登録日:2018/12/14 Fri 09:55:17
更新日:2024/04/30 Tue 18:52:14
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や…がて… 星が降る…
星が降る… 頃…
こ…ころ ときめい…て…
ときめいて… く…る…
演:白本彩奈
概要
フルネームは後述する生前の事情から
「星埜イユ」と思われる。
元々は普通の女子高生だったのだがとある理由で1年前に死亡し、『season1』で登場した
前原淳と同様に死体にアマゾン細胞を移植する事でシグマタイプのアマゾンとして蘇った。
その為、生前の記憶は残っているものの人間らしい感情や表情は殆ど欠落しており、質問などをされない限りは終始無言で
4Cの指示に従うだけの存在になっており、相手の言った言葉や行動を反射的に繰り返すこともある。
その辺の事情を知らずに『season2』から見始めた人たちからすれば
とてもメインヒロインには見えない存在である。
4Cの黒崎隊配属で平時は黒崎の指示に従う形で行動しており、アマゾン駆除の現場では
カラスアマゾンに変身して溶原性細胞のアマゾンと戦闘を行う。また、左目は黄色の瞳の義眼となっておりアマゾンを探知するのに利用されている。ただし判断基準が「食人衝動」であり、直接アマゾンを見ないと人かアマゾンかの確認ができないため精度はお世辞にもいいとは言えない。
また前原と違って定期的に検査やたんぱく質摂取(ゼリー状の物をインジェクターで注入している。)をするので長期間4Cから離れることはできない。
第1話「NEO」にて4Cの活動でアマゾン駆除に向かった際、先にTEAM Xの活動でアマゾン駆除に来ていた
千翼と邂逅。ここから2人のアマゾンの物語が始まる事となる。
生前
既に述べた通り生前の彼女は普通の女子高生であり、性格も明るく快活な子だった。
家族構成は父親で科学者である星埜始、そして母親と姉の4人。
高校の同級生にはTEAM Xのリーダー
長瀬裕樹がおり、彼はお菓子作りやケーキ作りを楽しそうにしている所を目撃している。
また始の研究室にお弁当を持ってきたりすることもあり、
水澤悠ともそこで知り合っている。
が、本編の1年前に家族全員で始の誕生日パーティをしていた所、突如始がハゲタカアマゾンに覚醒。そのまま他の家族に襲いかかったのだった。
その様はまさに地獄絵図で、始に食い殺された母親は腸が飛び出ており、姉は肋骨が剥き出しになっていた。
そしてイユ本人も始に左目を抉り取られて、彼に引きずりまわされていた。
現場にやってきた黒崎が見たのは抉り出したイユの左目をクチャクチャと食べながら「やがて星が降る」と歌う始の姿だった。
この時点ではイユはほぼ虫の息ながらも生存していたが、遅れてやってきた悠が自分の元に(恐らく始に渡すつもりで買ったと思われる)花束を置き、そしてアマゾンオメガに変身して始を殺すシーンを見ながら落命。
遺体は4Cによって回収され、死体の損傷が比較的軽かったイユは局長である橘の意向でシグマタイプのアマゾンとして蘇生。
また、始が歌っていた歌はイユも生前よく聞いていた為、時々それを歌うのが彼女の唯一の感情表現だった。
これらの経緯から4Cからは備品扱いをされ、シグマタイプのアマゾンを知る悠からは「生前の記憶で苦しむことなく眠らせてやりたい」という哀れみに由来する殺意を向けられている。
そんな中で千翼は彼女を「自分が唯一食べようと思わなかった“人間”」として彼女に関心を持ち始める。
はじめは「自分が人間である」という気持ちに縋り続けるため(「イユには食人衝動が湧かない」=「食べようとしないでいられる人がいる」)に彼女に近づいていたが、彼女の生前を知った千翼はイユを「守りたい」と思うようになっていったのだった。
痛みを持たない彼女に対して「俺がお前の痛みになれたら」という言葉とともに……。
一方感情が欠落した状態の視点であるイユのほうから見た千翼は「自分に色々話しかけてくるアマゾンの1体」であり、第1話の時点で怪我をしていることを理由に戦闘を制止しようとする千翼を無理やり払いのけたり、
4Cに戻ってきた後も戦闘時に同調することもなく、彼が食人衝動を見せた際には普通にターゲットとみなして襲い掛かり、致命傷を負わせたこともある。
「ジュヴナイル恋愛」とは……。
一応、第4話で黒崎から「アマゾンだが駆除しちゃいけねえ奴」と刷り込まれることで彼をターゲットとはみなさなくなり、戦闘時は彼の指示を聞いて合わせる形で戦闘をしていく。
カラスアマゾン
イユがネオアマゾンズレジスターを用いて変身したアマゾン態。
皮肉にも生前の自身を食ったハゲタカアマゾンと同じく鳥の姿のアマゾンである。
カラスの羽を体中に纏った姿で、爪先にはカラスの爪のような突起がある。また、変身前と同様に左目は黄色になっており、アマゾンと人間を見分けるセンサーとなっている。
レジスターがない状態でのアマゾン態は不明(おそらく同じ姿なのだろう)。
鳥の怪人らしく、パルクールを交えて軽やかに動き回り、素早い跳躍と足技を主に戦う。
十分に力をのせた蹴りは、胸を大きく斬り裂いたり頭部を粉砕したりとアマゾンに対して致命傷を与えられる威力を持つ。
並のアマゾンなら1vs1で十分倒せて、弱いアマゾンなら重傷を負った状態で3体同時に相手をして瞬殺している。
シグマタイプのアマゾンであるために自らのダメージを認識できず、体を貫かれようと止まらずに戦おうとする。
なお前原の場合はアマゾンズドライバーに痛覚遮断機能がついていたが、イユのネオアマゾンズレジスターにはそのような機能はついておらず、体そのものの痛覚が遮断されている。
駆除班にて戦闘訓練を重ねていた前原と違い、イユは元はただの女子高生に過ぎないため、戦闘技術は習得しておらず、たとえ痛覚がなくてもシグマはダメージを受けないように防御も回避も徹底していたが、
イユの場合はそれが未成熟なために余計にダメージが蓄積するため強さでいえばシグマよりも劣っている。
ネオアマゾンズレジスター
千翼とイユが左腕に着けている新型アマゾンズレジスター。
詳細は
こちらを参照。
抑制剤投与のために装着している千翼と異なり、彼女は変身のために装着している。
しかしこちらのレジスターにはとある仕掛けが施されており……。
劇中の活躍(以下ネタバレ注意)
4Cの戦闘員として戦ってきたイユだったが、千翼と触れ合い、彼が生前の楽しい記憶などから積極的に自分に近づこうとするのを見ていく内に徐々にではあるが感情を取り戻す兆しが見え始める……。
しかし一方で千翼が「溶原性細胞のオリジナル」という衝撃の事実が明らかになり、物語は壮絶な展開を迎えていくことになる…。
episode9「VANISHING WINGS」
イユを人質に取られる形で凍結処分を受け入れた千翼。
処分前にイユに別れの言葉を告げてケージに入るが、処分前にケージから見えた彼女を「欲しい」と思った結果溶原性細胞が暴走。
オリジナル態となって4C隊員を殺傷していくが、その中でイユの負傷によって出る血液を見た結果暴走が止まり、千翼は自分がしたことを知って発狂し逃走。
イユはこの間「千翼は駆除しちゃいけない奴」として動かずにおり、千翼逃走後も「やがて星が降る」を歌っていたがそこに黒崎がやってきて……。
「イユ……千翼はもうやっちゃダメなんかじゃねえ」
「やれ。千翼を狩れェ!!」
「命令だ」
「…了解」
episode10「WAY TO NOWHERE」
4Cから逃走し、たまたま通りすがった一般女性の腕を見て空腹と食人衝動からそろりそろりと近づく千翼の姿を発見し……。
「ターゲット、確認」
「イユ!?俺……」
「……アマゾン」
黒崎の刷り込みがない今、千翼はただの駆除対象に過ぎず容赦なく攻撃を仕掛けていく。
「イユ……俺はもう、『駆除しちゃいけない奴』じゃないんだ……」
「そうだよな?……イユ……」
絶望の中に叩き落され、体力も気力も尽きかける千翼にとどめを刺そうとするが…
「イユ!やめろォ!!千翼だぞォッ!!」
千翼の身を案じてきた長瀬が間に入って彼女を抑えつけたため、千翼は逃走。
結局駆除することはできなかった為、黒崎隊と共に彼の捜索を再開した
episode11「XING THE RUBICON」
捜索中に長瀬が千翼の駆除をやめるよう接触してくるも、黒崎が撥ね退けた。
この際に黒崎の命令で第4話で撮っていた千翼とイユのプリクラをクシャグシャにしている(8枚の内1枚だけは原形を保っていたが、これは以降長瀬が所持している)。
その後渋滞につかまって動けなくなった為に1人での行動を託されたところで、志藤のバーで手にしたチューブで食事をする千翼を発見し、彼女と共に生きたいと自覚し、覚悟を決めた彼と交戦。
勝負は互角に進み、最終的に両者ともダウンし、イユは変身解除。痛覚がないのでそのまま向かってくるが、なんとここでアマゾンアルファに変身した
仁が乱入。
ここまでの説明で省いていたが、仁は大学時代、イユの父親である始の研究室の所属していた。
それらにかかわる話(第8話で明かされるが詳細は割愛。)の中でイユが彼の娘と気づいて、傷ついた彼女の代わりに自分が千翼にとどめを刺すとして彼女をその場からどかす。
そして戦闘の場から離されたイユだが、千翼が仁に暴行を受け、傷ついていく姿を見て……
(イユ。俺が……お前の痛みになれたら……)
千翼の言葉を思い出したイユは僅かながら感情を取り戻し、最期の一撃を与えようとする仁の腹をぶち抜いて千翼を助け、「千翼…痛い?」と彼の心配をし、彼の逃亡に同行する。
しかしタイトルの「XING(CROSSING) THE RUBICON」、即ち「ルビコン川を渡る」ことは「後戻りできない決断をする」こと。
当然イユも千翼を庇って4Cから離反したことで駆除対象となり、人間のいる岸辺へは戻れなくなってしまう。
そして9話の時点で千翼の暴走で重傷を負った橘が病室にて……。
「イユの……イユの、廃棄処分を…!」
episode12「YELLOW BRICK ROAD」
千翼との逃亡だったが、イユの腕輪の信号が正常作動(千翼の方は不具合が出ていた)しており、包囲網はさらに狭まっていた。
そんな中千翼は使われていない教会を発見し、そこで一夜を過ごす。
その際に千翼は持ってきていたチューブの一部をイユに与え、助けてくれたことへの感謝を述べた。そして……。
「イユ、きっと元に戻るよ」
「友達がいて、父さんと母さんと、お姉ちゃんもいるって言ってたっけ?
その頃の、イユに。絶対……また笑える!」
同じ頃、4Cの局長代理として指示をしていた札森のところに電動車椅子で橘がやってきて、彼に「局長代理最後の仕事」として「システムYBR19」を起動させる。
第11話のネタバレを見れば察しはつくだろうが、それはイユの廃棄システム。
実はイユのネオアマゾンズレジスターには対アマゾン用の銃弾である「圧裂弾」の成分が仕込まれており、有事の際にはこれを5~6時間かけて断続的にイユの体内に放出することで最終的に死亡するように仕掛けられていた。
「千翼のレジスターにも同じ処置をすればよかったのでは?」などとツッコんではいけない。
もちろんイユは痛覚が遮断されているので痛み自体は感じないが、感じないままに衝撃を受け続け体がボロボロになっていく。
イユの異変に気付いた千翼は腕輪を外そうとするも外れない。そんな中でアマゾンの気配に気が付いてその場から離れる。そして赤松隊員が変貌したアマゾンを発見し、それに襲われる他の4C隊員を見て見過ごすことができずにアマゾンネオに変身、
アマゾンの気配を察知してやってきた悠もアマゾンニューオメガに変身して加勢する形で交戦。
そして1人取り残されたイユだったが……。
「パパと…ママと…お姉ちゃんと…」
「パパとママとお姉ちゃんと…」
「パパとママとお姉ちゃんと!」
「……私」
千翼の言葉で出てきた言葉を繰り返すイユ。そして遂に……。
「私……私……」
「いやあああぁぁ!!パパ!やめて!!」
千翼が善意から彼女を気遣ってかけた言葉が呼び起こしたもの、それは今際の時の凄惨な記憶とその痛みだった。
絶望とショックからイユはカラスアマゾンに変身して暴走。痛みから必死で逃れようと4C隊員もアマゾンも、そして悠や千翼にも見境なく襲い掛かってしまう。
(なお大半が混乱する中、悠は彼女の攻撃を軽くさばいている)
千翼は何とかして彼女を制止しようとするが……。
「パパが食べたのは私!痛かったのは私!」
「パパが食べたのは私!死んだのは…」
「やめろ!」
暴走は止まったが、イユは過去の記憶から絶望。
自分の善意が最悪の形で裏目に出てしまった千翼もまた絶望し、彼女を抱きしめながら…
「なんで……なんでだよ……」
「なんでえええぇぇ!!!」
episode13「AMAZON“Z”」
廃棄処分が続くイユの腕はボロボロになっていた。
千翼はなおもイユのレジスターを外そうとするが、黒崎から「イユはあと数時間で死ぬ」ことを告げられ、何とかしようと彼女と一緒に逃亡。
「イユが失くしたのは『記憶』じゃなくて『自分』なんだ…」
「だから何が起きても何も感じない……」
千翼はイユのレジスターを外すために4Cへ向かい、アマゾンネオに変身してなりふり構わず特攻を開始。
「止めさせる……今すぐ!!」
4C隊員を殺傷し突入しようとするが、
美月へ攻撃しようとしたことに激怒したニューオメガからの猛反撃で一気に押し返されてしまう。
途中から長瀬が現場に到着してイユのそばについていたが……。
「イユ!?おいイユ!!!おい!」
「イユ!?」
ついにイユの体の崩壊は限界に達し始め、立っているのもままならないほどに。
千翼も悠にやられて生き残っている4C隊員からの銃撃が開始。千翼ははいつくばってイユの傍にやってきて彼女を必死で庇う。そんな彼にイユは聞く。
「千翼…痛い?」
その姿に隊員たちもそれ以上の攻撃ができず、長瀬が2人を庇って間に入ってきた間に千翼はイユを連れて逃走。
もはや彼女の死は止められない。そう悟った千翼はイユの思い出の地である廃動物公園へ。
落ち込む千翼。しかしその隣ではイユが土を使って何かを作っている。彼が見てみるとそれは土のケーキだった。そしてそれを作る彼女の顔は……。
「…!?イユ!今笑ってる!」
「笑ってるよ!イユ!」
生前好きだったケーキ作りをするイユの顔は楽しそうに笑っていたのだった。
その後2人でその小さな土のケーキを完成させた後、千翼はイユをおぶって歩く。彼女が歌っていた「やがて星が降る」を歌いながら…。
黒い羽根が水へと落ちるような描写が挟まれる……。イユの体はすでに限界になっておりイユは呟く。
「千翼…。私、楽しい……」
「…うん。俺も」
しかしその時間もついに終わりを迎える。
イユは廃棄プロセス終了に伴い絶命。再びその息吹を止めることとなった。
その際のイユの表情は安らかなものだった…。
そして千翼もまた彼を追ってきた悠と仁に「最後まで生きる」ために戦いを挑み、命を落としていった……。
作中で千翼が最後に発した言葉、それは「イユ……」だった。
その後、物語の締めくくりとして流れたのは彼女がよく歌っていた「やがて星が降る」だった。その安らかな音楽の中で映ったのはイユの死体が溶けたと思われる黒い粘液と夥しい量の血、
そして近くの倉庫の中にある、かつて七羽が描いた絵と彼女のスカーフ、そして寄り添うような形で安置される2つのネオアマゾンズレジスターだった。
イユは千翼と出会った結果再び命を落としてしまうこととなったが、同時に千翼と出会ったことで無感情な駒から解き放たれることができ、その2度目の死の記憶はかつてのそれと違って楽しい気持ちへと塗り替えられた。
そう考えると彼女の最期、そして千翼のイユへの働きかけにはしっかりした意味があったといえるだろう……。
余談
- 彼女が変身するカラスアマゾンだが、リブート元にはモチーフとなる獣人がいない。ただし、モチーフになったカラス自体は原典のゲドンのマークに採用されている。
- 演じた白本彩奈氏によると、オーディションの段階でわざと音程を外して指定された歌を歌う等の傍から見れば異常に映る演技を求められたりしていたらしい。
- 第2話で、イユの家族が惨殺されるシーンがあるのだが、その際に父親の星埜始が食べたイユの目玉は演じた山崎潤氏曰く「ヨーグルト味」だったらしい。
また、そのシーンのオフショットとして「血糊がたっぷりついた白本とハゲタカアマゾンが談笑しているという写真」があり、血まみれの姿で笑顔を浮かべているため、ある意味本編以上に怖い。
- 「遺体回撮影後に焼肉に行く」「着ぐるみに入って撮影すると思ってた」「(撮影のために)仁さんにビビらされる千翼を庇って紙屑を投げる」中の人は結構天然 -- 名無しさん (2018-12-14 10:05:55)
- モチーフってゼロ大帝だっけ? -- 名無しさん (2018-12-14 10:34:33)
- ↑ゴルゴスとゼロ大帝のナイスカップルか… -- 名無しさん (2018-12-14 13:22:20)
- 555のクレインオルフェノクも鳥怪人になった死人だけど、あちらはイユとは逆に色が真っ白で生前の家庭環境が不幸 -- 名無しさん (2018-12-14 15:20:43)
- >「千翼のレジスターにも同じ処置をすればよかったのでは?」 千翼のものにも同様の機能はあったんじゃねえかな。ただ12話ネタバレの冒頭で「千翼の物には不具合が出ていた」ってあるから廃棄プログラムも起動しなくなってた、って考えれば辻褄は合うんじゃね? -- 名無しさん (2018-12-14 21:07:10)
- 死後評価がうなぎのぼりの前原くん… -- 名無しさん (2018-12-15 00:09:44)
- 仮面ライダーヒロインでもかなり美人では?ってなった -- 名無しさん (2019-12-21 23:40:03)
最終更新:2024年04月30日 18:52