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更新日:2025/04/16 Wed 20:43:31
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運命のいたずらか、はたまた宿命か。
全くの同点で迎えた最終決戦。どちらがとっても史上初。
片や、前人未到の8度目のワールドチャンピオンへ、ルイス・ハミルトン。
片や、オランダ人初の王座獲得へ、マックス・フェルスタッペン。
お互いのプライドと、意地をかけ、58周のラストバトルへ―――
2021年F1アブダビグランプリは、2021年F1世界選手権の最終、第22戦として開催された。
二人のドライバーが同率1位で最終戦を迎えるのは実に47年ぶりとなり、シーズン中に幾度となく争ってきた二人の争いに決着に関係者、ファンが注目していた。
レース間の状況
最終戦を前にして両者同点の369.5ポイント。
もしこのまま同点の場合は1勝多く勝っているフェルスタッペンが王者となる。
つまり、ハミルトンが確実に勝つには最低でも8位以上でなくてはならない。
ルイス・ハミルトンはマクラーレンから2007年デビュー。
以来ほぼ常に上位争いを繰り広げる活躍を見せ、2014年以降のV6ターボハイブリッドパワーユニットが切り替わって以降のメルセデスで他者を寄せ付けない圧倒的実力を発揮し
、7回もワールドチャンピオンとなった文字通りの絶対王者。
今年もワールドチャンピオンになればあの
ミハエル・シューマッハをも超える8度目となる。誰も到達したことのない大記録を前に、ファンの多くは「やはりミハエルを超えるのはハミルトンだろう」と口々に言っていた。
しかし、イタリアでのフェルスタッペンとの相打ち、そしてアゼルバイジャンでのノーポイントを含め、表彰台は16回、勝利数8回とメルセデスのマシンの戦闘力がここ数年でも微妙となったこともあり、今までのような余裕はなくなっていた。
一方のマックス・フェルスタッペンはかつてF1ドライバーだったヨス・フェルスタッペンの息子にして最年少ドライバーの記録を塗り替えた若き天才。
初期のころは経験不足もあって他者を巻き込むクラッシュなどが多かったが、トロロッソからレッドブルに移籍し、2016年のスペイングランプリで初勝利を挙げてからめきめきと頭角を現し、現在は名実ともにレッドブルのエースとなった。
2019年からエンジンサプライヤーとしてホンダとタッグを組んでからは戦闘力が格段に上がり、メルセデスに張り合うほどになったが、後一歩がどうしても届かず、メルセデスとハミルトンに苦汁を嘗めさせられていた。
そして2021年にレッドブル・ホンダとしてチーム力がかなりよくなっていたところに、ホンダのF1撤退が決定する。
フェルスタッペンはホンダの撤退を残念とするも、リタイアやダメージを引きずってのハンガリー9位を除けばほぼ全てのレースで1~2位を獲得。3位なしで表彰台20回など、ポイントこそハミルトンに並ばれたが、安定して表彰台にいる回数としてはフェルスタッペンに軍配が上がるなど、ハミルトンを越えるには十分な実力を見せていた。
また、今年アルファタウリから参戦した日本人F1ドライバーである角田裕毅も、ムラこそあれど入賞する活躍を見せるなど、シーズンを通しての集大成を見せるグランプリとなった。
その他ではこのグランプリをもってF1を去るドライバーいる。
アルファロメオの
キミ・ライコネン、同じく
アントニオ・ジョビナッツィ、そして国際的な問題で事実上最後のレースとなったハースの
ニキータ・マゼピンである。
ライコネンはこのグランプリ後には
バイクチームの監督として、ジョビナッツィはフェラーリの開発ドライバーを兼ねながら、電気自動車のフォーミュラEのドライバーとして活動していく。
マゼピンは…正直ドライバーの立場的には被害者でしかない。ペイドライバーであまり評価は高くなかったとはいえ、続けていれば伸びしろもあっただろうに、この件については同情の余地がある。
3人が今後活躍するのを心から願う。
また、ウィリアムズのジョージ・ラッセルもこのレースを最後にウィリアムズを離れ、来期はボッタスに代わって念願のメルセデスへ移籍し、そのボッタスはアルファロメオへ行くこととなる。
また、今回アブダビグランプリが行われるヤス・マリーナ・サーキットだが、去年までのレイアウトを大きく変更し、1周あたりの長さが短くなったため、決勝周回数が53周から58周へと変更された。
予選はフェルスタッペンがポールポジションを獲得。
しかし、決勝で使うはずだった
ミディアムタイヤをロックアップして痛めてしまったため、決勝で別のタイヤを履かざるを得なくなってしまった。しかもこのときミディアムは使い切り、残っているのは柔らかすぎるソフトと、決勝で走りきるためのハードタイヤしかなく、事実上ソフトしか使えなかったため大きく不利になってしまった。
一方でハミルトンはポールこそ逃したが、しっかりとタイヤを残しており、決勝はペース配分さえ間違えなければ十分勝てるだろうと予測されていた。
そのほかでは角田が予選第3ラウンドに進出、チームメイトのガスリーを上回る8番手で決勝を迎える。
予選結果
2021 Formula one
Round 22
Abu Dhabi Grand Prix
Starting Grid
Position |
Car No. |
Driver |
Team |
PP |
33 |
マックス・フェルスタッペン |
レッドブル-ホンダ |
2 |
44 |
ルイス・ハミルトン |
メルセデス |
3 |
4 |
ランド・ノリス |
マクラーレン-メルセデス |
4 |
11 |
セルジオ・ペレス |
レッドブル-ホンダ |
5 |
55 |
カルロス・サインツ |
フェラーリ |
6 |
77 |
バルテリ・ボッタス |
メルセデス |
7 |
16 |
シャルル・ルクレール |
フェラーリ |
8 |
22 |
角田裕毅 |
アルファタウリ-ホンダ |
9 |
31 |
エステバン・オコン |
アルピーヌ-ルノー |
10 |
3 |
ダニエル・リカルド |
マクラーレン-メルセデス |
11 |
14 |
フェルナンド・アロンソ |
アルピーヌ-ルノー |
12 |
10 |
ピエール・ガスリー |
アルファタウリ-ホンダ |
13 |
18 |
ランス・ストロール |
アストンマーティン-メルセデス |
14 |
99 |
アントニオ・ジョヴィナッツィ |
アルファロメオ-フェラーリ |
15 |
5 |
セバスチャン・ベッテル |
アストンマーティン-メルセデス |
16 |
6 |
ニコラス・ラティフィ |
ウィリアムズ-メルセデス |
17 |
7 |
キミ・ライコネン |
アルファロメオ-フェラーリ |
18 |
63 |
ジョージ・ラッセル |
ウィリアムズ-メルセデス |
19 |
47 |
ミック・シューマッハ |
ハース-フェラーリ |
20 |
9 |
ニキータ・マゼピン |
ハース-フェラーリ |
決勝概要
そして迎えた決勝。
予選での失敗からソフトタイヤでのスタートとなったフェルスタッペンは、なんとしてもターン1を抑えなければいけなかったが、ハミルトンの先行を許してしまった。
ターン6のシケインで再度仕掛けるが、ハミルトンに正当性のあるシケインショートカットを許すほどの突込みをしてしまい、結果的にハミルトンと大きく離れてしまった。
こうなってしまうとフェルスタッペンはソフトタイヤがたれてしまい、ペースを上げることは難しい。ハミルトンとの差はどんどん広がり、この時点で大多数のF1視聴者はハミルトンのチャンピオンだろうと予想していた。
しかし、両者1回目のピットストップを行った後に第一の波乱が。
レッドブルクルー>>ペレス「ハミルトンがピットインした。プランA、いやプランBだ」
現時点でのトップであるレッドブルのセルジオ・ペレスがステイアウトを選択。ハミルトンを抑える蓋となるべく、磨耗したソフトタイヤのままピットストップのタイミングをずらしてコースに留まった。
19周目にハミルトンがペレスに追いつき、しっかり暖まったハードタイヤでペレスを抜き去り、マックスとの差を広げる…と思いきや、ペレスは巧みにハミルトンの行く手を阻み、ハミルトンのペースを落とさせる。
レッドブルクルー>>ペレス「よし、抑えろ。抑えるんだ。」
ハミルトンが何度もストレートセクションで前に出掛かるが、ペレスがそれを再び抜き返し、同じくハードタイヤで追い上げるフェルスタッペンを待つ。見る見るうちに差が縮まっていく。
ハミルトンが苛立つ。
ハミルトン>>メルセデス「すごく危ないドライビングだ」
先述したとおり、ハミルトンはリタイアしてしまえばフェルスタッペンの順位に関係なくチャンピオンシップでの敗北が決定してしまう。なので無理にペレスに仕掛けられない。
そうこうしているうちにフェルスタッペンが1秒以内に迫ってくる。
ようやくハミルトンは21周でペレスの前に。役目を終えたペレスはすぐさまフェルスタッペンに2位を明け渡す。
フェルスタッペン>>レッドブル「チェコはレジェンドだよ!」
レッドブルクルー>>フェルスタッペン「まるで獣のようだ」
しかし、そのペレスの伝説的なブロックをもってしてもハミルトンに追いつくことはできず、再び差が広がり始める。自己ベストを更新しているにもかかわらず、まるで追いつかない。
しかし、そのチャンピオンをめぐるバトルの最中…
ライコネン>>アルファロメオ「ブレーキが壊れた」
25周目にライコネンがターン6で止まりきれず、スポンジバリアに激突。
幸い大きなダメージはなく、ピットに戻ったが、修復の見込みがなくそのままリタイア。2007年のワールドチャンピオンは寂しい形でF1を去ることとなった。
さらに来年からはメルセデスへ移籍することとなるウィリアムズのジョージ・ラッセルもスローダウン。コース上にマシンを止め、ギアボックスのトラブルで同じくリタイアとなった。
ハミルトンはこのままハードタイヤで走りきる作戦にし、逃げ切りに出る。フェルスタッペンはこのまま何も起こらなければ圧倒的に不利となる。
と、そのときだった。
アルファロメオ>>ジョビナッツィ「シフト操作をするな」
ジョビナッツィ>>アルファロメオ「わかった」
ライコネンと同じくラストレースだったジョビナッツィがコース脇で止まった。
一応コース外ではあるが、作業員が入らなければマシンを撤去するのは難しいと判断。
オフィシャルはフルコースイエロー、ヴァーチャルセーフティーカーを導入した。
これで各車強制的にペースを落とすことになり、上位勢ではフェラーリのルクレール、フェルスタッペン、さらにペレスがピットに入り新品のハードタイヤに履き替える。
ハミルトンに追いつこうとしていたが、
トト・ウォルフ>>マイケル・マシ「マイケル、セーフティーカーは入れるなよ。レースの邪魔になるから」
レースディレクターのマイケル・マシにメルセデス代表のトト・ウォルフが無線で牽制を入れる。メルセデス側からすれば、このタイミングでセーフティーカーになれば新品のタイヤに交換したフェルスタッペンのほうが有利な状態で両者のタイム差がリセットされるため、それを恐れたのだ。
この様子は国際中継にも流れ、ファンの間では物議をかもした。
38周でレース再開。ウォルフ代表の要望どおり、セーフティーカーは入らなかった。だが、それはハミルトンにとってリスクでもある。
フェルスタッペンは状態のいいタイヤで差をつめてくる。それに対しハミルトンはかなり長く走ったハードタイヤで走りきることしかできないため、もしミスをした場合のリカバリーが非常にむずかしい。
まさに針の穴に糸を通すような繊細なドライビングを強いられるのだ。
かといって、あの時ピットに入ってしまうとレッドブルに前に出られてしまい、そうなるとフェルスタッペンに有利な状況を作られてしまう。他に選択肢はなかった。
それでも終盤40周目以降は、ハミルトンとフェルスタッペンのラップタイムは、コンマ2、3秒しか変わらない。残り11周となった47周目でも、まだ12秒以上のギャップがあった。もはやフェルスタッペンに打つ手はない。
このままハミルトンのチャンピオンかそう思われていた矢先…
両者の運命を大きく狂わせる出来事が起こった
現地実況「なんとニコラス・ラティフィ!クラッシュをしている!!」
混沌のファイナルラップ
52周目、ミック・シューマッハとバトルを繰り広げていたニコラス・ラティフィがターン14の立ち上がりでグリップを失いスライドする形で右リアからガードレールにクラッシュ。事故を起こした場所はセーフティエリアもなく、作業のために重機をコース上に入れなくてはならない。
当然、セーフティカー(SC)が導入された。
ハミルトンにとっては最悪のタイミングだった。
フェルスタッペンとのタイム差は11秒。このまま行けば十分勝てる。しかし、それはセーフティーカーが入ったことで完全に狂ってしまった。
なぜならピットに入れば、早くても14秒のロスが発生する。
その状態でピットに入れば、フェルスタッペンにトップを明け渡すことになってしまう。
しかも、フェルスタッペンはハミルトンと違いヴァーチャルSCが入ったときに新品のハードに交換したため、タイヤに余力が十分に残っている。
ハミルトンにできるのは、セーフティーカー先導のままレースが終わることを祈ることしかなかった。
ハミルトンがコクピット内で首を横に振る。
ハミルトン>>メルセデス「******!」
一方でフェルスタッペンはフリーストップ、順位変動がない状態でピットに入れる状態にあった。
すぐさまピットに駆け込み、予選で使っただけの中古のソフトに交換する。
ペレスもタイヤ交換をしたが、3周後にトラブルが発生。これ以上マシンが止まってフェルスタッペンの千載一遇のチャンスをつぶすわけには行かず、ペレスをガレージに入れた。
フェルスタッペンはハミルトンに追いつきはしたものの、ハミルトンとの間には5台の周回遅れが連なっている。
本来なら、「周回遅れのマシンを一度SCの前に出して、1周させた後に隊列の後ろに戻す」という作業(以下、この作業を便宜上「ラップバック」と呼ぶ)を行ってからSCを退避させレースを再開するのだが、ラティフィのマシンの撤去がほぼ完了した段階でレースの残り周回数からして、ラップバックの時間を取ることができず、FIAは「周回遅れはそのままでレース再開をする」と発表。しかし、レッドブル陣営は当然納得できない。
このままセーフティーカー解除となってレース再開しても、フェルスタッペンはハミルトンを抜く前に周回遅れを処理しなくてはならない。結局のところ抜くまでに差が縮まってないのだ。
これではせっかくチャンスが来たとしてもハミルトンに追いつく前に決着がついてしまう。相変わらずチャンピオン獲得には絶望的な状況だった。
クリスチャン・ホーナー代表がレースディレクターに抗議をする。
クリスチャン・ホーナー>>マシ「どうして周回遅れがそのままなんだ。何が問題なんだ?」
マシ>>ホーナー「ちょっと待ってくれ。問題をクリアにしないといけない」
ホーナー>>マシ「僕らは1周で十分なんだ」
決断を迫られるオフィシャル。このままセーフティーカーを先導したままレースを終えても運営上はまったく問題ない。
しかし、それで観客やレースをしている側全てが納得するかといえばそうではない。
かといって、後1周に全ての周回遅れを前に出すのはあまりにも時間が短すぎる。
苦渋の末、オフィシャルが出した判断は…
ノリス、アロンソ、オコン、ルクレール、ベッテルの5台のみをラップバックさせる。
これだけ聞くとわかりにくいが、要は
ハミルトンとフェルスタッペンの間にいた周回遅れのみラップバックさせた上で残り1周のレースを再開する
というのだ。
これにはメルセデス側は大混乱。セーフティーカーが入ってからハミルトンは一気に窮地に立たされた。
ウォルフ代表がすかさずオフィシャルに抗議する。
ウォルフ>>マシ「マイケル、これは正しくないよ。」
しかし、もう時計の針は止まらない。
ハミルトンとフェルスタッペン、二人の一騎打ちに観客は大盛り上がり。
ソフトタイヤに履き替え、ハミルトンの一瞬の隙をうかがうフェルスタッペン。
ぼろぼろのハードタイヤで、先頭を走っているというアドバンテージのみで抑えきりを図るハミルトン。
全てはこの1周、ファイナルラップで決まる――――
セーフティーカーが退去し、各車ホームストレートを通過。レース再開。
ハミルトンが必死にフェルスタッペンのラインを抑える。だが、ただでさえグリップしないタイヤで抑えようとしているため、コーナーひとつ抜けるたびに挙動が大きくなる。
フェルスタッペンは慎重に、チャンスが来るのを待つ。
最初の仕掛けどころ、改修されシケインから
ヘアピンとなったターン5に2台が突っ込む。
フェルスタッペンがスリップストリームとタイヤのグリップを生かしてハミルトンのインを突く。
ハミルトンは一瞬抵抗したが無理できない。完全にフェルスタッペンが前に出る。その後の長いストレート区間で両者がしのぎを削る。だが、圧倒的にハミルトンが不利。もうDRSも使えず、タイヤのグリップがないため無茶ができない。
ハミルトン「こんなのありえないよ!」
ウォルフ>>マシ「マイケル、一体何なんだよあれは!?だめだ、だめだ!これは間違っている!」
しかし、ハミルトンはあきらめずにエンジンモードをフルにし、メルセデス製パワーユニットの加速を利用してターン9でアウトから仕掛ける。
が、フェルスタッペンがソフトタイヤのグリップに物を言わせインを塞ぎ、それを許さない。
万事休す。ハミルトンが全てを悟ったかのごとく、一瞬にして両者の差が広がる。
現地実況「2021年フォーミュラワン、魔法のような瞬間が数多くのドラマ、数多くのバトルがこのときまでにありました、そしてそれはマックス・フェルスタッペンのためにあったかのようです。
メルセデスは沈み、レッドブルは輝きを取り戻した!両者ともにチャンピオンシップを賭けてすばらしいバトルを繰り広げました!
そして今年のチャンピオンは、一人のオランダ人に与えられようとしている!」
現地実況「マックス・フェルスタッペン!初のワールドチャンピオン!!」
「ルイス・ハミルトンは長きに渡って首位を走りながらも2着に終わりました!」
絶対王者、ルイス・ハミルトン陥落。
そして史上初のオランダ人チャンピオン、マックス・フェルスタッペンが誕生した。
レッドブル>>フェルスタッペン「やったよ、マックス!マックs…」
フェルスタッペン>>レッドブル「いぇええええええ!!!やったあああああああ!!!!マジかよ!!やったああああああ!!!Foooooooo!!!」
ホーナー>>フェルスタッペン「マックス・フェルスタッペン!お前がチャンピオンだ!ワールドチャンピオンだよ!」
一方、ハミルトンは前人未到の8度目のチャンピオンという夢が泡となって消えた事実を受け止めきれず、本来ホームストレート上に設けられた表彰台圏内用の駐車位置に止めず、共通のパルクフェルメへと止め、長きに渡って沈黙していた。
メルセデスもかける言葉がなかった。
メルセデス>>ハミルトン「かける言葉がないよ。ルイス、何も言えない……。」
最後の最後、ファイナルラップでもぎ取った栄光。
それはチーム、ドライバー、マシンのどれか一つでも欠けていたら取れなかった。
特にペレスのブロックがなければ、セーフティーカーが出動した際、ハミルトンにピットストップのチャンスがあった可能性が大きかったため、本当に今回はペレスの功績が大きいと世間は評価した。
一方、メルセデスはボッタスがいたものの、ハミルトンのように厚遇せず、終盤はメルセデスのコンストラクターズのためのおまけのような扱いをしていたため、ボッタスがシーズン中にアルファロメオへの移籍を決めて以降はそれ以上に冷遇していた。
その結果、コンストラクターズこそペレスのリタイアによって確実となったものの、ボッタスはハミルトンと比べると戦闘力の劣るマシンで上位争いをするに留まってしまい、本来押さえるべき相手であるペレスに追いつけなかったのが今回のハミルトンのチャンピオン陥落の一番の原因だろうと、多くの意見が出ている。
レース後
メルセデスの抗議とFIAの対応
ドライバーズチャンピオンを逃したメルセデスはファイナルラップの公式の裁定によって引き起こされた結果に納得できず、FIAに抗議の声明をあげた。具体的な抗議内容は以下の2点。
①フェルスタッペンがセーフティーカー中にハミルトンを追い抜いた
②ハミルトンとフェルスタッペンの間にいた5台の周回遅れに対しセーフティカーを追い越す指示
これに対しFIAは
①確かに追い抜いてはいるが、レース再開前の加減速によるものであり、第一セーフティーカーライン前ではフェルスタッペンはハミルトンの後方に下がっていた
②(後の声明でヒューマンエラーがあったことは認めたものの)競技規則第48条12項で“全ての車両”ではなく、“複数の車両”としていたため、この判断が間違ってはいない
として、抗議を却下した。
メルセデスは上訴する構えを見せたが、提出期限にそれを取りやめ、フェルスタッペンのチャンピオンが確定した。
ホンダのPU(≒エンジン等の動力部)を使用したマシンに乗るドライバーがチャンピオンを獲得するのは1991年の
アイルトン・セナ以来であり、この結果に多くの日本のファンが沸き、また、ファイナルラップの劇的なドラマを作り出したレースディレクターたちを称賛する声も多く聞かれた。実際、とある日本のモータースポーツ情報サイトの読者アンケートでは、2021年のF1ベストレースにこのアブダビGPが選ばれた。
そして、このドラマの立役者となったレースディレクターのトップ、マイケル・マシは…
このアブダビGPを最後に、レースディレクターの座を解任されてしまった。
殺到する批判
マイケル・マシの判断によって、このレースのファイナルラップはドラマチックになり、劇的な逆転劇が生まれたこと、その中で運営上の規則違反が存在しなかったことは、先に書いたと通りの事実である。そしてそれを称賛したファンもいた。
それにも関わらす、マシはレースディレクターを解任させられてしまった。一見すると、非常に不可解である。
これに対し、彼の解任を決めたFIAは、マシが主導したアブダビGPの運営に問題があったためと説明。具体的には、以下の点をあげている。
- マシのレース運営は規則に対する違反こそなかったが、それでもファイナルラップのリスタートは「本来の手順を逸脱したもの」だった
- それに付随して「このレースにおいて、競技規則の少なくともふたつの条項を正しく履行しなかった」
実は、FIAが指摘した問題点は、一部のF1関係者やファン(言うまでもなく、マシを称賛したファンとは別である)、それにモータースポーツを専門とするジャーナリストたちも、レース中にすぐ気がついており、彼らの間では、レース後には既にかなり物議を醸していた。
しかし、規則違反を犯していないのに「本来の手順を逸脱した」「条項を正しく遂行しなかった」とは一体どういう意味なのだろうか?
確かに、メルセデスの抗議が認められなかったことから、規則だけ見れば何ら運営にかかわった人間の判断には問題がないことは事実である。しかし、問題となったのは、果たして運営者は規則で認められている事柄の中から、最善の選択をしたと言えるのだろうか?という点である。
そして、マシ解任の結果から察しがつくだろうが、FIAはマシが最善の選択肢を取れなかったと判断したわけである。では、なぜそう判断したのか?ここからは、それを具体的に説明していく。
切り捨てられた安全性
そもそも、「SC導入の際に、周回遅れのマシンが隊列を抜いて1周走らせ、隊列の後ろについてからレースを再開する」というラップバックのルールは、レースを安全に運営するためのものである。
周回遅れのマシンは元からペースが遅い上に、後ろからリードラップのマシンが追い付いてきた場合、道を譲るために更にゆっくり走られることを強いられる。
仮に周回遅れとリードラップのマシンが混在した隊列のままレースがリスタートしてしまえば、周回遅れにとっては、明らかにスピードが速いマシンの大群が自分に押し寄せてくることになる。しかし、サーキットの道幅は限られているため、大群にいる全てのマシンに対して邪魔にならないように道を譲ることは不可能であり、動き次第では追突事故のきっかけになりかねない。
逆にリードラップのマシンにとっては、周回遅れに引っ掛かれば、せっかくSCで詰まった前車との差を広げられてしまうと考え、周囲にマシンが密集した状態で無理やり周回遅れを抜こうとするだろう。やはり接触事故のきっかけとなりうる状況であるのは明らかである。
だからこそ、これまでのレースでは周回遅れのマシンを「全車」ラップバックさせることが当たり前であり、一部の周回遅れだけをラップバックさせるという今回の判断は前代未聞であった。
実際、フェルスタッペン以降にいたリードラップのマシンたちは、周回遅れがどけられていない状態でレースが再開されたため、スロー走行をする周回遅れを抜きながら、順位を上げる、あるいは守るための接近戦を強いられていた。それもファイナルラップという極めて順位を上げるチャンスが少ない状況下においてである。
ハッキリ言ってしまえば、ファイナルラップをレギュレーション上保証された安全が確保された状況下で走ることができたのは、ハミルトンとフェルスタッペンだけである。
規則上は一部の車両のみをラップバックさせることも可能だったのは先述した通りだが、FIAは今回に限ってマシがそうしなければいけなかったという納得できる理由を見つけることができなかった。強いて言えば、事前の取り決めやレースのエンタメ性を鑑みて何としてでもリスタートを実行したかったのかもしれないが、その場合でも、本来確保できる安全性を捨ててまでこれらを優先したのは、正当な理由にならないと判断したのである。
失われた公平性
また、フェルスタッペンの前にいた周回遅れのみをどかして、他を放置したということは「フェルスタッペンと同じ状況にいたリードラップのマシンを同等に扱っていないかった」ということであり、スポーツとしての公平性が担保できているのかということに対しても疑問の声が上がっていた。
もし、これまでの慣例通り全ての周回遅れのマシンをどかしていたならば、フェルスタッペンがハミルトンを抜くチャンスを得られたように、3位以下のマシンがフェルスタッペンとハミルトンに挑戦するチャンスだってあったはずなのだ。
実際、SC中に3位を走っていたカルロス・サインツも、1位と2位の間にいる周回遅れだけをラップバックさせたことについて”Very very strange”(とても奇妙だ)と苦言を呈していた。フェルスタッペンにはハミルトンを抜くチャンスが与えられたのに、サインツは周回遅れが邪魔をして、フェルスタッペンを追いかけることができなかった。これはフェルスタッペンがファイナルラップでサインツの追撃を気にせず、ハミルトン攻略に専念する助けにもなっていたことだろう。先に話したように、今回のSCでは前例のない「特例措置」が適応されたわけだが、それによってフェルスタッペンだけがどれだけ得をしたのかがわかるというもの。運営はこの状況をどうやって正当化するつもりだったのか、甚だ疑問が残る。
確かに、チャンピオンシップを争っていたのは、メルセデスのハミルトンとレッドブルのフェルスタッペンだった。だがその一方で、他のチームやドライバーたちも、このレースで1ポイントでも多く獲得するため、一つでも上の順位やポイントランキングを手にするために全力を賭けてレースに臨んでいたことに関しては、その二人と何ら変わらないのである。
そんな彼らをチャンピオンシップと無関係だという理由で、安全面での妥協を強いたり、勝利が絶望的になるような不利な条件を一方的に飲ませたことを正当化することは不可能だろう。
この記事の読者の中には「ワールドチャンピオンを争うならともかく、それ以外のランキングのドライバー、例えば5位や10位を争っているドライバーやチームのことまで、チャンピオンシップの面白さを犠牲にしてまで考えなければいけないのか?別に1位以外なら何位でも変わらないじゃないか。」と疑問に思う人もいるかもしれない。
その理由を簡単に言えば、ポイントランキングの順位が一つ違うことで、そのドライバーやチームの人生や未来が全く異なったものになる可能性があるから。である。
わかりやすい例が、チームとその所属ドライバーの間で交わされる契約書に付与されていることの多い「パフォーマンス条項」の存在だろう。
以下が、パフォーマンス条項の一例である
「最初のシーズンでチームメートから〇〇ポイント以上引き離されたら、ドライバーの2年契約を1年に短縮する。」
「2年契約だが、契約ドライバーがチームメートよりドライバーズランキングが上で、なおかつコンストラクターズランキングが、◯位以下だった場合、ドライバーは1年目の終わりに契約を解除して、移籍することができる」
つまり、「ドライバーとチームがお互いに、あるいは片方に対してもノルマを設け、契約内容に指定した水準の成績や能力に満たなかった場合、もう一方の意思で契約の不履行を認める」という内容の条項である。
上記の例では、チームにドライバーが在籍できるかという点に絞った内容が記されているが、実際にはチームがドライバーに支払う給与の額や、ドライバーのチームにおける待遇(チームメートとどちらが優先されるか)にまで及んでいるケースもあるし、上記の例とは逆に、ドライバーがチームの期待以上の成績を残した場合、より良い条件で契約延長をできるという内容の条項が組み込まれている場合もある。
つまり、レーシングドライバーというのは、1ポイントあるいはランキングが1つ違うだけで、チームから解雇されるか、チームに残留できるか、あるいはより良いチームに移籍できるかがガラッと変わってくるのである。
そうでなくても、何処かのチームやドライバーが新しい契約を結ぶ場合、今までの成績が良ければ自分たちにとって有利な条項を盛り込めるのは容易に理解できるだろう。
記事のようなレースが行われたことで、偶発的にポイントを取り逃がし、能力があるのにそのせいでF1に留まれなくなるドライバーが生まれていた可能性だってあったということ。もし、読者の諸君がそのドライバーやそのファンだったらどう思うか...ということも想像をしてほしい。
また、チームに関しては支払われる分配金に関する話がわかりやすいだろう。
F1が観客からのチケットで売り上げたり、テレビやインターネットの放送契約をした際に手にする収益は、フォーミュラワン・グループという組織が管理している。このフォーミュラワン・グループは、FIAとF1チームとの間で、F1の運営や商業面の取り決めを行う「コンコルド協定」を結んでおり、同協定にはフォーミュラワン・グループが手にした収益の一部を分配金としてF1チームに支払うという取り決めが含まれている。
分配金の名の通り、ある一定の収益を全チームで分け合った上で支払われることになるのだが、では、どのチームにどのくらいの割合が支払われるのか?
まず、F1への貢献度を考慮して、フェラーリなど一部のチームには一定割合が毎年必ず支払われることになっている。この分配金が「特別優遇枠」あるいは「プレミア枠」である。
そして今回の話題において重要なのが、上記以外の分配金が該当する「賞金枠」である。賞金枠の分配金は、毎年チームの成績によって支払金額の割合が変動するになっている。簡単に言えば、コンストラクターズランキングが上位であればあるほど、手に入る分配金の割合が増える仕組みになっているのである。
一例として、2023年の賞金枠の分配金は、コンストラクターズランキング最下位のハースが推定で6000万ドル(当時のレートで約89億円)を手にしていたのだが、そこからランキングが一つ上になるごとに推定900万ドル(約13億3000万円)の額が上乗せされたという。
現在、F1ではチームが年間で使用できる予算はレギュレーションで決まっているものの、一部スタッフの給与や設備投資など、この予算制限に含まれない出費はまだまだ存在しているほか、規模の小さなチームにおいては、そもそも規則上の予算を目一杯使っていないケースもある。
そのため、分配金を受け取ったチームは、施設や人事、あるいはマシン開発のためにそれを投資することになるのだが、そのために使える資金が少なければ、チームの未来も明るくないというのは容易に想像がつくというものだ。
この記事のレースのように、チャンピオンシップの演出に運営がこだわった結果、僅差で900万ドルを手にし損ねたチームがあった場合、該当チームのスタッフの心情は察するに余りあるというものである。
繰り返しになるが、プロスポーツというのは、そこに参加する者が全員人生をかけて競技に取り組んでいて、その結果がほんの僅かに違うだけで、その人生が大きく変わる。よって、どんな順位であっても、相応しい選手やチームの名前がそこにあるべきであり、その原則が崩壊するような競技運営を行うことは絶対に許されないのである。
では、どうするべきだったのか?
これらのことから、批判の意見としては
「もっと早くラップバックの作業を始めて、全ての周回遅れをリードラップに戻したうえでレースを再開するべきだった。」
「ラップバックに費やす時間が不足していて間に合わなかったというのなら、ラティフィがクラッシュした時点で赤旗を出して一度完全にレースを止め、隊列を整えなおした上でレースを再開するべきだった。」
「そもそも、リスタートをさせずにSC先導のままゴールするべきだった。レースをSCで終わらせない方針を安全や公平性を犠牲にしてまで適用するのは、優先順位を間違えている。」
というものが主である。なお、上記の3ケースは、当然規則にも抵触していない上、いずれも過去に実際施行された前例が存在する。よって、安全性や公平性の担保だけではなく、「レース運営の一貫性が確保されていない」という、昔からファンや関係者が多く口にする批判を避ける意味でも、前例のなかった実際の措置と比べて優れたものだったと思われる。
まとめ
F1は世界一のドライバーとチーム(コンストラクター)を決める選手権であり、また、時には300km/hを超えるスピードのマシンを走らせてる。よって、ワールドチャンピオンに相応しいドライバーやチームを決めるための公平な条件下での運営と、ドライバーの身を守るための安全を意識した運営が何よりも優先されるのは言うまでもない。
規則上様々な選択肢が取れる状態の場合、可能な限りは安全と公平性を確保できる選択肢を適用するというのは、モータースポーツの運営における常識であるが、上記の事柄から鑑みるに、今回の選択はどちらの観点からも最善のものだったとは全く言うことができない。
これが、規則から逸脱していないにもかかわらず、条項に対して誤っ判断をした、あるいは本来の手順を逸脱したと言われる最大の理由である。
つまるところ、運営規則そのものは守っていても、その規則が定められている理由や存在している意義に反した形でレース運営をしてしまったことが、マシへの批判や解任の動きに繋がったのである。
ファンや関係者の中には、「運営に携わっている関係者たちは、フェルスタッペンにチャンスを作ってレースを盛り上げるために、合法的な範囲でレースを操作していたのではないのか?」と疑っている者もいる。
これは、最後の最後にフェルスタッペンだけが圧倒的に有利な状況を得られたという措置の結果による部分もあるが、その結果が今までと全く異なるレースの運営方法によってもたらされたという、措置の過程が、疑惑を深める大きな要因になっている。
とはいえ、ラティフィのクラッシュ以前にジョビナッツィが止まった時にもセーフティーカーしてフェルスタッペンとハミルトンの差を詰めることだってできたのにそう判断をしなかったため、これに関してはやはり憶測の域を出ない。
フェルスタッペンとレッドブルはこのレースにおいて批判される筋合いは何ひとつない。彼らの努力とそれによって手にした勝利は尊重されるべきものだろう。しかし、運営サイドの不手際により、彼らがワールドチャンピオンに相応しいかどうかに疑問符が残るままシーズンが終わってしまったこともまた否定できないのだ。
なにせ、上記の憶測が仮に正しかった場合、フェルスタッペンのチャンピオンは自力で掴み取ったものではなく、運営がフェルスタッペンをチャンピオンに選んだという結論にもなりかねないのだから...
強調するため繰り返すが、フェルスタッペンは与えられた状況で最善のレースをした結果チャンピオンを獲得できたのであり、彼自身は何一つ咎められるようなことはしていない。これは敗れたハミルトンにも、二人のドライバーを支えたレッドブルとメルセデスにも言えることである。
また、レース後にSNS上で一部のF1ファンがマシに対して罵詈雑言を多く投げかけていたこともメディアで取り上げられていた。これまでもF1ファンがレースディレクターの決定に不満を持つこと自体は少なくなかったが、レースの運営方法が元で殺人予告という脅迫まで受けていたというは前代未聞。
もちろん、このように法や人道に反したファンの行為を擁護することはできないが、もしもこれまでの前例に倣って、上記の意見に沿った方法でレースを終わらせていたならば、ここまでファンが怒りを露わにしたのか、ということは大いに思案すべきポイントになるだろう。
擁護意見
しかし一方で、マシがこのような判断をしたことへの擁護の意見もある。それは「レッドブルとメルセデスが執拗にマシへの通信を繋げたため、『ファイナルラップで』『どちらかがチャンピオンになるかが決まる』『周回遅れが両者に挟まっている』という極めてプレッシャーのかかる場面でさらに圧をかけるようなことをした」ということだ。
レースというのは必ず勝者と敗者が生まれる、きわめて単純かつ重要な要素がある。それが年間のチャンピオンが関わってくるというのならなおさらだ。そんな状況で普段通りの仕事ができる人はそうそういないだろう。加えて判断する時間も短く、ほぼ即決を迫られるようなものだった。
もちろん、レースをする側の心情もわかるし、何とか自分が有利なようにレースを運営してもらいたい、と思うのも無理もない。が、当然そういったことはするべきではない。
ましてや近年は無線がドライバーやチームだけでなく、レースディレクターまでも公開されていた。
自分の判断を全世界が見聞きしている、明確に一方に有利な展開にはできないだろう。それこそもっと大きな暴動に発展した可能性もある。
今回のマシの判断はそれらを踏まえたうえでのことだというのを留意してほしい。
このことを踏まえ、翌年からは過干渉を防ぐため、レースディレクターへのレース中の無線を禁止するというルールも追加された。
レース結果
2021 Formula one
Round 22
Abu Dhabi Grand Prix
Results
Position |
Car No. |
Driver |
Team |
1 |
33 |
マックス・フェルスタッペン |
レッドブル-ホンダ |
2 |
44 |
ルイス・ハミルトン |
メルセデス |
3 |
55 |
カルロス・サインツ |
フェラーリ |
4 |
22 |
角田裕毅 |
アルファタウリ-ホンダ |
5 |
10 |
ピエール・ガスリー |
アルファタウリ-ホンダ |
6 |
77 |
バルテリ・ボッタス |
メルセデス |
7 |
4 |
ランド・ノリス |
マクラーレン-メルセデス |
8 |
14 |
フェルナンド・アロンソ |
アルピーヌ-ルノー |
9 |
31 |
エステバン・オコン |
アルピーヌ-ルノー |
10 |
16 |
シャルル・ルクレール |
フェラーリ |
11 |
5 |
セバスチャン・ベッテル |
アストンマーティン-メルセデス |
12 |
3 |
ダニエル・リカルド |
マクラーレン-メルセデス |
13 |
18 |
ランス・ストロール |
アストンマーティン-メルセデス |
14 |
47 |
ミック・シューマッハ |
ハース-フェラーリ |
15 |
11 |
セルジオ・ペレス |
レッドブル-ホンダ |
DNF |
6 |
ニコラス・ラティフィ |
ウィリアムズ-メルセデス |
DNF |
99 |
アントニオ・ジョヴィナッツィ |
アルファロメオ-フェラーリ |
DNF |
63 |
ジョージ・ラッセル |
ウィリアムズ-メルセデス |
DNF |
7 |
キミ・ライコネン |
アルファロメオ-フェラーリ |
レース後のそれぞれ
この翌年には両者の明暗が大きく分かれ、フェルスタッペンは新体制となったレギュレーションでも圧巻の強さを見せ、日本グランプリで(フェラーリのやらかしなどもあったが)チャンピオンを確定、2連覇を成し遂げ、レッドブル自体も去年は果たせなかったコンストラクターズチャンピオンとなり、ダブルタイトルを獲得。完全勝利となった。
一方、メルセデスは新レギュレーションによって発生したポーパシングに苦しみ、コンストラクターズでフェラーリに遅れる3位、ハミルトン自身も現役を通して続けていた記録である年間連続ポールポジション、年間連続勝利記録が途絶えるなど、王者らしからぬ走りをしてしまいドライバーズランキングでも6位になってしまい、完全に勢いが無くなってしまった。
果たして、ハミルトンは現役中に8度目のチャンピオンを獲得することができるのだろうか。
それとも、フェルスタッペンが怒涛の快進撃を続けるのか。
はたまた、新たな刺客が登場するのか。
今後のF1からも目が離せない。
ロズベルグの呪い?
これはあくまでもF1ファンの間での話だが、ハミルトンにまつわる一種のジンクスがある。
それは、ニコ・ロズベルグが訪れたレースでは、ハミルトンは何かしら不幸に会いやすい。ということだ。
ロズベルグはハミルトンとカート時代から競いあった中で、デビューこそロズベルグが先だが、ハミルトンと共に2000年代後半、2010年代前半を盛り上げた。
2013年から
ミハエル・シューマッハの後任としてやってきたハミルトンとチームメイトに。最初こそ仲が良かったが、2014年にハミルトンがチャンピオンを獲得し、メルセデスが力を付けるとその関係は徐々に悪化。互いに実力が拮抗していたのもあり、まるでかつてアロンソが在籍していたマクラーレン時代を見ているかのよう…もしくはそれ以上のものだった。
そして2016年、ハミルトンの連続王座を阻み、ロズベルグがチャンピオンとなった後に引退。現在はF1のイベントにゲストとして呼ばれるなどで活動をしている。
…のだが、このロズベルグが引退してからF1グランプリに訪れた際(特に2021年)に、ハミルトンはなぜか勝てなくなってしまったのだ。
例として上げると、
アゼルバイジャンGP→ブレーキのシステムを誤操作してしまい、再スタートでロックアップ。15位と完走したなかで最下位。
モナコGP→アンダーカット失敗、ボッタスもリタイアしてサポート受けられず。7位。
シュタイアーマルクGP→訪れてはないが、この日はロズベルグの誕生日。終始フェルスタッペンに追い付けなかった。2位。
と、この3戦で勝てなかったのが今グランプリの同点決勝に図らずも繋がっている。
そして今回、
- クラッシュしたラティフィはロズベルグのデビューチームであるウィリアムズ、カーナンバーは現役時代に付けていた「6」
- フェルスタッペンのカーナンバー「33」も「3+3=6」
- ロズベルグの「6」も合わせて「666=獣の数字」
と、偶然とはいえ、意識せざるを得ない事実がかさなってしまった。もし必然だったならばハミルトンはただただ不幸だったとしか言いようがない
ちなみにその後もロズベルグはサーキットに呼ばれては写真をインスタグラムに上げるなど活動しているが、どうやらハミルトンだけではなく、フェラーリやレッドブルなど写真に写ったチームにも影響があるそうな。
果てはマクラーレンが「影響はもうわかってるからうちではロズベルグ禁止。」の張り紙が出るまでになってしまった。ロズベルグ恐るべし
実はハミルトンはルーキーイヤーでのチャンピオンがかかった2007年にも、
中国GPでは普通に走っていれば安泰だったレースでプレッシャーに気圧された結果、ピットエントリー時にオーバーランしグラベルに乗り上げてしまいリタイア、
さらにブラジルGPでもなんと自分でステアリングのスタート用のリセットボタンを押してしまい全システムがシャットダウン、ニュートラルのまま固定され再起動がかかるまで上り坂を蛇行して粘らなければならなくなり、最終的にチャンピオンを逃してしまったことがある。
ルーキーチャンピオン、そして史上初の8度目のチャンピオンと大記録に関わるところでハミルトンは何故か勝ちきれないのだ。
追記、修正はファイナルラップで絶対王者を抜いてからお願いします。
- 文字の大きさとかうまく調整できなかったけど、ひとまずこれで。 -- 名無しさん (2023-02-28 15:08:11)
- 結末こそ物議を醸すことになったけど、改めて2021年シーズンを見ると本当に面白い。やっぱりチャンピオン争いがないとね… -- 名無しさん (2024-04-28 22:52:21)
- マシを擁護する意見の部分、かなりメチャクチャだな。ああいうチームやドライバーの命運がかかっている時こそ、普段通りの事を釈然と出来る人間が運営には必要なんだよ。そうじゃない人間がチャンピオンシップをメチャクチャにしちゃったのが、このレースで起きた事件。明確に一方に有利にはできない?実際にはどう見たってフェルスタッペンが圧倒的に有利な判断がされたじゃないか。それに、やり方が違ったらもっと大きな暴動になったかも?マシは今までやってない事をいきなりやったから叩かれたんだから、釈然と以前と同じように運営していれば話はずっと穏便に済んでいたに決まってるだろう。チームが何か言ったところで、運営の方針を変えていい理由にはならないんだから、レッドブルとメルセデスが圧力かけたせいで正常な判断をできなかったは言い訳としておかしい。 -- 名無しさん (2024-07-30 04:48:24)
最終更新:2025年04月16日 20:43