菅牧 典

登録日:2023/11/09 Thu 23:53:50
更新日:2024/01/26 Fri 18:40:52
所要時間:約 9 分で読めます




何かと都合が良いと思って甘やかしてきたが……
坑道を荒らしに来るようならもう用なしだ 人間らしく死ね!


菅牧(くだまき) (つかさ)東方Projectの登場キャラクター。

【概要】

登場作品:東方虹龍洞(5~EX面のボ中ス)*1
バレットフィリア達の闇市場(5th Market)
種族:管狐
二つ名:耳元で囁く邪悪な白狐(虹龍洞)、服が汚れるのは嫌い(バレットフィリア)
能力:魂の弱い所に入り込む程度の能力


【人物】

東方Project第18弾『東方虹龍洞』にて初登場した、大天狗・飯綱丸龍の直属の配下である管狐(くだきつね)
“右腕として命令以上の成果を出す”……とのこと。
まぁ、確かに優秀は優秀なのだろうが、その方向性は……この辺は後述。

ちなみに、種族名が“()狐”なのにキャラクター名は“()牧典”と、東方らしくも紛らわしい名前をしているので注意。一文字ずつ打ったり変換登録しなきゃアカンやん。

種族名の“管狐”とは、所謂“式神”等の一種として認識されている小妖怪のこと。
単に“クダ”や異名で“外道”とも呼ばれており、その名の通り術者は日頃から携帯している一尺程の長さの竹筒(管)に“クダ”を飼っているとされた。
……厳密に言えば呪術で生み出される“式神”とは異なるのだが、まあ独立して行動する妖怪ではなく“使い魔”として術者に使役される類の物の怪という点では似ている。
そのため、術者の居ない管狐は下野して無害になるなんて話もある。

管狐の伝承は主に現在の長野県を中心とした中部地方に色濃く残り、東海地方、関東南部、東北の一部でも名前が確認される。
関東北部には伝承が見られないが、これは関東北部が“オサキ”の勢力圏内のためと伝えられる。
……しかし、“オサキ”と“クダ”は同じモノであり、更に東北では“イズナ”と呼ばれるなんて話もあったりする。

こちらは、確かに殆ど同じモノを指してはいるものの、使役の方法や由来を異にする場合もある。
“狐憑き”の一種としての“クダ憑き”もあるのだが、これは人格に変化が生じる等する過去の日本特有の精神病質の説明としての“狐憑き”というよりは、狭いコミュニティの中で生じた富の不平等やムラハチ精神から生じた、所謂“憑物筋”の方面の話で登場してくることが多い呼び名であり研究論である。

実は東方Project関連ではゲームとしては初だが、以前には漫画『東方茨歌仙』にて管狐が登場していた。
この時は霊夢に対して奸計を仕掛けた化け狐の使いという役割で、そこでの説明は……

“管狐は雌雄一対で人間(術者)に仕え、人間に取り憑いたりして富や小物を集める。
術者にとって有益な存在に見えるが、餌は術者の富と気力である上に質の良い食事しか取らないグルメで、さらに大食らい。挙げ句、繁殖して術者の負担ばかりが増し、却って術者自身の破滅を招いてしまう。”

…と、いうものだった*2
捕捉をすると、リアル世界での基本情報も確かに上述の通りであるが、管狐は憑物筋の一つとして引用されることが多く、突如としてムラ社会の中で輪を乱す程に裕福になった家に対する“やっかみ”から話を広げられたと思われる部分が多い。
実際、基本情報の印象とは齟齬があるのだが、管狐は人(術者)というよりも家に憑き、最初は富を集めてきて子が増える度に家を裕福にするが、最終的には子は75匹にも増えるので遂には憑いていた家のキャパを越えて破滅に追いやられる……という、昔話のテンプレ的な願望を込められたオチが付けられている。

更には、クダ筋の家から嫁が出る場合にはその75匹の子狐も付いていくので、嫁ぎ先も最初は栄えるが直ぐに没落するとまで言われたりしている。
また、上述の通りで子が沢山増えるという他にも、非常に世話が厄介で高い食事が必要になる……なんて話もあるが、これも同じ理由(いつまでもあの家が裕福な訳がない……パルパルパル)から後付けされた風評だったのだろう。

実際、こんな話が広まっていったのには余りにも“憑物筋”認定される家が多くなりすぎたからだったとのこと。
時代の変化の中で何か時流に乗って“儲けた”家が多かったのかも知れない*3

管狐は色々な働きをするが、使役される者の為に富を運ぶ他、占いを行う手助けをしたり、直接的に呪いをかけた相手に対して飛んでいって害を為すと考えられていたようである。

話を戻すと、前述のように“管狐(飯綱)”は中部地方を中心に伝承が残り“飯綱(飯縄)権現”こと“飯綱三郎天狗”に使役されているという。
なので、典が飯綱三郎をモチーフとする飯綱丸に仕えているのは原典通りと言えよう。

一方、原典の“管()”が狐と言われつつも正体は狐じゃない*4と説明されていることが殆どなのに対して、典の場合は明確に飯綱権現の属性の一つである荼枳尼天(=お稲荷さん)の眷属たる“白狐”(霊的に位の高い狐)がモチーフでもあるようだ。
よって、前述の『東方茨歌仙』での描写も含めると、幻想郷での“管狐”はリアル世界のものとはちょっと違い、単に狐妖怪(霊的な位は高いがその中では下位?)の一つというカテゴリーなのかも知れない。
『バレットフィリア達の闇市場』で再登場した時の肩書が“服が汚れるのは嫌い”となっている辺りも、下級の狐妖怪としても用いられる野狐や原典の管狐よりも“白狐”に近い印象を受ける。


【物語での活躍】

登場作となる『東方虹龍洞』では、物語の核心が明らかになる後半面(5面以降)にて、ステージを跨ぎつつ連続して中ボスとして登場。
……一応は大団円を迎えるラストステージをも越えて、なんとEXステージにまで出張ってくる。

しかも、項目冒頭のセリフもEXステージで自機組と相対した時のものであり、耳障りがいいことを自機組にも吹き込んでおきつつも、完全に腹に一物を抱えていたのが解る。

先に述べたように“右腕として命令以上の成果を出す”……のは間違いないのだが、当人の性格と能力もあってか、敢えて偏った情報をあっちこっちに流しては混乱するのを見て楽しんでいたらしい。

主な働きぶりとしては今回の“龍珠”を巡る騒動の発端(元凶)である主人の飯綱丸の命を受けて、市場活性化のキモであり黒幕である天弓と、アビリティカードの元となる“龍珠”を掘り出した張本人で供給元の百々世に対しての伝令を行っていた。
伝令役ということもあってか、市場の拡大と共に飯綱丸との関係に変化が起きていた天弓や百々世からも一定以上の信頼を勝ち得て、彼女達の側から相談を受けたりもしていた訳なのだが、
そこは管狐の性と言うべきか、本来は仲を取り持つように命じられていたのに天弓と飯綱丸の関係が更に悪化する方向に仕向けたり、百々世に自機組が盗掘者だと吹き込んで敵対するように仕向けたりと多くの混乱を引き起こしていた。

しかも、その時の感想が「面白くなってきたわー!」……と混乱そのものを楽しんでいた様子で、別に自分が漁夫の利を得ようとしてたとかそういうのでもないのが何とも。

このため、ステージを跨いで登場することもあってか上述の面々をも越えて『虹龍洞』を代表する敵キャラクターと認識されていたり。

とにかく口が上手く、典に乗せられた者は一時的には恩恵を受けるのだが最終的には破滅が待ち受けているとのこと。(ノーマルエンドでは、何と早苗に神奈子と諏訪子への不信感すら抱かせた程。)

相手の心の隙間に巧みに入り込むのと併せて、見事に元ネタの“管狐”の特徴を取り入れた描写となっていると言える。
こうした特徴から、小者ではあるものの性悪さにかけては歴代シリーズでも屈指とも。
……一方、これだけのことをしてても実は主人の飯綱丸の損になるようなことだけはしていない。


【容姿】

(一応はZUN設定では皆そうなのだが)まだ幼さを残す少女の姿の狐妖怪で、髪は濃い金色か淡い茶色。
髪の長さはセミロング位で、前髪を前面に流している。
アレンジでも原作絵から殆ど乖離しておらず、管狐のイメージからか体躯の小さい少女として描かれている。
前述のゲーム内での性格や能力もあってか、近年の二次界隈の流行に乗ってか“メスガキツネ”呼ばわれされることも少なくない。
「女狐」で「メスガキツネ」とも読めるのは偶然だと思いたい。

髪色と同色のキツネ耳と大きな尻尾も備えており、尻尾の数は一本。
原典の“管狐”は尻尾が短いと言われることもあるのだが、この辺は前述の通りで恐らくは東方内での管狐=狐妖怪の一つ……らしさの方を優先したデザインなのだろう。

ミニ丈(ただし、下は二股に分かれたズボンみたいな形状だと思われる。)のチャイナやアオザイを思わせる緑の意匠の入った白いドレスを纏っており、肘と膝丈までの四肢の出ている部分を緑のリボンで絞って着込んでいるのも特徴。 
なので、全体のシルエット的にはベビー服を着ているようにも見える。
胸元を飾る緑のリボンがアクセントで、足には白足袋を履いている。
白を基調とした装束は、前述のように当人も“服が汚れるのは嫌い”と言う位には気に入っているようである。

原作絵では右手で冒涜的なキツネサインを構え、左手には試験管(標本瓶)を手にしているのだが、これが彼女自身が出てきた“管”なのかもしれない。

【スペルカード】

5、6ステージでは高難易度でも通常弾幕のみで、EXステージにて漸く披露される。

  • 狐符「フォックスワインダー」
  • 管狐「シリンダーフォックス」
  • 星狐「天狐流星の舞」

“天狐流星”は四字熟語では無いものの『善庵随筆』にて舒明天皇の時代に空を裂く流星を“(あま)(きつね)(天狗)”と呼んだという故事からの引用と思われ、天候関連のスペルカードを操る主人・飯綱丸に肖ると共に、元ネタでの天狗と天狐を混同した記述を踏まえての命名だと考えられる。


【霊力の標本瓶】

ゲーム中で手に入る典のアビリティカード。
効果は“パワーを消費してボム(スペルカード)を撃てる”というもの。
一見すると便利そうで、付けられた説明も魅力的で非常に興味をそそるもの……となっているが、実際に使うと便利と思っていたら大間違いで使い続ければジリ貧になっていく……というヤミ金のようなバランス。


【二次創作】

カップリングとしては矢張り飯綱丸様との良くも悪くもの絡みが開拓されている。

原作では決して主人には(思惑通りでは無いかもだが)反抗していないのに裏では主人を馬鹿にしているキャラ付けをされていることも。
また、名有りの狐キャラという事で藍との関係が想像されたりもしている。
この場合には性悪な小狐に対して生真面目な霊狐という感じにされたりもする。当の藍しゃまに主人(紫)に反抗的というキャラ付けがされたりもしてる訳だが。

その悪質性はともかくとして、一番ゲーム内で目立ってた&何よりも可愛いことから『虹龍洞』発のキャラクターとしては最も二次創作も盛んな模様である。



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最終更新:2024年01月26日 18:40

*1 『虹龍洞』のomake.txtでの誤表記より。典を示す愛称の一つとなっている。

*2 劇中にて霊夢が被害に遭っている。

*3 あくまで言われているだけで本当に没落したという確証や記録はないのだが。

*4 かと言って別の動物が正体……ということも少なく、管狐は管狐とされているのだが姿や説明もバラバラである。