SCP-1399-RU

登録日:2021/04/07 Wed 20:54:36
更新日:2024/02/20 Tue 23:52:49
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今日目覚めた私は、昨日の私と同じ?





SCP-1399-RUは、シェアード・ワールドSCP Foundationロシア支部に登場するオブジェクト(SCiP)である。
オブジェクトクラスはN/A。正確に言うと不明である。

概要


SCP-1399-RUは財団職員のコラベリニコフ・イゴール・ヴィタリエヴィチである。しかし、このコラベリニコフ研究員は信頼に値すると考えられる名前、性別、年齢、職場、その他いかなる個人情報、および在籍の証拠も存在しない。にもかかわらず、コラベリニコフ研究員は財団における報告書の体裁やオブジェクトクラスなど、財団職員として必要な知識を一通り有している。

もう一つ重要なのは、SCP-1399-RUの報告書を執筆しているのはコラべリニコフ研究員、つまりSCP-1399-RU自身なのである。おそらくSCP-1399-RUを研究しているのもコラべリニコフ研究員本人のみということであろう。

一体SCP-1399-RUの異常性とは何なのだろうか? なぜ、コラベリニコフ研究員は自らとの孤独な戦いを強いられているのか。

オブジェクト特性


彼の異常性はズバリ言うと、決して眠りに落ちることはないにもかかわらず、定期的に目を覚ますということである。


「それだけ?」と思うかも知れないが、彼は以前の「覚醒状態」にあった時間、およびその時間に関する情報は、実体により極めて詳細かつ強烈な、それでいて空想上の夢であると認識している――つまり、コラベリニコフ研究員はまるで現実であったかのような夢を続け様に見て、「覚醒」が始まると目覚まし時計が鳴るとともにベッドから起き、その瞬間、今までとは別の人生を体験しているのだ。

SCP-1399-RUは前回の「夢」ではロストフ・ナ・ドヌ(ロシア西部にあるロストフ州の州都)で金物店のセールスアドバイザー、そしてその前々回は、ロシア軍の兵士として極東部での任務にあたっていた。そして現在は極秘超常学術機関「SCP財団」職員をしているコラベリニコフ研究員と自認し、誰にもわからないところでSCP-1399-RUを一人研究している。

以下は、コラベリニコフ研究員が自身の異常性に関して立てた仮説、およびその収容クラスを列挙したものである。


仮説1「Explained」

要は「SCP-1399-RUはたんなる夢中夢を見ているだけの人間」という可能性である。解離性人格障害もしくは過重労働によるストレスにより精神に変調をきたしており、そのような「夢」を見てしまっただけである。

収容プロトコルなんてものは存在しないが、SCP-1399-RUたるコラベリニコフ研究員の精神を治療すれば問題ない話である。


仮説2「Euclid」

次の仮説は、SCP-1399-RUがなんらかのオブジェクトではないかという説である。

考えられる仮説は2つ。一つはSCP-1399-RUがミーム系の異常存在によって精神をかき乱されたという仮説。もう1つは、別の説ではSCP-1399-RU自体が別人の精神を侵食してとして自発的に「覚醒」する能力があり、「犠牲者」の意識を一時的に自身のものに置換する能力があるという仮説である。

が、コレに関しても、コラベリニコフ研究員はSCP-1399-RUたる自らを捕縛して、後者の場合は犠牲者には必要に応じて記憶処理/医療的ケアを施すことで収容が可能であると結論づけている。


仮説3「Atlas」


Atlasに分類された異常存在は、人類および/または現地現実の存在に絶対的必要性を有し、
決して抑制されるべきではない。財団資産はこうした異常存在の機能を促進し、
それに対するいかなる脅威をも防ぐべきである。



この仮説は要するに、「コラベリニコフこそがSCP-1399-RU の報告書が存在する基底世界の作り主であり、『目覚める』ことでその世界を渡り歩く能力を持つ」というものである。

コラベリニコフがこれまで見てきた「夢」はすべてがコラベリニコフが実際に生きてきた人生であった。兵士をしていたコラベリニコフも、セールスアドバイザーをしていたコラベリニコフも、財団職員となったコラベリニコフも、等しくSCP-1399-RUとしての能力を持つ彼本人である。しかし、この行き来は一方通行であり、彼が「目覚める」と、新たな夢世界が誕生し、それまで存在していた旧夢世界は崩壊する。


つまり、SCP-1399-RUが「目覚めた」瞬間、この報告書がある財団世界は粉々に消し飛ぶのだ。


また、仮にSCP-1399-RUことコラベリニコフは自身がAtlasだった場合、次に「目覚める」世界は、あらゆる異常性が存在しないと推定している。それは、逃れられないCK-クラス:再構築シナリオの予兆を示すApollyonでもあり、全てのオブジェクトを「いつかは忘れ去るような記憶」の内部にて永久的な収容状態に落とし込むThaumielにもなりえる。


コラベリニコフ本人は、自らがEuclidだと仮定した場合即座に自分の確保収容を(自らを認識すらしないであろう)財団に対し求めるなど、財団職員として模範的な人物像であるらしい。
もし仮に彼がAtlasだとしたら、自らの「目覚め」によって全てのオブジェクトが収容されることを願うかも知れない。
そして、彼を認知しない「夢世界」の財団がそれに同調するか、それは図り知れぬところである。




SCP-1399-RU - Я вновь открываю глаза(また、目が覚める)






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CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1399-RU - Я вновь открываю глаза
by Arbelict
http://scp-ru.wikidot.com/scp-1399-ru
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1399-ru(翻訳)

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最終更新:2024年02月20日 23:52