バースデーパーティー(都市伝説)

登録日:2023/6/27 (火) 11:33:00
更新日:2024/02/20 Tue 14:40:58
所要時間:約 4 分で読めます




「バースデーパーティー」(「全裸でバースデーパーティー」、「サプライズパーティー」などという名前で呼ばれることもある)は、主にアメリカに伝わる古典的な都市伝説である。
都市伝説研究の古典的名著であるジャン・ハロルド・ブルンヴァンの「消えるヒッチハイカー」にも掲載されている。

都市伝説といえば、怪談やオカルト系、奇妙な話や不気味な話、後味が悪い話などが多くを占める中で、この話は「セメント詰めのキャデラック」と並んで笑い話として語られてきた話である。
「いかにも実際にありそう」なところがまたおかしさをくすぐる話だと言えるだろう。


だがこの話、考えようによっては、怪談なんかよりもよっぽど恐ろしい話と言うこともできる。

果たしてあなたは以下の概要を見て笑うだろうか、それともゾッとするだろうか。


概要


ボブ(仮名)は、大手企業の支社長を務めるやり手のビジネスマン。
会社でも信頼されており、さらに仲睦まじい妻と子供にも恵まれたよき父親でもある。

そんなある日、彼の美人秘書が、そっと彼に耳打ちした。

「今日、お仕事の後で内密にお話ししたいことがあるので、部屋で待っていてくださね」

一体秘書の話とはなんだろうか。
実を言えば、美人でスタイルのいい秘書に、ボブは密かに魅力を感じていた。
そんな彼女が密室で二人きりで話したいこととは?

そこでふと思い出す。そういえば、今日は自分の誕生日だ。
となると、彼女は自分を祝おうとしているのでは? それも、あんな言い方をするということは、ごく内密に、他人には言えないようなやり方で……

秘書の秘めたる思いを確信したボブ。
こうしてはいられないので、精一杯彼女の気持ちに答えようと、服を全部脱いで全裸になって待ち構えることにした。
今か今かと待っていると、ようやくドアが開いた。



「ハッピバースデトゥ~ユ~♪」


そう、そこには、バースデーケーキを手にしたわが子を先頭に、妻、秘書、そして会社の従業員たちが……



考察


ブルンヴァンによると、これは「消えるヒッチハイカー」に掲載されている他の都市伝説と同じく、当時アメリカの各地で「実際にあったこと」として語られていた話らしい。
ただし、アメリカ国外への伝播はほとんで見られないという。
これは、当時は「サプライズパーティー」という文化が、アメリカ以外にはほとんど無かったためであろう。

多くの都市伝説と同じく、この都市伝説も発祥を特定するのは困難である。
70年代にはすでに似たような話が見られるともいわれ、また、仮に実際にこんな事件があったとしても、地元の新聞などに載るような事件とも思えない。
遠い昔にモデルになるような事件は実際にあったのかもしれないが、伝説の詳細は伝播する過程で付け加えられたものなのだろう。

同じく笑い話系の都市伝説である「セメント詰めのキャデラック」も、第三者的に見れば笑える話だが、登場人物たちのその後を考えると笑うに笑えない話である。
一見笑い話であっても、どこかブラックな部分が含まれているのが、都市伝説として広まる所以なのかもしれない。


なお、この話には以下のようなバリエーションもある。


「ある男が、誰も自分の誕生日に気が付いてくれないことに腹を立てて、気を晴らすためにコールガール(今でいう出張風俗)を頼んだ。
呼び鈴が鳴ったので、いそいそと服を脱いで女を出迎えようとドアを開けた。
するとそこには、サプライズで彼のバースデーを祝おうとしていた友人たちが集まっていた」


こっちは、笑って済ませられるだけまだマシ……かもしれない。
世にも奇妙な物語」には、こっちのバージョンをモチーフにしたと思われるエピソードがある。
ただ、放送当時は日本で「サプライズパーティー」という文化が一般的では無かったため、困惑する視聴者も多かったようである
というか、とある海外小説の筋そのまんまであった



「これから追記・修正をしますので、服を脱いで待っていてください」



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最終更新:2024年02月20日 14:40