SCP-2411

登録日:2019/09/29 (日曜日) 02:37:32
更新日:2025/01/18 Sat 01:09:39
所要時間:約 11 分で読めます





清算、それが私の「総意」だ。




SCP-2411はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスSafeからのNeutralized
メタタイトルは「総務」。

概要

SCP-2411はごく普通のとあるモデルのリボルバー拳銃に見える。拳銃としての使用は普通にでき、破壊耐性などもなく分解も可能である。
同型の拳銃との唯一物理的な相違点は、本来シリアルナンバーが記されているはずの場所に「FOR INTERNAL USE ONLY」…つまり「社外秘」と記されていること。

SCP-2411の想定されている異常性は、複数の対象を一瞬で殺せること。しかし、その対象をどう選ぶのかは分かっていない。
実験でも異常効果を再現できなかったため、これを悪用する存在の手に渡って異常効果を活性化される可能性を危惧してSCP-2411は分解の上、[編集済]によって個別に破壊された。これにより現在はNeutralizedとなっている。
少々ビビりすぎな気がしなくもないが、まあ分かっていないというのは恐ろしいことなのでリスク管理としては破壊できるならした方がいい気もする。でも確保・収容・保護の保護が泣いてるぞ?

発見経緯

SCP-2411はある殺人捜査で発見された。何があったのかというと、ある小規模な保険会社の従業員5名のうち4名が殺されたというもの。死因はどれも額に開いた銃創だった。
警察が残りの1名を探したところ、彼は家で自殺していた。ただしこの自殺には銃は使用されていなかった。またその家からは彼が同僚に対して殺意を抱いていることを示す文書が発見されたため、当初は彼が犯人だと目された。

財団がこの事件を知りSCP-2411に辿り着いたのは、以下の不審点を警察が説明できず連邦当局の協力を仰いだためだった。
  • 自殺していた彼が犯行現場にいたことを証明出来なかった。
  • 殺された4人はどれも真昼間に街中にいたにもかかわらず、誰も「狙撃される」と言えるような状況を目撃していなかった。つまり狙撃主の存在も発砲音もなかった。
  • 殺された4人の致命傷は、完全に同一だった。
  • 現場および被害者の体内からは弾丸も薬莢も見つからなかった。

つまり原理はよく分からないが、複数人を遠隔から確実に殺せる銃ということになる。確かに悪用できればSCP-710-JPのように非常に危険な異常兵器になり得るため、破壊無力化案件になるのも納得できる。…が、もはや収容不可能になっているあちらと異なり、SCP-2411は少なくとも触れさえしなければ異常性は発生しないSafeクラスだったはずなので、財団ならいつも通り他のSafeクラスと同様にしっかり収容していればよかったのではないか?当初の特別収容プロトコルの「非装填状態でサイト-30の低価値品保管ロッカーに特注キーで施錠し保管」でいいと思うが…
まあすでに無力化された今何を言っても無駄だろう。

追記・修正はリスク管理をしっかりお願いします。






























セキュリティレベル4クリアランス以上のみ



はい、以上カバーストーリーです。
これで終わるはずはないとSCPに慣れた人は分かっていただろう。さすがに破壊の判断が軽率すぎる。
では、この銃の真の力をご覧いただこう。

SCP-2411

登録日:2019/09/29 (日曜日) 02:37:32
更新日:2025/01/18 Sat 01:09:39
所要時間:約 11 分で読めます





人生で一度だけ、会社に意見が言える日


SCP-2411はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスKeterからのNeutralized
メタタイトルは「総務」。

概要

SCP-2411はごく普通のとあるモデルのリボルバー拳銃に見える。拳銃としての使用は普通にでき、破壊耐性などもなく分解も可能である。
同型の拳銃との唯一物理的な相違点は、本来シリアルナンバーが記されているはずの場所に「FOR INTERNAL USE ONLY」…つまり「社外秘」と記されていること。
ここまでは同じだ。

上記報告書では異常効果の対象をどう選ぶか分かっていないし、異常効果の再現もできていないとされていた。ここがカバーストーリーなのだ。
真の異常性は判明しているし、その再現もできている。

企業・組織に雇用されている人物がSCP-2411の銃口を口に入れ、引き金を引くことがSCP-2411の異常性の文字通りのトリガーとなる。
その瞬間、その人物以外のその企業・組織の従業員・構成員全員を即死させるのだ。
上述の発見経緯にもあったように、見たところ額に銃弾を食らったような様相で被害者は死に至ることになるが、その原因となった銃弾などは発見されることがない。
また、この異常性はSCP-2411に銃弾が装填されていなくても発生する。だから、使用者が死なないこともあり得る。

発見経緯の件で自殺した彼は、おそらくこの銃の異常性は知らなかった、もしくは信じていなかったと思われる。そうでなかったなら彼の”犯行”は証明できないのだから自殺する必要がないからだ。
彼がどこからSCP-2411を入手したかは不明だが、なぜそれを装填せずに口に入れて引き金を引くに至ったかは二通り想像できる。
  • 同僚が憎いあまり自殺しようとして元々持っていた銃を使おうとしたが、怖くなってまず練習のためか装填せずに口に入れて引き金を引いた。この銃がたまたまSCP-2411だった。
ただこれは少し弱い。次の可能性の方が高いだろう。
  • 同僚を殺したい彼が何者かから「安全に完全犯罪が可能な銃」としてSCP-2411を提示され、半信半疑のままそれを使用した。
そしてどちらにせよ、実際に同僚を殺せてしまったことを知り、罪悪感や良心の呵責からか自殺してしまったのだろう。

実験記録

SCP-2411は、回収当時まだカバーストーリーの報告書のようにその性質がよく分かっていなかったため、当初はDクラスを用いた標準的な実験が予定されていた。
しかしこれに待ったをかけたのが、財団の職務を監査する普段出てくると事態を複雑化させる感のある倫理委員会だった。「これは法務部門で審査を受けるべき案件だ」と。そして、法務部門は「SCP-2411の影響力を考えると、Dクラスも財団の従業員と見なされるべき」と判断した。
もし当初の予定通り実験が行われていた場合、おそらくO5からDクラスまで全財団職員が即死し、財団の管理していたオブジェクト群が一斉に世界に放たれる恐ろしい事態になっていただろう。
倫理委員会グッジョブである。

財団職員を対象とせずに実験を行うため、おそらくDクラスの供給元と推測されるとある矯正施設の受刑者を対象として緊急的な実験が行われた。
この実験には財団の研究者だけでなく、法務部門から対象者に法的に有効な雇用契約書・事業認可書などを用意できるように人員が参加している。
そこで、以下の詳細な性質が明らかになっている。

  • 使用者が無職なら、効果はない。
  • 新入社員が使っても経営陣は死ぬし、その逆も同じ。
  • 合法的に解散した企業の元従業員が使っても、その企業に効果はない。
これらはまあ想像通り。

  • 特注のロックで銃器として正常に動作しないようにすれば、効果はない。
これはいいニュース。直接的で物理的な抑止手段が存在するのなら事案も多少は起きにくくなるだろう。

  • 使用者が口頭での契約で雇用されていても、効果の対象になる。
  • 使用者が引き金を引く前にそれまでの地位から退職しているか解雇されていれば、効果はない。この退職または解雇は口頭での通知でも有効。
契約書がなくてもいいとは結構ゆるい関係でもいいらしい。あまりよくはない結果だが、もしこの銃を部下が使おうとしているのを発見したとしても引き金を引かれる前に「君はクビだ!」と言えば助かるということでもある。

  • 効果の対象になりうる集団は以下の通り。個人事業主、合名会社、企業、非営利組織、慈善団体、宗教団体、および政府機関。
営利企業に限らず、いわゆる職業集団であれば対象になるようだ。場合によっては掛け持ちしている人も多いだろうし、多重被害が出る可能性もありそうだ。

  • 使用時に使用者の口の中になければならない。
これはこの実験の時に判明したことだったのだろう。なお、他の穴だとどうなるのかは実験されなかった。

  • 給料をもらっていることは効果の対象になる必須条件ではない。ただし給料のないインターンは効果の対象にならない。
給料未払いや無給契約の超ブラックだろうと対象になる。そういう企業の従業員はなんかこの銃を使う動機が多そうだ。
しかし、効果の対象になりえずに誰かを働かせる方法が見つかった。社員全員無給のインターンにすればいいのだ。…実質不可能じゃねえか!

  • ”産業スパイ”が使用した場合、潜入先の企業が効果の対象になる。
つまり自分がどこの命令で働いているかではなく、法的にどこに雇用されているかが問題だということ。悪意を持った集団が使えば、例えば宗教団体が敵対組織などを全滅させることもできるのだ。リスクも大きいがリターンも大きいまさにリーサルウエポンである。

ここでより直接的な財団のための実験が行われた。
  • 弁護士によって起草された“獲得確信疑念財団(The Procure, Certain, and Suspect Foundation)”の定款に、”クラスZ職員”を徴用できるとする記載を加えた、この状態で”クラスZ職員”がSCP-2411を使用した場合、PCS財団の職員は”Uh-5評議会”の役員を含めて全員効果の対象になった。
ピンクチェックスクールではない財団だろうと効果の対象になった。これはつまり当初のDクラス実験をやっていたら財団職員が全滅していたという判断を裏付けている。ホントやめといてよかったね。

また、この実験中にしれっと事案が起きている。
実験中の使用者の一人に、この周辺の刑務所内外で活動する白人至上主義団体の構成員がいたのだ。その団体の他の構成員数百名の即死はライバル組織の暗殺計画というカバーストーリーで収められたが、これがSCP-2411の一度の使用で発生した死者の最大数となっている。

特別収容プロトコル、およびその後の扱い

SCP-2411は、
  • サイト管理者だけが最低2名のレベル4職員と一緒でないと入れないサイト-30の高価値品保管室(外部に警備員2名常駐)に
  • レベル5職員の承認なしには外せない特注ロックをかけて
  • 不透明容器に入れて鍵をかけて
収容されている。凄まじい厳重さだが、効果を考えれば納得である。なにせロックがなければ職員一人が気まぐれを起こしただけでそいつ以外の全財団職員が瞬時に全滅し、それに続いて二度とおさまらないだろう収容違反が世界中で起こるのだ。
さらに、保管室に入れる管理官だろうとSCP-2411の直接取り扱いはできないし、その特性を知っているか実験に参加したことのある人員はそもそもサイト-30に入ることすらできない。

これらのプロトコルにより財団職員の安全は確保されているが、完全ではない。根本的に安全を確保しようと思ったら、上述の通り全職員を無給のインターンにするしかないしそれは組織として不可能だ。これにより、SCP-2411は無力化を検討されることとなった。

そもそもこのオブジェクト、異常性だけで見たら明らかにSafeクラスである。自ら動きはしないし、収容しておいて触れさえしなければ異常性を発現することはない。
しかし、財団に向けられうるその脅威があまりにも大きすぎた。「管理された核爆弾」はSafeとよく言われるが、「管理された全財団職員瞬間皆殺し装置」は少なくとも財団にとってはSafeでは収まらなかった。

一部の職員がこれは本来Keterクラスに当てられるレベルの無力化研究が必要だと主張し、主任研究員は基本的な収容プロトコルはSCP-2411の異常性の知識を拡散しないように定められる必要があるとした。サイト管理官がこれを承認したことで、SCP-2411はKeterクラスとなり、最初のカバーストーリーとしての報告書が作成されたのだ。

そののちO5評議会に破壊申請が提出され、全会一致で許可された。あの厳重なプロトコルとはおさらばとなり、破壊は成功して無事Neutralizedと相成った。
破壊耐性がなかったのが救いだった。そのあまりに大きいリスクは、財団を悩ませることもなくなったのだった。

追記・修正は歓迎ですが、「これ欲しい」と思ったなら道を踏み外す前に転職を考えましょう。






























セキュリティレベル5 - 地域監督官のみ





昇進おめでとう。君はサイト-30などを管轄する地域の監督をする地域監督官となる。
君の献身と財団への多大なる忠誠心は、我々上層部から特別な信頼を得るに十分なものだった。そしてそれは…我々が隠さなければならなかったものを理解してもらうのにも十分だということだ。
これからどういう話が始まるか、分かるね?

単刀直入に言う。SCP-2411は破壊されていない。
我々も今それがどこにあるかも、そこにどうやって辿り着けるかも知らない。ただ、その方法は我々の制御下にはあるとだけ言っておく。
そもそもあの審議は全くもって全会一致ではなかった。実際私は反対票を入れたのだが…まあそれはいい。

いつか、どこかの組織が財団を…いや、この星を、もっと言うならこの世界を脅かす日が来るかもしれない。
具体的な説明はできないが、まあその時が来れば君にもわかる。そして君は財団を裏切り、彼らの力になるだろう。
君ほどの人材なら、彼らにとってすさまじい価値のある情報を大量に知っている。だがその時、君は見返りとして要求すべきだ。
身の安全の保障、協力への経済的な対価…そして、契約をだ。

そして、我々が君が彼らの仲間になったこと、君の財団での雇用が終わったことを知り次第、SCP-2411は君の元へ届けられる。そして君は…何をするべきかは、分かっていると信じている。

ああ、君は今こう思っているかもしれない。
ここまでの文書にはカバーストーリーが多くあった。ならばまだ今の自分にも語られていない事実が残っているのではないか?

SCP-2411はもしかして使用者を殺さないというわけではないのではないか?私がそれを使うときに躊躇させないために。
今私がここでSCP-2411は使用者にとって致命的ではない、とどれだけ言っても君は納得しないだろうね。

だが、それは大した問題ではないんだ。
私は、財団の存在がかかっている時、君はそのリスクを考えない人だと願っているよ。

財団は、「切り札」をあまり持たない。だから、これを捨てられなかったんだろう。

─ O5-11


追記・修正はゆるぎない信念と共にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年01月18日 01:09