登録日:2021/08/14 (土) 23:03:55
更新日:2024/06/07 Fri 08:38:39
所要時間:約 6 分で読めます
ベイブレード エボリューション クロスアームズとは、タカラから発売されていた玩具である。
【概要】
2004年12月から展開されたベイブレードシリーズに該当する玩具シリーズ。
ベイブレードシリーズの区分的には『
爆転シュート ベイブレード』の派生シリーズとしてファンから認識されており、爆転変形シリーズの系譜となっている。
ベイのデザイン的にも「
ヘヴィメタルシステム(HMS)シリーズにおける爆転変形」とでも解釈しておけば良いだろうか。
ただし、発売時期や本家爆転・爆転変形とも微妙な関係性である事から、爆転世代とメタルファイト世代の狭間の世代として考える見方もある。
HMSシリーズをデザインのベースに爆転変形を連想させる
ロボット形態への変形機構を備えた特殊なベイブレードを使う事が特徴。
バトルは従来のベイバトルも可能だが、機体に乗っている頭部パーツを落とした方が勝つ「ジャイロバトル」や走行対戦を行う「ガンナーバトル」など、多種多様な遊びが用意されている。
一部のゲーム性などから、かつてタカラが発売した玩具である『すげゴマ』の影響を指摘する声もある。
独自の背景ストーリーも用意されているが、爆転シリーズとは一切繋がりの無い独立した世界観が展開されている。
ストーリーは漫画やアニメなどのメディアミックスを使った展開は行われず、パッケージなどの説明文やイラストで繰り広げられた。
キャラクターのデザインはKENGOUが担当している。
【遊び方】
ジャイロバトル
ジャイロアームズを回して戦う従来の遊び方を発展させたバトル。
ジャイロアームズのヘッドパーツを回転の衝突による衝撃で飛ばすことが勝利条件となる。
ギロチンバトルとか言ってはいけない
「パーツの崩壊をギミックに搭載している」という点では、後の『
ベイブレードバースト』にも発想は通じる部分はある。
勝利条件に関しては従来のベイブレードシリーズのようにスリープアウトやリングアウトも存在するので、遊び方の感覚的には大差ない。
ガンナーバトル
ガンナーモードに変形させたクロスアームズを走らせて速さを競うレースバトル。
【クロスアームズ一覧】
- ライトニングゼクス
- 覇王龍
- メタルギガント
- ストライカーゼクス
- 餓狼王
【ストーリー】
我々の住む地球と一対の存在である異世界「スピンワールド」。
突如としてその間を繋ぐ異次元扉が開かれると、地球に住んでいた少年と心を通わせて導く存在「クロスアームズ」が現れた。
その存在に導かれた少年達は、スピンワールドの全6ステージに旅立つことになるが…。
【登場人物】
人間
10歳の少年。典型的な男児向け作品の主人公と言う雰囲気の外見をしている。
サッカーが得意で正義感に強いが、負けん気が強いために諦めることをしない。
10歳の少年。銀髪の髪が特徴的なクールな雰囲気の外見をしている。
成績優秀・頭脳明晰だが、子供にしては優秀だったが故に友人がいない。しかし、ユウタを熱くさせる最強にして孤高の
ライバルとされている。
覇王龍と出会うと彼と心を通じ合わせて親友となり、スピンワールドに旅立つ。
推定年齢12歳と推測される少年。恐らく異世界人であるためか、ユウタやシンヤと比べると外見が独特な雰囲気。
第1階層を太古から守る使命を与えられており、バトルに強い信念を持つ。
何故第1階層を守る使命を与えられていたのか、そもそもスピンワールドには異世界人がザック以外にいるのか…など謎が多い。
クロスアームズ
「もう一人のユウタ」とでも呼ぶべき全高2メートルのクロスアームズ。圧倒的高速能力を持つ。
勇気を司る伝承の蒼龍であり、スピンワールドでユウタと同じパルスを感じたことで彼を導いた。
第2ステージ突入時に閃光を発する奇跡を起こし、
オオカミの走行能力を得た「ストライカーゼクス」へとパワーアップする。
スピンワールドでシンヤと同じパルスを感じた全高2メートルのクロスアームズ。あらゆる攻撃防御性に優れる。
天才を意味する伝承の炎龍で不死身の生命力を持ち、友人のいなかったシンヤと心を通わせることになった。
第2ステージ突入時に灼熱の炎を発する奇跡を起こし、オオカミの走行能力を得た「餓狼王」へとパワーアップする。
ザックと共に戦う全高2メートルのクロスアームズ。ジャイロバトルでは最強のパワーを誇る。
【評価】
率直に言ってしまうとこのシリーズ、全く人気が出なかったようですぐに商品展開が終了した。
クロスアームズが展開を開始した時期、本家の爆転シリーズも一応商品展開自体は続いていた。
しかし、爆転シリーズはEGシステム~HMSシステムの展開における低迷が止まらず、メディアミックスも終了してコンテンツとしては風前の灯火の状態だった。
実際にクロスアームズが展開した2005年に爆転シリーズは完全終了を迎えることになる。
そんな中で開始されたクロスアームズは「ベイブレード エボリューション」の名前から分かるように、ベイブレードシリーズの新世代の存在だった。
ギミック重視な爆転変形やHMSシリーズにおけるGSの要素を連想させる作りな辺りも、ベイブレードという存在の進化を目指したことが読み取れる。
当時のタカラ的には人気の低迷が続くベイブレードシリーズを進化させ、再起を誓っていた思惑も想像できる。
ところが、発売直後からメディアミックスなどの宣伝不足や独特すぎるギミックや玩具の構造などが従来のベイブレードファンからは疑問視された。
様々な疑問から競技系ホビーとしてはあまり高い評価を得ることは出来ず、結果としてクロスアームズの玩具は5種類しか出なかった。
最低6種類の遊び方が想定されていたはずなのに2種類しか分かっておらず、ストーリーの結末もよく分かっていないという点が打ち切りを強く匂わせる。
後にベイブレードシリーズは、爆転シリーズの完全終了から3年の潜伏の時を経て『
メタルファイト ベイブレード』が展開された。
メタルファイトシリーズはベイブレードシリーズの復活を果たすが、その華やかさに埋もれるようにクロスアームズの存在は完全に忘れ去られていった。
上述したようにクロスアームズは爆転変形の系譜に位置するのだが、メタルファイト以降のシリーズでは爆転変形の系譜を継いだベイブレードは展開されていない。
爆転変形の系譜が途絶えた現状にクロスアームズの不振が関係しているかは不明ではあるが…。
現在のクロスアームズはベイブレード公式関連において存在が触れられることは全くなく、実質的な
黒歴史状態にある。
展開当時から知名度が低かった影響もあって、ネット上にも多く情報は残っていないという辺りも後世での再評価のハードルを上げている。
しかし、爆転変形やHMSシリーズの集大成とも言えるその競技性や玩具の仕組みは、ベイブレードの歴史を考察する点では非常に興味深い。
評価の高いHMSのデザインを取り入れながら、変形機構を実現したデザインを評価する声も少なからず見られる。
商業的に不振に終わったマイナー玩具と単純に解釈して切り捨てるには惜しく、ベイブレードシリーズの歴史を知る際には是非とも触れておいて損はないシリーズとも言える。
【余談】
- キャラクターデザインを担当したKENGOU氏は、自身のサイトにてクロスアームズを遊んだ感想を述べている。
「ベイブレードは知らないけどこれはこれで面白いかも」「ロボット形態で戦うのはいいアイデア」「メカデザインは結構好み」と述べる一方で、「一人でやってても楽しくは無い」「一部のパーツは取れやすい(これについては氏はハズレ個体を引いた可能性も考えている)」という辛辣な意見も述べている。
追記・修正は、回転してぶつかりながら戦った末に頭が吹き飛んだことがある人にお願いします。
- あったようななかったような…… -- 名無しさん (2021-08-15 11:45:52)
- バトルビーダマンで流れてたベイブレードぽいCMはこれだったか。タカラトミーってベイビーどっちも人気得ようとしてどっちかが縮小終了のパターンなのよね -- 名無しさん (2021-08-15 15:42:17)
最終更新:2024年06月07日 08:38