日本沈没(映画)

登録日:2011/06/27(月) 00:59:39
更新日:2024/01/08 Mon 14:03:21
所要時間:約 4 分で読めます





「溶岩の血を流し咆哮する火山列島!
一億の民族をのせ、ああ日本が沈む!」



「日本沈没」



1973年4月24日公開作品。社会現象となった小松左京の小説を映画化したパニック映画の大作。
災害シミュレーションとしての評価も高い。

2006年にSMAPの草彅剛主演でリメイクされた。

▽目次

【概要】

「特撮の神様」円谷英二亡き後の特撮スタッフで製作された本作、手掛けたのは「ゴジラ対ヘドラ」で特技監督としてデビューした中野昭慶だった。

怪獣映画とは違い、科学的にリアルな現実を表現することを迫られた中野氏はメインスタッフとともに約1ヶ月技術顧問の講義を受け、撮影に取り組んだ。

建造物ひとつの崩壊からこだわったことで、リアルなシーンを演出。建築工学的にも忠実に再現することに成功した。

さらにダイナミックな爆発やスペクタクルシーンは見物であり、後にリメイクすることになる樋口監督は「怪獣の出ない怪獣映画」と表現した。

当時の暗い世相にマッチングした衝撃的な物語で本作は880万人を動員する大ヒットとなった。
また原作もヒットし、テレビドラマやラジオドラマも作られる等、当時最もヒットしたメディアミックス企画となった。


【ストーリー】

日本海溝での乱泥流、地震や火山噴火……。
相継ぐ異変に政府は《D計画》を発足、秘密裏に調査を行う。
その矢先に首都東京をM8.5の大地震が襲う!

そして導き出されたのは日本沈没という絶望の未来であった。
そんな中、一人でも多くの国民を救うべく、《D-2計画》が実行に移されようとしていた。

一億一千万の日本国民の運命は……。


◆小野寺俊夫(演:藤岡弘※現:藤岡弘、)
深海潜水艇の操縦者。
玲子と恋におち、いい関係になるが……。
仮面ライダー一号だが、今回は日本を救えなかった。

◆阿部玲子(演:いしだあゆみ)
伊豆の資産家の家のお嬢様。
渚で抱き合っていた所、天城山の大噴火に遭遇。

◆田所雄介(演:小林桂樹)
物理学者で海底火山の権威で日本沈没を予言した。
ある意味日本中を混乱させた元凶。

◆山本総理(演:丹波哲郎)
日本のトップとして国民を救うべく奮闘する政治家の鑑。

「問題の本質はだ、一億一千万、人間のきみ、人間の数だよ!?」

◆渡(演:島田正吾)
日本を影で支えるご老人。
山本に「D2基本要綱」を渡し、日本人の未来を託す。
一方で「日本は一度滅びた方がいい」と辛辣な場面も。


【メカニック】

◆わだつみ
日本海底開発興業株式会社保有の潜水艇。
深海調査を目的としており、理論上十万メートルまで潜ることができる。
乗組員一名を含めた三人まで搭乗可能。

◆ケルマディック号
フランスから購入した高性能深海潜水艇。
理論上の限界深度は六万メートル。
劇中ではただの背景だが、裏では日本海溝の調査で活躍した。
わだつみの色違いではない。

◆あかし
海上自衛隊初の海洋観測艦で1969年から海洋業務隊に配属。
劇中ではケルマディック号の母艦として登場。


【余談】

本編スタッフは黒澤組の系統、特撮スタッフは円谷組の系統が集められているため、
ある意味では黒澤組と円谷組ががっつりと組んだ唯一の作品といえる。

皇居に群衆が押し寄せるシーンは実際に皇居でロケが行われた。

コンビナートの爆発シーンは撒いたガソリンを気化させ、さらに「バックドラフト現象」を利用し撮影された。
現在では消防法等もあり再現は不可能。

続編にあたる「続 日本沈没」も製作される予定だったが、原作小説の発表の遅れにより、実現しなかった。

映画の様に日本列島が本当に沈没するかと言うと、何億年に一度という天変地異があったとしても影響が日本列島だけに限定されたり、数年で自体が悪化したりする様な事はない
むしろ日本列島は沈むどころか隆起しているという話もある。

テレビドラマ版

1974年放映のテレビドラマ版は映画版と同時進行で撮影が行われ、テレビドラマ用に撮影したカットが映画版に流用されたり、逆に映画用に撮影したカットをテレビドラマに流用したりしている。
なおドラマ独自の設定として
  • 原作小説では大地震で大ダメージを受ける東京が最後の方まで無傷
  • 田所博士に娘がいて、娘は死亡してしまうが田所博士は生き残る
というものがある。

【DVD】

オーコメでは原作の小松氏、助監督の橋本氏、特技監督の中野氏の三者による豪華なものとなっている。

小松氏は一部の不満はあれど作品の出来には満足していたらしい。
また、橋本氏、中野氏は撮影の苦労を色々と述べていた。

監督の森谷氏と特技監督の中野氏は助監督時代からの付き合いであり、黒澤明と円谷組という間柄から互いに刺激しあっていたらしい。


『日本以外全部沈没』

リメイク版が公開された際に製作されたパロディ小説。
この頃のSF作家の座談会で発生した小松氏公認パロディで、座談会で筒井康隆氏が指名されて執筆した。
タイトル通り日本以外のすべての陸地が沈没し、突如として世界で一番偉い民族になった日本人は次第に傲慢になっていくが、やがて報いが訪れるというストーリー。
「北海道に押し寄せた難民の虐殺にアイヌが全面協力」、「アメリカ大統領が難民と共に日本に逃れてくるが、黒人は一人も連れてこず、他国のリーダーもそれを称賛する」等のブラックジョークにも程がある描写が多数存在するため映像化は不可能かと思われていたが、本家「日本沈没」のリメイク版映画が公開された2006年にまさかの映画化。


日本沈没2020

Amazon primeより公開されたアニメ作品。
スマホやインターネットの活用が見られる現代風リメイク…と見せかけて「主人公の父親が山芋を掘ろうとしたら不発弾を掘り起こして爆死する」ことを始めとした超絶展開が目白押しとなっている。
あまりに強いオリジナル要素から賛否分かれる作品となっている。


日本沈没-希望のひと-

2021年に発表されたリメイク作。
救助活動に当たる自衛隊にもスポットが当てられているのが特徴。




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最終更新:2024年01月08日 14:03