北極熊事件(SCP Foundation)

登録日:2020/12/27 Sun 00:17:34
更新日:2025/06/25 Wed 22:57:09
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北極熊事件はシェアード・ワールド『SCP Foundation』における、財団ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズの起こした事件である。

◯目次


序文

オレゴン州ボーリングの町は、財団よりネクサスNx-17として指定される地域である。
この地域はNx-17は、世界の他の領域と比較して、1平方キロメートルあたり平均およそ350%の異常な動物相を生成/内包している。
……要はへんてこ生物が多数生息するエリアであり、在来種から外来種、誰かが作った改造生物までありとあらゆるものがアノマリーなのだ。

この地域のアノマリーのリストアップに財団は苦戦していた。
かつ、そもそも財団が持っている資産も豊富とはいえ無限ではない。
財団より先行して、効果的な収容をしている団体があるのなら、それをうまくコントロールしてやればいい、と考えたわけである。
なお、財団の中にもこれに反対の立場を持っているものもいたものの、
この計画を推し進めたのが当地域を管理するサイト-64管理官のエドガー・ホールマンであったため表向きは強く言い出せなかった。
しかし、反対の理由は「WWSが活動の際にアノマリーの存在を外部に知らせてしまうのでは」というものであり、
現実に起こったのはそれとはもっと毛色の違う事件であったのだが――。

財団のWWSへの関与

財団サイト-64はWWS(当時はシェルター)をアンダーコントロールとするため、
エージェント・和島萌由美に萩松ゆふゆという偽名を与え、実際に彼らの活動に参加させる。
そこから上がってきた報告は、「WWSが急速に拡大し収容対象も多くなった」とする懸念であったが、
財団サイト-64の会議においては「現状差し迫った危機があるわけではなく、懸念があるとすれば資金くらいであろう」とするものであった。
財団サイト-64としては、支出金額は低く抑えたいという欲求があった。
WWSのリスクはWWSの資金源のほかは彼ら自身が外部に知らせることくらいだが、
サイト-64はそれ自体はうまくいくと踏んでいた(そこだけネット回線をうんと遅くするなど)。
すべてをWWSから財団に移管するよりも、匿名の大富豪として手持ち資金を寄付に回すほうが有効であると踏んだわけだ。
エージェント・和島だけじゃ足りないのなら、補助の随行員も手配すればいい。

しかし、このときすでにひとりから警告はでていた。「そもそもWWSはボランティア集団、つまり素人だよな?」というもの。
また、このときでていた随行員というキーワードも覚えておいてほしい。

WWSの急速な拡大

ウィルソンズ・ワイルドライフ・シェルターは、害獣予防業者や地域の生態系研究施設としての役割も持った
ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズに改称、事業拡大を果たすことになった。
この時点で資金源は財団という大金持ちがバックに付いたので、それらの活動を行ってもなおお釣りが来るほどであり、
かつそれらの活動を行うことで地域への浸透も図れ、さらなる動物保護活動につながる。

エージェント・和島はWWS潜入エージェントとしてというより、
この時点ではもはやWWSのメンバーであるという自覚すら芽生えていた。
そのため、WWSの活動拡大を素直に喜んでいたのだが、一方で半分は財団である以上、
資金はともかく人員の数と収容に対しての知識不足、経験不足への懸念を持っていた。
そしてそれに速やかに対応しようとしない財団サイト-64、Nx-17研究チームへの不信感もあった。
テレポートカエル、反ミーム猫、その他諸々WWSの能力を超えたアノマリーも増加し、
また規模の拡大のために和島が把握できる範囲も超えつつある。

そして財団サイト-64はいまだに、手配するはずだった随行員を手配もしていない。
もはやWWSは小さい動物保護ボランティアではなく、地域密着型で成果を目的としないとはいえある種の企業体組織なのだ。
一方でティム・ウィルソンはその活動拡大に焦りもまた覚え、開く必要のないベイクセールを開いたりしていた。
この状況で、エージェント・和島以外にWWSを確認・監視できる人員がいないのは致命的である。

しかし財団サイト-64もまた、怠惰でWWSを看過しているわけでもなかった。
そもそも財団サイト-64は異常な麻薬密売業者をめぐり、その対処でUIUと抗争中であった。
また財団生物研究エリア-12ともまた何らかの問題を抱え揉めていた。
なによりオレゴン州は要注意団体、アンダーソン・ロボティクスの本拠地でもあった。
よって和島の警告にもすぐには大きな対処ができなかった。そして――

北極熊くん、大暴れ

Nx-17に、ある日ホッキョクグマが現れた。オレゴン州になんでホッキョクグマが現れたのかは知らない。ネクサスだし。
このホッキョクグマは反エントロピー特性を有する。簡単に言えば、周囲の熱を奪ってしまう。
つまり放っておけばホッキョクグマはオレゴン州を北極にしてしまうわけだ。
そしてこれは周囲の熱源が強ければ強いほどなお強力になる。そしてその特性を示す間めちゃくちゃ光る。

WWSはこのホッキョクグマを発見し、ベイクセールの売上で建てた囲いに収容しようと試みたが失敗。
しかし諦めず冷蔵保管ユニットを購入し、優しいボーリングの住人、アンドリューとケリー・クック夫妻が面倒を見てくれることで一応の収容下には収まった。

……のだが、そのオレゴン州に熱波が襲いかかる。
これによってホッキョクグマくんの異常性は冷蔵保管ユニットごときでは抑えきれなかったのである。
結果として猛吹雪を起こしながら暴れまわるホッキョクグマくんは駆けつけたUIUによって銃殺処分となったが、
その際に大爆発を起こす。これらの結果、クック夫妻やWWS職員サラ・ガードナー、UIUエージェント2名と
WWSが保護していた3体の動物系アノマリーの死を引き起こした。

UIUはWWSが財団から支援金を受け取っていた事実に気付くも、
財団は大変残念なことにWWSがホッキョクグマに手こずっていたことも、
そもそもそんなアノマリーを収容しようとしていたことも知らなかった。
いっぽうでこれがUIUによって迅速に処理されなければ、WWSはニュースの目玉として全世界に取り上げられていたことだろう。
この財団の尻拭いをしてくれたUIUへ御礼の品として、係争中の案件であった異常な麻薬をUIUに引き渡すことになった。
そして、WWSにもはや匿名の後援者として振る舞うことではコントロールにおけないと判断した。
これより、財団はWWSに連絡を取り、より直接的に支援したいと申し出るとともに、
本事件を解決してくれたUIU、そして財団の協力を受け入れたWWSとともにボーリング協定を結ぶこととなったのである。

ボーリング協定

ウィルソンズ・ワイルドライフ・シェルターは、THUS-1221内部に出現する低脅威異常生物を捕獲し、リハビリテーションを施すことを認められている。
ウィルソンズ・ワイルドライフ・シェルターは、SCP財団が高脅威実体の捕獲において組織を支援できない場合、合衆国魚類野生生物局異常分遣隊に連絡して援助を要請することを許可されている。
合衆国政府は、THUS-1221内部で発生する超常犯罪を管轄する。これは人間および人間型異常実体や、問題の犯罪行為を犯すために使用されたオブジェクトの収容にも及ぶ。
SCP財団は、組織の予算上の必要性に従って、ウィルソンズ・ワイルドライフ・シェルターに毎月資金を提供する。
SCP財団は、THUS-1221内部に出現する高脅威異常生物を収容することを許可されている。ただし、関連記録の主体であるホッキョクグマはこの例外である。
SCP財団は、要請を受けた場合、もしくは緊急な介入が必要であると判断された場合を除き、ウィルソンズ・ワイルドライフ・シェルターの活動に直接干渉することを禁止される。
全ての関連組織は、それが他者の活動に直接干渉しない内容である限り、緊急時にボーリング協定を改訂する権利を留保する。

THUS-1221は超次元ホットスポットUS-1221の略称で、UIU、並びに合衆国によるボーリングの呼称である。
財団の言うNx-17と同じ意味と捉えてもらえば問題ない。

簡単に言えば財団はWWSを資金面で支援するのみならず、高脅威異常生物(WWSには手が余るもの)は収容対象とすること、
逆に低脅威異常生物はWWSの収容下に起きつつ支援することというわけだ。

こうして、Nx-17は財団とWWSの協力によって日夜新しいアノマリーの収容と研究が行われているのである。

再び同じ悲劇を繰り返さぬためにも――






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最終更新:2025年06月25日 22:57