放課後は、異世界喫茶でコーヒーを

登録日:2020/05/18 Mon 07:25:00
更新日:2023/06/14 Wed 11:01:13
所要時間:約 6 分で読めます




レーベル:ファンタジア文庫
著者:風見鶏
イラスト:u介


概要

小説投稿サイト「Arcadia」に投稿された『異世界に来たけど至って普通に喫茶店とかやってますが何か問題でも?』を改題・書籍化した作品。全6巻。1巻のあとがきによれば、作者が投稿を始めたのは1巻が出る8年前のことだったという。
原作1巻を基にした蔦屋空による漫画版も存在する。全1巻。


あらすじ

魔法の息吹がかかったアイテムや食物が産出される『迷宮』。これを中心に栄える迷宮都市の外れに佇む一軒の喫茶店では、この異世界で唯一コーヒーが飲める。現代からやってきた高校生店主ユウが切り盛りするこの店には、コーヒーの芳ばしい香りにつられて、今日も喫茶店グルメを求めるエルフやドワーフ、冒険者たち、そして街の有力者までもが”常連”として足を運ぶ。
近所にある魔術学園に通う少女リナリアもそのひとり。まだ、コーヒーは甘くしないと飲めないけど、ユウがいるこの店の雰囲気がお気に入り。でも、ライバルの女の子たちは他にもいて?
恋のスパイスが効いたおいしい物語を異世界喫茶からお届け。
(1巻あらすじより)

登場人物

〇主要人物

「コーヒーをご存じない?それはいけませんね。いま大流行のコーヒーを知らないとは。是非とも試してください」
●ユウ・クロサワ
主人公。本作は彼の視点で描かれる。
ある日突然異世界の迷宮に迷い込んでしまった少年。
祖父の代から続く喫茶店を手伝っていた経験からコーヒーを淹れることと料理が得意で、本人もコーヒーが大好き。

生活の糧を得るため、保護してくれた老人から譲られた酒場を改装して喫茶店を始めた*1
少しずつ常連は増えているのだが、肝心のコーヒーが異世界人にとっては未知の飲料なのでウケが悪く、料理を求める客の方が多いことを残念に感じている。
喫茶店を「安心できる場所」にしたいという思いから、必要以上に客を詮索しないように心掛けている。

1巻の時点では異世界に馴染み切ってしまうと帰れなくなるのではないかという恐怖心から必要最低限の外出しかせず、店にほとんど引き籠っていた。
しかし異世界の常識を学ぼうとしなかったことが原因でリナリアを傷つけてしまい、その反省から2巻以降は少しずつ周囲と関わるようになっていく。


「あれを好んで飲める人とは分かり合えないと思うの、私」
●リナリア・リーフォント
メインヒロイン。
アーリアル魔術学院の生徒。市民の出でありながら、とある目的のために並外れた努力を積んで首席にまで上り詰めた才媛。
喫茶店の前でユウと出会ったことがきっかけで常連となった。
コーヒーは苦手だが甘めに作ったカフェ・オ・レとユウの作る料理は好き。
貴族の多い学園内や学生寮では悪目立ちしてしまい居心地が悪いため、安心して勉強ができる場所を求めて毎日のように喫茶店にやってくる。

そうこうするうちにユウに惹かれつつあるが、男女の機微に疎いユウに呆れたり怒ったりすることも多い。


「さすがリナリアさん。この深い味わいを理解されているのですね」
●アイナレーナ
リナリアのクラスメート。
貴族の令嬢だが他人を身分の違いで差別することはない。
自分が全力を尽くしても勝つことのできなかったリナリアに敬意を抱いているが、行き過ぎて同性愛じみた感情にまで至ってしまっている。
リナリアお気に入りの店ということで喫茶店に訪れるようになり、後にユウが間を取り持ったことでリナリアと友人になることができた。
リナリアと違いコーヒーは好き。

ユウのことは友人だと思っているが全く意識していないわけではなく、諸事情でリナリアが不在だった5巻では事実上のヒロインとなっている。


〇常連客

「逃げたんじゃないわい。ちょっと息抜きをしに来ただけじゃ」
●ゴル爺
詳細不明の老人。ゴル爺という名前すらもユウが勝手に呼んでいるだけである。
それなりに責任ある立場にいる人物のようだが、毎日のように仕事から逃げ出しては喫茶店に来店し、秘書が時間を見計らって呼びに来るというパターンが確立されている。

普段は女好きの駄目老人であるが、ユウが問題を抱えているときは人生の先達として助言を送ることもある。


「これは、間違いなく、私の全ての先にある料理だった。素晴らしい」
●コルレオーネ
裏街を仕切り、治安を維持しているコルレオーネ一家のボス。見た目は可愛いうさぎの獣人だが、声と性格は渋くダンディー。
常に狼の獣人の従者を連れている。

大の美食家で、変わった料理を出す店の噂を聞きつけて喫茶店に来店。そこでユウが作ったミートソーススパゲッティを気に入ったことで常連客となった。


「……ユウは、勝手にどこか行っちゃ……ダメ、だからね……」
●ノルトリ
アーリアル魔術学園に通う獣人の少女。10歳。
大のサボり魔で、よく授業をサボって来店する。
その際は窓際の奥から二番目の定位置に座り、カウンターに突っ伏して面倒くさそうにしていることが多い。温めのカフェ・オ・レが好き。

ユウを異性として意識している節があり、母親によると家ではいつもユウの話をしているらしい。
ユウの事情は知らないが、彼がどこかに帰りたがっていることは何となく察している。


「やっぱりマスターのコーヒーが一番だね」
●アルベル
迷宮で生計を立てている冒険者。
まるでモデルや女優のような美貌の持ち主。
冒険者の上位に位置する実力者として後進の育成にもあたっている。

異世界人では珍しいコーヒー愛好家。
迷宮に潜っている間はコーヒーが飲めないため、休養日になるとコーヒーを求めて来店する。
低温抽出して酸味や風味を生かしたコーヒーが好み。
漫画版ではページ数の都合でエピソードがカットされ、背景にわずかに登場しただけになってしまった。


「ところでユウよ、早くおかわりをくれぬか。我はもう堪えきれそうにないぞ」
●ファルーバ
竜族の男性。恐妻家。
ユウの前では本来の竜の姿でいるが、他の客が来ると大柄な男性の姿に変身する。
種族の違いから人間の常識に疎く、握り拳大の宝石でコーヒー代を支払おうとするなどしてユウを驚かせることがある。
初めて来店した時以来コーヒー中毒気味で、ユウが両手で持つような特大カップのコーヒーを何杯も飲んでいく。
高温抽出してコクと苦みを強くしたコーヒーが好み。
アルベルとはコーヒーの好みについて激論を交わす関係である。




だから、僕の担当は追記・修正なんです
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最終更新:2023年06月14日 11:01

*1 コーヒー豆は眠気覚ましや気付け薬として扱われていたものを買い求め、ミルやサイフォンは薬剤師や研究者たちが使うものをコーヒー用に特注した