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更新日:2025/04/24 Thu 17:36:35
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「半沢直樹」とは、TBSテレビで制作・放送されたテレビドラマ作品である。
2013年と2020年に「日曜劇場」の枠で放送された。
主演は堺雅人。
【概要】
正義感の強い主人公の銀行員、半沢直樹の活躍を描く。
銀行内部での不正を扱ったフィクション作品であり、ジャンルは「経済ドラマ」に分類される。
原作は『オレたちバブル入行組』をはじめとする池井戸潤の小説「半沢直樹シリーズ」。
全10話構成で、第1話~5話が第1部・大阪西支店編(原作:オレたちバブル入行組)、第6話~10話が第2部・東京本部編(原作:オレたち花のバブル組)となっている。
作者の池井戸は元銀行員でもあり、明らかに実在の銀行や企業(の不祥事)をモデルにした作品を数多く書いていた。
そのせいか池井戸作品の映像化は
NHKやWOWOW、映画作品が中心となっており、民放のテレビドラマでの放送は異例のことで、かなりの
ヤケクソ英断であったといえよう。
実際に作品を観てもらえば分かるが、銀行という特殊な(視聴者にとって身近ではない)世界を舞台にしているうえに、てっとり早く視聴率を稼げるようなスター俳優が少ない、女性の登場人物も少ない、恋愛シーンもない、あげくには
主題歌もないという、従来のテレビドラマで視聴率を稼ぐための要素が一つもないという
「ないない尽くし」の作品であり、
制作サイドもこんな番組が大ヒットするなどとは思っておらず、「最終話で20%、平均視聴率15%くらいが取れればいいね(笑)」などと話していたという。
しかし、よく練られたストーリーや実力派俳優たちの高い演技力、国家権力や上司の理不尽な仕打ちが待ち受けるシビアな世界観、それに屈さず実力と人徳をもって立ち向かう時代劇のような勧善懲悪志向の作風に、まず
日頃から同じような理不尽な目に遭っているであろう中~高年齢層のサラリーマンが注目し、
専門用語の多い難解な作風ながら濃いキャラ・濃いセリフが盛りだくさんで絵的には分かりやすかったため、社会人経験が無いであろう小中学生にも広く受け容れられた。半沢の
「倍返し」など、モノマネの定番ネタになった人物や名場面も多い。
また、服部隆之が手掛けた
メインテーマ兼処刑用BGM(インストゥルメンタル)は視聴者に広く認知され、バラエティ番組などでも頻繁に流れていたことから、あの音楽が流れただけで条件反射的に「半沢直樹」のことを思い出してしまうほどの高い成果を挙げた。
視聴率は当初の目標であった15%をマッハで飛び越え、本作の一年前に放送されて驚異的な高視聴率を達成した「
家政婦のミタ」の記録すらも塗り替え、最終話の視聴率は
関東で42.2%(瞬間最高視聴率46.7%)、関西で45.5%(同50.4%)というとんでもない数字を記録した。
新語・流行語大賞にも輝いた主人公の半沢の
セリフ「
やられたらやり返す、倍返しだ!!」をはじめ、多くの名言を残している。
これは視聴率調査を開始した歴史上、関東では歴代4位(平成の民放連続ドラマでは1位)、関西では歴代1位の数値である。
スター俳優やヒット曲などの売れ線要素がなくても面白ければ視聴率は稼げることを証明した伝説的ドラマ作品となった。
さすが半沢直樹!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ! そこにシビれる! あこがれるゥ!
ドラマは福澤克雄の演出もあってか鮮烈なアレンジを加えており、バブル世代に入行した銀行員の悲哀とロスジェネなりの抵抗というものを主軸とする原作とは、受ける印象が異なる。
ドラマでは様々な人物と協力関係になるのにひと悶着が入ったりする事も多いが、原作では割とあっさり手を組んでたりもする。
また、これ以降池井戸作品は視聴率が取れる作品としてドラマ化が相次ぎ、今では
テレビ東京を除く各局で氏の作品が制作・放送されるようになった。
2020年からモーニングで本作のコミカライズ版が連載中。作画はフジモトシゲキで、構成は津覇圭一。
はるみねーしょんで有名な大沖氏の描く「小学生半沢直樹」や、猫となった「半沢ニャオ樹」なども発表されている。
2013年版終了後から続編が待ち望まれていたが、2020年に放送決定。
新型コロナウイルス流行の影響で撮影スケジュールが遅延し、放送開始が当初の4月から7月にずれ込むなどといった不運に見舞われながらも、無事7月より放送が開始された。
こちらも第1部と同じく全10話構成で、第1話~4話が第1部(原作:ロスジェネの逆襲)、第5話~10話が第2部(原作:銀翼のイカロス)となっている。
※ここから先は一部ドラマの
ネタバレが含まれています。
【ストーリー】
◇2013年(第1期) 第一部・大阪西支店編
主人公である半沢直樹が勤務する産業中央銀行は、東京第一銀行との合併で「東京中央銀行」となり、世界第三位の規模を誇るメガバンクとなる。
しかし、これにより社内には旧産業中央派・旧東京第一派の対立が発生し、上層部では日夜熾烈な派閥争いが繰り広げられていた。
東京中央銀行
大阪西支店の融資課長として優秀な勤務実績を上げていた半沢であったが、ある日、上司である支店長の浅野から「西大阪スチール」への融資話を聞かされる。
西大阪スチールはこれまで東京中央銀行と取引を行なったことのない会社であり、半沢は十分な審査をするべきだと考えていたものの、浅野の一声で5億円の融資が急に決められてしまう。
西大阪スチールは直後に倒産。社長の東田は雲隠れし、融資した5億円の回収が困難な事態に陥る。
不審な点が多いことから、半沢は西大阪スチールの計画倒産を疑うが、断定できるほどの証拠はない。
しかも、「融資には全責任を持つ」と言っていたはずの浅野は態度を一変させ、「担当者は半沢である」と半沢に全責任を負わせたうえで彼を切り捨てに掛かった。
計画倒産をし、5億円を騙し取った西大阪スチール社長・東田。自分に全責任を負わせようとする支店長・浅野。
半沢は融資した5億円を回収し、彼ら2人の罪過に対して倍返しをすると心に誓う。
「私は必ず、5億を回収する!二度と邪魔しないでいただきたい!」
「もし取り戻す事ができたら、今回の件、土下座して詫びてもらいます・・・!」
◇2013年 第二部・東京本部編
半沢直樹が東京本社の営業第二部次長に栄転になり、1年が経過しようとしていた。
半沢は営業第二部のエースとして、数十人の部下達を現場で取り仕切り、自ら最前線で活躍していた。
東京中央銀行が金融庁監査を二週間後にひかえたある日、
大手取引先であり、200億を融資していた「伊勢島ホテル」が株の運用失敗により120億円以上の損失を犯していることが発覚。
金融庁検査までに200億円回収のめどが立たなければ、銀行は「巨額損失を出している不当な企業に融資をしていた」と判断され、
1500億という莫大な引当金積立を命令される。そうなれば東京中央銀行の信頼は失墜。株価は暴落し、東京中央銀行の存続事態が危機に瀕する。
そんな折、半沢は頭取の勅命により、金融庁検査担当者に任命される。
だが、伊勢島ホテルへの融資実行と運用失敗の陰には、
半沢にとって因縁の相手である東京中央銀行常務・大和田と伊勢島ホテルの女性専務・羽根による巨大な陰謀が渦巻いていた…
「伊勢島ホテルを救う可能性があるなら私は鬼にでも悪魔にでもなる…!」
「やれるもんならやってみろ。ただし、後であんたの不正がわかった時は容赦はしない。覚えておけ!」
◇エピソードゼロ~狙われた半沢直樹のパスワード~
半沢の出向先である東京セントラル証券で、証券取引システムの大規模リニューアルを行う為のコンペが開かれ、新興IT企業のスパイラルと実績のあるワールドビッグデータの2社が合同でシステム開発を担当することとなった。
新進気鋭のスパイラルは成功すれば数億の売上を得られる事から、凄腕の新人プログラマーの高坂圭をプロジェクトリーダーに抜擢する。
高坂は東京セントラル証券の担当である城崎勝也や浜村瞳らとの折衝の末、システム導入にこぎつける。
しかし、暫くして証券の旧システムが不正アタックを受け、スパイラル側の共有クラウドにもトロイの木馬が仕掛けられ、浜村も身に覚えのないインサイダー取引で謹慎処分を受ける、といったトラブルに見舞われる。
そんな中で新システムへの移行が実施され、新システムのデモンストレーションで使われた半沢のパスワードが盗み出され、顧客口座から300億円が不正に抜き出されてしまう。
◇2020年 第一部
銀行内の不正を暴いたものの、そのやり方が問題視されたことで子会社の東京セントラル証券に出向となった半沢のもとに、大手IT企業の電脳雑伎集団による新鋭IT企業スパイラルの買収のアドバイザー契約という、株式取得に1500億円以上掛かる大型案件が舞い込む。
半沢の部下で出向組の諸田祥一をリーダーとするプロジェクトチームが編成されるが同じく半沢の部下であり、それまで電脳を担当していたプロパーの森山雅弘は経験不足という理由でチームから外されてしまう。
しかしチームの買収スキームをまとめるのが遅れ、その遅れを理由に電脳の社長の平山一正から契約破棄を言い渡されてしまう。
それに納得しなかった森山が独自でスキームを電脳に持ち込むが、電脳の財務担当の玉置克夫とのやり取りからアドバイザー契約の案件を他社に取られた事を知る。
それまでの電脳の言動を不審に思った半沢は、契約を横取りしたのは親会社である銀行ではないかと睨む。同時にそれは、証券の中に内通者がいた事も意味する。
半沢の策略により、諸田が銀行への復帰の手土産として銀行の証券営業部の部長である伊佐山泰二に買収案件をリークした事実を突き止める。しかし、伊佐山の手引でリークした証拠のメールを削除され、証拠をもみ消されてしまう。
半沢と森山は銀行への逆襲を誓い、スパイラルと買収阻止のアドバイザー契約を結び、親会社 vs 子会社の対決に発展する。
「私はこのまま終わらせるつもりはありません。この借りは、必ず返します!」
◇2020年 第二部
スパイラル買収の阻止により銀行を救った功績を認められた半沢は、出向前の東京中央銀行本部の営業第二部次長に返り咲き、着任早々に中野渡頭取から直々に帝国航空の再建という超大型案件を命ぜられる。
半沢は帝国航空の社長の神谷巌夫、財務部長の山久登、財務担当役員の永田宏らと会談するも、帝国航空の経営陣は日本の公共交通機関としての社会的意義を重視する余りに重い腰を上げられずにいた。
それでも半沢は今がラストチャンスであり、人員削減や赤字路線の廃止などの抜本的な経営再建をしないと救済できない事を強調し、銀行を交えを修正再建案を作成するよう訴える。
そんな中、進政党の的場一郎内閣が内閣改造のサプライズ人事で国土交通大臣として起用した当選2期目の白井亜希子議員がタスクフォースを立ち上げ、債権を持つ銀行に対して一律7割の債権放棄の要請を検討を発表する。
もしそれが通れば、700億円を融資する東京中央銀行は500億円もの債権放棄をしなければならなくなる。頭取の中野渡の意向は「拒否」だが、常務取締役の紀本平八がどういう訳か債権放棄に積極的に賛成し、半沢の前に立ち塞がるのだった。そこには、政治とカネにまつわる黒い秘密が潜んでいるのだった…
「俺は必ず帝国航空を再建してみせる。やられたらやり返す、倍返しだ!」
【登場人物】
◆メインキャスト
※各部の終盤及び核心に迫る部分は折り畳みを参照してください。
「やられたらやり返す!倍返しだ!! ……それが私の流儀なんでね」
◇半沢 直樹(はんざわ なおき)
演 - 堺雅人
本作の主人公。第一部では東京中央銀行大阪西支店融資課課長、第二部では同東京本部営業第二部次長。
金沢出身。
趣味は剣道で、日頃から修練を欠かさないこともあり、その腕前はかなりのもの。
曲がった事を誰よりも嫌う正義漢で、顧客や上司はもちろん同期や同僚、部下も含めてどんな人間にも誠実に接する。
自分がどれほど危機的状況であっても困難に直面した人間は決して見捨てず、立場上協力や証言ができない人間がいてもその事情を汲み、それを咎めることは一切しない。そのためその人柄を知る人物からの人望は非常に厚い。
一方で不正や悪事を働く人間、責任逃れをしようとする人間、他人を陥れたり不幸にしたりするような人間などには、たとえ上司や国家権力であっても絶対に許さず、決して屈せず、情け容赦なく断罪し、完膚なきまでに叩きのめす。リアルファイトに発展しても、得意の剣道を駆使して文字通り叩きのめしたこともあった。
そのさまははっきり言って
めっちゃ怖い。やってることだけ見るともはや
どっちが悪だかわからない。
しかし、断罪相手はそろいもそろってクズばっかなので仕方ない。
ただし基本的に彼は「性善説」を信じており、やむを得ず悪事を働いたり、守るべき女房や彼女がいる人間には温情を見せることもある。
他にもプライドを捨てることのできる人間を好む傾向があり、それらが敵だった際にも断罪の手を緩めてしまう。
実は中学生の時、実家である「半沢ネジ」が銀行から融資を取り上げられ倒産、社長であった父親は自殺、しかもその現場を目撃してしまうという壮絶な過去を持つ。
しかもその銀行は自らが籍を置く東京中央銀行の前身である産業中央銀行である。
そんな父の敵も同然の銀行に入社したのは
復讐のためでもあったが、それよりも自分も銀行員として他人を助けたいと思ったという理由の方が大きい。そう考えるようになったのは、父が死亡した後に「半沢ネジ」を地元の小さな信用金庫が助けてくれたことから。
ちなみに半沢を演じた堺雅人は、この後「
リーガル・ハイ」の2期でも主演を演じ、高評価・高視聴率を得ている。
どちらも、方向性は真逆とはいえ饒舌によく喋る役柄であり、このことに関して堺雅人は「次はもっと寡黙な役がやりたい」と語っていた。
最終回の取締役会において、父の仇でもある大和田の不正を暴き、中野渡頭取含む他の取締役の面前で土下座をさせ、復讐を果たした。
伊勢島ホテルの経営再建成功と金融庁検査を乗り切ったことに加え、行内の不正を暴いたことによって昇進間違いなしと思われたが、頭取に「不正を犯した人間であっても常務取締役を土下座させたことについてはさすがにやり過ぎだ」と叱責され、営業企画部長として関連企業の「東京セントラル証券」への出向を命じられるところで第二部は幕を閉じる。
なおこの出向命令だが、中野渡頭取からは「大和田に土下座させた半沢を、大和田派の行員による報復から守る」「ゆくゆくは頭取になるであろう半沢に金融での経験を積ませる」という目的があった事が語られている。
「今こそバブル最後の入行組の意地を、見せてやろうじゃない!」
◇渡真利 忍(とまり しのぶ)
演 - 及川光博
東京中央銀行東京本部融資部調査役。半沢と同じく旧産業中央銀行出身。
半沢とは大学も同じの同期であり親友。クールなキャラを気取っているがどこか3枚目な部分が目立つ。
しかし半沢同様に頭が切れ、また「銀行は人事が全てだよ」と公言するかなりの情報通でもあり、彼のもたらす情報は半沢の重要な助けとなる。
第1部では本部にいながらも支店にいる半沢をサポートし、陰で支えてきた。
第2部で半沢が本部に栄転になってからは、同僚としても親友としても第1部以上に半沢を全面的にサポートし、
第2部における半沢のパートナーとして非常に頼もしい味方となる。
…と徹頭徹尾非常にいいやつなのだが、あまりにもいいやつなので多くの視聴者に「裏切るのでは?」と思われ、
「渡真利」と検索すると「黒幕」、「裏切る」などと
予測が出てしまっていた。ある意味ちょっとかわいそうな人物。
もちろん、裏切るようなことはなく最後まで味方として半沢の助けになった。
それどころか結果的に裏切ることになった近藤や立場上完全な味方とは言い切れない上層部等と違い、終始一貫半沢の味方であり続けた。
彼がここまで献身的な理由は「誰にもできないことをやっている半沢を見て自分を含む同期が励まされている」からである。
しかし彼本人も役員ではない為、第2期第1部以降はアドバイスや情報を渡すのみ、酷いときには励ますことしかできない場面も増えている。
「銀行員の妻なめんなよ!」
◇半沢 花(はんざわ はな)
演 - 上戸彩
主人公・半沢直樹の妻。
少し天然だが非常に夫思いで、直樹にエールを送るなど、直樹の心の支えとなっているまさに良妻賢母。
一方で直樹と同じく曲がったことを嫌い、役人相手に啖呵を切るなどこの夫にしてこの妻ありな面を垣間見せることも。
ちなみに直樹が唯一舌戦で勝てない人物。
花ちゃんパねぇ
…とまぁ上記の通りこのドラマの中では数少ない癒しなのだが、原作を知る人たちはこぞって「どうしてこうならなかった」と思ったことだろう。
ぶっちゃけて言えば、原作での半沢の妻は、夫の仕事への理解が無く、彼をイビリ倒す側である。
ドラマ版と違ってストレスフルな存在だっただけにドラマ版の改変は歓迎されたが、同時に
「銀行員、特にバブル期入行組であるだけに、原作では妻からすら仕事に対して理解され難い、主人公の閉塞感や孤立感を一層強める大事な役回りだった」
と指摘する意見もある。
ただし彼女の実家にやばい書類を隠すところと役人相手に啖呵を切るシーンだけは原作通り。
しかし「アルルカンと道化師」によると、なんだかんだで直樹は「戦う人」ということは理解しており、夫と息子のことはそれなりに大事に思っている描写が見られた。
また彼女の夫の仕事への理解度の低さについては「銀行員の妻は銀行員もしくは元銀行員が多いのだが、花はそうではないから尚更理解されない」とフォローがなされていた。
残念ながら「ロスジェネの逆襲」以降原作には登場しない。 名前すら出てこず、何をしているかも全くの不明である。
しかし、ドラマでは2期でも登場し、第二部では白井亜希子のファンであるという設定が追加され、白井の立ち位置を大きく変える要因となっている。
「銀行員にとって最も大切なものは何だと思う?人を見る力だよ」
◇中野渡 謙(なかのわたり けん)
演 - 北大路欣也
東京中央銀行頭取。旧東京第一銀行出身。
第1部ではほとんど登場機会はなかったが、第2部から本格的に登場。
東京中央銀行の頂点に立つ人物だが、「金」よりも「人」を上に置いており、対立する東京第一派と旧産業中央派の派閥を取りまとめようとしている。
西大阪スチールの一件を解決した半沢を買っており、伊勢島ホテルの一件の担当に指名する。
普段は温厚な装いだが、時には黒崎を軽く圧倒する程の凄味を見せ、その手腕は計り知れない。
第1期第2部では、大和田を追い詰めた半沢に対して礼を言うと同時に、「最期のあれはちょっとやり過ぎだ、反省しろ」と諌めた。にも関わらず、半沢に対して東京セントラル証券への出向を命じるという不穏な幕切れで物語は幕を下ろした。その答えが明らかになるのは7年後のシーズン2を待つこととなる。
そして迎えたシーズン2。物語終盤まではなおも敵か味方か判然としない立ち位置であり、9話では不正の証拠を箕部に渡したことで敵になったと思われたが、実は徹頭徹尾半沢と同じ方向を向いていた味方であった事が判明。半沢を出向させたのも、このまま半沢をお咎めなしとすれば衆人環視の元で土下座をさせられるという屈辱を味合わされた大和田とその一派からの反発があるのは間違いなく、それでは行内融和はなし得ないと考えた末の判断であると共に、彼に外の世界から銀行というものを改めて観察させる事でさらなる経験を積ませるという意図があったことが明かされた。また、前述の箕部に書類を渡した行為も、これらの書類だけでは箕部の不正の証拠としては薄いため、あえて箕部に従うフリをして隠し口座のありかを探るためであった。
その後、大和田、半沢と共に白井大臣と対面し、彼女を味方につけることに成功。半沢をタスクフォースの会見に向かわせ、自身はかつての上司であった牧野副頭取の墓前でその様子を見守っていた。会見終了後は箕部への融資をはじめ様々な不正融資の実態を公表し謝罪会見を開いたのち、頭取を辞任。半沢に感謝の言葉を伝え、銀行を去ったのであった。
原作では半沢と同じ旧産業中央出身で、第一部にあたる「俺たちバブル入行組」時点では頭取ではなく、「アルルカンと道化師」にて「次期頭取でバンカーの鑑」として名前だけ登場している。
ソフトバンクのお父さんとは関係ない…はず。
「銀行に入ったからには、頭取を目指すのは当然のことじゃないかね?」
◇大和田 暁(おおわだ あきら)
演 - 香川照之
第2部の
ラスボス。東京中央銀行常務取締役。半沢と同じく旧産業中央銀行出身。最年少で常務の座に就任した有能な銀行員。
第1部では同じ産業中央銀行出身である半沢に目をかけており、優秀な人物であれば例えどんなに下の人間でも上へと取り立てる姿勢を見せる上司の鏡のような人物である。
…というのは表向きの顔。その本性は野心家で冷酷。浅野以上に「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任」を地でいく人物。
上記の姿勢も実際には自分が使える手駒を増やすため。
自分に信頼を寄せている部下をボロ雑巾のように使いつぶし、当然のように切り捨てる。
要はかなりの外道。
実は半沢の実家である「半沢ネジ」への融資の打ち切りを宣告し、直樹の父が自殺するきっかけを作った張本人であり、半沢にとって父の仇ともいえる人物。
しかもその理由は銀行運営上のやむない事情ではなく、自分が担当していた他の大口取引先の利益を確保するための策略。
つまり自分の手柄確保のために「半沢ネジ」をハメて倒産するようにしむけた。なんという外道。
旧東京第一銀行出身の頭取・中野渡の失脚と自らが頭取の座を得ることを画策し、伊勢島ホテルの羽根専務と結託して様々な陰謀をめぐらせ、
自身の野望と利益のために多くの人の人生を平気な顔で踏みにじる。
マジでどうしようもない外道。
最終回の取締役会において、自身の不正(伊勢島ホテルの融資問題及びタミヤ電機を利用した迂回融資)を暴かれて頭取含む他の取締役の面前で土下座をさせられる。
その後の処分について、本人も「良くて出向(出向先も金融業ではない北海道・九州の中小企業を自嘲気味に挙げていた)、最悪懲戒解雇」を覚悟していたが、頭取から言い渡されたのは平取締役への降格という異例の軽さであった。
これは行内融和を目指す頭取が旧産業中央銀行派のトップである大和田に恩を着せて大和田派を自らの勢力に取り込むため。どのみち大和田は頭取に二度と逆らえなくなった。
コイツが不正行為(主に迂回融資)をする羽目になったのはだいたい嫁のせいなんだが。
とことん最悪な人物なのだが、演じた香川照之の熱演もあってこの作品のキャラの中でも1、2を争う人気者だったりする。特にラストの取締役会における半沢との衝突は必見。
原作では半沢ネジに止めを刺したのは彼ではなく、そもそも父親も自殺していなかったりする。
曰く「ラスボスは強大な方がいい」と堺雅人が提案したらしい。
原作でいわゆる「仇」というのは木村という小物で、「オレたちバブル入行組」の時点で半沢に「倍返し」をされてしまい、第二巻で端役として出たがそれより後は登場すらしていない。
ドラマ2020年版では原作だと既に退場して登場しないストーリーにも普通に登場し、半沢と漫才口論をしながらも協力的な姿勢を取っている。
上記の処分の軽さから頭取に恩義を感じているらしく彼や銀行全体を重んじる言動をしているが…。
「所詮あなた達は・・・汚い金貸し」
◇黒崎 駿一(くろさき しゅんいち)
演 - 片岡愛之助
大阪国税局査察部統括官。傲慢かつヒステリックな性格。どういうわけか
オネエ言葉で話す。一人称は「アタシ」。
パッと見ネタキャラだが実際は半沢と渡り合えるほどの実力を持つ相当な腕利きかつ切れ者。元々旧大蔵省銀行局出身のエリートである金融庁検査官であったが、ある時の検査で大手銀行の大同銀行を破綻にまで追いやった結果、「やりすぎ」と批判されたためほとぼりを冷ます目的で国税局に異動させられていた。暗算が得意で、第2部においては東京中央銀行へ引当金の宣告をする際に千億単位の金額を即座に弾き出している。
第1部では東田満の脱税事件を追い、東田の資産を巡って半沢と対決。
他人をどこまでも見下しており、権力にものを言わせて他者を顧みない無礼極まる手法をとるが、その汚いやり口が半沢の怒りを買う。
第2部では古巣だった金融庁に返り咲き、東京中央銀行の金融庁検査の主任検査官として登場。
第1部で半沢に出し抜かれた恨みから、より一層権力にものを言わせた執拗なまでに苛烈な捜査を行う。
半沢の自宅にまで無理やり押しかけて家宅捜査を行うなどその違法スレスレな手法は半沢を苦しめるが、その第1部以上に傲慢なやり口が半沢のより一層の怒りを買うこととなる。
ただし個人としての人柄は悪くなく、意外にも家族思いな一面もある。
オネエ言葉で話すという設定は連載当時には無く、単行本化に当たって「書くのが辛くなってきたからあえて現実感を無くす」ためにわざわざ差し替えたものである。その後の文庫版でもオネエ言葉なので、「オネエ言葉でない黒崎」を見る機会は現状無いと言っていいだろう。尤もこの設定によりかえって彼の不気味さが際立つことになり、敵キャラの中では大和田に次ぐ人気者となった。
2020年版ではその半沢をかなり気にしており「直樹❤」と呼んでおちょくっている。
その入れ込み用は、政府に言われ東京中央銀行の帝国航空への再建計画に対する与信判断のためイヤイヤヒアリングに来た時に半沢を見つけた歳、今まで低かったテンションがバク上がり、やる気満々になるほどである。
半沢に対する態度や男性への股間掴みのせいで誤解されやすいが実は既婚者である。
その妻が東京中央銀行の重鎮の娘だったから野心のためにと誤解されることが多いが、「本当に好きになっちゃったものはしょうがない」と真剣に愛しており、また愛されている。
ドラマにおいて彼は銀行の敵であるため悪役に見えるが、彼本人は仕事を真面目かつ真剣に行っているだけである。その為か部下には信頼されている。
原作では第1部にしか登場しない一発ネタであり作者は彼の存在を忘れていたが、ドラマ化で人気が出てしまったため急きょ原作第四部である「銀翼のイカロス」に再登場を果たす。もちろんオネエ言葉は健在である。
そちらでも半沢を苦しめてくれるのだが、「敵の敵」といった一面もあり、自らの誇りに掛けた行動が結果的に半沢達を助けることとなる。
◆第1期に登場
「相手の顔色を伺うのはもうやめたんだ。本気でぶつかるってそういうことだろ?」
◇近藤 直弼(こんどう なおすけ)
演 - 滝藤賢一
タミヤ電機経理部長。半沢とは大学時代からの親友であり同期。もともとは東京中央銀行の
秋葉原東口支店融資課課長代理。
同期一の出世頭で非常に優秀な人物であったがその出世をやっかんだ当時の上司・小木曽から執拗なパワハラを受け
統合失調症を患い休職、その結果タミヤ電機へ出向となった。
タミヤ電機では、上司と部下の板挟みと東京中央銀行京橋支店の古里課長代理による嫌がらせに苦しむが、
半沢に助けられ古里から融資を引き出すことに成功し、かつての覇気を取り戻す。
その後は傾きかけていたタミヤ電機の再建に情熱を燃やすと同時に渡真利とともに伊勢島ホテル再建を目指す半沢に全面協力する。
しかし実は「タミヤ電機」と半沢の抱える案件との間には意外なつながりがあった…
タミヤ電機の粉飾決算と転貸資金の存在を知り、その事実を田宮社長に認めさせて証言を得ることに成功するが、直後にそのことを知った大和田から「証言とそれに関する報告書を渡せば銀行へ戻す。さもなくば遠方に再出向」という取引を持ち掛けられ、それに応じてしまう。
銀行には戻れたが結果として半沢たちを裏切ることになってしまったため、取引に応じたことに負い目を感じていたが、最終的には半沢たちと和解し、3人で大和田を追い詰めるための証拠集めに奔走することになる。
ちなみに、DVD版ではこの後に田宮社長に対しても謝罪するシーンが追加されている。
原作ではこれ以降も半沢達の助けになるのだが、ドラマ2020年版では
役者の都合もあり「シンガポールに長期出張となった」という設定で登場しない。
「銀行は信用せえへんけど、あんたのことは信じるわ」
◇竹下 清彦(たけした きよひこ)
演 - 赤井英和
西大阪スチール社長倒産の煽りを食って倒産した竹下金属社長。
自殺を図ろうとしたところを半沢に止められる。
銀行を快く思っておらず、半沢のことも最初は信用していなかったが、半沢が同じように煽りを食ったマキノ精機を救ったことで考えを変える。
東田に落とし前をつけさせ資金を回収するために半沢に協力、第1部における半沢のパートナーとなる。
原作では自殺しようとはせず、会社を潰した責任を彼なりに清算しようと逃げも隠れもしない態度を見せていたことで半沢に信頼され、同時に竹下も誠意を見せた半沢を即座に気に入った。
大阪の中小企業の社長らしくアウトローな一面も持ち合わせており、「趣味のカメラ」で盗撮まがいの事をして半沢を手助けしていた。
しかし良くも悪くも真っ直ぐな性格の為か、恨んでいた東田が破滅した時は… 詳しくは東田のネタバレにて
「いいな、半沢。俺もできる限りのことはする」
◇内藤 寛(ないとう ひろし)
演 - 吉田鋼太郎
東京中央銀行東京本部第二営業部部長。第二部での半沢の上司でどこぞの支店長とは違いまともな上司。
半沢の能力、人柄を強く買っており、絶対的な信頼を寄せる。
上からの命令に対し反発する半沢を心配し、諌めつつも、常に半沢の味方をし、時に自分の立場を危うくしてでも半沢をかばい、守ろうとする。
半沢にとっては数少ない貴重な後ろ盾であり、まさに上司の鑑のような人物。
原作では以降の「ロスジェネの逆襲」と「銀翼のイカロス」にも出ているものの、役者の都合かドラマでは大和田に役割を奪われている。
「私は社長として、このホテルと、従業員と、そしてホテルを愛してくれたお客様を守っていく!」
◇湯浅 威(ゆあさ たけし)
演 - 駿河太郎
半沢が担当となった伊勢島ホテルの現社長。有能かつ非常に誠実な人物で、半沢を非常に信用しており、半沢も彼に厚い信頼を置いている。
同族経営の悪習を絶ち切り、ワンマンだった先代の父親の手法から脱却しようと努力していたが、羽根の策略によって窮地に追い込まれ、経営者として幾度となく苦渋の決断を迫られる。
最終的に、半沢ら(交渉役は渡真利)が秘密裏に交渉を進めていたアメリカの最大手ホテルチェーン・フォスターの資本受け入れによる傘下入りを決断する。
演じた太郎氏は直樹の父である半沢慎之助を演じた
笑福亭鶴瓶の息子。(鶴瓶の本名は駿河学)
「そうやって自分のミスを他人のせいにするのはよくないですねえ、半沢融資課長」
◇浅野 匡(あさの ただす)
演 - 石丸幹二
第1部のラスボス。東京中央銀行大阪西支店支店長。半沢の上司。大和田の派閥に属している。
西大阪スチールへの融資をごり押し、「責任は全て俺がとる」などとかっこいいことを言っていたくせに、融資の回収が困難になると態度を一変させ、全責任を半沢になすりつけようと画策。さらに、人脈を駆使して根回しをしてまで半沢を遠方に出向させようと企て、半沢の行動を徹底的に妨害する。
そのさまは“「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任」という言葉に服を着せたような人物”とまで評された。まさにクソ上司。
しかしその異常なまでに執拗な行動の裏にはあるもう一つの目的が…
↓の東田とは中学時代の同級生で、第一部の融資事故は浅野と東田が結託して起こしたものであった。
東田の計画に加担したのは自身が株取引の失敗で5千万もの借金を作ってしまい、どうしても金が必要だったためである。
計画倒産によって5億を騙し取った東田から見返りとして5千万を受け取っていた一方で融資事故の責任を半沢に全て擦り付けようとするが、半沢が反発したためあらゆる謀略を用いて出向に追い込もうとした。
だが最後には5億を無事回収した半沢に自身の不正の証拠を握られて刑事告発されそうになる。
しかし、その場に嫁さんが訪ねて半沢に「主人のことをどうかお願いします」と頼み込んだことで、半沢からの「自分を東京本部営業第二部に次長ポストで、さらに自分の部下(中西・垣内・角田)も希望の部署へ異動させろ」という温情の取引を受け入れた。
その後は大和田に切り捨てられる形で、本来半沢が出向する予定だった「レイエス工機マニラ中央工場」へ出向することになり、家族と共にマニラへ旅立つことになった。
その際妻とも存分に話し合うことができたのか銀行を退職し、田舎に帰ったとの事である。
実力はそれなりにあるのだがそれ以上にプライドが高すぎた。それは自分以外の人間を見下すという最悪の状態となって現れ、「アルルカンと道化師」では取引先の重鎮達との会合より自分のゴルフスクールを優先するまでに傲慢な状態となる。むろんその報いはしっかりと受ける事になるのだが。
それ以降も不相応な自尊心を発揮し、結果破滅の要因となっただが、それを除くと本当は家族思いの紳士的なエリート銀行員である。
公人としてはどうしようもない男だが、例え自らが追いつめられた状態でも家族と約束していた事はすっぽかさないなど私人としては善良だった為最悪の事態は免れる事ができた。人間何が幸いするかわからないものである。
余談だが、浅野を演じた石丸氏は翌年に放送されたルーズヴェルト・ゲームで、
廃部寸前となった青島製作所野球部を存続させるため、そして野球部員達のために行動するという浅野とは真逆の人物・三上文夫を演じた。
「そりゃできない相談だなあ。会社が潰れちまったのあんたもよく知ってんだろ?」
◇東田 満(ひがしだ みつる)
演 - 宇梶剛士
浅野とともに第1部のラスボス。西大阪スチール社長。見るからにガラの悪い大男。東京中央銀行から5億円の融資を騙し取り行方をくらます。
性格は見た目通り横暴だが、計画倒産や脱税に隠蔽工作等、策謀にたけた策略家としての一面もある。
表向きは自己破産したにもかかわらず、隠し財産で豪遊するなどとんでもない人物。
その真の目的は、衰退していく日本に見切りをつけ、騙し取った財産を用いてベトナムで新事業を立ち上げ、より大きな権力を握ること。
そのために竹下金属をはじめとする多くの関連会社を巻き込み連鎖倒産に追い込むなど、エゴの塊のようなド悪党。
最終的には隠し財産の場所を突き止められて新事業への闘志を含め全額を差し押さえられ、半沢に襲い掛かるも返り討ちに遭うわけだが。
「金さえあれば何でも出来ると思ったら大間違いだ!お前に人はついていかない、お前は…社長の器じゃない」
自らの破滅を悟り泣き崩れるその末路は、東田を憎んでいた竹下さえも 「あんまりにも哀れでこっちまで悲しくなってきたわ…」と半沢に話すほどであった。
誰に対しても傲慢に振る舞いながらも逃げ続ける東田と、不倶戴天の敵である東田に憐れみを覚える程優しい上に逃げずに堂々としていた竹下。
同じ大阪で頑張る二人の明暗は見事に分かれることとなった…。
「まったく 何がやり手のホープだよ。使えないにもほどがあるよ!」
◇小木曽 忠生(おぎそ ただお)
演 - 緋田康人
東京中央銀行東京本部人事部次長。
元秋葉原東口支店支店長で近藤の元上司。粘着質で陰湿な性格でパワハラの常習犯。近藤を休職に追い込んだ張本人。
元上司の浅野に加担し、半沢を追い落とすために様々な策謀をめぐらせる。ことあるごとに机をバンバン叩く。
しかしその最後の仕上げであったはずの裁量臨店で逆に半沢の策にはまった結果、不正な工作を行っていたことが明るみに出てしまい、あべこべに自分が左遷出向させられた。ざまあ。
「アンタ、人事部のくせに人を見る目が無かったようだな。私の部下はアンタに手懐けられるほどヤワではなかったということです。どこかの誰かとは違うんですよ…!」
○裁量臨店実施を二日前まで伏せて融資課一同に十分な準備をさせない
○検査対象の企業を業績不振等の問題がある企業ばかり選定する
○ファイリングされたヒアリング議事録等の書類を監査前に抜き取って書類不備を指摘する自作自演
…ご覧の通り、最初から半沢を出向させるために仕組まれた裁量臨店であることは火を見るよりも明らか。
○どのファイルに何の資料が備え付けられているかを夜中の1時までかけて全てリストアップ
○各資料をその日の朝刊と一緒にコピーしておき、朝までは資料が存在していたことを証明
○渡真利との(事前打ち合わせ無しの)芝居で検査役側の所持品検査を実行
そして、所持品検査の最後で小木曽の鞄から抜けていた資料が発見され、さらに中西の証言によって小木曽が資料を抜き取っていたことが確定、半沢達は勝利を収めることが出来たわけである。
…と言うよりも、半沢のペースを崩すために渡真利を連れてきたこと自体が小木曽の最大の敗因といえるかもしれない。
まだ何か
その後は事実上の降格処分をされたが、ラジオドラマではしぶとく出世を狙っていた。だがその為に卑怯な手を使ってしまい、今度は出向させられてしまった。
原作にも登場するも、原作での出番は裁量臨店の際のみで、原作で近藤を休職に追い込んだ支店長は業務統括部長代理の木村という人物。
そう、半沢の実家である「半沢ネジ」への融資の打ち切りを宣告したアイツである。
「アルルカンと道化師」にも小木曽は登場、半沢を攻め立てるも割りと余裕で反撃される(しかも仲間ごと〆られる)というある意味らしい出番であった
「あんたほんまにあほやなあ」
◇藤沢 未樹(ふじさわ みき)
演 - 壇蜜
東田の愛人で大阪ミナミのクラブ「アルテミス」に勤めるホステス。
西大阪スチールの倒産後も東田に付き従い、逃亡を手助けする。妖艶で冷徹な人物に見えるが、そんな彼女の胸の内にはある秘めた願いがあった。
東田の敵とも言えるクズ男とも付き合っておりそっちが本命、半沢にもそのクレバーさは評価されていた。そのせいか最終的にはその男を間接的に救う事となった。
原作では単なるキャバ嬢。半沢や竹下とは邂逅せず彼らの行動に怖がっているだけの女…と見せかけて落ち目の東田を切り捨てるなど冷徹でクレバーな部分はこの時点で持ち合わせていた。最終的には上記のクズ男と共に身を隠した。
一見すると男をとっかえひっかえする悪女なのだが、東田を見切った事が判明した時「落ち目の男にずっと尽くすほど馬鹿ではない」と意外と半沢には評価されていた。
ラジオドラマではその東田との娘が生まれている。
「誠実さ?そんなもので、このホテルが100年もやってこれたと思っているの?」
◇羽根 夏子(はね なつこ)
演 - 倍賞美津子
伊勢島ホテル専務。社員の中では最古参。
自分こそが伊勢島ホテルの社長にふさわしいと考え、大和田と結託してホテルの乗っ取りを企む狡猾な野心家。
120億円の損失を出した張本人でありながら反省の色を一切見せずに傲慢な態度をとり続け、あげく全ては2代目社長の湯浅威の指示であった等と抜かしてその責任を押し付け、ホテルを我がものとしようとする
クズ女。
もっとも、東京中央銀行が危機に陥れば伊勢島ホテルもただでは済まないはずなのだが、何故か半沢に全く協力しようとしないなどその行動には謎も多い。
原作には登場していないある意味で
ドラマオリジナルの登場人物。原作に登場するのは名前がよく似ている羽根夏彦という男性。
ドラマ版プロデューサー曰く「ホテルを愛し、仕事が全てでのし上がってきた人が陥ってしまった悪」という解釈の元、独身女性という
設定に変更したとの事。
最終的には、半沢ら(交渉役は渡真利)がフォスターとの交渉で提示した条件「湯浅の社長続投、株の運用失敗で損失を出した羽根の更迭」により、逆に自身がホテルを追い出されることとなった。
当然納得のいかない羽根はフォスターの資本受け入れを撤回するよう湯浅に直談判するも、湯浅に「私は社長としてこのホテルを守っていく、貴方とは違うやり方で」と切り返され、「その強引さは先代そっくり、そのワンマンのせいでこのホテルはダメになった」と吐き捨てる。
だが半沢にはなにか思うことがあったのか「大和田には気をつけろ」とわざわざ忠告していた。
「これで大和田常務もお喜びになる」
◇岸川 慎吾(きしかわ しんご)
演 - 森田順平
東京中央銀行業務統括部長取締役。旧産業中央銀行出身。大和田の腹心で右腕。
大和田と同じく非道な人物で大和田の命に従って半沢を窮地に追いやるべく卑劣な妨害を仕掛けてくる。
また話術にも長けており、常務会では巧みに立ち回ることで話の内容を少しずつ頭取に不利な方向で運んでいき、頭取をじわじわと追い詰めていく。
一見大和田に忠実な配下だが、その裏には彼個人の目的が存在した。
実は岸川の娘が黒崎と婚約している事を知った半沢に「黒崎が岸川部長との個人的関係を秘匿したまま金融庁検査をしに来た」事を銀行やマスコミにリークすると脅され、それが嫌ならば「銀行員の良心」に従って「ラフィットへの迂回融資事件に関する報告書・伊勢島ホテル内部告発事件に関する報告書」の内容を明日の取締役会で認めてほしいと要請される。
翌日の取締役会では大和田に圧力をかけられ傾きかけるが、半沢に前日の件で威圧され、結局は大和田に指示されてラフィットへの迂回融資・伊勢島ホテルへの200億円融資を行った事を認め、「それはお前が勝手にやった事だろう」とシラを切っている大和田に自身の胸の内を叫んで泣き崩れてしまう。
「半沢!!お前の責任だぞ!あ?ふざけるなお前、支店長に土下座の一つでもしたまえ」
◇江島浩(えじま ひろし)
演 - 宮川一朗太
東京中央銀行副支店長。典型的な虎の威を借りる狐を地で行くような奴で、上司の浅野以上に傲慢。
浅野の威を組んで半沢を妨害するが計画は失敗、あえなく撃沈した。ざまあ。
浅野支店長出向とともに自分が支店長になると思い込んでいたが、結局は別の人物が新支店長として赴任してくることが決定し、敢え無く撃沈してぶっ飛んだ。バイバイキーン。
原作ではラグビー部で慣らした体育会系と小馬鹿にしたように言われている。…まさかこの後そんなラグビーの話「ノーサイドゲーム」を同じ作者が書くことになるとは…。
「アルルカンと道化師」に登場した際も浅野の腰巾着ながら、比較的常識的、良識的な判斷もできることが判明した。
余談だが彼の部下に「体育会系で脳みそまで筋肉でできてそう」な岸和田という男が登場するが、ノーサイドゲームにも同じく「ラグビーをやっている岸和田」が登場する。
…のだがノーサイドの方と違って半沢岸和田は無能で、危うく巨額の詐欺に引っかかりそうになっていた。 ラグビーつながりで狙ったのかな?
「完璧な仕事をしていれば、やられることもない。したがって、やり返す必要もない。要はやられる奴が無能なんです」
◇福山 啓次郎(ふくやま けいじろう)
演 - 山田純大
東京中央銀行融資部次長。第2部で岸川の命を受け、半沢に送り込まれた刺客。
情報処理能力に長け、データが全てと公言し、タブレットを常に持ち歩いている。
傲慢な性格で横柄な口調を飛ばし、他人の顔もまともに見ようとしない。
金融庁検査の模擬検査で半沢と対決するが、その人を舐め腐った姿勢を半沢につかれ敗北。要はやられる奴が無能なんです(笑)
その際の半沢の叫びから「弱点はシアーハートアタックとネタ交じりに言われることに…」
原作でもドラマでも第二部の時点で役目は終わった小物。
…と思いきや2020年版第二部にいきなり登場。
相変わらず傲慢で、半沢どころか、直属の上司である大和田を前にしても横柄な態度を崩さないタブレット中毒。
……であるが今まで人を見なかった男が「人を見る」ようになった。
…というか見すぎて人物の情報を集めるプロフェッショナルとなっている。
また気転も効くようになっており、とある大物役員を罠に嵌めたりともはや別キャラとなっている。
大和田への忠誠心は本物の為か、彼に対しては最後まで反旗を翻したりはしなかった。
◆第2期に登場
「証券会社はお客さんの将来に投資し、助けられる。俺は金融の力で、親父さんや瀬名のような技術ある人の役に立ちたい。」
◇森山 雅弘(もりやま まさひろ)
演 - 賀来賢人
東京セントラル証券 営業企画部 調査役のプロパー社員。仕事態度は真面目だが、銀行の出向組が幅を利かせる会社をおもしろく思わず、上司である半沢にも素っ気ない態度で接している。
自分が担当していたIT企業の大手・電脳雑伎集団の大型買収案件ではチームから外されてしまうが、目をかけてくれる半沢と向き合うことで、徐々に仕事に対する熱意を見せていく。
また、親友である瀬名を助けたいという想い、そして自分の仕事に対するプライドから、スパイラルの買収を阻止しようと奔走することに。
経営危機で社員を路頭に迷わせまいと重責を感じるフォックスの郷田に対し、今回のスパイラルによるフォックスの逆買収は両社が目先の難局を乗り切るためだけではなく、フォックスの子会社「コペルニクス」が手掛けるネット通販事業とスパイラルの検索エンジンとを組み合わせた事業の将来性を見据えたうえでの逆買収であると説明しつつ、瀬名が袂を分かった加納と清田がいつスパイラルに戻ってきていいよう彼らのデスクをそのまま残すなど、郷田同様に社員(仲間)を大切に考える人物で、尚且つ起業家として郷田を尊敬していることも伝え、郷田にスパイラルの傘下となることへの同意を促す。
半沢の活躍で電脳によるスパイラル買収が阻止されると、信頼できる仲間と仕事がしたいと瀬名からスパイラルの財務担当役員への就任を打診されるが、今後も金融業界で頑張りたいという考えを伝え、セントラル証券のアドバイザーの立場でスパイラルとコペルニクスによるネット通販事業に取り組むことになる。
スカイホープ航空の担当営業として開発投資銀行に融資の依頼に現れた際、谷川と打ち合わせをしていた半沢と再会を果たし、半沢からの頼みもあり帝国航空の余剰人員の受け入れ先として業績好調で事業拡大を予定しているスカイホープ航空の担当者を紹介する。しかし、白井の圧力でスカイホープ航空への開投銀からの融資が打ち切られ、帝国航空の整備士たちの受け入れ先が消滅すると、半沢への恩返しのためにスカイホープ航空への新たな出資者や帝国航空の整備士の受け入れ先を探そうとするが、その矢先、不注意から出先の階段で足を踏み外し転落して鎖骨を骨折し入院してしまう。退院後は半沢と共に伊勢志摩ステートと箕部の繋がりを追うため伊勢志摩に飛び、伊勢志摩ステートが箕部の親戚筋が経営する企業で、不正融資をもとに伊勢志摩空港の用地を買い占め、土地の売却で巨額の利益を得ていた事実を突き止めた。
頭取に裏切られたものの本当に1000倍返しの復讐をするべきか葛藤し、剣道場で稽古をしていた半沢の元に瀬名とともに病み上がりの体を押して現れ、掛かり稽古を通して正義のために自身の考えを貫くよう訴え、半沢が迷いを吹っ切る手助けをする。
就職先に金融業界を志望した理由は企業が持つ価値や技術を正当に評価し金銭的に支援できる手助けができれば、親友の瀬名の家族が夜逃げをしたような悲しい出来事を防げると考えたから。
「俺たちが目標とする男は、どんな奴が相手でも沈まないでいただきたい!堂々と戦ってください!」
◇瀬名 洋介(せな ようすけ)
演 - 尾上松也
IT企業「スパイラル」の社長。森山とは学生時代からの親友であり同期。
金銭に苦労しながら育ち、大学進学を諦めて小さなソフト開発会社に就職。その企業が倒産したのをきっかけに、同僚の加納と清田の3人でスパイラルを立ち上げ、会社と同名の検索エンジン「スパイラル」を開発したことで、スパイラルを一躍IT業界を牽引する企業に成長させた。
セントラルの森山と出身校の明成学園中等部では同じクラスの同級生で、お互い剣道部に所属しており親友の間柄であった。しかし、父の経営する万年筆の工房が倒産し一家で夜逃げをしたため、それ以降、森山とは疎遠となる。スパイラル買収騒動を機に森山と再会を果たすも、敵対企業のアドバイザーを務める東京中央銀行の子会社社員であることから、当初は森山に対しても猜疑心と怒りを露わにしていた。しかし森山の直筆の手紙を見て考えを改めた上で森山に対して激昂した事を侘び、その親交を回復する。自社のアドバイザーである太洋証券の裏切りを知ると怒りを爆発させ、買収防止のために東京セントラル証券を新たにアドバイザーとして迎える。
半沢からフォックスを逆買収するとの提案を受けた当初は難色を示していたが、郷田と対談した際、経験やノウハウが豊富で、なおかつ経営者のモデルとして尊敬していた郷田のアドバイスがスパイラルの成長には不可欠であるという旨の思いを吐露。それが郷田の心を動かし、フォックスがスパイラルの傘下に入る事への決定打になる。その後、フォックス買収の発表の記者会見の席上でIT界の超大物、マイクロデバイス社のジョン・ハワードがスパイラルとフォックスの子会社コペルニクスとが手がけるネット通販事業に対し、3億ドルの出資をするとの合意を取り付けたと発表することでスパイラルの株価が急激に上昇し、東京中央銀行は追加融資なしではスパイラル株を過半数取得できなくなる。
半沢の活躍で電脳によるスパイラル買収が阻止されると、信頼できる仲間と仕事がしたいと森山にスパイラルの財務担当役員への就任を打診するが、今後も金融業界で頑張りたいという森山の考えを汲み、森山にはスパイラルとコペルニクスによるネット通販事業の証券会社のアドバイザーとして携わってもらう事とした。
2020年版第二部では、個人情報保護法に抵触するリスクを承知の上、信頼する半沢からの依頼ということで虚偽の帝国航空再建案を社員たちにリークしたメールの発信源を突き止め、半沢にその情報を伝えている 。
その後、頭取に1000倍返しの復讐をするべきか葛藤し、剣道場で稽古をしていた半沢の元に森山と共に現れ、掛かり稽古を通して正義のために自身の考えを貫くよう訴えて、半沢が迷いを吹っ切る手助けをした他、白井と笠松にファイル復元ツール入りのUSBメモリを提供し、箕部の第一秘書である武田がパソコンのネットバンキングでUAE銀行の箕部の個人口座を管理していることを突き止めるサポートをした。
原作でも役柄は変わらないがまた最初から森山とはすぐに和解(むしろ森山が瀬名との再会を渋っていた)。
またその森山の紹介だからと半沢に対してもすんなり協力的であった。
2020年版第二部に当たる「イカロスの翼」には森山ともども登場せず。
そして一番の違いは原作の瀬名は加納と清田という裏切り者は容赦なく切り捨てた。良くも悪くも孤高な存在として描かれている。
「同期の皆さんで、証券部長の悪口大会ですか?」
◇新山 智美(にいやま ともみ)
演 - 井川遥
半沢や渡真利が情報交換する行きつけの小料理屋「上越やすだ」の女将。東京中央銀行の個人株主であると同時に銀行の内部事情に詳しい。
かつて東京第一銀行の行員(1999年度入行)で、自殺した牧野副頭取の秘書を務めており、牧野の部下であった中野渡とも仕事上で関わることがあった。
実は、牧野の自殺の第一発見者であり、牧野は彼女に宛てた遺書を残していた。
牧野の葬儀後、当時ニューヨーク支店長だった中野渡から牧野の死の真相を究明するための人材を探すよう依頼され、中野渡から提示された条件に合致する人物として旧S出身の富岡を探し当てる。
半沢たちの活躍で、牧野副頭取が不正融資先の企業からリベートを受け取っていた口座記録は、箕部が牧野副頭取が不正融資を公表することを恐れて彼を陥れ口封じさせる目的で捏造されたものであることが紀本の口から語られ、その様子を半沢のスマートフォン越しに聞かされ、牧野副頭取が無実であったことが証明され涙を流す。
「社員の命を預かっているんだ。こっちも命がけなんだよ!」
◇郷田 行成(ごうだ ゆきなり)
演 -
戸次重幸
PC・周辺機器販売の大手企業「フォックス」の代表。
瀬名の尊敬する起業家で、電脳からの敵対的買収にスパイラル側のホワイトナイトとして現れる。
しかし実際は投資の失敗で会社の身売りが噂されるほどの巨額損失を出しており、裏で東京中央銀行や電脳と繋がり、スパイラルの新株を購入後フォックスを電脳に吸収してもらうことでその損失を埋め合わせようと企んでいた。スパイラルの新株購入の資金1,000億円を東京中央銀行から融資してもらっていたが、その資金を「白水銀行から融資してもらっている」と瀬名に嘘をついたことがきっかけで、半沢たちにホワイトナイトのふりをしていたことを見抜かれる。
その後、半沢の仕掛けた策略でスパイラルによるフォックス逆買収の話が勃発すると「電脳に先に声をかけてもらったから」という理由であくまでも電脳側に筋を通す姿勢を示したが、電脳側からは「フォックスを買収したスパイラルを電脳が買収することと、直接フォックスを買収することは結果は同じだ」と、当初予定していたフォックスの直接吸収の約束を反故にされ絶体絶命のピンチに陥いる。
残された生き残り策であるスパイラルの逆買収による救済案も、スパイラルに対する不信感から暗礁に乗り上げそうになるが、森山から今回の逆買収は両社が目先の難局を乗り切るためだけではなく、フォックスのネット通販事業を手掛ける子会社「コペルニクス」とスパイラルの検索エンジンを組み合わせた新規事業には将来性があるためと説明を受け、更に瀬名から「尊敬する起業家であるあなたの経験に基づいた意見が欲しい」という切実な願いを聞かされたことが決め手になり、スパイラルの傘下企業となる道を選んだ。
原作でも有能な人物として書かれているが、それでも加齢の為かアイディアが出てこないと限界が近い事が揶揄されており、それもスパイラルの救済に乗る動機となっている。
「近ごろの若いのは部の飲み会にだって来ないのじゃけぇ」
◇苅田 光一(かりた こういち)
演 - 丸一太
東京中央銀行情報システム部開発グループ次長(2020年版)
広島弁をしゃべる男。旧S出身。半沢と同じ
慶應義塾大学からの同期入行。大学では相撲部に所属。半沢からの依頼で伊佐山が諸田から電脳雑伎集団のスパイラル買収案件情報をリークされた証拠のメールを調査するが、直前に伊佐山の息のかかったシステム部の行員によって受信記録ごとサーバーからメールデータを削除されてしまう。また、伊勢志摩ステートから箕部へ金が動いていた決定的な証拠となると思われた書類を盗み出した大和田を探しだす際には、渡真利経由の半沢の要請で社用携帯の
GPS情報から大和田の居場所を追跡した。
原作では法務部所属で一作目から登場。司法試験受験コース(支店勤務免除)というエリートコースに乗りながら受験失敗、関西支店へ転勤、出世レースから脱落し、それでは関西に骨を埋めようとマイホームを買ったらそれを狙いすましたかのように本部へ連れ戻され、妻子はマイホームのある関西へ残って単身赴任という銀行の不条理を背負ったような男だが、ドラマではその設定はない。原作において、一作目では半沢に頼まれて東田の隠し資産の差し押さえ手続きをする、三作目でも半沢が考えたスパイラル買収阻止のスキームに対して法的な問題点を指摘するなど、法務部所属という立場を活かした活躍をしている。
「私だって、みんなのために、一つくらい役に立たせてくださいよ。あの野郎、ギャフンと言わせてやる!」
◇三木 重行(みき しげゆき)
演 - 角田晃広
半沢の部下で東京セントラル証券営業企画部調査役。
バブル世代。東京中央銀行からの出向者。諸田が編成したスパイラル買収プロジェクトチームのサブリーダー。気が弱く事務能力すらない有様で、事務職社員から文句が出るほど。しかし半沢からは「三木は人の懐に入り込むのが得意なので、営業に向いている」と評価されている。
諸田のセントラル証券への裏切りを知りつつもそのことを咎めることができず、伊佐山の働きかけで東京中央銀行の証券営業部に配属されるが、営業ではなく総務グループでコピー取りやお茶くみなどの雑務ばかり押し付けられ、飼い殺しのような惨めな思いをする。半沢たちを裏切った後悔の念から、伊佐山が離席中にキャビネットに保管されている電脳のスパイラル買収スキームが書かれた書類の原本を撮影し、半沢にメールで提供した。
後日談が描かれた朗読劇では、自身の希望で総務部に異動したことが語られている。
原作でも役柄は同じであるが「営業に向いている」という評価すらない。
ドラマと同じく本社復帰後に望まぬ部署に送られいびられるシーンも描写されるなど可哀想な役柄であるが、それでも半沢の為に動く気概は持っている。
「銀行を見返せ!!!」
◇岡 光秀(おか みつひで)
演 - 益岡徹
東京セントラル証券代表取締役社長。第一部での半沢の上司。
かつては東京中央銀行の専務取締役だったが、権力闘争に敗れ1年前に現職に出向。半沢ら部下に対しては厳しい態度だが、銀行の取締役員には態度が消極的。上昇志向が強く負けず嫌いで、口癖は「銀行を見返せ」。
電脳のスパイラル買収に関する一連の責任を取らされる形で三笠・伊佐山・諸田が電脳へ出向させられることを半沢に伝えた時には「ザマァみろだ!」と喜びを爆発させた。
「半沢さん、どうかよろしくお願いします!」
◇神谷 巌夫(かみや いわお)
演 - 木場勝己
半沢が担当となった帝国航空の現社長。
公共交通機関として「赤字だからといって地方への定期便や貨物輸送を切り捨てると日本の運輸が成り立たない」という考えを持ち、現実を直視せず赤字路線にメスを入れることが出来ていなかったが、半沢が再建案の社員説明会で永田の背任行為を糾弾することで社員たちが経営危機に対して団結する雰囲気を作り出し、社員やOBたちが再建に関する意見交換の交流会を開く状況まで再建案に対する態度を軟化したことから、半沢たちが準備した再建案の実行に舵を切ることを決断する。
「でも残念だなぁ。戦後の日本の誇りを持って働いているとおっしゃって下さって、なんだか、目頭が熱くなったのですが、あれも我々をまとめるためにわざと...。」
◇山久 登(やまひさ のぼる)
演 - 石黒賢
帝国航空 財務部長
資金の調達から管理運用まで、帝国航空の財務全般を取り仕切る金庫番。
対銀行交渉の窓口も務めている。
今の経営を否定して、再建のための改革を進めようとする半沢と対立していたが、半沢の仕事ぶりに信頼を置き帝国航空の再建に希望をもつ。永田の失脚後は、再建案の実行責任者に任命される。
実は、整備士の人員整理に頭を悩ませていたところ、曾根崎に再建タスクフォースに任せれば他社に受け入れさせなくても帝国航空に残留させることが出来ると丸め込まれ、金融庁に報告したデータが自分の事務的ミスであったとする証言を求められ、半沢を再建担当から外すことを強要されるが、余剰人員の受け入れ先としてスカイホープ航空を確約してきた半沢に問いただされたことで考えを改め、曾根崎が懐柔しようとする様子を録音した音声データを半沢に提出し、曾根崎が再建タスクフォースによる再建に誘導しようと暗躍していたことを証言する。
また最終回では、箕部の隠し口座のデータを入手してから会見までの短時間でドル換算から比較方法までデータにしたパワーポイントの資料を作成し、スライドの操作を担当した。
原作でも当初は半沢に反発心を抱いていたが、「タスクフォース」という共通の敵が登場した為かいつの間にか和解していた。
「貸すも親切、貸さぬも親切。」
◇谷川 幸江(たにかわ さちえ)
演 - 西田尚美
開発投資銀行・企業金融部第四部次長。
政府系金融機関「開発投資銀行」における帝国航空の担当者。政府の意向を汲み取りつつも自分の意見も巧みに通すタフ・ネゴシエーターとして「鉄の女」の異名で呼ばれており、政府からも一目置かれている。
帝国航空のメインバンクである開発投資銀行を差し置いて半沢が帝国航空の再建案を作成していることに抗議し、過去に帝国航空と同類に収益率が悪化した企業は3年後にはすべて経営破綻しているデータを示し、政府に再建を任せるべきではないかと半沢に意見をぶつけるが、帝国航空の経営状況を実際に調査した半沢から帝国航空の命運は尽きておらず、経営破綻するのは机上の空論であると反論される。
銀行主導でもタスクフォース主導でも帝国航空の再建には人員整理は避けて通れないことから、人員の受け入れ先として目星をつけていた業績好調のLCC・スカイホープ航空を半沢に紹介する。しかし、後に白井が新規路線の就航を認可させない材料とするため、開投銀の上層部に圧力をかけスカイホープ航空への融資を打ち切る決定がなされてしまったため、責任を感じて白水銀行にスカイホープ航空を紹介し、融資を回すように働きかけている。
タスクフォースから債権放棄を要求され、政府系銀行として行内の上層部の意向もあり政府の意見には逆らえないと悟りつつも、本心では半沢と同じく自立再建可能な帝国航空に対し債権放棄は不要と考えており、債権放棄の拒絶の道を探るべく行内で奮闘して粘り強く交渉していた。
父親も自身と同じ銀行員であり、「貸すも親切、貸さぬも親切」という父親の口癖だった言葉を大事にしており、タスクフォースの合同報告会当日「主力銀行、準主力銀行の方針に準ずる」という債権を保有する他銀行の意見表明の最中「主力銀行である開投銀が債権放棄を拒絶した場合はこれに準ずる」という取締役会の確約を得ていた半沢に対し「貸さぬも親切」とメールを送信し、暗に開投銀の債権放棄見送りの方針を伝達したことから、半沢はそれを受けて東京中央銀行の債権放棄拒否を宣言、遅れて会場に到着した自身も、開投銀の民営化が閣議決定されて政府の支配力の影響が弱まったことにより債権放棄の見送りを決議したことを宣言し、結果として全銀行が債権放棄を拒否することとなった。
国交大臣の白井が帝国航空の再建には銀行の債権放棄は不要で、東京中央銀行の再建案に沿えば再建できると発言したことから、帝国航空の主力銀行として半沢たちが作り上げた再建プランを引き継いで、帝国航空の再建に尽力することを誓う。
「反社、マル暴、政界、経済界の著名人...。旧Tが絡んだ裏の取引、もう...悪の巣窟だ!全く...!!」
◇富岡 義則(とみおか よしのり)
演 - 浅野和之
東京中央銀行本部 検査部部長代理。
旧S出身。「東京中央銀行の生き字引」と呼ばれる存在。半沢が新人時代、産業中央銀行八重洲通り支店に赴任した時に世話になった大先輩。大和田も新人行員の頃に銀行員のイロハを教わったと彼のことを慕っている。半沢や大和田からは親しみをこめて「トミさん」と呼ばれている。「出向待機所」とも言われる検査部に10年在籍している。
箕部への融資の詳細を探る半沢に協力を申し込まれ、全国に7か所ある書庫センターのどこかにクレジットファイルが保管されているのではないかと助言を与える。
実は牧野副頭取が自殺した当時、ニューヨーク支店に在籍して思うように動けない中野渡から自身の代わりに牧野副頭取の死の真相を究明できる人物を探して欲しいと依頼を受けた牧野の秘書であった新山によって、中野渡が提示した「旧Tから遠い旧S出身で、優秀で派閥の論理に左右されず、口が堅く忠実に調査を行える行員」に該当する人物として人選され、中野渡から牧野副頭取の死の真相、旧Tの不正融資の実態の調査の特命を受け、本部の中枢から一番遠い検査部を隠れ蓑にしてその役目を引き受けていた。
半沢たちが奇しくも旧T時代の箕部への不正融資の流れを追っており、その調査の応援を半沢に要請されたことから中野渡の特命のことは伏せながらも協力し、半沢の策略で突き止めた書庫センターに架空の店舗・荻窪西支店に偽装し保管されていた不正融資の証拠書類を、紀本の息のかかった行員に隠蔽されてしまう前に全て本部地下4階の秘密の保管場所に引き上げる。
旧T時代の不正融資を公表すれば東京中央銀行の社会的信頼が失墜することが明らかであることから、公表することに迷いを生じていたが、半沢が説いた不正を世間に謝罪し、二度と過ちを犯さないと誓い、信頼を取り戻す「覚悟」が必要という言葉で迷いを断ち、自分たちが信念を捨てなければ銀行は必ず立ち直れると信じ、不正を公表する「覚悟」を決めた。ドラマでは不正が公表された後の富岡について言及されていないが、原作では子会社の東京中央クレジットへ出向する事を富岡が半沢に伝えている。
◇牧野 治(まきの おさむ)
演 - 山本亨
元東京中央銀行副頭取。旧東京第一銀行出身。
前身の旧T時代から副頭取を務め、中野渡や紀本、新山らの当時の上司だった。合併後の東京中央銀行でも引き続き副頭取を務め旧T時代の不良案件の処理を行っていたが、帝国航空の債権放棄問題勃発の10年前(2010年9月6日)に仕事部屋として使用していたホテルの浴槽で自死を遂げており、当時の部下たちが「棺の会」と称する会を立ち上げ、彼の命日には追悼のため墓前に集まっている。自死の理由は、合併後に上層部で旧T時代の不正融資が問題に上がり、その融資全てに関わっていたためだとされていた。
しかし彼の自殺の真相は、箕部への融資に反対していた牧野に対し、旧Tが抱える不正融資の情報を掴んだ箕部がそれを盾に取り空港用地を購入する20億円の融資を強引に承認させ、その件を警察に通報されることを防ぐため不正融資先から高額なリベートを受け取っていた口座を箕部に捏造され口封じされており、無実を主張することも出来たが弁明すると旧Tが抱える大量の不正融資が表に出ることになってしまうため、旧Tを守るために全ての不正融資の罪をひとりで被る決意をしたためであった。
原作では旧T最後の頭取で、合併後に東京中央銀行副頭取に就任したという設定。副頭取就任後に発覚した詐欺事件に旧T時代の不適切融資が関わっていることが発覚し、特別背任罪で逮捕されたが、保釈中に自宅で自殺した。
その自殺については中野渡にドラマ版同様「旧Tを守るべく真実を隠蔽するため」という認識を与えているが、一方で中野渡は牧野のことを国際感覚に秀でている優秀なバンカーと評価しており、しがらみに捉われて抜け出せなくなってしまったのだろうと推測している(原作では中野渡と牧野は別の銀行に属している)。
ちなみに「半沢直樹シリーズ」は同じ池井戸潤氏の「『不祥事』シリーズ」の後日談という設定であり、「『不祥事』シリーズ」第2作の「花咲舞が黙ってない」では旧T時代の牧野が登場。
旧Sとの合併を控える中、旧T会長で隠然たる権力を握る渡辺が管理する不適切融資に悩まされる姿が描かれている。
「聞いてんのか?(口パクで「詫びろ」)聞こえない?詫びろーっ!詫びろ詫びろ詫びろ詫びろ詫びろ!詫びろ半沢ーッ!」
伊佐山 泰二(いさやま たいじ)
演 - 市川猿之助
東京中央銀行証券営業部長。旧S出身。
周囲から「大和田の愛弟子」と呼ばれる程の大和田派の行員であり、いずれ頭取にまで出世し自分を取締役まで引き上げてくれると期待を寄せていた大和田を失脚させた半沢に恨みを抱く。
それ以来彼に対して大人気ない嫌がらせや煽り立てる発言を繰り返し、半沢を社会的に潰そうと画策するなど、その憎悪と敵愾心は最早異常の領域に達している。
諸田からリークされた電脳雑伎集団のスパイラル買収案件を成功に導き、ひいては証券部門と自身の地位を銀行内で向上させるために大和田を裏切り、三笠派に鞍替えして三笠にスパイラル買収案件への融資増額の後押しを要請する。
半沢に諸田からのリークによる電脳のアドバイザー横取りを突き止められても、息のかかったシステム部の行員にリーク情報が書かれたメールを受信記録ごとサーバーから削除させ、シラを切り通す。
裏で太洋証券やフォックスと手を組み、フォックスをスパイラルの「ホワイトナイト」として送り込んで、スパイラルの新株を取得したフォックスを電脳が一気に吸収合併することでスパイラルの株式の過半数を取得する詐欺まがいの買収スキームを立てていたが、半沢らの活躍や三木の買収スキームの情報提供により目論見を頓挫させられると、自身の電脳のアドバイザー契約の横取りを棚に上げ、半沢のスパイラル買収阻止の動きを逆恨みによるグループの利益に反する背任行為だと上記の言葉で謝罪を要求するが、「顧客第一主義」でスパイラルから要請された買収防止アドバイザー就任による筋の通った正当な行為であり、非難される筋合いはないと半沢にやり込められる。
その後、スパイラル買収のため500億円の追加融資を進めようと役員会に稟議を上げるが、電脳の粉飾を見破れず半沢の糾弾に合い、さらに三笠に全責任を擦り付けられ、半沢に対する謝罪を強要される。
しかし、この追加融資には伊佐山自身も知らなかった闇が隠されており...
原作では将来経営の中枢入りは確実と言われているエリートで、最初から旧Tの三笠副頭取の配下にいた。
大和田が登場しない為「大和田の愛弟子」という設定は存在しない。ちなみに半沢への敵意は変わらないが、原作では悪役度が過剰に演出されていない。
ちなみに容姿は190㎝程の巨体で馬面で眼鏡をかけており、着ているスーツも濃紺のスーツと、ドラマとは全く異なっている。
また演者の猿之助氏は大和田を演じた香川照之氏といとこ同士である。
「もういいでしょう。お引き取りを。」
◇平山 一正(ひらやま かずまさ)
演 - 土田英生
電脳雑技集団社長。
35歳で総合商社を退社した後、妻・美幸と共にゼロから電脳雑伎集団を築き上げたワンマン経営者。
ベンチャー企業の社長であるが元商社の為常にスーツ姿という「お硬い人間」であるが、派手好きな妻とは割りとなかよし。
自社の基盤をさらに盤石なものとするためスパイラルの買収を画策するも、買収に際しメインバンクの東京中央銀行から経営状況を調査され粉飾決算を突き止められることを恐れ、経験の浅い子会社の東京セントラル証券に買収のアドバイザーを委託する。後日、スパイラルの買収案件を掴んだ伊佐山から提示されたスパイラル買収スキームに魅了され、アドバイザーを東京中央銀行に乗り換えるが、最終的には半沢に粉飾決算の事実を突き止められ、森山に裏帳簿のありかまで突き止められたため、観念して粉飾決算を認め、真実を証言する。
「説明する必要、ありますの?」
平山 美幸(ひらやま みゆき)
演 - 南野陽子
電脳雑技集団副社長。
一正の妻。大阪市内の大きな商家出身でヒステリックな性格。高圧的な態度で社員たちに接し滅私奉公を求める態度が抜けておらず、半沢らに対しても高飛車な態度を取る。原作によると「面倒見がいい」らしいが、小説、ドラマどちらでももちろんそんな姿は見られない。
半沢が財務担当役員の玉置と接触しようとした際には、いち早くその事をかぎつけ、夫婦で半沢らの前に立ちはだかる。
最後は森山に裏帳簿の写しを突きつけられるも、出所の分からない資料など認めるはずがないとシラを切り通そうとするが、元財務担当の玉置から教えられた裏帳簿の隠し場所から森山に原本を取り上げられると、自身の悪行を棚に上げ、賄賂を渡したのにスパイラルの買収も失敗し、粉飾決算までもばれてしまったのは全て三笠のせいだと責任転嫁し悔しさをにじませる。
常にヒステリックであるが夫とは仲がよく、最後の最後まで仲違いはしなかった。しかし原作の最後では…?
「人を刺すときは、準備は念入りに。仕留めるのは一瞬で」
◇三笠 洋一郎(みかさ よういちろう)
演 - 古田新太
東京中央銀行副頭取。いつもボールペンをカチカチ鳴らしている。
物静かだが決して温厚な性格ではなく、本性は極めて冷酷で部下を平然と切り捨てる男。
反中野渡派の筆頭で、頭取派に鞍替えした大和田にも強い対抗心を燃やし、虎視眈々と中野渡頭取の失脚を狙っている。
同じ証券部畑である伊佐山が大和田を裏切って電脳のスパイラル買収案件を手土産に接近してきた際には、彼を自分の派閥に受け入れる。伊佐山の要請でスパイラル株買収の融資増額の後押しを引き受け、スパイラル株を所有する元役員の加納と清田に揺さぶりをかけて、時間外取引によりスパイラル株の30%を取得する。
半沢がスパイラルとのアドバイザー契約締結で東京中央銀行への対立姿勢を明確に打ち出すと怒りを顕わにし、完膚なきまでに叩き潰せと伊佐山に指示を出す。そして自らもスパイラルがフォックスを逆買収しようとする動きがあることを証券取引等監視委員会に密告し、スパイラルのアドバイザーであるセントラル証券に監視委員会の監査が入ったことをマスコミにリークすることでスパイラルの株価を急落させ、スパイラル株を容易に買い占められるよう仕掛けるが、半沢たちの尽力でスパイラルによるフォックスの逆買収が成功し、瀬名がIT界の超大物であるマイクロデバイス社のジョン・ハワードからスパイラルとフォックスの子会社であるコペルニクスが手がけるネット通販事業に対し3億ドルの出資を取り付けたことでスパイラルの株価が急激に上昇し、逆にスパイラル株の過半数取得に500億円の追加融資が必要となる状況に追い込まれる。スパイラルの買収が暗礁に乗り上げ、自身の面目を潰されそうになった三笠は役員会で追加融資の決済の合意を取り付けるため、行内融和を建前にしつつ、常務のポストに推薦することを持ち掛け敵対する大和田に頭を下げ協力を願い出る。
役員会ではスパイラル買収への融資増額の意義を熱弁し、大半が融資の方向に傾いたが、大和田の手引きで役員会に単身乗り込んできた半沢によって、証券営業部が電脳雑伎集団の粉飾決算を見落としていたことを報告される。
三笠は粉飾決算を見抜けなかった責任を伊佐山になすりつけ自身は責任を逃れようとするが、三笠の妨害により伊佐山が粉飾決算を調査する機会を握りつぶされたこと、さらに平山夫妻からスパイラル買収を穏便に済ませる見返りに賄賂を受け取っていた証拠を半沢に突きつけられ、言い逃れのできない状況に陥り、その後スパイラル買収の追加融資の稟議が否決されると、伊佐山・諸田と共に財務状況の立て直しという名目で電脳に出向させられる。
「平山社長なんか一度たりともあったことがない!無関係なんだよ!!」
◇広重 多加夫(ひろしげ たかお)
演 - 山崎銀之丞
太洋証券・営業部長。
スパイラルの電脳からの敵対的買収に対し、発行した新株をホワイトナイトのフォックスに買取してもらう対抗策を提案し、アドバイザーとして関わる。
実は、裏で伊佐山や電脳と通じており、電脳がスパイラルの新株を購入したフォックスそのものを吸収することでスパイラルを乗っ取る伊佐山の買収スキームに加担していた。しかし半沢たちの尽力で東京中央銀行や電脳と内通していたことが露呈したことで、瀬名は新株発行を中止し、東京中央銀行との違法性の高い買収スキームへの加担も成果報酬型の契約であったため、どちらからの手数料も受け取れないままスパイラル買収案件から撤退する羽目になった。
半沢と森山に問い詰められる時の一連の流れ
半沢「森山110番!」森山「(食い気味に)はい!」
広重「マ↑ッテ↑! 待ってくださぃ…」はそのリズム感と異様に高くなった声質もあって人気である。
「セントラルなんて、ゴミ溜めみたいなもんですから(笑)」
◇諸田 祥一(もろた しょういち)
演 - 池田成志
半沢の部下で東京セントラル証券営業企画部次長。銀行出向組。
自身が編成したスパイラル買収プロジェクトチームのリーダーを務めているが、東京中央銀行への異動を見返りに伊佐山に電脳雑伎集団のスパイラル買収案件の情報をリークする。
銀行に戻ってからは伊佐山の腰巾着として振る舞っていたが、スパイラル買収の追加融資の稟議が否決された後に、半沢に連れ出され、セントラル証券のプロパー社員たちの前で彼らを裏切りったことを謝罪させられた。
その後、電脳の案件に関わっていたことで財務立て直しの名目で三笠・伊佐山と共に電脳に出向させられる。
原作では役員会の帰路で半沢に呼び止められ謝るように促されるのみで、出向にもなっていない。
「what is the best way?」
◇紀本 平八(きもと へいはち)
演 - 段田安則
東京中央銀行・債権管理担当常務。行内に広い人脈を持つ有力者の一人。
ニューヨーク支店から本店への異動を命じられ、常務取締役(債権管理担当)に着任したエリートバンカー。当初は半沢に協力的な態度をとっていたが、曾根崎からの報告と白井訪問の際の態度を見て、半沢を帝国航空の担当から外すように中野渡頭取に進言する。
実は裏で政府と繋がっており、曾根崎に命じて帝国航空の再建計画案の数値の改ざんを指示した張本人であった。役員会議では進退を賭けた決死の演説で債権放棄を受け入れる方向に誘導することに成功するも、主力銀行である開発投資銀行が民営化されることで政府からの支配が弱まったことを契機に債権放棄を拒絶することを決定し、東京中央銀行など他の銀行も開投銀の回答に倣うことを表明していたことから、目論見は頓挫する。
箕部のクレジットファイルの隠し場所が、牧野副頭取が新山に残した遺書に書かれているというデマを半沢と結託した大和田に吹き込まれ、新山のもとに遺書を確認に行ったことで、暗に箕部への不正融資に自身が関与していたことが発覚する。しかし箕部への融資は回収済みで、他の不正融資は牧野副頭取が行っていたと警察は処理しており「わざわざ過去を掘り返し棺を開けるような真似をするな」と開き直り半沢を懐柔しようとしたため、銀行員には時効はなくけじめをつけなければいけないと半沢に問い詰められる。
灰谷の自供により、旧T時代の不正融資を全て取り仕切っていたことが判明し、半沢が黒崎に協力を要請したことで掴んだ「棺の会」メンバーたちの個人口座への不正融資の金の流れの証拠を突きつけられたために観念する。その際、全ての罪を牧野副頭取に被せるよう、不正融資先の企業からリベートを受け取っていた牧野副頭取の個人口座を捏造したのではないのかと半沢から問い詰められ、箕部に逆らえないために捏造は仕方のないことであったと弁明している。そして唯一入手できていなかった伊勢志摩ステートから箕部への入金の流れが記された手がかりを本部地下5階の役員専用金庫に保管していることを白状して半沢たちを案内するが、その証拠は福山から連絡を受けた大和田によって半沢たちが回収する前に盗み出されていた。
保管していた箕部の資料を奪われた失態から箕部を恐れてホテルに潜伏していたが、半沢に居場所を突き止められ、箕部の不正な金の流れの証拠は箕部本人か、彼の第一秘書の武田だけが知っていることを吐露する。
箕部の不正が明るみとなった後は、白井大臣と共に乃原のこれまでの恐喝まがいの銀行への債権放棄の強要を告発した。
その後の動向は不明だが、箕部の共犯者として逮捕された可能性がある。
「な、なんて言えばいいんだよ...何もかもあなた(紀本)の指示でやった事じゃないか...」
◇曾根崎 雄也(そねざき ゆうや)
演 - 佃公彦
旧T出身。縄張り意識が強く、審査部による帝国航空の再建タスクが一向に進まないことに業を煮やした中野渡頭取により営業二部の半沢をリーダーとする新体制に再建担当を変更されたことを縄張りを荒らされたと見なし、半沢を敵対視する。
帝国航空へ前回150億円の追加融資を行った際に金融庁へ提出した東京中央銀行による再建計画の数字が、帝国航空が発表した再建計画の数字と違っていた理由は帝国航空の山久の事務的ミスであると黒崎に虚偽報告し、金融庁の聞き取り調査をしのいで既成事実をつくり、その後、整備士の人員整理に頭を悩ませていた山久に口裏を合わせ続けてさえいてくれればタスクフォース主導の再建に誘導し、人員整理せずとも帝国航空に穏便に整備士を残留させることができると山久を懐柔する。
そして翌日、自身が再建担当に再任されるよう半沢を再建担当から外す嘆願書を捏造し、山久に書類の内容を確認させず彼の名前でその書類に捺印する。しかし、半沢がスカイホープ航空から帝国航空の余剰人員受け入れの確約を取り付けたことで、受け入れ先の心配がなくなった山久から曾根崎に偽証するよう懐柔されたことを証言してもらい、頭取を前にした聞き取り調査で曾根崎が山久を懐柔する様子を山久が録音した音声データが公開され不正が発覚、半沢に糾弾される。曾根崎が金融庁調査で黒崎に虚偽の報告をしたことを中野渡頭取は不正はいずれ暴かれるとの考えから正直に金融庁に報告し、東京中央銀行は業務改善命令を受けることになり、帝国航空の債権放棄の拒否が難しくなる局面を迎える。その後、大和田に出向先を優遇する条件を出され、帝国航空への融資を通すため再建案の数値を改ざんする指示を出していたのは政府とつながりのある紀本であることを白状する。
後日談が描かれた朗読劇では、出向先の東京中央クレジットに赴任してから半年後に東京中央ファイナンスに再び左遷させられたことが語られている。
「特にまずいのはパイロットの待遇見直しです。こんなものが彼らの耳に入ったら!」
◇永田 宏(ながた ひろし)
演 - 山西惇
帝国航空財務担当役員。東京中央銀行からの出向者。
悪い角田課長。
かつて、東京中央銀行伊勢志摩支店での勤務時代、担当する融資先の企業を通して融資した金の一部を進政党の代議士である兄、栄一へ献金しているのではないかという疑惑が浮上したため、話を収束させるため当時伊勢志摩支店の支店長であった紀本の根回しで6年前に帝国航空に出向させられた過去を持つ。
経営陣はそのままに帝国航空の社員だけがリストラされるという虚偽の再建案をリークしたメールの発信源を半沢が調査したことで、帝国航空の取引会社である丸岡商工と結託してポスターなどの印刷物を帝国航空に不正請求して経費を丸岡と着服して私腹を肥やしていたとともに、兄、栄一へ政治献金として横流ししていた事実が発覚。半沢から帝国航空の社員向けの再建草案説明会の場でその背任行為を暴露、非難され、社員たちから怒号を浴びてその場から逃げ出した。
ちなみに原作には登場しておらず、彼の存在なしに半沢と帝国航空は協力関係となる。
なお兄「栄一」を演じた八十田勇一氏とは「しにものぐるい」という演歌歌手ユニットを組んでおり共演も多く、また異様なほどそっくり。
別のドラマでも双子役を演じる程であるがどうやら血縁関係はないらしい。
演じる山西氏は数年前に放送された大河ドラマ「真田丸」で堺雅人演じる主人公真田信繁を(秀吉ら権力者の思惑があったとはいえ)論争で打ち負かす僧の役を演じており、ある意味、この時の倍返しを果たしたことになる。真田丸ファンは必見である。
「グレートキャプテンが何だ。例え職を失っても、私はお前を逃さん…!」
◇木滝 英雄(きたき ひでお)
演 - 鈴木壮麻
帝国航空のベテラン機長。通算フライト時間1万5000時間を数える「グレートキャプテン」であり、帝国航空の看板的存在として知られる。OB等にも顔が広く影響力も強い故、社長である神谷ですら口出しが難しいほど。
リークに記された虚偽の再建案を信じ込んだことで最初は半沢に不信感を抱く。半沢が訴えた「伝統に縛られることなく部署の領域を超え、社員全員が問題を共有できれば帝国航空は息を吹き返すことが出来る」という考えにも「私以外がどうなろうと構わない」として去ったが、やはり心にはどこか引っかかっていたようで最終的には協力。丸岡商工との取引状況の調査に加え、逃げ出した丸岡を取り押さえて車へ戻す活躍まで見せた。
余談だがこの時の半沢と木滝の詰め寄り方が明らかにカタギの言動じゃない事と、丸岡の臆病振り切った受け答えから作中屈指のシュールな光景となってたりする。
「いや~それにしても盛大でしたねぇ。白井大臣までお見えになるとは、お兄さんもさぞご満悦じゃないですか?」
◇丸岡 耕二(まるおか こうじ)
演 - 粟根まこと
三重県伊勢志摩市にある印刷業者・丸岡商工の社長。
帝国航空の永田と結託してポスターなどを架空発注や水増し請求する不正請求で経費を横領するとともに、永田の兄である進政党の衆議院議員・永田栄一に政治献金として横流しするなど、帝国航空を食い物にしていた。
銀行による帝国航空の再建案が実施されると、取引先に対しても経営改善のメスが入り、過剰な発注が多い丸岡商工が真っ先に切られることを危惧した永田から、銀行による再建を潰し政府による再生タスクフォース主導の再建に誘導すべく、社員だけがリストラされる虚偽の帝国航空再建案を社員たちにリークして銀行と敵対させる工作を依頼され、使い捨てのメールアドレスを使用してそれを実行する。しかしその工作を突き止めた半沢が帝国航空の木滝と協力して架空発注・水増し請求の件について
問い詰めたことで、永田が裏で手引きしていた事実を吐かされた。
「二度と私に逆らうんじゃ無いよ?!」
◇箕部 啓治(みのべ けいじ)
演 - 柄本明
政権与党「進政党」幹事長・衆議院議員。原作では進政党の創立メンバーの一人である大物代議士だが、党内の役職や衆参両院どちらの議員であるかまでは明かされていない。
三重県伊勢志摩市を地盤としており、空港誘致に大きく介入したことから伊勢志摩空港は地元住民からは「箕部空港」とも呼ばれている。
新内閣の組閣内容に的場首相が意見を乞うなど、進政党の陰の実力者で、白井を国土交通大臣へ大抜擢したのも、箕部の剛腕によるもの。
的場首相に
土下座をして白井を国交大臣に推薦するなど、目的を果たすためにはプライドを捨てる真似をもいとわない老練政治家でもある。盆栽が趣味で、幹事長室で暇を見つけてはお気に入りの松の鉢植えを手入れしている。
帝国航空に債権を持つ銀行がすべて債権放棄を見送った後も、再び債権放棄に傾けさせるため、債権放棄を見送るように中野渡頭取が他行をけしかけた疑惑があるので、中野渡頭取を国会に参考人招致するかもしれないとにおわせ、揺さぶりをかける。
自身の身辺調査をしていた半沢と大和田を直々に呼び出し、牧野副頭取が不正融資を行なっていた会社からリベートを受け取っていたという口座の入金記録を見せつけ、東京中央銀行に業務停止命令が下される可能性を示唆し金融庁長官に電話をかけ暗に脅しをかけ、半沢たちが自身の不正融資を嗅ぎまわることを阻止する。
実は15年前にマンション購入資金の名目で5年間無担保の条件の元旧東京第一銀行に融資させた20億円を、そのまま自身の親族が経営する伊勢志摩ステートに転貸し、その20億円で当時地価が下がっていた伊勢志摩市の山林の土地を買い占めさせた後、自身が政治介入して伊勢志摩空港をその山林に誘致、空港用地として高騰した土地を売却することで、伊勢志摩ステートが得た巨額の利益から一部をリベートして自身に還元するという「錬金術」を行っていた。
そしてとあるホテルのレストランの個室で中野渡頭取と大和田と密会し、中野渡頭取は証拠の書類を箕部に渡してしまうのであった。
過去の不正について「全て公表、謝罪をすべき」と主張する半沢に対し、箕部は「筋はそうかもしれない。でも理想と現実は違うよ。これ(証拠)が出たら君たち、銀行はどうなると思う」と静かに脅す。
さらに、「この日本には、相手に思いを伝えるために、古来から引き継がれた素晴らしい礼法がある」とし、半沢に土下座をするよう要求。
当初は穏やかに「ささささ、ほら、やりなさい」と穏やかな口調で促すも、一向に動かない半沢にしびれを切らし、最後は、
と鬼の形相で怒鳴りつけた。
大和田も箕部の意を汲んだかのように半沢に土下座を勧める。
大和田は、しばらく説得を続けたが 、あまりにも頑固な半沢に背中に飛び乗り、なんとしても土下座させようと物理的に力の限りを尽くすが、半沢がそんな事に屈するわけなく土下座を拒否。
押さえつけていた大和田はふっとばされ、更に半沢には大和田、中野渡頭取とともに「この借りは必ず返します、やられたらやり返す、倍...いや、3人纏めて1000倍返しだ!!!」とリベンジを宣言された。
その後、マスコミを集めて再度開かれたタスクフォースによる帝国航空の債権放棄の報告会の場で、帝国航空上記の錬金術によって旧Tから不正融資させた20億円を優に超える100憶8000万円もの不正資金を2007年から2020年の13年間にかけて定期的に伊勢志摩ステートから受け取り、これらの入金を、選挙運動収支報告書にも、政治資金収支報告書にも記載していないという事実を暴露されてしまう。
「記憶にない」と逃げ出そうとするも白井に制止され、半沢に「謝ってください、この国で懸命に生きるすべての人に、心の底から詫びてください!!!」とマスコミを通して国民に謝罪するよう迫られ、渋々土下座をした後すぐさまその場から小走りに逃げ出し、マスコミに追いかけ回される。
その数日後、政治資金規正法違反の他、脱税と収賄の容疑で東京地検特捜部に逮捕された(幹事長室に警察の家宅捜査が入るシーンがある)。
また、当初は制作側は小日向文世氏にオファーを出していたが、コロナ禍で番組スケジュールに狂いが生じたことや、裏番組とのカブリもあったことで急遽柄本氏になった。
原作では半沢たちにこっぴどくやられた後、白井と面会した的場の口から「進政党を離党した」と言われるだけで、法の裁きを受けたかどうかまでは言及されなかった。
ドラマ化に当たってその末路が詳しく設定された人物と言える。
◇野川 久志(のがわ ひさし)
演 - 市川しんぺー
伊勢志摩ステート社長。箕部の妻の甥にあたる。伊勢志摩周辺の経済界の顔役。
箕部の不正に関与していた。
「ねえ頭取、債権放棄じゃダメなんですか?」
◇白井 亜希子(しらい あきこ)
演 - 江口のりこ
国土交通大臣・進政党所属衆議院議員。元キャスター。
支持率回復を目指す的場政権の内閣改造の目玉として当選2期ながら国土交通大臣に大抜擢された。国民からの人気は絶大で、党の重鎮・箕部を後ろ盾に持つ。帝国航空の経営危機を利用して改造内閣の有用性をアピールし、女性初の首相の座に近づくことを目的に、諮問機関の帝国航空再生タスクフォースを立ち上げる。
半沢が政府の意向に反発することから、半沢による東京中央銀行の帝国航空再建計画を潰すため、帝国航空の余剰人員の整備士たちの受け入れ先として調整していたスカイホープ航空の東京 - ホノルル間就航の認可を否決し、余剰人員を受け入れ出来ないようにしてタスクフォース主導の再建に誘導する。だが、一方で東京中央銀行以外の帝国航空への債権を保有する銀行は全て債権放棄に応じると油断しており、閣議で開発投資銀行の民営化法案に反対しなかったことから開投銀は民営化される見通しとなり、開投銀が政府系銀行の立場から解放されたことで一転して債権放棄を見送られてしまい、合同報告会で開投銀と東京中央銀行の方針に準じると表明していた全ての銀行から債権放棄を拒絶されてしまう。自身の詰めの甘さから帝国航空の債権放棄に失敗した責任を取るため国交大臣を辞任し、離党届を提出する旨を箕部に報告するが、選挙の際の集票の広告塔とみなしていた箕部により離党届を差し止められており、自分の意向に従わない勝手なことをするなと叱責される。
その後も国交大臣を引き続き務めていたが、明らかに赤字路線で再建の目がないと思われる羽田 - 伊勢志摩路線がタスクフォースの再建案では撤退ではなく継続と判断されていたことに疑問を呈したところ、乃原は箕部からの今後収益が伸びる可能性があるとの助言に従い継続にしたと答え、箕部からは「最近耳が遠くて何を言っているか聞こえない」と凄まれたことから、それ以上その件について追及できなくなってしまう。
的場首相及び箕部からの指示で再度の債権放棄を迫るため東京中央銀行に赴いた際、自ら立ち上げた諮問機関であるタスクフォースを自身を差し置いて独断専行で取り仕切り、頭取の中野渡を単身呼び出し箕部を同席させた場で債権放棄の交渉を進めようとする乃原を嗜めるも、乃原から「タスクフォースは箕部先生のものだ」と言い放たれ、自身をぞんざいに扱う乃原、そして箕部に対する不信感を抱くようになる。
中野渡、大和田、半沢から10年前に箕部の策略にはめられ旧Tの不正融資の公表を防ぐため牧野副頭取が自死を遂げた話を打ち明けられ、アナウンサー時代に政治汚職を取り上げていたことから箕部に反旗を翻すことを決意し、箕部の悪事の証拠を掴むことに協力することを約束。
笠松が暴いたUAE銀行の箕部の隠し口座の情報を黒崎に連絡しUAE銀行名古屋支店の捜索に繋げた。再度開かれたタスクフォースによる帝国航空の債権放棄の報告の場では、タスクフォースの再建案は半沢たちが作り上げた東京中央銀行の再建案のほぼ丸写しであることを認め、東京中央銀行の再建案に従えば債権放棄は不要とマスコミに発表する。また、旧Tからの不正融資で伊勢志摩空港の用地売買で利益を得ていた証拠を突きつけられた箕部が逃げ出そうとするのを制止し、半沢が要求したように箕部が国民に謝罪することに力を貸した。
箕部の不正が明るみとなった後は、紀本と共に乃原のこれまでの恐喝まがいの銀行への債権放棄の強要を告発した。
また、国土交通大臣を辞任するとともに進政党に離党届を提出し、無所属議員として一から出直すことを決め議員事務所を開設した。
原作では気概を見せる事も無く終始乃原の味方かつ「広告塔」にしかなっておらず、半沢達にこっぴどくやられてしまう。
しかも的場総理大臣にタスクフォースの不備を咎められ、それでも往生際悪く食い下がるが「話は終わった」と見捨てられるラストであった。
ドラマ化に当たって善玉となった人物の一人と言えるだろう。
「おめえじゃなくて、頭取に聞いてんだよ!雑魚は引っ込んでろ!!!」
◇乃原 正太(のはら しょうた)
演 - 筒井道隆
弁護士で帝国航空債権タスクフォースのリーダー。傲慢な性格で名誉欲、金銭欲の塊のような男。
曲がりなりにも弁護士という身分でありながら、常にヤクザの如き横暴な態度で人に接し、煽り耐性も低い。
大の銀行嫌いで、自身がリーダーを務める再生タスクフォースの力を国民にアピールするため、帝国航空への債権を保有する銀行を一堂に集め、債権放棄することをマスコミの前で報告させる合同報告会を開催するが、当初より債権放棄拒否の方針であった準主力行の東京中央銀行、そして閣議にて民営化が決定し政府の支配から解放された主力行の開発投資銀行から債権放棄を見送るとの報告がなされ、主力行及び準主力行の方針に準ずると表明していた他行を含めた全銀行から債権放棄を拒絶されることとなり、合同報告会を急遽切り上げ、報告会の後に予定していた記者会見を中止した。
その真の目的は、手腕を発揮して弁護士としての地位と名声を上げることと銀行への復讐。
実は、小学生だった頃、紀本の父親が支店長を務める銀行が融資をしなかったため、地元伊勢志摩で父親が経営していた町工場が倒産してしまったが、倒産で銀行が迷惑を掛けられたと当時中学生だった紀本や紀本の友人からなじられバカにされたことから、それ以降銀行や紀本に対して私怨を持ち続けている。
かつて伊勢志摩市にあった朝原交通 という会社の顧問弁護士をしていた関係で、伊勢志摩ステートが空港用地となる山林を買い占めていたことを知り、そのことから旧Tが箕部へ不正融資をしていたことを嗅ぎつけている。
旧Tが箕部へ不正融資を行っていたことを把握していたことから、中野渡頭取に不正融資を公表されたくなければ帝国航空の債権を放棄しろと脅しをかけるが、物証は掴んでいないと中野渡頭取に見抜かれており「やれるものなら、やってみろ」と凄まれる。マスコミを集めて再度開かれた債権放棄の報告会で、白井大臣が「タスクフォースはその使命を果たせなかったといえ、その責任は任命した自分にあり、リーダーである乃原弁護士の怠慢によるもの」とタスクフォースの失敗を認める発言をしたことで梯子を外される形となったことから「このアマ!!」と怒鳴りつけるが、逆にその不遜な態度を「その態度、恥を知りなさい!」と一喝される。
その後、紀本と白井大臣に強要罪で告発された事で弁護士会を退会処分となった(=弁護士の資格を失った)。
ちなみに原作では「樽のような肥満体に黒ぶちの丸眼鏡、針のように鋭い小さな目」「芋虫のような手を持つ巨漢の男でヘビースモーカー」と如何にもな悪役のような出で立ちにされている。
しかし幼少期の紀本への恨みは渡真利に「ガキの頃の恨みを今でも引っ張ってるか」とバカにされるが、少年期に親の会社がピンチになった経験を持つ半沢には共感された。
がむしゃらに突き進みいつしか悪行三昧の弁護士になった乃原だが、よくよく考えれば彼も半沢のifの姿なのかもしれない。
◇的場 一郎(まとば いちろう)
演 - 大鷹明良
内閣総理大臣。
低迷する支持率を回復させる為に、第二次改造内閣を発足させ、箕部からの推薦で白井議員を国交大臣に任命するサプライズ人事を決行する。
再建タスクフォースが合同報告会で銀行から債権放棄を拒否される失態を犯し党の面目が潰れたことから、選挙も近いこともあり、箕部と白井を呼び出し直ぐになんとか格好が付くようにしろと指示を出すが、箕部に土下座をされたために1週間の猶予を与える。
この手のドラマに出てくる「総理大臣」にしては珍しく、原作、ドラマ共に優秀…そして失敗し再紀の目が無いと判断した人物は即座に切り捨てる冷酷な人物として書かれている。
余談だが彼の立ち上げた改造内閣のメンバーはなんかウルトラマンっぽい名前の人物や声優っぽい名前の人物が書かれており若干ネタとなった。
「紀本さんですぅ...箕部先生の金の管理も...伊勢志摩ステートからの賄賂も...何もかも紀本さんが一人で取り仕切ってたことですぅ...」
◇灰谷 英介(はいたに えいすけ)
演 - みのすけ
東京中央銀行法人部部長代理。出世コースに乗っている。
紀本と同様、亡くなった牧野副頭取の部下で、棺の会のメンバー。
紀本派で半沢たちを冷たくあしらう。
実は旧T時代に箕部へマンションの建設資金として5年間無担保で20億円の融資の取次を行っており、後に半沢の策略に踊らされた紀本の指示で箕部のクレジットファイルが保管されている書庫センターに書類を確認に行ったところを田島と富岡に尾行され、クレジットファイルの保管場所を突き止められる。
紀本の指示で伊勢志摩ステートに転貸された箕部への不正融資の金を箕部と「棺の会」のメンバーたちの個人口座に振り分ける役割を果たしており、半沢に応援を要請された黒崎にそのことを定期的に訪れる居酒屋の店内で股間を握られながら追及され、その事実を吐かされた。その後は出向では生温いので、おそらく懲戒解雇、もしくは逮捕されたと思われる。
【余談】
原作の「半沢直樹シリーズ」と同じ世界観を共有する作品として「花咲舞が黙ってない」が存在しており、こちらは東京中央銀行のもう一つの前身・東京第一銀行の臨店班を主人公にしている。
「花咲」は日本テレビで通算3度ドラマ化されているが、2024年から放送されている第3シリーズには原作同様半沢直樹(演:劇団ひとり)が登場。他局ながら4年ぶりに半沢直樹がテレビドラマに登場して大きな話題となった。
だったら…土下座でもしてみるか? 君は言っていたよね? 這ってでも土下座してでも追記・修正してみせるとね。
さあ、君の覚悟を見せてくれ!
最終更新:2025年04月24日 17:36