ナナチ(メイドインアビス)

登録日:2022/03/28 Mon 00:34:36
更新日:2024/04/26 Fri 12:46:04
所要時間:約 2 分で読めます





「オイラはナナチだ 探窟家(おまえら)が言うところの『成れ果て』だよ」



漫画「メイドインアビス」の登場人物。
3巻からリコ、レグの旅路に加わり、以降はレギュラーキャラとなっている。




その殺人的な愛らしさについて


ふわふわもふもふのぬいぐるみ。
長い耳、綺麗な茶色の毛並み、ヤギのような琥珀色の瞳孔、すべてがバランスよく整った、メイドインアビス屈指の萌えキャラである。幻想的ながらもリアル路線を敷いていたメイアビに突如現れたナナチに、全国のケモナー達は狂喜乱舞した。その特徴はなんといっても、とにかくかわいいこと。幼い人間と動物の中間をうまくとったような秀逸なデザインもさることながら、仕草がいちいち蠱惑的で、言動にたびたび「んなぁー」という鳴き声を挟む様は非常に愛らしい。つまりは作者・つくし先生の繊細な筆遣いの賜物なのであるが、かといって原作のナナチだけを愛すべきかといえばそんなことはなく、動物然としたルックスを前面に出したアニメのデザインもまた素晴らしい。アニメではこれが井澤女史の声で「んなぁー」と鳴くものだから、wiki籠りの心臓に悪いことこの上ないというものである。ちなみに普段のナナチは意外にもクールな人物なのだが、それゆえにふとした時に漏らす「んなぁー」のギャップは凄まじい。ナナチがレグにもみくちゃにされて「いやらしい」と顔を真っ赤にするシーンで我々読者の性癖という性癖が破壊しつくされたことなどは記憶に新しい。
5巻カバー裏ではもう一つの隠された魅力、ナナチの香りについても触れられている。劇中では「香ばしい」と表現されるかぐわしいスメルの持ち主であり、レグはこれに性癖を開花させられ、出会って以降は執拗にナナチの匂いを嗅ぐようになった。今となってはこの二人のやりとりは劇中恒例の癒しシーンである。残念ながら紙面ではその魅惑的な香りを堪能することはできない……と思いきや、原作者・つくし先生から「ナナチの匂いはインコの匂いをモチーフにして描いている」との発言があった。すなわち、ファンには単行本をじっくり読みこんでナナチを摂取してからペットショップの鳥類コーナーに行ってナナチを思い浮かべつつ摂取するという楽しみ方が許されているのだ。なおつくし先生自身、ナナチが登場するまでのメイドインアビスは売れ行きがよくなく、3巻でどう畳もうかという話をしていたところで登場させたナナチが人気を掴んできたとインタビューで語っているくらいなので、それを踏まえるとすなわちナナチは可愛いのである!!!



……えー、以下、真面目に解説する。

ちゃんとした概要


アビス4層の外周で隠遁生活を送る謎生物。
背丈は12歳の子供であるリコとほぼ同程度と小柄であるが、見た目はうさぎの獣人。*1
その実態はアビスにのみ存在する生物「成れ果て」である。

人間がアビス6層で上方向に移動した際、その人間は6層の上昇負荷により「死、あるいは人間性の喪失」を発症することになるのだが、その中で死ななかった者……つまり人間性を喪失した者は、このケモノのような存在こと「成れ果て」に変じることとなる。

通常、成れ果てになると人間だった頃の知性や人格は完全に失われ、肉体は崩壊、その後は生きているものにまとわりつくだけの悲惨な状態になってしまう。*2
が、ある理由により、奇跡的に人間時代の自我を維持したまま生き残ったのがナナチである。


人物


ゆるゆるふわふわとした見た目とは裏腹に、現実主義的で肝の据わった性格。
この手のマスコットにありがちな、純真無垢で従順というようなキャラ付けとは程遠い大人びた人柄の持ち主であり、助かる見込みのない相手を見殺しにする、凶暴な怪物や残酷なシーンを前にしても動じない、レグを言いくるめてこき扱う、号泣するレグの真似をしてレグを煽るなど、頼れる兄弟分としての側面が強い。リコ隊の頭脳担当として、荒事の際はレグ(とリコ)に的確な指示を出す。

こう書くと冷酷無比なようだが人間味がないわけではなく、寧ろ根は人情派。
また、一人称は「オイラ」で語尾が「~だぜ」など、言葉遣いは荒っぽい。

基本的に取り乱すことはないが、「親友」である成れ果て・ミーティと、彼女の仇であるボンドルドのことに関しては別。
ミーティには成れ果てて獣となってなお変わらない深い愛情を、ボンドルドには「刺し違えてでも殺す」とまで宣うレベルの強い憎悪をそれぞれ抱いており、二人のどちらかが絡む事柄だと我を忘れてしまうことがある。



能力


成れ果て化に伴い、アビスの「力場」を見る能力を獲得している。
この力場は上昇負荷発生の根源となる存在であると同時に、生命体の思考に反応して大気中に「力場の流れ」を作る作用があり、それを認識できるというもの。
ナナチ曰く、力場とは薄い布切れが何枚も重なっているようなもので、その層を下から上へ突き破ることで上昇負荷が発症する、というメカニズムであるらしい。*3

具体的には、
  • 力場の薄い場所を目視で探し、そこを経由して移動することで、上昇負荷で受けるダメージを軽減しつつ上下移動ができる。
  • 力場の流れから付近にいる動物・人間の思考を読むことで次の挙動を予測したり、逆に同じように思考を読んでくる一部の生物と渡り合うことができる。
  • 5層の上昇負荷「全感覚の一時的な喪失、それに伴う自傷行為」の影響下でも、力場を読む能力である程度行動することができる。*4

と、いずれもアビス探検においては大きなアドバンテージになる。


そのほか後述の経歴がきっかけで医学的知識を身に着けており、ナナチひとりでもある程度の医療行為を行うことができる。


経歴


アビスに来るまで

元孤児であり、極寒の土地・セレニで生きていたストリートチルドレン。
セレニには芸や泥棒でわずかな収入を得る孤児もいたようだがナナチにはどちらの才能もなく、
結果生ゴミを漁って命の灯を繋ぐ、という過酷な生活を送っていた。
本当の意味での生ゴミばかりを食べていた影響で味覚が麻痺してしまっており、ナナチの作る料理は非常にまずい。
代わりに他の孤児が手を出さない(=腹に溜まらない)本のゴミを拾い読みするようになり、この経験から孤児の出でありながら読み書きができるようになった。
アビスとの出会いもこの時であり、ゴミの中に埋もれていたアビスの絵本を読んで以降、ナナチは「アビスに行きたい」と夢見るようになる。

ちょうどこの時期、黎明卿ことボンドルドが身寄りのない子供たちをスカウトするためにセレニを訪れており、たまたまその誘いに乗ったことでナナチは本作の舞台・アビスへと足を踏み入れることとなる。

前線基地(イドフロント)での生活

ボンドルドの探窟隊「祈手」に連れられ、アビス5層・ボンドルドの居住施設である前線基地(イドフロント)へと赴いたナナチ。
そこで同じくボンドルドのスカウトに乗ってアビスにやってきた少女・ミーティと親しくなる。
それまでろくな友人のいなかったナナチにできた初めての親友であったが、ある日、ナナチとミーティはボンドルドの人体実験に参加させられる。

というのも、ボンドルドが身寄りのない子供たちを集めていたのは探窟の労働力とするためではなく、その子供たちを被検体(モルモット)として人体実験を行うためであった。
彼は5層の上昇負荷を受けずにアビスを下から上に移動する方法、そして上昇負荷の「呪い」の部分だけを消した上澄み「アビスの祝福」を得る方法を模索しており、おびただしい犠牲の末に「仲の良い人間ふたりに同時に上昇負荷を浴びせれば、片方だけに呪いを集め、もう片方は『アビスの祝福』のみを得られる」ことに辿りついてしまう。
その実験台として白羽の矢が立てられたのが、ナナチとミーティだった。


かくして、二人を使った実験は成功。
ナナチは成れ果て化しながらも人間性を維持することができた初めての生き残りとなった。
が、「呪いを押し付けられる側」であったミーティは「殺して」と懇願するほど苦しんだ挙句、全身が裂けて成れ果てと化してしまった。
ボンドルドへの恐怖とミーティを喪った絶望で心の折れたナナチは、以降しばらくの間、ボンドルドの求めに応じて「カートリッジ(ボンドルドの項目を参照)」製造のために子供たちを生きたまま解体する作業に従事するようになる。

そんなある日、ナナチはボンドルドに連れられてある部屋を訪れた。
そこには、すすり泣くようなうめき声をあげて横たわる親友・ミーティ……だったものが転がっていた。
「成れ果て化したミーティを色々調べてたら、何度殺しても死なないことが分かった。今蘇ってるいいところだからナナチも見て(要訳)」とウキウキで語るボンドルドに耐えかねたナナチは、ミーティを連れて4層に出奔。

以降、4層にこしらえた隠れ家で生活しつつ、死ぬことすらできないまま苦しみ続けるミーティを殺す手段を研究するようになる。
ナナチが医療に通じているのは、ボンドルドの元で人体実験に従事したことと、この過程で薬品や毒薬についての知見を深めたことがきっかけである。

ここまでの経緯が結構期間としては長いらしいことが示唆されているので、実年齢はリコよりも幾分上のようである。



余談


  • 作中では、レグに触られて恥ずかしがるなどの描写がたびたびなされる。人間だった頃は細身に長髪と少女のようにも見える外見だが、武士を連想させる勇ましい形状の兜を自作?して着用している、前述の「だぜ」口調など、どちらともつかない部分が多い(現在、後ろ髪に見える部分は兜の装飾である)。公式にはナナチの性別は不明扱いで、男性であるとも女性であるとも明言されていない。*5

  • 作中ではたびたび、呪いを感知できるキャラクターから、その愛くるしい姿……もとい、「願い」を褒められる描写がある。
    曰く、ナナチが今のマスコットのような姿になったのはミーティの「願い」によるものであり、彼女の純粋な善意と思いやりがもたらした「贈り物」であるらしい。

  • レギュラーキャラにならずに離脱する可能性もあったらしく、構想段階ではボンドルドと本当に刺し違えて死ぬパターンも想定されていた。


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最終更新:2024年04月26日 12:46

*1 2022年7月より予約可能となった"ナナチ 1/1スケール 等身大フィギュア"の大きさは耳先端まで込みで約155cmである。

*2 この状態になった探窟家は他の探窟家からも死亡認定され、殺して遺品のみ持ち帰るのが基本。非情なようだが、後述のミーティの身に起こったことを考えれば放置されるより大分マシである

*3 ナナチでなくとも力場を知覚することができる場合がある。メイニャの匂いを嗅ぎながら目を瞑るという手段でこの力場を感じ取ったリコ、プルシュカは「もあもあ」と呼んでいた

*4 ナナチに限らず、人間が持たない感覚はアビスに奪われないらしい

*5 性別は本編で明言されていないし定かでは無いので解釈に全任せするがタイトートイズのプライズフィギュアAqua Float Girlsでスク水ナナチが出たことにより女性という説が商業上においてはやや強めだと思われる。