ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア

登録日:2019/02/18 (月) 11:38:11
更新日:2023/11/06 Mon 14:37:33
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『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア』とは、富士見書房より販売されているTRPGダブルクロス』の第三版である『ダブルクロス The 3rd Edition(以下DX3)』を使用したリプレイ作品である。
著者は加納正顕。イラストは片桐いくみ。
全5巻(完結)。
シリーズの通称は『デザイア』

一覧

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概要

公式リプレイシリーズ初のPCが全員悪の組織とされているFH(ファルスハーツ)に所属するオーヴァードであることが特徴。
GMの加納が打ち合わせの際、FH所属のPCを入れるよう要求されて困ったあげく、苦し紛れに「全員FHではどうか」と述べたところ、これをゲームデザイナーの矢野が気に入ったことでこのようなキャンペーンとなった。
また、主な舞台が京都である事も特徴。
FHキャンペーンである事を活かしているリプレイであり、PC達はUGNに所属するオーヴァードと知らず知らずの内に親しくなり、互いの立場に苦悩する等FHキャンペーン特有の様々な要素が詰め込まれている。

あらすじ

京都にあるFHセルが一つ『神曲』セル。そこでは『至高天(エンピレオ)』と呼ばれる巨大な水晶の薔薇が保管されていた。
至高天は完成させれば「願い」が叶うとされており、それを巡って京都ではオーヴァード達の暗闘が交わされていた。
主役となるのは神曲セル実行部隊『ケルベロス』のメンバー四人。
弟を救うために剣を振るう青峰ミユキ。
セルリーダーである母に心酔する大門寺朱香。
失われた力を取り戻すべく足掻く闇条晃士郎。
昏睡状態の少女を救うべく加入した「最強」のエージェント九鬼。
これは、願いを叶えるための物語である。

PC(プレイヤー・キャラクター)

  • 青峰ミユキ
プレイヤー:合鴨ひろゆき
コードネーム:“フェンリルバイト”
シンドローム:サラマンダー/サラマンダー
Dロイス:究極のゼロ(アブソリュート・ゼロ)
元々は普通の女子学生だったが、三年前に「十字の傷の男」の戦闘に巻き込まれ、両親を失い弟のタクミが至高天へと取り込まれてしまう。
そこからセルリーダー美奈子にFHへと勧誘され、ケルベロスに配属される。
そのような過去を持つ故かクールな性格である一方激情家であり、ここぞという時には感情を露にする。
美奈子を介して知り合った朱香とは親友にであるが、初期は相互依存とも思える危うさがあった。
能力は氷の剣を作り白兵戦を行うというシンプルなもの。
至高天を巡る戦いの中で、三年前の真実や朱香との絆を深めて成長していくこととなる。
一連の事件の後はレネゲイドウィルスという存在に強い興味を持ち、ゼノスに移籍して研究の日々を送っている。
後に「コスモス」にてNPCとして再登場。

  • 大門寺朱香
プレイヤー:若林直美
コードネーム:“フェニックスガード”
シンドローム:キュマイラ/サラマンダー
Dロイス:不死者(アンデッド)
ミユキとチームを組むチルドレンの少女。
高い防御力を持つ炎の盾を展開する能力を持つ。
ミユキとは対照的に明るく活発な性格な、育ての親である美奈子に心酔している少女。
反面他人に必要とされる、愛されることを無意識に欲している。
そして何よりも美奈子への心酔は異常の域にあり、1話のボスである友人の母(コードネーム“クィーンアント”)が娘に人格をダウンロードして犠牲にする実験を知った際『お母さんの役に立てて死ねるなんて羨ましい』と、常軌を逸した発言をしている。
しかしお互いがオーヴァードであることを知らずに出会った真との邂逅により変化が生まれ、己の真実を知っていく中での戦いで、大きな成長を見せていく。
全体的な傾向として被弾=戦闘不能である「ダブルクロス」PCとしてはギヨームに匹敵する異例の防御能力を持ち、トループの攻撃程度なら無傷。4巻のバックトラックでは当時最低となる侵蝕率49%を記録した。
一連の事件の中で母を失ったが、絆を引き取ったことで自らが母となり、現在は芸者として働いている*1
ベータレネゲイドの収束後は戦いを離れている。

  • 闇条晃士朗
プレイヤー:矢野俊作
コードネーム:“壊れかけ(フラジャイル)
シンドローム:バロール/ハマヌーン
Dロイス:工作員(マグネイト)
ケルベロス」のリーダーを務める右目を失った男。
かつては強大な力を振るうFHエージェントだったが、美奈子に敗れ大幅に弱体化。
以降は彼女の配下になるが、力を取り戻すことと復讐を諦めてはいない。
物質を崩壊させる黒い風を介した広範囲攻撃等の汎用性の高い能力を持つ。元々この力の源泉だったのがバロールの力の塊である右目の「邪眼」だが、4巻でのボス戦の前に回収。戦闘中に自ら噛み砕き破棄している。
至高天の願望器としての力自体には興味を抱かず、一貫して「プルガトーリオ」への復讐を目的としている。
5巻では侵蝕率が211%という現在まででの最高記録をたたき出したが、どうにか帰還に成功している。*2
事件収束後は後処理のためFHに残り、現在はとあるリエゾンロードの首を狙っている模様。

  • 九鬼
プレイヤー:三田誠
コードネーム:不明
シンドローム:ブラックドッグ/ノイマン
Dロイス:秘密兵器(トイボックス)
ケルベロスに派遣された「最強」と謳われるエージェント。
元々はボディガードとして名が知れていたが、友人とその娘セシリアの護衛の際爆破攻撃を受け、友人は死亡しセシリアは昏睡状態となり、自身は本間という医師によって機械化手術を受け、サイボーグのオーヴァードとなる。
エフェクトを使用するのではなく機械化した体を高度なAIを介して戦うというダブルクロスでは珍しい戦闘方法を持つ。これは三田曰く「大人だからエフェクトを使うための想像力が衰えている」とのこと。
飄々とした雰囲気を持つ一方でセシリアを守れなかった過去ゆえか「子供」を守るというルールを自身に定めており、それは敵のUGNエージェントの少年少女でも例外ではなく、そのスタンスを崩したことはない。
そのためミユキと朱香の保護者のような立場にあり、またUGNのエージェントからも一種の信頼を寄せられている。
事件の後はセシリアの護衛に戻り、ある神学校に教師としてもぐりこんでいる。

主なNPC

  • 柾木真/真田賢人
“ブレイクエンド”のコードネームを持つUGNエージェント。
シンドロームはキュマイラ/モルフェウスでDロイスは“触媒”。
困っている人を放っておけない等通常のリプレイでは主人公そのものな少年。
当初は九鬼等のFHエージェントを目の敵としていたが、オーヴァードであると互いに知らずに交流を深めた朱香とミユキとの出会いによってFHを『絶対悪』として見られなくなっていく。
そして朱香とは一連の事件の中で『感情』を互いに結んでいくこととなる。

  • 青峰タクミ
ミユキの弟。“十字疵”の攻撃を受けた後、現在は“至高天”に取り込まれている。

  • セシリア・ドーソン
九鬼の友人の娘。爆破攻撃を受けた際に昏睡しており、九鬼は彼女を目覚めさせる方法を“至高天”に求めていた。
人物像は不明だったが、5巻で描かれたところでは口調こそ丁寧なもののかなり強かな性格の模様。
ベータレネゲイドの事件が起きるまではミユキと同じ学校に通っていた。

  • 永石美奈子
『プルガトーリオ』のコードネームを持つ神曲セルリーダー。朱香の育ての親である。
圧倒的なその力による恐怖支配によりセルを統括しており、晃士郎からは復讐の相手とされている。
朱香に対しては表向きは慈悲深い母を演じながら利用していたように見えたが、話が進んでいく中で九鬼が調べた所『本当に心の底から朱香を愛している』という情報が出てくるなど謎の深い人物。

  • 十字の傷の男
ミユキから両親を奪った因縁の相手。
光を操っていた事以外その正体は不明。
しかし彼が表舞台に立つとき、その驚くべき正体が明らかとなる。

  • 大門寺蔵人
朱香の祖父で美奈子の父。以前はFHセル「神曲」のリーダーだった。
自身もオーヴァードだが戦闘力は低く、政治力でUGNと渡り合っていた、と語っている。
強者には媚び諂うなど典型的な三下であり、仮にもFHだったとは思えない性格だが……?

  • 黒幕


用語

至高天
巨大な薔薇の形をした水晶。
マテリアルという人体の臓器を模したパーツを全て集め、「適格者」という特殊な人材を介することで『願い』を叶えるとされる謎の物質。
このリプレイでは至高天を巡り戦いが繰り広げられることとなる。

ケルベロス
至高天を起動させる為に結成された「神曲」セルの実行部隊。
四人のオーヴァードで構成されているが、並のオーヴァードが束になって挑んでも蹴散らすほどの戦闘力を持つ。
九鬼などの影響により無慈悲な手段は抑えて行動するため、UGNから見たら無利益なのに手間をかけて少女を救い出すなど絶対悪とは言い切れないチームである。


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最終更新:2023年11月06日 14:37

*1 晃士朗の妹である彼専属の連絡員・百々菊の表の顔が芸者であり、その伝手を頼ったため。

*2 数値のみならば「デイズ」の面々が圧倒的に上だが、こちらはイベントを挟まない通常進行の上での数値である。

*3 この発言について九鬼のPLである三田氏は「こんな嫌な「人類を信じている」は初めて聞いた」と引いている

*4 GMによれば当初は4巻で完結予定だったが、朱香の父親の話題が出たことと、キャンペーンの継続が決まったことで急遽作り上げたキャラクターらしい。