ジェラール・ダンテス

登録日:2022/07/04 (月) 15:38:35
更新日:2022/07/09 Sat 20:27:44
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どうした、スプリガン、貴様の《悪夢》はそんなものか?



ジェラール・ダンテスは黎の軌跡に登場する人物である。
身長188cm
34歳
CV:関智一

【概要】

共和国で猛威と悪意を振るうマフィア、アルマータの現首領であり、部下からはボスと言われている。
スーツに茶色の羽織を纏う偉丈夫で、30代と若いながらマフィアの首領に相応しい貫禄と威厳、
あらゆる者を従えるような尋常ではないオーラと、どこまでも底知れない風格を兼ね備えている。
一方で現場主義を公言しており、必要とあらば自ら赴いて変装しての潜入工作も行うなど行動力も高い。
「恐怖こそが人間の根源であり、究極の恐怖を追い求め、手にすること」を理念として、アルマータを率いて共和国に多大な混乱を引き起こした。

彼の経歴だが元はカルバード共和国の旧王家の末裔で、本名はジェラール・エルダリオン
民主化革命の際に先祖が教団に迎え入れられており、その過程でジェラールもD∴G教団に接触し暗躍、次第に幹部、司祭にまで上り詰める。
ただ教団の目的はどうでもよく、他の信者を「とことん頭のネジが外れた集団」と冷ややかに見ていた様子。

しかし幼少のヴァンと会ったことで彼の人生における最大の転機が訪れる。
それはヴァンを廃人になるまで実験し、彼が生まれながら持っていた魔核(デアボリクコア)を手に入れたことである。
これによって絶大な力を手に入れるが、同時に彼の価値観、心情も一変。
元々関心が無かった教団の目的は愚か、先祖が求めた王権復興すら途端に下らないものに思え、同時に人としての価値観(愛情や欲望等)もほぼ失う。
只々退屈な人生観となったが、たった一つ恐怖という感情が自身の隙間を埋めてくると考え、今後は「究極の恐怖」を求めて行動することになる。

魔核によって価値観を歪められたことに対しては、被害者であるヴァンですら後の最終決戦で自身の魔核が原因でジェラールが変わったことを彼に謝罪する程だった。
ジェラール自身もヴァンの謝罪に「この生き方は自身が望んだもの、貴様に哀れまれる謂われはない」と憤ったが、同時に若干の動揺もあったので、自身が魔核によって変わった自覚はあった。(実際魔核と魔王の性質を顧みれば、その影響を受けていて当たり前である)
ただジェラールが明言したように、それは一つの要因に過ぎず、彼の生き方と有り様を決めたのは他ならぬジェラール自身であり、断じて魔王や魔核に支配された訳ではなく、ましてやヴァンが元凶ではない。
そして自身の信念と在り方を賭けて、裏解決屋と自身の悲願のピースであるヴァンとの雌雄を決することになる。

【実力】

達人クラスはある武人。
A級遊撃士の昇格の話が来ていた王国剣術の達人であるエレインを造作もなく一蹴する隔絶した力を誇る。
アルマータには庭園のメンバーを含めて数多の実力者がいるが、間違いなく最強は彼であり、追随出来るとしたら恐らくアリオッチ位のものだろう。

旧カルバード王家にしか真の力を引き出せない古代遺物(アーティファクト)聖魔剣アペイロンを所持しており、この大剣であらゆる存在を寄せ付けない。
しかもこの聖魔剣は特殊かつ頑強なシャードすら両断する業物であり、ジェラールの力量と相まって脅威以外の何物でもない。
ちなみにこの聖魔剣アぺイロンだが、作中では聖剣としての性質は発揮しておらず、ほぼ魔剣一辺倒の力や技しか出していない。
これは恐らく魔王と魔核の性質を取り込んだジェラールが、魔の力しか使わなかったためだろう。

教団在籍時に司祭にまで至った経歴から素の実力からして桁違いだと推察出来る。そして先にも述べた魔核を取り込んだことで、彼の力は人智を超える程に昇華する。
教団壊滅時は、警察や遊撃士協会、星杯騎士団、しかも秘密裏に結社《身喰らう蛇》すらも最大戦力たる《使徒》と《執行者》を派遣しており、これ程の勢力を退け、逃げ延びたことを観れば本当に恐るべき能力がある。
現在確認されている中で、この殲滅戦を逃れた他の二人もグノーシスや「黒の騎神」の力を得た人外なので、ジェラールもこの二人に匹敵、凌駕する化け物ということである。

また達人特有の観の目や頭脳も相当で、即座にヴァンの正体を見抜いたり、アルマータを強大にして運用し、数多の勢力を出し抜いたことからもそれは窺える。
カリスマも溢れており、幹部や部下たちのみならず、昔アルマータに所属していたディンゴ・ブラッドもジェラールを支持して、前首領のエンリケ(作中の評価から間違いなく外道、しかもジェラールからは小物と断じられた)を追い落とすのに全面協力した程。
後述するが、演技にも精通しており、一般市民に紛れて善良な市民を装ったりしていた。
エンリケを粛正する前は、部下にも同僚にも好かれ、頼れる兄貴分(ジェラールの本質を顧みれば間違いなく演技である)だったらしく若かったディンゴもそこに惹かれて(騙されて)彼に協力した。
そしてアルマータはエンリケという小物とは比較にもならない正真正銘の悪魔に乗っ取られてしまったのである…

総じて思想以外は欠点が一切見当たらない文字通りの傑物である。

【アルマータ】

元々アルマータは裏社会おいては、精々が中堅程度のマフィアであり、そこまで脅威となる組織ではなかった。
更に言えば共和国の裏社会は古くから規模と歴史が他を超越している黒月一強であり、これは共和国が力をつけ多数の勢力が入り乱れる現在においても変わることは無かった。
それを覆したのが、ジェラール率いるアルマータである。ジェラールが前首領を粛正して、アルマータを根本から作り替えたことで組織力は一変。
たった数年でアルマータは共和国において黒月に匹敵する裏社会の組織となり、脅威度や危険性においては黒月は愚か結社すら遥かに上回るレベルに至った。

さすがに組織の規模は黒月に遥かに劣るが、幹部は軒並み達人で、しかも外部勢力の一角(庭園等)と手を組み、組織力を底上げしている。
また庭園の技術も取り入れ部下を強化、統率しており、挙句にグノーシスを基にした即効性のドラッグまで常備しているので、一構成員でも並の遊撃士や軍人では相手に出来ない程の力を誇る。
犯罪も狡猾そのもので、尻尾を掴ませずに行動、裏取引きを行い末端の雑事は、現地の半グレや民間人(しかも社会的に大物)を利用して、いつでも使い捨てる周到さと厄介極まりない。

だがアルマータの本当の恐ろしさは、こういった点ではない。それは組織の行動理念である。
上記にも述べたが、ジェラールの思想である「恐怖こそが人間の根源であり、究極の恐怖を追い求め、手にすること」が組織にも反映されている。
この理念から、表社会は愚か裏社会にも甚大な被害を齎した。殺人、暴虐、薬物とありとあらゆる犯罪に手を染めて、文字通りのやりたい放題である。
共和国においては、黒月が裏社会の秩序を一定に保っており、その上で警察や遊撃士が存在するので、彼らがいる限り大多数の裏組織は大きな犯罪は犯せなかった。
しかしアルマータは先に挙げた実力と狡猾さで彼らの目を掻い潜り、共和国を恐怖に貶めたのである。
そしてこの恐怖を根底とした行動理念は敵対者だけでなく、組織の部下達にまで浸透しており、幹部よりも下の構成員はジェラールからの「恐怖」に恐れ、危険な任務も「ボスに比べればマシ」だとして我が身を厭わず遂行している。

こういったアルマータの在り方、脅威から目下警察や遊撃士、共和国政府にとって最大の敵対勢力となる。
当然裏社会においても同様で、黒月や結社を筆頭とする多くの勢力がアルマータ打倒を掲げ、挙句に教会勢力に至っては封聖省が虎の子である星杯騎士団、典礼省から隠密僧兵部隊イスカリオの副長が一部隊を率いてまで対処に及んだ。
特に黎の軌跡中盤から終盤にかけては彼らの有り余る暴虐を看過出来ず、元々敵対し軋轢がある遊撃士、CID、黒月、教会が秘密裏に情報交換ないし、手を組んだ。
そして大多数の表裏の組織がアルマータを第一ターゲットとして、叩き潰そうとまでした程である。

【劇中の活躍】

●創の軌跡

初出は今作の大型アップデートで追加されたエピソードの一つに登場。
庭園の真似をした挙句に、CIDに尻尾を掴まれたアルマータの下部組織を粛正するのに登場。
人を人とも見ない冷酷な心、常人が想像もつかないやり方で人を殺す所業、挙句にエレインを寄せ付けない圧倒的な武を見せた。
最終的に組織の粛正を完遂させ、エレインを見逃してその場を立ち去る。
遊撃士の援軍が来たとか、状況が不利になったとか、そんな理由ではなく、文字通り気まぐれでエレインと組織に拉致された子供たちを殺さなかったのである。(本人曰く掃除を手伝ったお捻り)

その残虐非道な行いは、軌跡シリーズでは文章でしか表現できないと思われていたのに、後の作品で直接目にすることになる…
恐らく多くのプレイヤーは碧や閃をやって、そこまで残酷な描写はもう軌跡では出ないだろうと思っていた筈。
なのに後の作品でまさかのPC版原点回帰どころか、ある意味それ以上の惨劇が描写されるとはプレイヤーの誰もが、予想もしなかっただろう……

●黎の軌跡

そして黎で本格参戦。顔見せは、3章のサルバッド狂騒曲から。
実験と称して、ゲネシスを用いてサルバッドの映画祭に大混乱を齎す。
それを阻止すべく乗り込んできた裏解決屋(とグリムキャッツ)とアルジュメイラホテルで対峙。

ここで初対面と思うだろうが実はそうではない。なんとジェラールは現地の下見を兼ねて、カジノのディーラーに変装してヴァンやディンゴたちと一度会っていたのである。
関さんのCVや眼鏡で怪しんだプレイヤーも多いだろうが、その後に依頼やらグリムキャッツとの一悶着やらがあったりして印象に残り難いのでうまい見せ方である。
(ちなみにカジノのジェラールに話しかけると、本当はディーラーでもないのにディーラーの観点から結構良いことを言ってたりもする)

サルバッドに来てから以前までと違い、アルマータの構成員の影も見えないことにヴァンたちは訝しんでいたが、さすがにボス自らが現地に滞在し、ましてや一般市民に成りすまして下見をしていたことには、驚愕を顕わにした。
最終的に裏解決屋の不意打ち(ジェラールは微笑んでいたところを観るに、余裕で対処出来たものと思われる)を受けて、ゲネシスを手放す。
ただ最初からゲネシスは使い捨ての消耗品として扱い、アニエスの手元に返すつもりだった模様。
そして予め準備していた飛行艇を用いて、サルバットから離脱。アルマータの強大さをまざまざと魅せ付ける形になった。

「お前ら――どこまでやるつもりだ?」
「決まっているだろう、スプリガン。――どこまでもだ。」

そして間章ラストで恐るべき惨劇を齎す…
クレイユ村の一角に現れディンゴと対峙。今まで邪魔をしてきたディンゴの始末をするのだと他ならぬディンゴ自身も予想していた。
しかしジェラールはそれを遥かに上回る「恐怖」を持ってディンゴに宣告する。バーゼルのキャラハン教授が遺した《反応兵器》を用いてクレイユ村全てを灰燼に帰すと。
これにはディンゴも驚愕、命乞いや説得どころの話ではなく、せめて村人を逃がす時間を懇願するが、ジェラールは「真の恐怖の前には誰しも平等」と一笑に伏す。
この態度を見てディンゴは覚悟を決め、カメラを構えてジェラールを映す。彼が起こした惨劇を正しく世に伝え、友や後輩へと託すために…

「煉獄に落ちろ――ジェラール・ダンテス……!!」
「いい度胸だ――取り切って逝け。ディンゴ・ブラット!」

そしてジェラールはディンゴを始めとする罪のない数千の市民を一つの村ごと焼き払ったのである
このテロを契機に表裏関わらず多くの組織、勢力がアルマータをなんとしてでも叩き潰すために動き出す。
それに応えるかのようにジェラールも決戦の場をオラシオンに定めて、この地にアルマータと敵対する全戦力を呼び込む。
オラシオンの地下遺跡にて謝肉祭(カルナヴァル)と称したデスマッチを開催。多くの勢力が潰し合い、一定以上の勝ち星(アクセスキー)を得た者たちが自身やアルマータ幹部に挑戦出来るルールを設ける。
当然、これに反発する者が大多数だったが、ジェラールはもう一つの《反応兵器》を用いて、もしルールに従わなかったらこれを起爆させ、オラシオンをクレイユ村と同様に消し飛ばすと宣告。
さらにはゲネシスで各勢力がルールに抵触しないように見張っており、これには全組織が渋々ルールに従うしか出来ない状況だった。

最終的にはルールの穴を突いて、別勢力の一角を味方につけた裏解決屋が勝ち抜き、遂にジェラールと対峙。グレンデル化したヴァンを筆頭に総がかりで決戦となる。
これだけの戦力やグレンデル化したヴァンとも互角に立ち回る圧倒的な実力を魅せ付けた。
最後はグレンデル化したヴァンと一騎打ちに成るかと思われたが、直前でヴァンはグレンデル化を解き、生身でジェラールに迫る。
これには不意を突かれ、ジェラールも太刀筋が単調になった上に、真正面からヴァンを迎え撃ってしまった。
ヴァンはこの太刀筋を完全に見抜いて、アぺイロンの斬撃を撃剣の側面で受け流し、その勢いのままエネルギーを纏わせた撃剣の刀身でジェラールの心臓を穿いた。
遂に決着した戦いだが、絶命の際にヴァンの腕を掴み意味深な一言を遺した。そして遺体はメルキオルが放った業火の中に消えることになった。

「……見つけたぞ……これで目標達成だ……」

戦いが終わり、様々な事後処理の後、革命記念祭が無事開催されてもヴァンはこの一言を懸念し、警戒を強めていた。
そしてこの懸念は当たる。アルマータでただ一人逃れ、行方が分からなくなったメルキオルが記念祭途中で7個目のゲネシスを用いてテロを引き起こす。
ヴァンタイユ地区の中央部にて、時計塔を思わせる巨大な建造物《ゲネシスタワー》が出現し、死んだはずのジェラールや死亡もしくは逮捕された幹部が軒並み姿を現した。
そして魔核と7個目のゲネシスの力を用いてパンデモニウム化を引き起こし、共和国のみならず全世界を巻き込む程の大事件を企てたのである。

この目論見を阻止するために、裏解決屋を筆頭に表裏の垣根を超えた様々な勢力が一致団結しアルマータとの最期の戦いに臨む。
立ちふさがる障害を彼らとの協力で突破して裏解決屋はゲネシスタワーに突入。
復活したアルマータ幹部や最後にして最悪の障害だったメルキオルすらも打ち倒し、遂に最上部にてジェラール・ダンテスと再び対峙する。

ここで自身の経歴とヴァンの来歴を語る。
またアニエスの出生やゲネシスのこともある程度知っている様子だが、それ自体はジェラール本人の主目的とは別だったので、詳細は語らなかった。
(ゲネシスもあくまで彼の本懐を叶えるための一パーツ(作中の彼の行動から代用品もあったと考えられる)に過ぎず、本命はあくまでヴァンと魔核にあった)
そして一度死んだことで、不死者と成り、さらにパンデモニウム化の影響で更に力を付け、マクバーンと同じ極地である魔人化に至った。

この状態でも裏解決屋相手に優位に立ち回ったが、取り込んだ魔核を解放して「魔神ジェラール」に変貌した。
この状態を魔王化になる前のデモンストレーションと評したジェラールだが、魔神状態でもマクバーンを上回る力を得たと自負していた。
絶体絶命の状況になった裏解決屋だが、ヴァンが最後の枷を外し、真のグレンデル化を実行。
パンデモニウム化によってジェラールに起こった変化は、ヴァンにも同様に起こっており、かつて投薬されたグノーシスの相乗効果も相まってこれまでとは比較にならない力を発揮したのである。
(そもそも魔核自体は元々ヴァンが所持していた物なので、ヴァンにジェラール同様の変化、或いはそれ以上の力が引き出されるのは至極当然である)
そして最期の戦いが始まる……

「無様な”枷”ごと食らい尽くしてやろう――ヴァン・アークライド!!!」
「預けていた物を返してもらうぜ――ジェラール・ダンテス!!!」

死闘の末、ジェラールを追い詰めた裏解決屋。そしてヴァンはジェラールに組み付き、彼から魔核を引きはがす。
ヴァンに敗れはしたジェラールだが、自身の目的はヴァンによって達成され、最終的に行き着く終着点は同じだと考えており、笑いながら散っていた。
軌跡プレイヤーが驚愕しただろう意味深な言葉と共に……

「俺はもう識っている……“煉獄”すら存在しない事も……」
「だが敢えてこの言葉を送ろう」
「――煉獄より見守っているぞ、ヴァン・アークライド……!」
「貴様が“純粋なる恐怖”として完成するのをな…………」

D∴G教団は《外の理》とよばれるゼムリア大陸の核心に近づいていた。戦う直前に『偽りで成り立つ世界』、『真の姿』という言葉を使っており、魔核を通じて中世の魔導師や至宝の一族、教会のみが知っている何かに辿り着いていたのだろう。

【余談】

今までに出て来た外道枠は教授やヨアヒム、アルべリヒと不気味かつ気持ち悪い悪趣味な連中が多かった。
今回のジェラールも彼らと同様の人種で、さらに凌駕するほどの大悪党である。
しかし突き抜けた非道と容赦の無さ、常に余裕ある態度に間違いなく達人(剣聖)クラスの力量がある武人。
貫禄ある容姿に関さんのカッコイイ声、そして最後まで貫いた信念と魅力が多数あり、軌跡シリーズでは珍しい人気のある外道になった。
(今作では似たような悪党で結社にエルロイ・ハーウッドが出ており、こっちも擁護負荷のクソ外道でありながら妙に高い社交性と馴れ馴れしい態度、(ブラック)ユーモア溢れる言動で人気が出た。)



「生も死も、秩序も混沌も、全ての根源には“追記、修正“がある。」
「だから俺は“究極の追記、修正“を求めた」


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最終更新:2022年07月09日 20:27