SCP-1277-JP

登録日:2019/09/12 (木曜日) 02:06:58
更新日:2024/08/13 Tue 15:00:24
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たっぷり食べて、ぐっすり眠って、しっかり食われて、悩みなんて忘れよう。


SCP-1277-JPはシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスSafeからのEuclid
メタタイトルは「最高の被食体験をあなたに!」。

概要

SCP-1277-JPは二十数文字からなる言葉である。人間(以下対象とする)が読み上げることで異常性が発現し、約3秒後に対象は昏睡状態に陥る。SCP-444-JPかな? 約6分後に対象は覚醒するが、この間にSCP-1277-JP-Aに指定される出来事を体験しているという。なお、SCP-1277-JP-Aの記憶は昏睡から覚めたときにキレイさっぱり無くなる。

性質は以上。実に単純明快でしかも実質自分にラリホーをかけるだけの割と無害そうな情報系オブジェクトである。うっかり知って読み上げてしまっても「ちょっと寝落ちした」で済みそうだし世間一般に対してもそんなに脅威ではないかもしれない。オブジェクトクラスで嫌な予感しかしない?まあそうですよね…

それでもまあ異常には変わりないので特別収容プロトコルはある。
財団のWebクローラがSCP-1277-JPを検索してまわっており、大きく拡散されようとしていた場合は削除する。SCP-1277-JP自体はネットワークに繋がっていないデータベースに保管されていて、担当職員のみ見ることができる。やはり普通の情報系オブジェクトという印象である。
一応特有の手順としては、実験に参加した職員は記憶処理を受けるまでリストアップされるというものがある。







で、何が起きているのか?

まあ、SCP-1277-JP-Aというナンバリングがある時点でそう簡単には終わらないのはお分かりだろう。記憶はなくなるが、財団はそれに抗う術を持っている。そう、反ミーム部門御用達の記憶補強薬だ。これを使用することで、SCP-1277-JP-Aの記憶を失わずにいられるのだ。
というわけでDクラスに記憶補強薬を与え、SCP-1277-JP-Aの探査実験である。


  • 探査記録1
対象者はSCP-1277-JPを言った3秒後、現実では昏睡した。しかし彼が言うには、そのタイミングで自分の前に緑色の虫が出現して、「こちらへどうぞ」と自分を案内してきたという。ついていくと、いつの間にか彼はデカいワニのいる変な部屋にいた。そして、緑色の虫はこう言った。

ご安心ください。あなた方の肉体には一切の危害は加わりませんので。さぁ、最高の被食体験をお楽しみください。

次の瞬間、目の前のワニが口を開き…彼を捕食した。
だが、この「被食体験」は彼に不思議な快感を与えるものだった。腕をちぎられ、意識はもうろうとしているのに、変に気持ちいい。気持ちいい。気持ち………としているうちに彼は帰ってきた。なにか「食われる」前より精神的に楽になった気がする、と述べていた。


  • 探査記録2
対象者は上の実験と同じDクラス。SCP-1277-JP-1に指定された緑色の虫にインタビューすることを目的とした。虫は種類としてはおそらくハンミョウで、意思疎通は可能だった。
結果としては以下のようになった。なお対象は今度はデカいライオンに食われて帰ってきた。

Q. SCP-1277-JPの内容と目的は何か。
A. 「私たちは常にあなたたちの周囲を漂うイマジンであり、そのお互いの視覚的な干渉を可能にするおまじない。」

Q. SCP-1277-JP-1、つまりあなたの目的は何か。
A. 「私はただの給仕で、案内役にしかすぎません。私たちはあなた方を最高の体験へといざなう、そのためだけの者です。」

Q. この「被食体験」の目的は何か。
A. 「少し説明は難しいですが、捕食、という言葉を用いて説明するなら、私たちの選択的捕食性を用いてあなたたちの中の特定の部分を捕食することで、セラピー的な効果があることに気が付いたのです。なので、食べきれる分だけ、おまじないを使った人だけに限定して捕食し、こうして共生的な関係を持つため、ですね。



つまり、SCP-1277-JP-1やワニやライオンは精神生命体のようなもので、普段我々が見ることと記憶することはできない。それを見れるように、記憶できるようにするのがSCP-1277-JPというおまじないなのだ。具体的にこちら側がどうなっているのかははっきりしないが、幽体離脱してこっちも精神生命体にでもなっているのだろうか。精神が抜けているのなら身体が昏睡する理由も説明できる。
そして彼らは「精神的な捕食」が可能であり、腫瘍を取り除けば疾病が快方に向かうように精神内の特定の悪しき部分を捕食することで我々のメンタルを回復してくれるのだ。なんとありがたい。そしてそれにより彼らは糧を得て生きていくことができる。Win-Winではないか。加えてその捕食過程自体が上述のように我々にとっては快感らしく、一石三鳥である。
なおこの2実験で対象となったDクラスはもっとこの実験に参加したがるようになったため記憶処理を受けた。

依然わかっていないことが多かったため他のDクラスでも実験し、同じような証言が得られた。
そしてそんな時、事が起こった


インシデント


実験中、昏睡から帰ってきたあるDクラス。しかし、様子がおかしい。博士はインタビューを試みた。

富士博士: それでは、インタビューを開始します。まず先ほどの行動

D-811299: [遮って]申し訳ございませんでした!

[D-811299が頭を下げる。しばらくの沈黙]

富士博士: え?

D-811299: 誠に申し訳ございません。関係者とお見受けいたしましたので謝罪させていただきます。当方のミスでこの方の精神を「消化」してしまいました。このままでは肉体が危険と判断したため私が代わりに入り、何とか事なきを得ることができました。この度は申し訳ございません。

富士博士: えぇ?えっと、D-81、いや元の精神はどうなりましたか?

D-811299: 先ほども述べました通り消化してしまったため、存在しません。今後はこのような事故が起こらないよう従業員一同徹底しますので、どうぞまた最高の被食体験をお楽しみください。

富士博士: えっと…[頭を押さえる] インタビューを終了します。

イヤ全然事なき得てないよどうしてくれんのオイ。とんでもない医療ミス(?)が発生してしまった。悪い部分だけ食ってくれればよかったのに、全部食われてしまったのだ。そういえば最初の方で「あなた方の肉体には一切の危害は加わりませんので」とか言ってたが、精神に危害がないとは言っていない…。財団が普段相手してるアノマリーは大体無駄に厳密なので気にしてないことも多いだろうが、相手がやらかしてくることもあるということだ。

こうなった「人間」は実質的に死んだと言っていいだろう。こんな事故があり得るのなら最初のようなプロトコルでは危険だ。
特別収容プロトコルはネット上のSCP-1277-JPは財団のWebクローラが発見次第削除し、拡散者を特定して記憶処理…に改められ、実験は凍結され、オブジェクトクラスが再分類された。

…「従業員」とか言ってたけど、この企業を取り締まってくれる組織、あるの?


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最終更新:2024年08月13日 15:00