黒崎駿一(半沢直樹)

登録日:2020/10/25 Sun 11:09:36
更新日:2025/04/24 Thu 19:54:06
所要時間:約 7 分で読めるわよ




黒崎(くろさき)駿一(しゅんいち)とは、小説「半沢直樹」シリーズの第二巻「オレたち花のバブル組」の登場人物である。
名前が似ているが黒咲隼ではない。しかし鉄の意志と鋼の強さは持ち合わせている。
後に「銀翼のイカロス」でも再登場するが、半沢直樹シリーズでレギュラー以外の人間が再登場する事は珍しい。
演:片岡愛之助


【概要と来歴】

「オレたち花のバブル組」にて「金融庁検査局主任検査官」として登場。
オネエ言葉で話す強烈な第一印象を区切りに強大な敵として主人公半沢達に立ちふさがる。
半沢の扱っていた「伊勢島ホテル」の損失の件を踏まえた金融庁検査…要するに銀行のあら捜しをしに登場する。
その検査は銀行内の書類を全て掘り起こすだけでなく、書類をビルの機械室に隠していると踏んでそこも調査。
挙句部下を派遣し家宅捜索すら行うという過激なもの。
しかし彼は自らの仕事にプライドを持っており、銀行からしてみれば敵にしか見えないが実際彼は職務に忠実すぎるだけである。
事実銀行側も彼に対しては「資料を隠す」「諦めて怒られる」の二択だけであり金融庁に見つかったらやばい事してるのは事実なのである。
この辺りは元銀行員の作者も経験があるのか「書いててつらかった」と述べている。
あえてオカマ口調にしているのは生々しすぎるその思いからせめて現実味を無くし、面白キャラにして中和しようと考えたからなのかもしれない。*1

「オレたち花のバブル組」では粗捜ししに来たものの悉く半沢達に先手を打たれ敗北する役柄であったが、
「銀翼のイカロス」登場時は銀行を追い詰めるほどの仕事っぷりを発揮するものの、国家権力の犬になることだけは否定。
自らのプライドを賭して半沢達にヒントを残し退場した。






追記修正はオカマ口調になってからお願いします。













ダメダメのダメ沢直樹ね

元々アクが強かった黒崎だが、TBSによるテレビドラマ版においては更にパワーアップして登場した。
というか2013年版の活躍のおかげで原作執筆者の池井戸潤は「銀翼のイカロス」に当初は予定になかった黒崎を登場させる程。
演者は歌舞伎役者の「片岡愛之助(6代目)」氏。なお当初彼はオカマ口調を嫌がっていたらしいが、演じているうちに気持ちよくなったとかなんとか。
ちなみに片岡氏の地声は非常にダンディで低い。ドラマでも一回だけ聞くことが可能である。


【概要】

元々からインパクト抜群の男だったが、片岡氏のねっとりとしたオカマボイスに加え男性の股間を鷲掴みにするという更に強烈なキャラとなって登場。
大蔵省銀行局出身の切れ者のエリートであり、目を閉じるだけで億単位の暗算が出来る。
しかし傲慢かつヒステリックな性格であり、一度敵と定めた人間にはオカマ言葉と正論でまくしたてる。
その卑劣な手段から半沢達銀行員には宿敵として見られているが、彼自身も自らの職務にプライドを持っておりそれに準じているだけの仕事人間である。


【2013年版の動き】


査察なの、よろしくネ♡

かつての金融庁検査で日本三大銀行の一つに数えられていた大同銀行を破綻に追い込んだことで「やり過ぎ」と批判が起きたことから、ほとぼりが冷めるまで国税局に異動させられていたという設定が付け加えられた。
…と言うわけで原作では存在していなかった2013年第1部の時点からちょっかいを掛けてくる。
この頃はれっきとした悪役で他人を見下し、権力にものを言わせた手法で半沢達の怒りを買い、出し抜かれてしまう。
本格的に動き出すのは原作でも初登場した2013年第2部。
第1部でやられた事から半沢に執着し、原作通り「伊勢島ホテル」絡みの金融庁検査でその一件を記し隠された「疎開資料」を巡って再び対峙する。
その裏で東京中央銀行常務の大和田の右腕である岸川に目をつけ、彼からのリークにより銀行内の情報を得る事に成功する。
どうして目を付けたかと言うと、なんと黒崎の妻は岸川の娘さんだったのだ。
ちなみにこれは策略に使用する為とかではなくマジの恋愛結婚で偶然に近いのだが、それすらも利用する黒崎はまさしく仕事人である。
だが結局疎開資料は隠し通されまたしても敗北した。
こうして2回もコテンパンにやられた黒崎は、半沢に対し憎悪と怒りを燃やすのであった…。


そして奴は、弾けた…


【2020年版の動き】


トイレーッ!!!

半沢、そして銀行に二度も敗北をした結果彼は「証券取引等監視委員会」に出向させられた。
だが「事務局証券検査課統括検査官」の肩書を持って、偶然証券会社「東京セントラル証券」にいた半沢とまたしても対峙。原作だと未登場だったのに…。そもそも原作に一切いない奴がいる?知らなぁ〜〜い
この頃には半沢への怒りが行きつくとこまで逝っちゃったらしく、半沢の事を「直樹♡」とまるで愛する人に向けるような声で呼ぶようになった。
そして仕事の苛烈さもパワーアップ。
クラウド上にあるデータを独自のパスワード解析(というか総当たり)ツールで紐解こうとするが、それは半沢の仲間が何とか阻止。
だがシュレッダーで破棄した紙ベースの書類を復元、入手し*2、これに関しては半沢も「相当めちゃくちゃ激しくやばいぞこれは」と吠えるしかできず、黒崎大勝利!希望の未来にレディゴー!!まであと一歩のところであった。
…だがその直後立ち入り検査の意味が無くなる事態*3が発生し、すんなりと引き上げ半沢は一命をとりとめた。
しかし実はこの立入検査の本命は東京セントラル証券でも半沢をいじめるためでもなく、彼らが取引している電脳雑伎集団の粉飾の証拠の方であった。
目的を果たした黒崎は電脳電設への架空計上による電脳の粉飾決算を明るみにし、電脳への立ち入り検査に踏み込んだ。

その功績で「金融庁監督局主任統括検査官」に栄転したものの、一種の燃え尽き症候群のような状態になる。
更に政府の意向で東京中央銀行の帝国航空への再建計画に対する与信判断の為ヒアリングに訪れるが、テンションがめっちゃ低かった。
しかしこの時点でライバルである半沢も東京中央銀行に復帰していた。
彼がものすごい顔芸したのち目を逸らしそこにいることを知ると元に戻る*4

「あなた…いたの!?」
「ええ…」

愛する宿敵を見つけ「ファイト満々」になった黒崎。
ちなみに一連の動きのせいで半沢と金融庁との関係が役員(というか大和田)に疑われる事となった。すぐ誤解は晴れたみたいだが
その勢いのまま銀行の数字の矛盾を激しく追及。ついでにトイレも借りて半沢達をぼこぼこにして帰っていった。
だが今回に限りその数字の違いは銀行の責任ではなく何らかの思惑が入り乱った結果だと半沢達は気付く。

調査の結果、政治家の箕部が怪しいと踏んだ半沢は黒崎に接触。普通に部屋に誘う。友達かよ。
ついでにガンダムの股間をつかみトランザムさせた。
尤も黒崎本人も政府の犬になる事は良しとせず、独自に調査を行っており、箕部が東京中央銀行の前身である旧T時代に接点があったことを伝える。

だが箕部の身辺を嗅ぎまわっていたことを察知され、これ以上手出しできないように政府からの圧力がかかり国税庁への異動を余儀なくされる。
「箕部に反目したら一瞬で潰される」と半沢達や銀行に示すように…。
なお最後の時は部下達がしんみりした表情で彼を見送り、あれだけやりながらも部下に慕われていたことがわかる。
そんな部下たちをいつもの調子で茶化しながらビルを出たのち、昨日までの職場だった金融庁に頭を下げ、去ろうとした。

そこに現れたのは、黒崎の異動の事を大和田から聞いた直樹♡半沢であった。
黒崎は半沢に対し「あなたの事なんか大っ嫌い!だから最後まで、アタシの大嫌いなあなたのままでいてちょうだい!」とエールを送ると共に、半沢に助言を与えて物語から退場した。ツンデレと間違えそうなセリフである。


もーもたろさん♪ももたーろさん♪

これから鬼の征伐にー♪

助太刀するわよ♪

黒崎がァッ!!

ここで退場かと思いきや「国税庁調査査察部査察課 課長」として普通に登場。
もう敵対する理由もなくなったため、完全に半沢達の味方となり、国税庁という立場を最大限に利用。元金融庁のエリートということもあって、半沢にとっては超強力な味方なのである。
そんな中、箕部の「東京中央銀行を潰し、自分の不正の過去を隠す」という必殺の一手である「東京中央銀行の帝国航空に貸し出している多額の債権放棄」を認めさせる記者会見にてぎりぎりまで尽力し、箕部を潰すに至る証拠を探り当てた。

こうして、銀行の敵であったはずの黒崎はしかし、最終的には銀行の窮地を救うキーパーソンとなった。
だが彼は銀行を助けたくて助けたわけではなく、潰された誇りとプライドと取り戻すためであった。
そして何より「大っ嫌いな直樹」の為であったことを忘れてはならない。





【余談】

  • 原作者池井戸潤が一番気に入っているキャラクターである。 当初は「書くのがつらい」とまで言われていた彼がここまで気に入られたのは、ひとえに片岡氏の熱演のおかげであろう。
  • 彼必殺の股間掴みだが、演出上はともかく演技では実際に掴んでいるわけではなく服の下に仕込んだ紙コップを握っているとの事。
  • 彼の部下には「モアイ面」*5と呼ばれる島田(演:竹財輝之助)がおり、原作では銀翼のイカロスでも彼を連れている。だが半沢の部下の「田島」と字面がややこしくなる*6ためか2020年ドラマ版では登場せず、代わりに古谷というガンダムが登場した。股間も掴まれた。
  • 股間掴みに「直樹♡」呼びなど同性愛者っぽい描写が多いが、妻「美咲」(演:堀内敬子、れっきとした女性)とはとても仲良しであり、オーディオドラマ版「敗れし者の物語」ではその辺りが語られている。
  • 片岡氏は大河ドラマ『真田丸』では大谷吉継役として出演。半沢こと堺雅人演じる真田信繁と敵ではなく盟友として義父として豊臣政権で協調し、信繁に影響を与える役を演じている。




記事の事なんて大っ嫌い!だから最後まで私が大っ嫌いな追記修正でいてちょうだい!


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最終更新:2025年04月24日 19:54

*1 小説になる前の連載版では普通の口調であった。

*2 シュレッダーにかけたのは半沢チームではなく証券会社社長の岡で、さすがの半沢もそこまでは管理していなかった

*3 すごく簡単に言えばとある会社との不正な繋がりの証拠を探していたのだが、その会社の社長が「不正はない」と言った

*4 半沢も渡真利から「今回のヒアリングは落合という男がする」と告げられていた為、黒崎の登場は予想外だった

*5 原作のみ、ドラマの島田は普通の男だった

*6 原作小説でもこの2人のやりとりがある