白夜叉/白夜王

登録日:2019/08/13 (火) 07:41:18
更新日:2024/03/14 Thu 23:29:34
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「私は"白き夜の魔王"―――太陽白夜の星霊・白夜叉
「おんしらが望むのは、試練への"挑戦”か? それとも対等な"決闘"か?」



白夜叉/白夜王は、問題児たちが異世界から来るそうですよ?の登場人物。
CV.新井里美


◆概要

物語開始直後、"箱庭"に来てちょっとした敵を蹴散らし、割と余裕ぶっこいていたたち三人。
意気揚々と覚悟もせず"魔王"との戦いを決めた彼らに対し、戦わずして"箱庭"と"魔王"の脅威を知らしめた存在。
それが"箱庭"の東西南北・上層下層の全てに通じる超大規模商業コミュニティ"サウザンドアイズ"の幹部が一人。
太陽と白夜の星霊にして夜叉の神霊、白夜叉である。
なお外見は銀髪金眼の幼女。実体のない星霊であることから可変で、妙齢の女性や少女の姿を取ることもある。


◆霊格

当初から名のある修羅神仏も所属する4桁以下で最強の主催者(ホスト)最強の"階層支配者(フロアマスター)"と高い評価を受けていた。
彼女自身も本拠を東区画の4桁、三三四五外門に構え、"白き夜の魔王"を名乗る元・"魔王"。
十六夜たちを威圧した、空に水平に廻る太陽のみがある一つの世界でさえも彼女にとっては所有するゲーム盤の一つに過ぎない。
と、中々の格の高さだったのだが…………真の実力はこれより遥かに高く、遥かに格が違うトンデモぶりであった。

まず第一に、なんと本来の所属階層は上から二番目である二桁*1
ギリシャの主神インドの英雄神、果てはヘブライの主神でさえ三桁なのに、である。
彼らが所属する三桁も"全能領域"と呼ばれ、彼らのような三桁に属する最高神はだいたい全知全能扱い*2なので扱いが悪いわけではない。
単に白夜叉の格が高すぎるだけである。

第二に、彼女の夜叉としての神格は、"魔王"だった時代の禊として仏門に所属した際に得たものであり、絶大な霊格を抑圧する縛りのようなものである。
「白夜叉」という名も仏門における彼女の霊格を示す名前。
では本来はどれだけ強いのかと言えば、これが中々ややこしい。
何故なら現在、彼女は霊格を大きく落としているからである。
現在の仏門に神格を返上した白夜叉もめちゃくちゃ強い。
四桁の魔王を("主催者権限"を使っていないとはいえ)一蹴していることから、最低三桁以上の実力があるとわかる。
三桁の神霊含む超存在たちが特殊な方法抜きで下層に降りると己の意思とは無関係に存在だけで世界を歪めるが、彼女に関してもそれが起こるとされている。
霊格こそ一介の太陽神*3クラスだが、24個ある太陽の主権を過半数の14個持つため更に強い。
太陽主権の分まで含めれば最強の太陽神であり、太陽運行を司る星霊であることから白夜を極夜と化し夜を支配し、太陽神相手なら容易に抹殺可能である。
作中描写も余波のみで星を揺るがし軌道に影響を与え、神威を解放すれば既存の法則を歪め天と地の境界を砕くと語られる規格外。
事実、一度逆ギレしブチギレた時には超高密度プラズマの局地的放射で物質界の境界をぶち破り、空の星々全てを超融合させ白銀の太陽を召喚するという超力技の召喚術を見せてくれた。

第三に、そもそも彼女、「通常の太陽神」どころか「通常の太陽の星霊」でさえない。
では何者かと言われれば、これが更にややこしい。
何故なら彼女、既に三回の変身を遂げているからである。しかも全部弱体化
元はと言えば、世界が天と地に分かたれる前、世界の創生において全ての星々の質量を飲み込んだ原初の星
その星霊であり、故にただでさえ最強種と恐れられている星霊最強個体にして最古参の魔王の一角。
後に"サウザンドアイズ"の創世(アルファ)終末(オメガ)の双女神に解体され、"人類最終試練・天動説"と名を改めた。
全世界に昼と夜が出来たのもこれのおかげというんだから規模がやたらとデカい*4
この時点でも二桁に相当する霊格であり、起源宇宙の全質量を司った"全権領域"。生まれながらに宇宙真理(ブラフマン)の原型とも。
ちなみに当時は二桁は4人のみ、現在でも釈迦などの後天的に二桁に昇格した存在含めて17人しかいない。
"サウザンドアイズ"の双女神も二桁と推定されるため、当時4人の最強が3人も集まっての頂上決戦だった可能性がある。
その後は"天動説"を司る太陽神として数多の神群・宇宙観の中心に居座り、尋常な盟約に囚われるような者ではない、とまで言われるほど暴れていた。
この頃の所業から『箱庭の三大問題児』と呼ばれているようで、現在護法のために数百年働いてもなお、異名はちっとも消えていない。
そして、彼女が魔王としてブイブイ言わせていた*5頃の名が、何を隠そう「白夜王」なのである*6
箱庭席次第10番は伊達ではなく、過去最高位の神霊・星霊・龍種が覇を競い合う第一次太陽主権戦争で優勝している。
"ギフトゲーム"という概念がないため三桁="全能領域"が本当に全知全能を振るえた時代に、星々を砕き、物質界の積量を定めるような大戦争で、である。
しかも同世代の存在によると「単純な力押し」で勝ったというのだから恐れ入る。
"天動説"として言論弾圧など好き放題やっていたが、"外界"の勇気ある航海者や知恵ある天文学者の手で"天動説"は否定され、霊格も現在レベルまで大幅な縮小を受けることと相成った。
"魔王"を辞め、仏門に帰依し禊を済ませてからは吸血鬼の一族が考案した"階層支配者(エリアマスター)"制度に"ラプラスの悪魔"と共に協力。
夜叉の神格で力を落としながらも、"全権階層支配者(アンダーエリアマスター)"として"階層支配者"を統べる立場になったり、史上最強最悪の"人類最終試練"・"閉鎖世界(ディストピア)"に対抗したりと、"箱庭"のために尽力した。
そんな今でも"主催者権限"を使えば霊格を無限に肥大化でき、力量能力問わず相手を永劫の封印に叩き込むことが可能。
一度使えば自身諸共二度と出て来られなくなる諸刃の剣だが、敵対者のあらゆる能力を自身に加算か相殺する疑似創星図・"二元論(アヴェスター)"を持つ"人類最終試練・絶対悪(ラストエンブリオ・アジ=ダカーハ)"さえ完封できると語られている。


◆人格

外見に似合わずセクハラ大好きな問題児。
十六夜たちとの初見ではいきなり黒ウサギにフライングボディーアタックで抱きつき、勢いのまま水路に落ちるインパクトの強さ。
発育が良い女性を好むようで、その後も黒ウサギや飛鳥などに度々セクハラをかましている。
ウサギとは審判業を斡旋する仲で、様々なドレスなどの露出の多い衣装を送り、それらを着ることを条件に"サウザンドアイズ"専属審判として雇っていた。
「その方が面白いから」という十六夜の言葉を受け入れ「面白いならしょうがない」として問題児の問題行動に手を貸すお茶目な一面も。
いきなりゲームを挑んできた十六夜たちに、脅し半分遊び半分で威圧しながら決闘を挑むかどうか問いかけるなど、遊び心にも溢れている。*7
ただし、あくまで諸々のおふざけは取り返しの効く範囲であり、また"サウザンドアイズ"幹部として、そして東の"階層支配者"としての大量の仕事を短期間で完璧に終わらせて、余った時間でやっている。
"ノーネーム"が行くたびに黒ウサギで遊んでいたため暇なように見えたのは、白夜叉の毎日膨大な仕事量をサクッとこなす超有能さの証だったのだ。
"階層支配者"としては流石に歴戦、他の若輩"階層支配者"からも頼られ、彼女自身も「いざとなれば私がなんとかする」と心構えをしており、実に頼もしい。
長年秩序の維持を果たして悪党には恐れられており、彼女が解任された時には抑えられていた悪鬼羅刹どもが一斉に活発化している。
審判業斡旋や過激な衣装も見方によれば黒ウサギへの試練ともとれ、コミュニティを一人で支えなければならない黒ウサギへの優しさと厳しさがうかがえる*8
衣装も過激なコスプレ風のものだけではなく、絢爛豪奢な衣装で金のない黒ウサギを喜ばせたこともあったとか。
さらに彼女の種族、"星霊"は生まれながらに完成しているため、極限までの横暴さと非常識っぷりが基本。
同格の『箱庭の三大問題児』に至っては、
  • かつてはありとあらゆる時代と世界に悪魔や害獣をまき散らし、三千世界の修羅神仏に宣戦布告して幾星霜の果てにようやく封印された奴。完全に善意で肩に触れた人々を、無感情に怪物化する
  • ノックの回数を間違えただけで殺そうとし、「天気がいいので地平線から水平線まで侵略して、傘下にしたコミュニティにお菓子を作らせましょう」とかやる奴
までいることが判明したため、度々十六夜たちに適切な忠告や助言をし、常に下層のことを考え動いていた白夜叉の良識持った大人感が相対的に増している。
過去はさておき、仏門に入った現在は護法善神として相応しい度量と人格を持っていると考えていいだろう。

しかし、一度だけ、問題児たちにあまりよろしくない方法を取られ情を利用されて負けた時は、かつての仇敵にからかわれることを危惧し逆切れしたことがある。
ブチギレた彼女はその場の勢いに任せて一体でも都市を身動きで粉砕する星獣を街中*9で7体呼び出し、全員ブチ殺してゲームをなかったことにしようとする暴挙に出る。
とはいえこれもその場のノリで大掛かりなことやっちゃって引っ込みがつかなくなったことが多分に含まれており、
十六夜が本気で供物を捧げようとした時には動揺し、黒ウサギへの一回命令権であっさり許した。
その場に居た蛟魔王には「逆切れなだけ理由があるからマシ」と言われており、星霊としても比較的まともな怒り方だったことがわかる。


◆本編での活躍

二一〇五三八〇外門にある"サウザンドアイズ"支店に来た"ノーネーム"メンバーをオーナーとして歓迎。
本来は"ノーネーム"御断りだが、黒ウサギとの縁もあり快く歓待してくれた。
自身に挑んで来た十六夜ら問題児たち3人を上述の通り威圧、"決闘"ではなく"挑戦"を選んだ彼らに試練を出し、報酬として対魔王用道具でもあるギフトカードを授ける。
"魔王"に挑もうとする"ノーネーム"に忠告し、特に飛鳥と耀には「魔王とのゲームの前に力を着けろ。そのままでは確実に死ぬぞ」と強く断言した。
この言葉は極めて正しく、二人は初めての魔王とのゲームで、本人どころか手下相手に片や即戦線離脱、片や囚われの身になってしまう。
長年"魔王"として、或いは"階層支配者"として戦ってきたからこその慧眼と言えよう。
元"ノーネーム"所属のレティシアが"箱庭"の外に連れ出されそうになった時には脱走に協力。
"ペルセウス"が"ノーネーム"を襲った時には激怒し"ペルセウス"頭首ルイオスを殺そうとしたが、「店で星霊を解放する」という脅しを受け止まる。
殺すことは容易かったが、店員の命を考えて思い留まった。同士を大切にする一面の現れである。
彼の行いを許したわけではなく、ルイオスが去った後で彼の所業を告発した結果、"ペルセウス"は"サウザンドアイズ"の旗を無期限に下ろすことになり、後ろ盾を喪失。
"ノーネーム"に敗北したことで完全に追放され、星々からも旗を降ろすこととなった。*10

2巻では北の"階層支配者"・"サラマンドラ"と共同開催する"火龍誕生祭"に"ノーネーム"を招待し、対魔王戦に協力を要請する。
春日部に"造物主の決闘"への参加を誘い、十六夜が黒ウサギとのゲームで破壊した建造物を直し、自らの"主催者権限"で襲ってくるであろう魔王の"主催者権限"を封じるなど多方面に尽力。
しかし"サラマンドラ"側の手引きがあり、魔王、"黒死斑の死神(ブラック・パーチャー)"ペストに"主催者権限"を使われ、ゲームを開始されてしまう。
白夜叉の隷属が黒幕の目的だったこともあり、"黒死斑の死神(ブラック・パーチャー)"のゲームでは開始直後にゲームルールで封印を喰らう。
全知全能以上の存在が大量に集まって作られた"箱庭"の法則には白夜叉も逆らえず、抵抗虚しく完全に封印されるも、そこは百戦錬磨の元・魔王。
参加者との接触を封じられる寸前に魔王の正体やゲームについての考察を残し、勝利への一助となった。
その後少し出番がなかったが、4巻では神格を返上しただけでその脅威を知る黒幕に撤退を選ばせ、戦いに勝利した"ノーネーム"らに功績を授けた。

5巻ではメインに登場。神格を返上したことで、4桁の魔王"混天大聖"鵬魔王の攻撃を気軽に無効化するなど規格外なところを見せる。
また戦いが終わった"アンダーウッド"に収穫祭の最高主賓として訪れ、メインゲームである"ヒッポカンプ"の騎手について
  • 海馬の貸し出しを受けたコミュニティの女性参加者は水着着用義務化
  • 審判役の黒ウサギにビキニ水着を着せること
を(勝手に)約束し、実際にゲームルールに盛り込む問題行動を行った。
とはいえ余計な事ばかりしているわけではなく、同ゲームでは解説役も行い、観客どころか黒ウサギまで判断に困った飛鳥の絶技に適切な解説を加えている。
また"階層支配者"を退き上層・"天界"に向かうことが明かされ、"階層支配者"としての後継を探していた。
4桁の"平天大聖"牛魔王や"覆海大聖"蛟魔王に声をかけ、断られるも策謀を回し、後者をその気にさせることに成功。
更なる敵・魔王連盟への対抗策として、自身の立場や太陽主権の一部貸し出しも約束する"階層支配者"として素晴らしい姿を見せた。

その後しばらくは上層に帰ったため出番がなかったが、"ノーネーム"がアジ=ダカーハに襲われている途中、天界で助けに行こうとする姿が描かれている。
討伐を諦め現行の"箱庭"を放棄、自分達だけ新たな"箱庭"を作って移ろうという上層連中の決定を聞き激怒。
新たな"箱庭"を作るため過半数の太陽主権が必要と迫られるが、神群には"人類最終試練"は殺せないと言い切り拒絶。
人類史の完成を諦めてでも、自身の愛した"箱庭"の人々を守るために禁じられた己の"主催者権限"を使おうとする。
最終的には"斉天大聖"孫悟空の決死の説得を受け、"ノーネーム"たちと帰ってきた者たちを希望と信じ、天岩戸に姿を消した。

第二部、『ラスト・エンブリオ』では第二次太陽主権戦争の主催者として登場。
参加者の年齢に合わせ、外見年齢を年若い娘、少女の姿に変えている。
ゲームの主導権を握るため、半分以上の太陽主権を解放したと語られているが、強大な霊格は健在。
蛟魔王と風天が酔っ払って暴れた際には一瞬で鎮圧(鉄拳制裁)してみせた。
人類史の完成のため、主権戦争を主導しながら魔王連盟に対抗して"護法十二天"の長である帝釈天クイーン・ハロウィン、本来敵対者である"アヴァターラ"などと時に協力し、暗躍している様子。

総じて、こうした強すぎるキャラの御多分に漏れず同格との直接戦闘描写は皆無に近いが、経験と実績からゲームの主催者・裏方としての活躍は多い。
ストーリーの重要な部分で彼女の行動が運命を左右することも多々あるため、意外にもこうしたキャラの割には仕事をしているイメージが強い、珍しいタイプである。




―――星の彼方より来たれ、追記・修正たちよ…………!

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最終更新:2024年03月14日 23:29

*1 トップである一桁は“退廃の風”のように局地的な能力しか持たない代わりに絶対の権限があるだけの存在なので、実質的には二桁が最上位とも言える

*2 ただし現在の“箱庭”では“全能の逆説”などの法則により全知は機能せず、全能は単体での行使を封じられている。よって力が振るえるのは外界か彼らの出身の外宇宙のみ

*3 大抵の神話で太陽神は主神かそれに近い扱いを受けるため、おそらくそれだけでも三桁級

*4 問題児シリーズの場合、“箱庭”の出来事が影響する無限×無限の外界もあり、これらまで含めての影響である可能性が高い

*5 死語

*6 本来は「夜叉」の神格はないため、星霊としての彼女を現すこの名の方がどちらかといえば正しい。しかし神格を返上した今も、当人は「もう魔王ではない(ので“王”が付く名はちょっと)」として白夜叉名義を使っている

*7 “階層支配者”としては半ば問題行動。しかしだいぶ格下に喧嘩売られた“魔王”や最強種としては驚くほどやさしい対応。ちゃんと訂正すれば笑って許してくれる。

*8 審判業で黒ウサギへ支払っていた報酬は仕事に対して法外な金額であり、彼女一人の仕事で120人の少年少女を食うには困らないレベルに養えるほどだった

*9 一応舞台区画ではあるが、そもそも本気で暴れれば東側全体が巻き込まれかねない

*10 具体的には、夜空からペルセウス座が消滅した。同時に“ノーネーム”のコミュニティ再出発を祝し流星群をも起こしている