東方Project

登録日:2009/05/27 Wed 09:40:05
更新日:2024/03/13 Wed 12:13:22
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同人サークル「上海アリス幻樂団」制作のWindows用シューティングゲームを中心とした一連のシリーズ。
「団」とあるが、メンバーはZUNという酒豪一人だけ。


舞台は忘れ去られたもの達が集う楽園、「幻想郷」。妖怪や神々、亡霊などが当たり前のように住まう、結界で隔離された世界。
幻想郷における人間の生活レベルは、概ね江戸時代末期から明治時代初期あたりの水準を保っているが、結界の外は普通の現代日本である。
そのため、現代の道具が結界を越えて齎されることもあり、妙なところで文化水準が高かったりする。
あくまで人間社会の生活レベルであり、幻想郷の一部の妖怪は現代文明を凌駕しかねない技術を持っていることが示唆されている描写もある。
登場人物が殆ど女性キャラクターであるが、あくまでゲーム上で登場するキャラクターに限った話であり、作中世界には男性も種族問わず暮らしており、霖之助妖忌等名前ありの男性キャラクターもいる。

作品の大きなテーマの1つとして「和洋折衷」があり、登場するキャラクターの元ネタは日本の妖怪や神々が多いものの、吸血鬼や魔女といった西洋の妖怪も普通に登場する。
また、服装も和洋の要素が混在した独特なデザインが多く、キャラクターの魅力の1つにもなっている。
ちなみにサークル名の「上海アリス幻樂団」も西洋と東洋の文化が入り混じった国際都市「上海」のイメージが、和洋折衷のテーマに合っていたのが理由とされている。
初見の人からは勘違いされやすいが、サークルが上海に本拠地を置いているわけでも無いし、ZUNは日本人である。



【主な登場人物】

ほぼ全作品の主人公。空を飛ぶ程度の能力を持つ博麗神社の巫女さん。
装備により広範囲攻撃やホーミング攻撃が使える。自機の当たり判定が狭い為、初心者でも扱いやすい。
攻撃力が低いのが欠点だが、装備によっては魔理沙を越える火力が出ることも。


第2弾以降からのもう一人の主人公。封魔録の「魔梨沙」は誤記。魔法を使う普通の魔法使い。(種族は人間。)
全体的に攻撃力が高い。移動速度も速く、アイテムを回収しやすい為点数を稼ぐのに向いている。
しかし攻撃範囲が狭めで、速すぎて精密操作がしにくい等、中級者向け。


その他にもキャラクターは数多く存在する為、東方Projectのキャラクター一覧を参照。



【ゲームシステム】

基本的には、オーソドックスな縦スクロールの弾幕シューティングゲームである。
ここでは、Windows版以降(後述)の主要な作品が備えている、伝統的な基本システムについて解説する。


  • 難易度
難易度はEasy/Normal/Hard/Lunaticの4段階。
何らかの条件を満たしてクリアすれば、追加のゲームモードとしてExtraステージが解禁される。作品によっては他にも……。
最高難易度名にちなんで、トッププレイヤーは特にルナシューターと呼ばれる。


東方紅魔郷から制定された、東方Projectの目玉となるシステム。
ざっくり言えば、STGのボスキャラの行動パターンに、名前やカットインをつけて必殺技のような扱いにしたもの。
各キャラのトレードマークとなり、背景や設定を語り、その美しさや難しさでプレイヤーを魅了する……東方Projectでもっとも重要な要素の一つである。
詳細は該当項目で。


  • アイテム蒐集
非公式には、単に「上部回収」などと呼ばれる。(近年は公式でも蒐集という表現をしていない)
敵が落としたアイテムを拾っていくには、普通は画面中を動き回らないといけない。
しかし、画面の上部にあるボーダーラインよりも上に自機がいる間は、全てのアイテムを吸引しつづけることができる。
作品ごとにルールは少しずつ異なるが、基本的にこれをすれば大量の得点が(場合によっては残機も)手に入り、爽快感をもたらしてくれる。
もちろん、画面の上側というのは、敵や弾がやってくる危険な方向。それ相応のリスクを冒したことへのリターンである。


  • 喰らいボム
被弾直後から数フレームの間にボムボタンを押せば、被弾を無効にしつつボムを発動させることができるシステム。
ピチューンという音と共にボムが発動すれば、それが喰らいボムである。
人間の反射神経の遅延を埋める手段として、いろいろなSTGで採用されているが、東方では時々、さらに一歩踏み込んだルールになることがある(『永夜抄』『風神録』など)。
また、「霊夢は喰らいボムの受付時間が長い」というように、キャラクターの特徴づけにも用いられている。


  • グレイズ
自機が敵弾のそばを掠める――「かする」ことで、リスクと引き換えに得点や特殊な効果が得られる。あと音が鳴って気持ちいい。
こちらも東方が初めて採用したシステムでこそないが、現在では、他のSTG(東方二次創作を除く)ではほとんど見られなくなってしまった。
一方、東方には上述したスペルカードシステムがあり、弾幕を魅せるために弾の速度が遅い傾向があるので、かすりとの相性も良く、大半の作品で用いられ続けている。



【シリーズ】




【二次創作】

『東方Project』は二次創作が大変盛んで、創作ジャンルは同人誌をはじめ同人ゲーム、作中のBGMの編曲やそれを収録したCDなどの同人音楽、CG集、トレーディングカード、ガレージキット、その他グッズなど多岐にわたる。JOYSOUND、DAM、UGAなどの国内通信カラオケ主要メーカーにおいて一部の編曲された楽曲がカラオケとして配信されている。同人の同人も参照の事。

ZUNは、第三者が二次創作しやすいように意図して作品設計をしているわけではないとし、自分自身の創作活動もある意味では神社や神を原作とした二次創作のようなものであり、オリジナルと二次創作という区別をあまり意識していないかもしれないとしている。後にZUNは冲方丁の発言を引用して「僕はこの方と同じ意味で常々東方は二次創作だと言って来たけど、言葉足らずだったかもなぁ」と述べた。
同人誌(二次創作漫画)では珍しく、かつてはネチョ本もとい成人向け(所謂18禁)が少ない作品だった。
「私が一番驚く事は、二次創作がかなり多ジャンルに渡っている事と、内容が意欲的である事、エロが少ない事(笑)」
と原作者が『東方永夜抄 ~ Imperishable Night あとがき 上海アリス通信 vol.4』でコメントする程。
「アニヲタWiki」の親サイトの「アニヲタの集い -3rd style-」にかつてあった同人誌DBにおいても、成人向けと一般向けにカテゴリが分けられていた。
一般向けは、ギャクにほのぼの、シリアス、読者の精神にダイレクトアタックするようなエグイものまで、かなり幅広い作品が存在する。
元々、東方の作品自体、キャラクターや設定や性格面での描写が非常に曖昧・かつ希薄で個人の解釈に委ねられている比率が高い事、それでいてプレイヤーの想像欲を掻き立てるキャラそのものの濃さや設定の絶妙な描かれ加減、異なった解釈や描写を受け入れる土壌が長い期間をかけてファンの間に育っていたことが理由の一つであろう。
フランや椛など原作にほぼ登場しない人気キャラは作者によって大まかな性格すら異なることもよくある。
ただ、後に原作でそのキャラが登場し、その描写が二次創作の主流となっているものと異なる場合、多少荒れることもある。
例としては椛の初登場からしばらく経過した後「文と椛は仲があまり良くない」が公式見解になったのは結構衝撃の発表であり、界隈が大荒れしたレベル。
そうであっても、原作の描写を入れつつアレンジしたり、完全に原作の描写を無視したりと作家によって異なるところが、設定などが固められた他作品の二次創作には無い魅力である。
逆に「俺のイメージの〇〇ちゃんと違う!」なんて事があっても深呼吸をして大らかに受け止めよう。



とはいえエロい同人誌やらもうなぎ登りで爆増していき、発行ペースこそブーム最盛期より落ち着いてきたとはいえ、その総量は未だにFateシリーズ艦これを凌駕する規模を誇り、意図せず日本屈指のエロコンテンツと化している。
膨大なキャラ1人1人に熱心なファンが付いていることもあり、キャラの合同本も多い。
読み手を選ぶ特殊性癖向けの属性の種類も豊富で、もはや網羅していない属性は無いのではないかという疑惑すら立つ程。
今でこそ多種多様なエロ表現が許容されているが、意外にもブーム初期の頃はオリキャラ含め男を幻想少女と絡めることがタブー視されており、そのため初期の本は百合やふたなりなどの属性が大半を占めている。「男」が居たとしても罪袋など明らかにキャラクター性を排した正真正銘の竿役だったり。
ん?今?そりゃもうやれこーりんだの人里の汚いおっさんだの誘拐してきたショタにアヘアヘ言わされ(言わせ)ていますが何か??
因みに東方キャラのイラストを描く絵師はプロアマ問わずかなり多く、pixiv等でうっかりタグ検索や登録をするととんでもない事になる。


BGMがどれも秀逸なおかげか、ボーカル・非ボーカル共に、こちらのアレンジャーも多い。
そもそも作者自身、東方を作った動機のひとつとして自作の楽曲を聴いてもらうためと述べたこともあるくらいなので、音楽に力が入るのは当然である。
アレンジ曲などを全て網羅しようとするならCD保管用のでかい倉庫をレンタルしても到底間に合わない程の量が制作されている。
中には本当にオーケストラ生演奏を収録したアレンジャー達もいる。


二次創作そのものも同人誌やアレンジCDのみならず殆どのメディア媒体で行われていると言っても過言ではない。
数百ページものイラスト図鑑、ドラマCD、あらゆる立体物、商業の名作と遜色ないクオリティの3Dゲーム、果ては地上波で放映されてるアニメにも全く見劣りのしないアニメまで作られている。


また、キャラを描いたり音楽をアレンジするばかりでなく、東方の作風を模倣したオリジナルの絵・音楽・ゲームなどを作るファン活動が、特に活発なジャンルでもある。
いわゆる「野生のZUN」。


因みに東方のオンリーイベントは各地で開催されているが、中でも最大級のオンリーイベントは「博麗神社例大祭」と「東方紅楼夢」である。
「もう同人イベントって言うレベルじゃ無ぇーぞ!」
という位すごい。結構東方好きの人(ヲタク)が集まる。
…というか、もはや東方オンリーなコミケと言ってもいいレベル。
この他にも、「第⑨州東方祭」「文々。新聞友の会」など中規模のイベントも開催されている。
最近では台湾や上海など海外で東方イベントも開催されているようだ。
ただ秋田県(東方BGMアレンジャーの幽閉サテライトのライブイベントは開催歴あり)山形県茨城県福井県和歌山県は今に至るまで同人誌即売会が未開催である。
逆に言えばそれ以外の都道府県ではやってるという凄い事なのだが。

なお、一時の熱狂的なブームにのっかってか、東方の原作ゲームを知らない、またはよく理解していないのに東方の二次創作をする所謂同人ゴロ的なサークルが多かった。
現在はブームも落ち着き、そのような同人ゴロ的なサークルも減少したようだ。



東方追記・修正 ~ Wikipedia of aniota.



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最終更新:2024年03月13日 12:13

*1 その作家の元々の絵柄なので当たり前であり、作家に非は無い。

*2 公式と二次で作品としての良し悪しがあるわけでは無いが、二次創作の設定を公式と勘違いして公の場で語ってしまうと恥をかいてしまう可能性がある。

*3 作品のプロットはZUNが担当しているため

*4 こちらは単行本に12話として収録されているので、読むために当該同人誌を探す必要は無い。