴えかけているような描写もある。
実際、ナッシュは滅多なことでグローサー・フルスを抜くことは自戒しているようで、作中でも絶体絶命と言える状況を切り抜ける際など正真正銘の非常時でしか使用することはなかった。

ちなみに、彼の金色の髪は一般的なハルモニア人の特徴であるらしい。

後述するが、『外伝』のストーリー上でも『3』でのステータス上でも歴代の天暗星に匹敵するほどの運の悪さの持ち主でもある。天速星のくせに。

伝書鳩代わりに、『外伝』ではドミンゲスと名付けられた鳥で指令や支度金を受け取っている。
(なおドミンゲスは『幻想水滸伝4』に登場するナセル鳥と同じ系統の鳥らしい)


◇作中の活躍

『Vol.1』では、主に『幻想水滸伝2』の裏舞台で活躍する。
この時の年齢は22歳。

「都市同盟に真の紋章があるとの噂があるため、その真偽の調査、及び可能なら紋章を持ち帰るように」といった内容の任務を受け、都市同盟へ訪れる。

ストーリー開始時点の道中では、吸血オババ…もとい麗しき吸血鬼の始祖シエラ様にこき使われ…協力し、彼女の因縁の相手である吸血鬼のリイン・ペンネンバーグとの死闘を演じる。続く章では皇国側への潜入任務で同じく潜入していた『2』主人公とジョウイの作戦に巻き込まれたり、クルガンとシードに追い回されたり、組合時代の同期であるエルザと再会して襲われたり流れで共闘したり、また裏ルートではワカバと共に彼女の師匠探しに付き合わされる羽目になったりと、随所で持ち前の不運さを発揮しつつも『幻想水滸伝2』本編のキャラクター達と随所で関わり合っていく。

終盤に訪れるグリンヒルでは『幻想水滸伝2』で描写された兵糧攻めによる暴動時に実は彼も市内にいたことが発覚。最終的には内部から瓦解するであろうことを察しながらも、作戦立案や戦いの指揮を引き受け一時的に敵をグリンヒルから撤退に追い込む活躍を見せる。その中で因縁の相手であるザジ・キュロイスと再会することとなり、全てに決着をつけるためにクリスタルバレーへと向かう決意を固める。

続編の『Vol.2』では『幻想水滸伝2』終了から半年後、グラスランド入りをしてクリスタルバレーへ向かう道中で、またも事件に巻き込まれるところから彼の物語は再開となる。

序盤に訪れるミリトという村では、かつての英雄が所属していた「炎の運び手」を騙る盗賊団に襲われるが、アイリら旅芸人一座、カミューとマイクロトフの騎士コンビ、ギジムたち灯竜山三兄弟といった旧同盟軍メンバーと協力してこれを撃退。
その後はザジの罠により反逆罪で捕らえられるもなんとか脱出。なお、ここで遭遇するカレリア時代の旧知であるワンという男は、後の『幻想水滸伝3』にもコードネームをジョーカーと改めて参戦することになる。
そして指名手配になりながらも、道中訪れたマリードという村ではハンフリーやフッチらと共にはぐれ竜の騒動を解決した。

こちらの裏ルートでは、ビッキーのテレポートに巻き込まれながら、あっちこっちに飛ばされては危険な目に遭うなど相変わらずの不運っぷりも惜しみなく発揮。

最終章におけるザジとの決闘を終えた後は、どういった形であれ妹の婚約者を二度も手に掛けてしまった自責の念など様々な思いにより再びラトキエ家を離れ、引き続き特殊工作員として任務にあたることを選択したところで、このナッシュを主人公とした物語は幕を下ろしていく。

なお、指名手配はササライがもみ消してくれたらしい。


◇ザジとの関係
ザジはナッシュの妹・ユーリの家庭教師にして婚約関係にもある青年で、ナッシュ自身も親友だと認識していた。
しかし、婚約前に不可解な形で病死した父親の死因が実はザジによる巧妙な毒殺であることを調べ上げたナッシュは、二人の結婚式前夜にラトキエ邸にて彼を問い詰める。そこへそうとは知らずに部屋に入ってこようとしたユーリを自分もろとも銃殺しようとしたザジを、咄嗟にグローサー・フルスを抜いて妹の眼前で返り討ちにする。

ザジはハルモニアに吸収された国の民であり、奴隷同等の扱いを受けていたことから、ハルモニア人に強い憎しみを抱いていた。
今回の一件はその復讐のために自らラトキエ家を乗っ取ろうとした計画によるものだった。

グローサー・フルスによる斬撃を浴びながらも辛うじて生き延びていたザジは、ナッシュとの決着をつけるべく暗躍していく。


◇ナッシュ・クロービス

『外伝』終了から15年後が舞台となる『幻想水滸伝3』では37歳のナイスミドルな姿で登場。あれから更に経験を積んで実力も人としての深みも増したことにより頼れる大人としての面も描かれるようになるが、軽口も相変わらずなため、『外伝』以上にどこか胡散臭い。だがそれがいい。
こちらのストーリー上では全編通してラトキエ姓ではなく「ナッシュ・クロービス」と名乗っている。

作中で所帯持ちのような発言をしているが、これはクリスの警戒を解く目的及び【カミさん=上司(恐らくササライ)】を指した隠語を兼ねた軽口のようで、クロービス姓も実際は既に存在していない家名を借りた偽名である模様。
また、『Vol.2』にてナッシュに一途な思いを寄せている配膳係の女性がいたり、『3』本拠地の壁新聞では夜な夜なシエラと思われる美女と密会していたと思しき場面をすっぱ抜かれた目撃証言が載った記事を読むことができたりと、彼の結婚あるいは恋愛についての真偽やその相手については様々な見解があった。

宿星は天速星。何度も言うが天暗星ではない。残念!

武器レンジはLで、後方支援向き。
素早さが高いため迅速に攻撃できるのが利点だが、ナッシュより遅いSレンジキャラよりも先に敵の前に出てしまい、そのSレンジキャラが攻撃できないという事故が発生することもある。
更に前述したように運の値が底抜けに低く、そのため真っ先に敵の攻撃の標的になりやすいため、対策を怠るといつの間にか戦闘不能になっていることも少なくない。

『外伝』での不運さをこんな形で再現せんでも…


ストーリー本編では「クリス編」の2章より登場し、その後の物語にも大きく関わってくるキーキャラクターの一人となる。

ちなみに、本拠地の施設の1つである「劇場」では、ある人物に対する彼の恨みが籠もった迫真の演技(?)が見られるため、『外伝』のデータをコンバートできる方は特に必見である。

…ナッシュさん、また脳天に雷落とされても知りませんよ…今でも会ってるんでしょ?


◇不運

さて、ここまででも散々言及はしてきたが、このナッシュという男、幻想水滸伝シリーズの中でもトップクラスの不運の持ち主であり、彼を語る上でその不運さは切っても切れない大きな要素である。

仕事柄どうしても危険な状況に陥りやすくはあるが、それを差し引いてもとにかく行く先々で仕事とは無関係なところでも様々なトラブルや無駄な不幸に遭いやすい。
ナナミシチューの餌食になったり、マイペース娘たちに幾度も振り回されたり、妖怪オバ…謎の美少女に折檻されたり等の他、細かな描写も含めれば枚挙に事欠くことはない。
しかも『外伝』のゲームシステムとして「LP(ラッキーポイント)」なる彼の不運を可視化したかのようなポイントまで備わっており、つまりシナリオ上の描写のみならず、システムというメタかつ揺るぎない形でも彼の不運は約束されているということになる。
なおこのLPとは、彼が不幸に見舞われたり、そうなるような選択肢をプレイヤーが選んだ際に蓄積されていき、以降たびたび現れる選択肢の中でポイントを消費しなければ選択できない特殊な項目を選ぶ際に消費する、言わば彼の不運に対する救済のようなものである。
例えば『Vol.1』の冒頭ではシエラと言い争いをしていたり、『Vol.2』ではまたしても冒頭からアイリの投げナイフショーの的になるといったシーンがある。ここでのプレイヤーの選択によっては、シエラの余計な怒りを買って雷を落とされる・アイリのナイフがナッシュ本人にヒットするという結果になり、そうすることでLPが貯まる。そしてその後に待ち受けている戦闘等の逼迫したシーンで、状況を打開する際に出てくる選択肢でより効果的なものも選択可能なるといった具合。
但し、ドタバタギャグルートである裏ルートに進むためにもこのLPを大量に集めてストーリーの分岐点で一気に消費する必要があるのだが、この裏ルートでは更なる不幸に見舞われるシーンが割と多い。つまり折角不幸の積み重ねで貯めに貯めたLPをはたいて進んだルートでもっと不幸な目に遭うのである。そういった点を見てもやはり彼の不幸体質は本当に極まっていると言えるだろう。ドンマイと言う他ない。

満を持してのナンバリング作品への参戦となった『3』でも、本拠地の目安箱から彼の相変わらずの不運さが見て取れる。犬に気に入られてマーキングされたり、ケンジの体操に付き合わされたりとその手の話題が尽きないあたり、どこまでも彼らしいというかなんというか…


そして極み付きは、とあるファンブックの「不幸なキャラクター部門ランキング」での逸話である。彼と同じく不幸キャラの代名詞で初代からの古参キャラかつ人気キャラでもある強敵のフリックやルックらをも抑え、なんとナッシュが堂々の第1位を飾ったのだ。

おめでとうナッシュさん!やったねナッシュさん!泣いてもいいんだよ!!



◇余談

一部のファンからは「茄子」とも呼ばれている。
これは単純に響きが似ていることが由来なのだが、『幻想水滸伝3』のコミックス版でも、初対面のクリスから茄子呼ばわりされた。

ナッシュェ…



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最終更新:2025年04月09日 03:11