登録日:2011/07/15(金) 08:39:26
更新日:2024/11/11 Mon 09:49:42
所要時間:約 5 分で読めます
幻想水滸伝4とは、KONAMIが製作したPS2ゲームである。
発売日は2004年8月19日。
キャッチコピーは『108人の待つ海へ。それは、冒険か。出会いか』
キャラクターの作画は
幻想水滸伝1の河野純子が担当している。
◇特徴
シリーズを通しての特徴は
幻想水滸伝シリーズの項目を参照して欲しい。
今作で最も話題を呼んだのは、キャラクターに声がついたことだろう。
最近のゲームではCV付きは当たり前だが、幻想水滸伝シリーズは
仲間だけでも108人いるため、本当にボイスがつくのか当時は期待と不安が交錯していた。結局、イベントや戦闘に参加しないキャラはCVなしではあったが。
また、従来の戦闘はメンバーは6人だが、今作は4人となっている。(メンバーが4人になっているのは、今作と
幻想水滸伝ティアクライスのみ)
本拠地システムも健在だが、城ではなく巨大船となり、本拠地ごと移動するというシリーズ全体で見ても類を見ない斬新かつ唯一無二の本拠地が特徴的。
また、ナンバリングこそ『4』だが、シリーズとしての時系列は今作発売までは最も古い時系列だった『1』からなんと約150年も遡り、一番古い時代の物語となっている。
そのため、同シリーズ作品で後の時代に出てくる人物の祖先らしきキャラや、『1』で登場する例の彼がやさぐれ状態で登場したりと、過去作をプレイしたユーザーならニヤリとする場面も多々ある。
なお過去作品(1~3及び外伝)のセーブデータからのコンバートは無い。
◇あらすじ
舞台は太陽暦307年、群島諸国。
群島諸国の国境に位置するガイエン公国の島・ラズリルに拠点を置くガイエン海上騎士団に所属する
主人公は、ある事件をきっかけにして
27の真の紋章の一つ「罰の紋章」を左手に宿し、そして濡れ衣を着せられて追放され、二人の仲間と共に流刑となる。
敵国クールークの将軍との邂逅、無人島への漂着などを経て辿り着いたのは、群島諸国の南東に位置するオベル王国。
その国王、リノ・エン・クルデスとの出会いをきっかけに、主人公たちは群島諸国とそれを狙うクールーク皇国との戦いに身を投じていく…
◇システム
今作はシリーズで唯一、町の中もフィールド上360度回転のフル3CGでマップで動く。
主人公の背後からの視点がデフォルトだが、主人公視点からでも操作は可能(ただし画面酔いしやすくなる)。
また、本拠地=移動方法であるため、またたきの手鏡(フィールドマップ上で使うと本拠地に戻れる、シリーズ通しての恒例アイテム)が街中でも使える。
そして持てる所持金額の上限も大幅に増えた。
戦闘システムは上記にあるように、戦闘メンバー4人とサポート1人という構成。
戦争システムの方は今回は『2』に近く、ターンごとに船を前後か左右かに動かし、攻撃範囲内に相手の戦艦が入ったら、紋章砲か白兵戦で攻撃するというもの。紋章砲には属性の概念があり、属性が有利だと敵の紋章砲をかき消して一方的に攻撃が通る。
駒となる船には、船長1人・砲台主1人・白兵4人をそれぞれ配置する。特に船長と砲台主はキャラによって能力が大きく変わるため、重要度が高め。
◇キャラクター
詳しくは個別項目を参照。幻想水滸伝シリーズで一、二を争う程の不幸っぷりを見せる漢。
不幸キャラの筆頭としては
ナッシュ・ラトキエが挙げられるが、あちらが持ち前の不幸体質による多岐にわたる細かな不幸の積み重ねがメインであるのに対し、こちらは数では劣るが1つ1つの不幸がとにかくデカいという量より質で勝負するタイプ。
序盤は騎士団支給の片手剣を使用するが、途中から自前の双剣を使う。
恐らくナッシュへのリスペクトではない。
ファンからの主な愛称は『4様』で、後述するノベル版での名前は『ラズロ』となっている。
主人公の幼なじみで、ラズリル領主の一人息子。シリーズ一と名高いヘタレで愛すべき馬鹿。
主人公との仲は良好なのだが、領主の息子と屋敷の小間使いという立場に加え、その実主人公の方が自分よりも有能で有望視されている事を薄々自覚しているためか、多少ぎくしゃくしている。
「腕が痛くて動かなかったんです!ほら!」
主人公やスノウの同期生で、釣りが趣味で体格に恵まれた気のいい大食漢・タル、口数が少なく真面目なハーフエルフの少女・ポーラ、冷静沈着で知識も豊富な副官タイプの青年・ケネス、ミーハー気質で元気いっぱいな褐色娘・ジュエルの四名からなる、海上騎士団の仲間達。
序盤にこの中から二人選んで任務を行うが、この際に選んだ二人が後に主人公が追放された時にも彼を信じてついてきてくれる。なお、選ばなかった二人も後にしっかり仲間になる。
それにしても、自分たちは何の罪も犯していないのに騎士団の地位を捨て、更には命の保証もない漂流刑にまで付き合ってくれるのだから、いくら主人公に人望があったとは言え彼らも彼らでいい人にも程がある。愛すべき仲間たちである。
オベル王国の王女。王女の割にお転婆というか冒険心に富んでおり、かなりの行動派。
主人公一行が漂流しているところを発見し、保護する。
オベル王国国王で、フレアの父親。
普段はとても王とは思えないほどのラフな軽装なため、見た目こそ近所のワイルドなおっさんだが、そこは一国の王らしく頭がきれて器も大きな人物。ストーリー上で王としての正装姿を見せる唯一のシーンはある意味必見。
主人公と深い関わりがあるので、作中の演出やテキストはよく読みこもう。
今作の軍師枠。
軍師の名家・シルバーバーグ家の出身の渋い中年女性で、かつては赤月帝国の軍師としてかなりの活躍をしていた。しかし、ある事件の責任を負って追放され、以降は無人島に隠居して酒浸りの生活を送っていた。
仲間になっても相変わらず呑んだくれているし口も悪いが、その実力は衰えていない。
31歳の若さで「海神の申し子」の異名を内外に轟かせる、クールークの誇り高き天才将軍。
11年前、彼の指揮するたった一隻の船でガイエン海上騎士団の船を壊滅寸前まで追いやった事がある。
主人公とは漂流中に運命的な出会いを果たす。
クールーク軍をはじめ群島諸国全域で商売を行っている、悪名高い商船会社「クレイ商会」の会長。どういった経緯か左腕が義手になっている。
以前はエレノアの弟子で副官として共に赤月帝国で活動していたようだが…?
毎度お馴染み夜這……もとい赤月帝国の魔術師の島に住む盲目の女性。
今回も登場するのは真夜中。主人公に「罰の紋章」について教え、その行く末を見守っている。
◇クソゲーオブザイヤーについて
本作はかつて2004年の
クソゲーオブザイヤーの受賞候補としてノミネートされてしまっていた作品でもある。
ただし、この時期は俗に言う「
ヨンパチショック」で
クソゲーのハードルが思いっきりインフレする前の、所謂「ストーリー展開等が一部の気難しいシリーズファンの間で賛否が起きた」、「難点はあれど遊べない(進行が困難な)ほど酷い出来ではない」、「過剰な宣伝の割に内容は普通」というような、現在ではクソゲーと呼ぶには憚られる程度の、まだ及第点と呼べる作品まで頻繁に候補に含まれていたハードルが低い時代の評価である事と、俗に言う思い出補正により必要以上に低評価を下していた古参ファンによる半ば呪いじみた厳しい目もあった事には留意されたい。
挙げられた欠点として、
1.船移動が遅い
これに関してはプレイした多くの人が思うだろう。船の移動速度が遅いうえに操作性もやや癖がある。ボタン押下で移動速度を早める事も可能だが、移動中のエンカウントもあるためゲームがテンポよく進まないのである。まあ、これ自体が過去作のフィールド移動も兼ねているためそう思えばエンカウントの方は大した問題ではないかも知れないが。
これは中盤でビッキーを仲間にすればある程度は改善されるが、仲間にする場所が、交易好きではない限りあまりいかない場所だし、ビッキーの存在を知らない新規プレイヤーなら存在に気付かないままクリアした人もいるだろう。
2.ロード時間が長い
待っている間は可愛らしく動くドット絵の主人公たちを見て癒やされていよう。観賞タイムである。
3.ストーリーが短い&駆け足
制作期間がかなり短かったようで、シリーズの他作品と比べて本筋のストーリーが短め。仲間集め、やりこみ、ミニゲーム等の寄り道をしなければ総ボリュームは恐らく『1』並ではないかと思われる。逆に言えば『1』程度のボリュームはあるという事でもあるが。
ストーリーの構成も「必要最低限の会話で話が進む」淡白さが目立ち、「え?これで終わり…?」という遊び手の想像力に委ねたような部分がある。
この反動か、制作期間もたっぷり取れたのか次回作の『5』は逆に普通にプレイしてもかなりの大ボリュームとなっている。
ただ、そういった点は、無駄な展開を挟まずサクサク進行が可能と前向きに取る事も出来る。それに全体の難易度もそこまで高くないし、仲間集めに関しても歴代でも屈指の易しさで、同シリーズの他作品では泣かされたプレイヤーも多いであろう複雑怪奇なフラグを必要とするキャラが居ないため、ベストエンドを見るための容易さや周回プレイの気軽さは今作の美点とも言えるだろう。
以上の不満点はよく挙げられるがフォローできる範疇であったり、主人公の生い立ちなどしっかり見ていれば気付ける意外な裏設定や、シンプルでテンポの良い戦闘、魅力的なキャラクター×108+α、短めではあるが決して薄味ではないストーリー、中毒性のあるミニゲーム、良曲が多く質の高い音楽、変に味のあるアイテム、そして幻想水滸伝シリーズ初の「ゲームクリア時のデータを引き継いで周回できる所謂『強くてニューゲーム』のシステム」が満を持して実装されたり等、好意的に評価できる点も多くあるため、シリーズに興味がある人なら周りの声は気にせず是非とも自分の手でプレイして頂きたい。
また、時系列の関係からこれを入門編としてもいいだろう。「過去作からのプレイヤーならニヤリとする場面がある」と上記したが、逆に今作からプレイした場合も先の時系列の作品でニヤリと出来る部分が多々あるはずだ。
なお、番外作品に『Rhapsodia』がある。
こちらは今作の2年後の群島諸国とクールーク皇国が舞台となっており、新しい主人公が据えられては居るが、今作の主人公やキャラも大量に出演し、『4』本編では語られなかった裏エピソードがあり、『4』のデータのコンバートにより4主人公とスノウが使用可能になったり、両名の幼い頃のエピソードが差し込まれたりなど、いろいろと謎を秘めたまま終了した印象のある今作を補完するようなストーリーであるため、実質『4』の続編、あるいは後編とも言える作品となっている。
『4』をクリアした後に「主人公どうなった…?」と思った人や、『4』が気に入った人、または『4』が物足りなかった人も是非プレイしよう。
また、現在は入手が難しいが、電撃文庫からノベルが全3巻で発売されている。
こちらは今まで幻想水滸伝シリーズのノベルを書いていた堀先生と違い、高瀬美恵先生が書かれているが、仲間加入時のエピソードや主人公の心境が丁寧に描かれているため、非常におすすめ。
追記・修正こそ、誇り。
- 船の移動速度はR1を押している間だけ解消dきるんだけどねぇ -- 名無しさん (2014-10-18 18:38:20)
- ↑移動早くなってもエンカ多いし戦闘に移るまでが長いし王者の紋章が宝探しで入手だしで解決になってない気がする -- 名無しさん (2014-10-31 00:49:38)
- ところで電源文庫てなんぞ← -- 名無しさん (2014-12-25 20:28:55)
- 船の遅さとか、まさにクソゲーだったけど、選んだ仲間と漂流する序盤の展開が好き過ぎてリメイク希望。 -- 名無しさん (2016-10-01 08:12:26)
- ↑2 言われて気づいて吹いたw -- 名無しさん (2017-02-15 16:38:44)
- 選んだ仲間(女性二人)と島で生活するハーレムエンドを選んだ。(まあ猫は居るが) -- 名無しさん (2018-09-26 01:28:14)
- ラプソディアではまだまともだった頃のブランドの話とか、クールーク皇国のその後や内情とかが補完されてて良かった。……正直本編でやってほしかったけど……。 -- 名無しさん (2020-08-04 18:08:29)
- 船は遅さもそうだけど、ストーリー上の範囲外に出ようとするといきなり反転(その間、操作不可)というのがストレスだった。海なのに中盤までは微妙に自由がないし。 -- (2022-09-16 19:53:09)
- 船移動ばかりな上島についてもほとんどイベントがないせいで盛り上がる場面がないし、シナリオの長さはⅠ以下だと思うわ。プレイ時間の半分は海の上と言っても過言ではない。 -- 名無しさん (2023-03-03 17:32:21)
- ここまできたからには幻想の個別の記事全部つくっちゃえ・・・ -- 名無しさん (2024-09-11 09:48:58)
- 実際褒められた出来では無かったが光る部分はあった 時系列的にルックが使えない中で天間星にこれ以上無いキャラを与えたり -- 名無しさん (2024-11-11 09:49:42)
最終更新:2024年11月11日 09:49