SCP-1682

登録日:2019/05/01 Wed 18:26:36
更新日:2025/04/27 Sun 08:57:50
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SCP-1682 はシェアード・ワールド SCP Foundation に登場するオブジェクトオブジェクトクラスは Neutralized。タイトルは『太陽寄生虫(Solar Parasite)』。

文字通り、宇宙的スケールの超大規模なオブジェクトであり、どことなく「伝統的なコズミックホラー」の雰囲気が漂うテイストに仕上がっている。


概要

SCP-1682 は、太陽に存在する長さ 28,075 km のワーム状実体である。いきなりスケール感がぶっ飛んでいて面食らうが、グーグル先生によると太陽の直径は 1,391,000 km とのことなので、SCP-1682 は「太陽直径の約 2% の長さの尺取り虫的なもの」と思えばよさそうだ。

SCP-1682 は太陽で何かをするわけでもなく、ひたすらうろうろうねうねと過ごしている。たまに太陽の表面から飛び出てくるが、すぐ内部に戻ってしまう。飛び出てきた時の SCP-1682 の軌道からその運動を予想すると、どうやら SCP-1682 は太陽の放射部分まで潜行しているらしい。つまり、核融合反応が起きているような超高温に晒されてもケロッとしているということになる。大きさといい頑丈さといい、異常存在たる資格は十分である。

財団による「収容」

こんなモノを財団がどのように収容していたかというと、なんと「放置」の一手である。なぜなら、SCP-1682 は太陽をうろうろしているものの、何か行動らしきことを起こすことは決してなかったので「これもう収容できてるよね?」ということらしい。うーむ、収容とは一体……。

だからと言って何もしないのは流石にアレだったのか、各国の宇宙研究機関が SCP-1682 を見つけてしまわないよう、財団は各組織にエージェントを潜入させていた。逆に言えば、さすがの財団もそれくらいしかできなかったのだろう。まあ、相手が相手なので仕方ないか。

突然の別れ

そんなこんなで平和に暮らしていた SCP-1682 だったが、2011 年 11 月 28 日に突然、秒速 1,045.5 km という猛烈な速度で太陽を飛び出した。これはどうやら太陽の重力を振り切るのに十分な速度だったらしく、そのまま冥王星を通り過ぎ、同年 12 月 2 日に無事太陽系を脱出した。太陽系から居なくなってしまったものはどうしようもないので、財団は SCP-1682 を Neutralized に分類した。うーむ、収容違反とは一体……。

ただ、財団職員も全員が全員「なんかヤバそうな奴だったけど居なくなってよかったね」と思えるほど楽観主義者ばかりではなかった。ブリーン調査員は報告書で

私はたった今恐ろしい何かが起こったのではないかという心配を拭い去ることができない。

と不安を表明している。事実、財団は何年も SCP-1682 の観測を続けたにもかかわらず、収容はおろか SCP-1682 が太陽で何をしていたのか、太陽に滞在していた目的は何なのか、なぜ太陽系外に飛び立っていったのか、その他諸々 SCP-1682 について何一つ明らかにすることはできなかったのだ。

何にせよ、居なくなってしまったものは仕方ないので、財団はこれ以上の深入りは避け、他の異常存在の収容業務に取り掛かるのであった。…… O-5 を除いて。

真実 (ネタバレ注意)

SCP-1682 には、財団の最高意思決定機関である O-5 のメンバーにしか知ることを許されない重大な事実がある。案の定、さほど遠くない未来に奴はまた太陽に帰って来るのだ。しかもある恐ろしい目的のために。ブリーン調査員の不安は的中してしまった。

SCP-1682 の正体は「星間サナダ虫」。恒星を幼生の宿主として使う寄生生物だ。たくさんのわが子を太陽というゆりかごに入れておき、約 76 年おきに給餌のために訪れる。つまり、SCP-1682 は太陽をただうろうろしているだけのように見えたが、実は太陽の放射球に産み付けたおびただしい数の幼生に餌やりをしていたのだった。

なぜこのような事実が判明したかというと「目には目を、SCP には SCP を」である。実は、SCP-028 のテスト中に偶然 SCP-1682 の詳細が明らかになったのだ。SCP-028 はミシガン州の銅山にある異常な「場所」で、SCP-028 に暴露した人物は何らかの「真実」をランダムで理解する。財団がいつものように D クラス職員を使って実験をしていたところ、たまたま SCP-1682 について理解する者が出現したのだ。

ただ、この実験は SCP-1682 の発見前に実施されたので、そのあまりに荒唐無稽な内容に財団はまともに取り合わなかった。しかし SCP-1682 が発見され、改めて SCP-028 の実験記録が見直された結果、SCP-1682 がもたらしうる恐るべき結末が予想されたと同時に、もはや財団にはどうすることもできない「宇宙的規模の存在」であることも判ってしまった。何しろ相手は生身で恒星間飛行をやってのける実体である。O-5 は SCP-1682 の真実を最高機密指定とし、闇に葬るしかなかったのだろう。

太陽に産み付けられた大勢の幼生たちはいつ成体になるのだろうか? 彼らが無事成体になる頃、太陽は一体どうなっているのだろうか? サナダ虫に寄生された人間がどうなるのかを思い出してみてほしい。果たして太陽はあと何年間輝き続けることができるのだろうか。

追記・修正をお願いします。


SCP-1682 - Solar Parasite
(著者アカウント削除)
http://www.scp-wiki.net/scp-1682

SCP-1682 - 太陽寄生虫
訳: gnmaee
http://ja.scp-wiki.net/scp-1682

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最終更新:2025年04月27日 08:57