ビブリア古書堂の事件手帖

登録日:2011/05/11 Wed 19:36:40
更新日:2025/01/15 Wed 16:39:00
所要時間:約 4 分で読めます




『ビブリア古書堂の事件手帖』は三上延の小説。イラストは越島はぐ。


概要

鎌倉にある古本屋、ビブリア古書堂で巻き起こる、古書をテーマにした事件を描いたミステリ。
単行本は全7巻。それに加えて本編より数年後を舞台にした外伝が4巻リリースされている。またセレクトブックも3巻発売されている。ジュニア向けに角川つばさ文庫での刊行も行われている。
2020年からは本編完結後の時間軸を舞台に新章『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ』もスタートした。
便宜上『Ⅱ』と表現したが、タイトルに「Ⅱ」とつく訳ではないので書店で『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ』という書籍を見かけたら、それは新章の第ニ巻の事である。
副題に「栞子さん」とつくのが第一部、「扉子」とつくのが第二部である。
ミステリとはいっても重大な殺人事件が起こるわけではなく、〈古典部〉シリーズのようないわゆる日常の謎系に当てはまる。
取り上げられた本が注目を集めることも多く、入手困難だった本が本作の影響で復刊される場合も。
作中(本編全7巻分)の時代設定は2010~2011年とされており、作中で東日本大震災も発生している。

発売後即重版がかかるほど売れ、王様のブランチで取り上げられてから300万部という書き下ろし文庫本では異例の売り上げを記録した。
その後も部数を重ね、2014年12月ではシリーズ累計で600万部を越えている。
この度2012年本屋大賞ノミネート作品に選出されました。

ちなみに、ライトノベルではない。
挿し絵がついていようがライトノベルではない。
だって版元がそう言ってるんだもん。
レーベルのメディアワークス文庫はかつてラノベ読者だった世代向けの、ラノベと一般書籍の中間的ポジション。
このビブリアシリーズなどの成功を受けて各出版社が追従している成長中ジャンルで、イラストや内容はややラノベ寄りな一方、作中に挿絵はないなどの特徴がある。

この他、公式スピンオフ作品として『こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌』が刊行されている。著者は峰守ひろかず。
こちらは電撃文庫よりライトノベル作品として発表されている。全2巻。

ちなみに、本作の作者はこの作品が信じられないレベルでヒットした為、知らないファンの方が多いが、
デビューは2002年の電撃文庫大賞で三次選考を突破したことがきっかけという、かなり古い時期から活動している作家である。
というか本作以前は電撃文庫でしかほぼ出していなかった上、刊行していたのはホラー系アクションなどが大半だったりする。


登場人物

  • 五浦大輔
語り部兼助手役。物語が好きだが、幼少期のトラウマで本が読めない。職にあぶれていたところを、栞子に拾われてビブリア古書堂で勤務する。
元柔道部で体力要員や運転手、コミュ症な店長のサポートとして活躍する。
何気に市販のスタンガンで気絶しない程の猛者。

  • 篠川栞子(しおりこ)
ビブリア古書堂の店主で本作のメインヒロイン。黒髪ロングの巨乳。何者かに突き飛ばされて怪我を負い入院。
退院後も足に後遺症があるので歩行には杖を必要とする。
客商売をしている割に極度の引っ込み思案だが、本のことになると途端に饒舌になる。古書に関する知識は抜群で、本作における探偵役。

  • 篠川文香
栞子の妹。姉と違って勝気な性格。入院中の姉に代わって店を守っている。

  • 篠川智恵子
姿を消した栞子の母親で、ビブリア古書堂の元店主。
娘の栞子と似た美貌を持っており、栞子と同じく大の本好きで頭も切れるが、それゆえに非道なことをしていたらしい。

  • 滝野廉杖
古書市場の経営員。栞子とは、ビブリア古書堂が千恵子によって経営されていたころからの仲で、何かと栞子のことを気にかけている。

  • 志田
ビブリア古書堂の常連のせどり屋*1で、ホームレス。鵠沼の橋の下に住む。
5巻で意外な素性が明らかに。

  • 坂口しのぶ
ビブリア古書堂の常連客で、元ホステスの女性。明るい性格で、時々古書堂に事件を持ち込む。

  • 小菅奈緒
ボーイッシュな外見の少女。ビブリア古書堂に出入りする、せどり屋のホームレスである志田を慕っている。

  • 井上太一郎
主にミステリーを取り扱う古書店「ヒトリ書房」店主。
当初は栞子を一方的に警戒していたが(大体智恵子のせい)、後に和解して以降は協力者となる。


メディアミックスについて

2013年1月からフジテレビ系で月9ドラマ化されたのだが……
  • 栞子さん役が剛力彩芽。巨乳でメガネをかけた黒髪ロング美女という原作のイメージをガン無視し、ショートヘアでメガネも無し。怪我も軽かったので歩行困難にもならない…
    など、言われてもわからないレベルで原作と別人になっていた。
  • 大輔役が栞子さんより遥かに年上のEXILEのAKIRA。なぜか栞子さんではなくこちらがメガネに。
  • 栞子さんの妹がジャニのごり押しで弟に性転換*2
  • オリキャラの大量追加。
……など始まる前からキャスティング面で非難轟々だった。
放映後は「これはこれで面白い」という肯定的な意見から「原作レイプだ!」という否定的な意見まで出て賛否両論であり、視聴率は月9ワースト2位を記録する結果となってしまった(もっとも、ワースト視聴率はこの後も更新しまくっているため、この作品が特別低い訳ではないが)。

声優の池澤春菜氏(当時は剛力氏と同じ事務所だった)はTwitterで「栞子さんは……違うよね……」「大輔さんもどういうことですか……」などと呟いたところ、事務所から怒られたらしく、しばらくTwitterのつぶやきを休止する事態に陥った。
なお、この件との直接的な関係は不明だが、池澤氏は翌年1月に事務所を退社している(現在はフリー期間を経てアクロス エンタテインメントに所属)。

2018年11月にはKADOKAWAと20世紀フォックス映画の共同配給で実写映画版も公開された。
こちらはドラマ版よりはまだ原作に近い内容にはなっているものの、原作の人物像を壊すような描写を幾つか挟むなどしており、ファンからの評価は微妙なところ。
もっとも、ムビチケ特典として原作本編と外伝の間をつなぐミッシングリンク的な掌編を収録した小冊子が配布されたため、それ目当てだけで観に行った原作ファンも少なくないのではないだろうか。

また、2017年に実写映画化が発表された際、アニメ映画化することも同時に発表されていたが、こちらについてはその後2022年現在に至るまで音沙汰が無い。

どうもこの作品そのものが、メディアミックスの出来自体に恵まれないジンクスを抱えているようである……

余談ながら『名探偵コナン』単行本オマケの「名探偵図鑑」において、ドラマ化された作品の場合は演者の似顔絵になる事が多いが、ドラマ放送後に栞子が80巻に登場した際は似顔絵ではなかった。
単に原作本文表紙絵に従ったものと思われるが*3


わたし、追記・修正が大好きなんです……人の手から手へと渡った項目そのものに、物語があると思うんです……

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最終更新:2025年01月15日 16:39

*1 新古書店で掘り出し物の書籍を見つけ、適正な市場価格で売却する人のこと。

*2 男手が必要という、大輔の勤務理由が消失する

*3 『忘却探偵シリーズ』の掟上今日子も該当。