命令/Command(MTG)

登録日:2021/05/11 Tue 22:15:00
更新日:2021/05/20 Thu 18:01:13
所要時間:約 6 分で読めます




《命令/Command》とは、Magic the Gatheringに登場する、命令と名前の付いた呪文のサイクルである。
原則インスタントかソーサリーだが、サイクル内でどちらかで統一されているわけではない。ただしいずれにせよ、呪文のイメージが強い「非パーマネント呪文」で統一されている。

まったく異なるテキストを持つ4つの効果から2つを選んで唱えるというもので、いずれもレアリティにふさわしい派手さと高い柔軟性を併せ持つ非常にテクニカルなカード。

通称は英名の固有名とCommandを略して「○○コマ」と呼ばれることが多い。


概要

『ローウィン』で作られた単色の5枚サイクルが初出で、その後『タルキール龍紀伝』で友好色、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』で対抗色のサイクルが作られ、計15枚が存在する。
それぞれの選択肢の性能は控えめだが、代わりに4つの中から状況に応じて使い分けられるため汎用性が高い。
単色のものは色の役割に沿ったモードが4つ、2色のものはそれぞれの色に分類できるモードが2つずつ、という構成になっている。たまに判別しにくい場合もある

性能

ローウィン(単色)

各色に応じた容器から呪文のマナが溢れ出す、というイラストが印象的。

Austere Command / 質素な命令 (4)(白)(白)
ソーサリー
以下から2つを選ぶ。
  • すべてのアーティファクトを破壊する。
  • すべてのエンチャントを破壊する。
  • マナ総量が3以下のすべてのクリーチャーを破壊する。
  • マナ総量が4以上のすべてのクリーチャーを破壊する。

白の命令は様々なパーマネントを破壊する。
クリーチャーの全体除去は4マナの《神の怒り》や、5マナだがアーティファクトとエンチャントの全破壊と選べる《浄化の輝き》が存在する。
もっと言ってしまうと、同じ6マナでこの4種類に加えてプレインズウォーカーまで一気に破壊できる《次元の浄化》なんてカードもある。
自分がなるべくパーマネントを残せるように使いたい、というかそれができなければ採用する意味がない。
統率者戦ではアーティファクトが多用されるので、自分が使用を避ければ恩恵に与りやすい。

Cryptic Command / 謎めいた命令 (1)(青)(青)(青)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • 呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
  • パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
  • あなたの対戦相手がコントロールするすべてのクリーチャーをタップする。
  • カードを1枚引く。

青の命令は様々な妨害とドロー。打ち消し呪文としても《取り消し》+1マナで多機能となった、という高水準の性能で、タップも時間稼ぎにはありがたい。強いて言えば色拘束の強さが難点か。
モダンでもコントロールの定番打ち消しとして活躍している。

……否、活躍どころではなくモダンの環境を定義していたこともあるレベルの強力なカード。このカードだけで単独項目建てられるレベル。
打ち消しの定番でありながら打ち消しのオマケとしてできることが非常に多いという特徴のおかげで単なる打消し呪文の枠に留まらないのがこの呪文である。

有名なコンボとしては《永遠の証人》と組み合わせて再利用可能な打ち消し呪文として機能させるギミック【エターナルコマンド】などがある。
他にもまったく新しいアプローチの《死せる生》デッキとして話題になったが、その実態は《謎めいた命令》の強さだけで成り立っていると評された【青単リビングエンド】、
相手のテンポを徹底的に削ぐ動きを選ぶことで《時間のねじれ》と同じような効果を期待される【エターナルブルー】など、デッキの中核を担うこともまったく珍しくない。

こうした専用のギミックを組まなくても《瞬唱の魔道士》とあたりと組み合わせるだけでも雑に強い。

しかし出来ることが多く、打ち消しという性質故に命令サイクルの中でも際立ってモード選択プレイングスキルが求められる呪文でもある。
先の瞬唱との組み合わせでも、打消ししつつタップで相手を止めるかドローでアドを損をなくすか、はたまた自分の瞬唱をバウンスして再利用を狙うか等々柔軟な運用を求められる。
打ち消しは使わずに全タップでこちらの攻撃を通すことに使う、という選択肢すら普通にある。
後述する「対象に関するルール」が最も問題になるカードもこれであり、この立ち消えを嫌うプレイも存在するなど非常に奥が深いカード。
モダンの動画配信者はたいてい《謎めいた命令》に関することで視聴者のマウンティング指摘を受けるが、それだけこのカード1枚でできることが多いことの裏返しである。

さて、一時期のMTGでは「テキストレスプロモ」という、文章欄が存在しないプロモカードが存在していた。
これは名前とマナ・コストが書いてあるので正規のカードと同じように使うことができるのだが、2010年以降は印刷されなくなった。そして「失敗したシステム」として激しく嫌う人も多い。
その理由のひとつがこの《謎めいた命令》。これは2008年にプレイヤー褒賞プログラムとして配られ、当時から高額なカードかつ使用率も高かったのでデッキに入れるプレイヤーも多かった。
しかしルールがかなり複雑なせいでテキストをざっくり覚えている程度だと細かいところで揉めた時に非常に難儀するのである。
しかも後述の「対象不適正ルール」にものすごく大きく関係するカードなので、片方が覚えていればいいというカードでもないのもまずかったのだ。


Profane Command / 不敬の命令 (X)(黒)(黒)
ソーサリー
以下から2つを選ぶ。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはX点のライフを失う。
  • あなたの墓地にある、点数で見たマナ・コストがX以下のクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。
  • クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで-X/-Xの修整を受ける。
  • クリーチャーを最大X体まで対象とする。それらはターン終了時まで畏怖を得る。(それらは、黒でもアーティファクトでもないクリーチャーによってはブロックされない。)

黒の命令はX呪文でライフロス、リアニメイト、マイナス修正、畏怖の付与。
ライフロスは少々物足りない感もあるが、畏怖でブロック不可能にすることでライフを減らしに行けるため、最後の一押しとしては悪くない。アドバンテージの獲得、詰めの一打のどちらとしても優秀で。構築でも中速のデッキでよく採用されていた。
X呪文故に「小回りの利く万能カード」としても使えるのも強み。小さいXからでも使うこと考慮した採用実績も多い。

コントロールにおいては、クリーチャーの単体除去とリアニメイトを組み合わせて着実にアドバンテージを稼ぎつつ、片方のモードだけ使う時にはライフロスのモードを選べばいい。
ビートダウンにおいては軽量クリーチャーのリアニメイトがうまくかみ合うデッキなら採用できる。Xの値が大きくなくても、例えばクリーチャー3体に畏怖をつけつつ相手のライフロスでも選べばトドメとしては十分。
思っているよりも複雑なプレイングが必要になることもあり、そして使ってみると「Xの値が必ずしも大きくなくてもいい」ことに気づいてくるだろう。
一方でX呪文ゆえの根本的な重さが気になるカードでもあり、手放しに強いと喜べるタイプのカードではないというかなり通好みなカード。

X呪文ゆえの重さ、やれることは多いが全体的な効果のちぐはぐさから、スタンダードを落ちた後は活躍の場を見つけられずにいる。統率者戦向きの効果でもない。
また、スタンダードで採用できた時期には《精神錯乱》のリメイクである《思考の粉砕》というX呪文も存在しており、当時はどちらを採用するか、あるいは両方採用するかで結構な論争があった。


Incendiary Command / 焼夷の命令 (3)(赤)(赤)
ソーサリー
以下から2つを選ぶ。
  • プレイヤー1人かプレインズウォーカー1体を対象とする。焼夷の命令はそれに4点のダメージを与える。
  • 焼夷の命令は、各クリーチャーにそれぞれ2点のダメージを与える。
  • 基本でない土地1つを対象とし、それを破壊する。
  • 各プレイヤーは自分の手札にあるカードをすべて捨て、その後同じ枚数のカードを引く。

赤の命令は火力と土地破壊とドロー。
重い土地破壊は効果が相対的に薄く、火力も癖が強くアドバンテージを取りにくい、と使い勝手の悪さは否めない。しかもどの組み合わせを選ぶにしても効果の噛み合わなさっぷりが徹底している。
ぶっちゃけ2番目のモードを2マナで打てる《紅蓮地獄》のような、モードがない分軽いカードでも使った方がいいとさえ言われる。
青、黒、緑の命令が強いのに対してこちらは目を覆いたくなるレベルの弱さだったので、テキストどころか名前すら知らない人も多い。そして「弱い」ということだけはざっくり覚えられてしまっている。
その反動なのか、タルキールの赤絡みの命令は非常に強かった。


Primal Command / 原初の命令 (3)(緑)(緑)
ソーサリー
以下から2つを選ぶ。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは7点のライフを得る。
  • クリーチャーでないパーマネント1つを対象とし、それをオーナーのライブラリーの一番上に置く。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分の墓地を自分のライブラリーに加えた上で切り直す。
  • あなたのライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、それを公開し、それをあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。

緑の命令はライフ回復、非クリーチャーパーマネント除去、ライブラリー修復、クリーチャーサーチ。

1番目のライフの回復はライフロス以上にオマケ感が強い効果だが、5マナで何か別のことを行いながらする分には隙が無い。
後の《ニッサの復興》などでも分かるように、重いカードを使いながら延命ができるのは思っているよりずっと強力である。

2番目の除去はこのカードのメインとなるモード。なんといってもライブラリートップへのバウンスというのは「相手の次のドローを確定させる」。つまり「今引きを阻止する」というのと同義。
基本土地やタップイン土地ならほぼ次の引きが腐るのと同義だし、さらにこの時期なら貯蔵ランドや《宝石の洞窟》のようにものすごくぶっ刺さる土地もあった。
クリーチャーこそバウンスできないが、中盤以降に1ドロー分の差をもたらしながら別のことができることがどれだけ強いかを思い知るカードである。
もちろんエンチャント、アーティファクト、プレインズウォーカーなど他のカードを選ぶのも強力。

3番目のライブラリー修復は対戦相手に向けて打つことで墓地対策としても使える。この時代といえば【フリゴリッド(ドレッジ)】【マネキンコントロール】【ヒバリブリンク】【復讐の亜神】と墓地利用デッキが多く、
他のモードが強いこのカードがついでのように持っているというわけで使いどころはかなり多い。ライブラリーバウンスと組み合わせて使うと、再利用を許さない除去としても機能する。
もちろんライブラリーアウト対策として自分に向けて打つというのもアリで、このモードだけでも意外とできることが多い。

4番目のクリーチャーのサーチはシルバーバレットも強力だが、「強力な後続カードやデッキのキーパーツを探す」のもシンプルに強い。
エルフデッキの《威厳の魔力》が有名だが、他にも《包囲の塔、ドラン》のように大きな影響力を持つカードをサーチすることも考えられるし、《カメレオンの巨像》をサーチすればシンプルに強い。
変わったところだと黒緑ランデスデッキで《朝の歌のマラレン》をサーチし、相手はサーチしても唱えるための土地がない、こちらは後続のランデスパーツを探す、というキーパーツとして用いられた。
このデッキではライブラリー修復以外の3つが「マラレンのライフロス補填」「相手の土地のバウンスと次ドローの妨害」「マラレンのサーチ」と非常に噛み合っているのである。

総じて強力な命令であり、使えば使うほどに「一見関係のない効果がうまいこと絡み合っている」ことに気づくナイスデザインである。
書いてあること全て胡散臭い青、小器用な黒とともに当時のスタンダードで大活躍した。しかしモダン以下の環境ではあまり活躍できていない。

《謎めいた命令》ほどではないが、対象不適正のルールで足元をすくわれることがある1枚。
4番目のサーチ効果は対象を取っておらず、他の効果で対象不適正になるとサーチも一緒に立ち消えてしまう。
非常にニッチな状況だが、「相手のミシュラランドを対象にして2番目と4番目のモードを選択し、相手に無理やりミシュラランドを起動させて構えを妨害しながら後続をサーチする」ような状況で問題になる(ミシュラランドを起動されると対象不適正になって全体立ち消え)。
この時期のスタンダードには《変わり谷》や《樹上の村》があり、起こらないわけじゃないというのがたちが悪かった。

また、「テキストは上から順に処理をする」という点がかなり重要になる1枚。
たとえばデッキトップバウンス+ライブラリー修復の場合、「デッキトップバウンスをしてからライブラリーを切り直す」ことになるのでドローの妨害目的では使えない。
また、ライブラリー修復+クリーチャーサーチの場合、「まずライブラリーを修復してからサーチを行う」ので墓地からクリーチャーを手札に戻すような動きもできる。
このように《謎めいた命令》ほどではないが、割と複雑な運用ができる。
ストリクスヘイヴンのミスティカルアーカイブでも再録されており、ヒストリック環境での活躍に期待が……無理かなぁ、やっぱ。

タルキール龍紀伝(友好2色)

氏族の長たる龍王とそれに従う民、というイラスト。友好色の陣営セットのため、カードにはそれぞれの陣営の透かしが入っている。

Ojutai's Command / オジュタイの命令 (2)()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • あなたの墓地にある点数で見たマナ・コストが2以下のクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。
  • あなたは4点のライフを得る。
  • クリーチャー呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
  • カードを1枚引く。

白青の命令は白の蘇生とライフ回復、青の打ち消しとドロー。
見た目こそ《謎めいた命令》に似ているが、クリーチャーの蘇生があるため活用には少々工夫が必要。
当初はあまり注目されていなかったが、『マジック・オリジン』で《ヴリンの神童、ジェイス》という汎用性の高い2マナクリーチャーを手に入れたことで1つ目の能力が一気に強化。【ジェスカイアグロ】や様々なコントロールで採用された。
だが、真に特筆すべきは改変前からカンフーを継承してしまったおかげで戦隊モノの決めポーズにしか見えないそのイラストだろう。

Silumgar's Command / シルムガルの命令 (3)()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • クリーチャーでない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
  • パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
  • クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-3/-3の修整を受ける。
  • プレインズウォーカー1体を対象とし、それを破壊する。

青黒の命令は青の打ち消しとバウンス、黒のマイナス修整とPW破壊。アドバンテージを稼ぎやすく一通りのパーマネントに対処できるが、5マナという重さは無視できない欠点
重さはいかんともしがたく、しかも同時期の他命令が優秀だっただけに当時のスゥルタイ系デッキを用いていたプレイヤーを絶望させた。
それでもスタンダードでは遅めのデッキに少数入れる形で使われていた。

Kolaghan's Command / コラガンの命令 (1)()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
  • アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。
  • クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。コラガンの命令はそれに2点のダメージを与える。

黒赤の命令は黒の回収とハンデス、赤のアーティファクト破壊と火力。
いずれもアドバンテージを稼ぎやすい優秀な命令で誤解を恐れずに言えば腐る相手がまずいない点が最大の強み。
また、ハンデスできる呪文としては貴重なインスタントなので、手札が切れた相手のドローステップに打つという動きも可能。
シンプルなテキストながらここでは書ききれないくらいの細かい利点がずらっと並んでおり、スタンダードは当然としてモダンはもちろんレガシーでも採用実績のある1枚。
しかも対象不適正による立ち消えルールにも悩まされることがない。
このカードの使い方だけで記事がひとつ書けてしまうレベルであり、特にモダンのグッドスタッフデッキである【ジャンド】はこのカードの使い方だけでプレイヤーの力量が測れると言われるほど。
自分の気に入らない使い方をしている使い方が甘いプレイヤーを見かけたら、試合が終わった途端に感想戦やアドバイスと称したマウンティングがはじまるのもMtGあるあるであった。

ちなみに命令はとても優秀だが、コラガン本人はというと他の龍王に比べて採用実績がいまいち少ない。そのせいで「命令を出す方がうまい」等と揶揄される羽目に。なんか十手持ってるあの人みたいだ。

Atarka's Command / アタルカの命令 ()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • このターン、あなたの対戦相手はライフを得られない。
  • アタルカの命令は各対戦相手にそれぞれ3点のダメージを与える。
  • あなたは、あなたの手札にある土地カードを1枚戦場に出してもよい。
  • ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは+1/+1の修整を受けるとともに到達を得る。

赤緑の命令は赤の回復禁止と火力、緑の土地加速と全体修整。
あんまりにも地味な効果が揃っていることや、「到達」という取ってつけたような能力のせいで当初は「トランプルの間違いだろ?」と言われ、弱いと評価されていた。
しかしバーンの名カード《頭蓋割り》に性能が近いこと、《神聖の力線》をすり抜けてダメージを与えられること、当時はプレインズウォーカーにもダメージを与えられたことなどから
実際はパワーカードであると判明。特にクリーチャーに対する修整と相手へのダメージを組み合わせるととんでもないダメージ加速をもたらす。
その上2マナとものすごく軽い。赤単に緑をタッチしてこのカードを使う【アタルカレッド】が実績を残し、一時期はモダンやレガシーの【バーン】でも用いられた。
サイドボードに緑のカード(=エンチャント対策)を積む合理的な理由にもなる。

Dromoka's Command / ドロモカの命令 ()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • インスタント呪文1つかソーサリー呪文1つを対象とする。このターン、それが与えるすべてのダメージを軽減する。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはエンチャントを1つ生け贄に捧げる。
  • クリーチャー1体を対象とし、それの上に+1/+1カウンターを1個置く。
  • あなたがコントロールするクリーチャー1体とあなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。その前者はその後者と格闘を行う。

緑白の命令は白の軽減とエンチャント除去、緑の強化と格闘。
単純にクリーチャーを強化しつつ除去を行うカードとして高水準。前半の効果は相手を選ぶが、メインデッキから使える対策カードとして文句なしの性能を持つ。
2マナという軽さにいい意味で見合わない汎用性から、緑と白を含むデッキの定番として活躍した。おかげでエンチャントである神の肩身が狭かった


ストリクスヘイヴン:魔法学院(対抗2色)

透かしが入っているのは友好色と同様。ストリクスヘイヴンの情報が公開されると同時にプレビューされた「最初の5枚」である。
創設者であるドラゴンたちは学院を離れているためイラストにはいない……代わりに、各大学の生徒たちがポーズを決めていたり魔法を放っているため戦隊モノ感がさらに加速している。

Silverquill Command / シルバークイルの命令 (2)()()
ソーサリー
以下から2つを選ぶ。
  • クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+3/+3の修整を受け飛行を得る。
  • あなたの墓地からマナ総量が2以下のクリーチャー・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカード1枚を引き1点のライフを失う。
  • 対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはクリーチャー1体を生け贄に捧げる。

白黒の命令は白の強化と蘇生、黒のドローと布告。下3つの効果によってアドバンテージは稼ぎやすいが、ソーサリーゆえの小回りの利かなさが欠点。
総じてアグロ向きの性能だが、2色という都合上スタンダードでは氷雪ギミックとの取捨選択となる。

Prismari Command / プリズマリの命令 (1)()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。プリズマリの命令はそれに2点のダメージを与える。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカード2枚を引き、その後カード2枚を捨てる。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは宝物(Treasure)トークン1つを生成する。
  • アーティファクト1つを対象とする。それを破壊する。

青赤の命令は青の手札交換と宝物生成、赤の火力とアーティファクト破壊。ただし宝物生成は赤でもある
登場時のアグロは装備品を利用することが多いため、クリーチャーと同時に処理できる点が強力。宝物生成もプリズマリの重量級呪文を唱える足掛かりとして心強い。
主に青赤のコントロールデッキで採用されており、モダンでもその汎用性から活躍している。

Witherbloom Command / ウィザーブルームの命令 ()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカード3枚を切削する。その後、あなたはあなたの墓地から土地カード1枚をあなたの手札に戻す。
  • マナ総量が2以下でクリーチャーでも土地でもないパーマネント1つを対象とする。それを破壊する。
  • クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-3/-1の修整を受ける。
  • 対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
黒緑の命令は黒の修整とドレイン、緑の土地回収と置物破壊。土地回収に付いてくる切削はどれかと言うと青黒である。
  • 置物破壊は範囲こそ狭いが《狼柳の安息所》や《型破りな協力》といった致命的な置物を対処でき、修整も破壊不能を持つ《歴戦の神聖刃》に刺さる。1つ目の効果も土地を途切れさせないために便利であり、スタンダードでは【スゥルタイ根本原理】で採用されている。

Lorehold Command / ロアホールドの命令 (3)()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • 赤と白の3/2のスピリット(Spirit)・クリーチャー・トークン1体を生成する。
  • ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは+1/+0の修整を受け破壊不能と速攻を得る。
  • クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人と、プレイヤー1人を対象とする。ロアホールドの命令はその前者に3点のダメージを与える。その後者は3点のライフを得る。
  • パーマネント1つを生け贄に捧げ、その後カード2枚を引く。

赤白の命令は白のトークン生成と修整、赤の火力と変則的な生け贄ドロー。最後の1つを除き各単色ではなく、赤白両方で出来ることの印象が強い。
全体修整は上手く使えば戦闘面で一気に有利に立て、他の効果も汎用性が高い。ただ、やはり命令としては最重量の5マナが難点。
そもそもがアグロ向けの色ということもあり、合うデッキを見つけられずにいる。リミテッドでは勝負を決めうる1枚なのだが……

3番目のモード絡みで対象不適正に引っかかる事があるので注意。とはいえインスタントタイミングで相手に「被覆」を与える手段がほぼ無いので、まず起こらないが。
また上から順番ルールで「ターン終了時まで4/2破壊不能速攻のトークンを出す(1+2)」と「単なる2ドロー(1+4)」としても扱える。

Quandrix Command / クアンドリクスの命令 (1)()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を対象とする。それをオーナーの手札に戻す。
  • アーティファクトかエンチャントである呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
  • クリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター2個を置く。
  • プレイヤー1人と、そのプレイヤーの墓地からカード最大3枚を対象とする。そのプレイヤーは、それらのカードをライブラリーに加えて切り直す。

緑青の命令は緑の強化とライブラリー修復。青のバウンスと打消し。
クリーチャーもPWも置物も使わないデッキは少ないが、できればクリーチャーと併用して扱いたい。墓地修復はやや物足りない感じはあるが、ちょうど脱出が存在するため使い分けられるモードとしては及第点だろう。


番外編

Kaya's Guile / ケイヤの手管 (1)()()
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • 各対戦相手はそれぞれクリーチャー1体を生け贄に捧げる。
  • 各対戦相手の墓地からそれぞれカードをすべて追放する。
  • 飛行を持つ白であり黒である1/1のスピリット(Spirit)・クリーチャー・トークンを1体生成する。
  • あなたは4点のライフを得る。
双呪(3)(双呪コストを支払ったなら、すべてを選ぶ。)

モダンホライゾンで登場したカード。正確には命令サイクルではないのだが、「4つのモードから2つを選ぶ」という点が共通している。
さらに追加コストを支払うことですべてのモードを使うこともでき、本体は軽く追加コストも支払えないほどではないことから取れる選択肢が命令以上に多い。
ホガーク全盛期には「メインから使える墓地対策」が重要視され、他の3つのモードも使えないわけではないことから様々なデッキに採用された。

何気にミラディン・ブロックで登場して以降まったく後発がなかった「双呪」を持つ呪文。
選択肢がただでさえ多い命令と組み合わせることで、これまでの双呪呪文とも命令サイクルともまったく違ったデザインになっており、
「キッカーでいいよね?」と言われがちな(そして後に「ゼンディカーの夜明け」の碑文サイクルで本当にキッカーになってしまった)双呪の面目を保ったカードでもある。
Entwin(組み合わせる)を「双呪」と意訳したことが問題であるように言われるが、「モードを本来2つ選べるところが、ちょうど2倍の4つのモードを選べる」こともありイメージはほとんど損なわれていない。


とても謎めいた命令/Very Cryptic Command (1)(青)(青)(青)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • パーマネント2つを対象とし、それらをアンタップする。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールしていてカード名が1単語ちょうどの各パーマネントをそれぞれタップする。
  • あなたの手札からカードをすべて捨て、その後同じ枚数のカードを引く。
  • あなたの墓地からインスタントかソーサリーであるカード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。

銀枠セット『Unstable』で登場した、《謎めいた命令》のセルフパロディ。銀枠らしく「カード名が1単語ちょうど」ということを参照する……が、それ以外はいたって
+普通のカードである
わけがない。

このカード、実は6種類存在する
とても謎めいた命令/Very Cryptic Command (1)(青)(青)(青)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それのパワーとタフネスを入れ替える。
  • クリーチャー1体を対象とする。このターン、それはブロックされない。
  • カードを1枚引く。そのカードのアーティストがWayne Englandであるなら、あなたはそれを公開してもう1枚カードを引いてもよい。
  • からくりを1つ組み立てる。
とても謎めいた命令/Very Cryptic Command (1)(青)(青)(青)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • 対戦相手のライブラリーからカードを1枚引く。
  • インスタントかソーサリーである呪文1つを対象とし、それをコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。
  • クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは全ての能力を失い、基本のパワーとタフネスが1/1の青のカエルになる。
  • 無色の1/1のノーム・アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体生成する。
とても謎めいた命令/Very Cryptic Command (1)(青)(青)(青)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • パーマネント1つを対象とし、それをそのコントローラーの手札に戻す。
  • カードを2枚引き、その後カード1枚を捨てる。
  • 単一の対象を持つ呪文1つを対象とし、それの対象を変更する。
  • トークンでないクリーチャー1体を対象とし、それを裏返す。
とても謎めいた命令/Very Cryptic Command (1)(青)(青)(青)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • 黒枠の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
  • クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
  • あなたがコントロールしていてすかしを持つ各パーマネントをアンタップする。
  • プレイヤー1人を対象とする。6面体サイコロを2個振る。そのプレイヤーはカードをX枚切削する。Xはそれらの出目の合計に等しい。
とても謎めいた命令/Very Cryptic Command (1)(青)(青)(青)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
  • 占術3を行う。
  • 威迫を持つ2/2の黒のならず者・クリーチャー・トークンを1体生成する。
  • 呪文1つかパーマネント1つを対象とする。ターン終了時まで、それにある数か数詞1つに1を足すか引くかする。
  • プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールしているアーティファクトをすべてオーナーの手札に戻す。

いずれも黒枠の範疇の能力を1つは持っていて、各カードに1つは怪しいのが有りながらも、大幅にカラーパイを逸脱するようなこともないため常識的に見えるが、6種類あるおかげでとても謎めいたにふさわしい謎めき具合になっている。一応基本的にアドバンテージを取れる選択肢があるため、実用時に困ることは少ない。
ちなみに囲み部分の5種類のカードの一番上のバージョンのもののみイラストが着色されてない下書き状態で、構図も異なるものとなっている。これは当初元ネタのイラストレーターのWayne Englandに発注したが完成前に死去してしまい、彼の遺作としてそのまま使うことにしたためである。そのため追加効果の条件に「Wayne Englandがアーティストのカード」を指定する能力を持っている。


使用時の注意点

これらのカード群を使う際に気を付けないといけないのが、『対象不適正』と『立ち消え』というルール。
簡単に言うと、全部の対象が適正なものでなくなった場合、その呪文は全ての効果を発揮せずに墓地に落ちる
そのため、例えば《謎めいた命令》の「パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。」と「カードを1枚引く。」を選択して唱えた時、
前者で対象に取ったパーマネントが先に除去されると対象不適正によって立ち消えし、ドローすることもできなくなる

特に《謎めいた命令》で非常に問題になった……というか今も問題になっているもので、《謎めいた命令》のプレイングが非常に難しいとされる理由のひとつ。
たとえば「あなたの対戦相手がコントロールするすべてのクリーチャーをタップする。」という能力を使う際のことだが、
普通に考えるとこれに加えて「クリーチャーをバウンスしたり、相手の呪文に合わせて打ち消しと組み合わせて使うことで徹底的にテンポを削ぐ」というプレイが理想的である。
しかし、もしバウンスや打ち消しの対象となるものが対象不適正になってしまうと、フルタップの効果も一緒に立ち消えてしまうのである。
結果時間稼ぎという目的を達成できないという一番悪い状況になってしまうため、欲張らずに1枚ドローで済ませたほうがいい場合もある。
あくまで「場合もある」というのが面倒で、これを利用したプレイングや、それを警戒したモード選択を行わなければならない。本当に難しい1枚なのだ。

この問題を解消するため、時系列的に後に出た命令は全てのモードが対象を取らない、もしくは全てのモードがこれ対象に取る必要ある?というような効果でも対象を取ることが多い。
ロアホールドの命令の3番目のモードで、わざわざ回復するプレイヤーまで対象に取るのはこれが原因。
相手プレイヤーが自分を対象にした呪文を対象不適正にするのは非常に難しく*1
2つのモードがそれぞれ対象を持つのであれば、片方を対象不適正にしても、もう片方はちゃんと処理されるため、
仮に《謎めいた命令》のテキストが「プレイヤー1人を対象とする。カードを1枚引く」であれば、先程のバウンス+ドローのモードで唱え、バウンス先のクリーチャーを除去されてもドローが可能になる*2
全部ではないが、少なくとも《謎めいた命令》ほどプレイヤーを謎めかせることはなくなっている。


一方で立ち消えと違ってほとんど問題になることはないが、「テキストは書かれている順に処理されていく」というルールが厄介な問題を起こすこともある。
たとえば《原初の命令》で
「クリーチャーでないパーマネント1つを対象とし、それをオーナーのライブラリーの一番上に置く。」
「あなたのライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、それを公開し、それをあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。」
のモードを選んだ。この時に対象に取ったカードは、プレイヤーがライブラリーを見る・探すことを禁止する《精神固めの宝珠》である。さて、この時サーチは可能だろうか?

正解は先に《精神固めの宝珠》が戦場からライブラリの上に置かれるためサーチ可能 となる。

こういった、言われてみると答えが意外と分からない状況や見落としが発生しやすいのも命令サイクルの特徴である。


余談

MTGには「小さな能力3つの中から1つを選ぶ」という、魔除けと呼ばれるカードがある。これは様々な時期に登場している。
ローウィン命令は元々はこの魔除けの発展形、「超魔除け」という案から作られたものである。魔除けでは持たせられない派手な効果を4つも搭載し、しかもその中から2つも選ぶことができるのだ。
このアイディアは確かに成功をおさめたが、同時に直感に反するルール問題やプレイングの非常な複雑化を招くことになった。
ルールが複雑なことからたびたびジャッジを呼んだり、勘違いを指摘されたり、プレイングに関して喧々諤々の論争が起きたりと、良くも悪くもMTGを象徴するサイクルである。


アニヲタの命令 (1)(青)(青)(青)
ソーサリー
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最終更新:2021年05月20日 18:01

*1 ソーサリーをインスタントタイミングで唱えられる状態にして、自分がコントロールしている《象牙の仮面》を《寄付》で押し付けるぐらいしかない。

*2 これはこれで「自分が被覆を持っていた場合、ドローのモードを実質的に選択できなくなる」という問題に発展するが。