飯綱丸龍

登録日:2023/07/13 Thu 09:49:19
更新日:2025/03/29 Sat 08:31:55
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ここら一帯は我々天狗の領域だよ

飯綱丸(いいずなまる) (めぐむ)東方Projectの登場キャラクター。


【概要】

登場作品:東方虹龍洞(5面ボス)
バレットフィリア達の闇市場(5th Market)
二つ名:鴉天狗の大将(虹龍洞)
お祭り好き大天狗(バレットフィリア)
種族:大天狗
能力:星空を操る程度の能力
テーマ曲:星降る天魔の山

【人物】

東方Project第18弾『東方虹龍洞』にて初登場した、妖怪の山の頂上付近に住む大天狗の一人。
管狐の菅牧 典をお付きとしている。

日本を代表する妖怪である天狗をモチーフとしたキャラといえば、過去作にもシリーズを代表するキャラの一人である射命丸 文を初めとして既にかが登場(この他、モブ天狗含む)していた。

…そして、公式でも以前から彼女達の更に上位には“大天狗”が存在することは既に明言されてもいた。
それを受けて、二次創作にて彼女(文などを含む一般天狗)達の上役や支配者となる“大天狗”が想像(創造)されたりもしていた訳なのだが、そうした経緯の中で“飯綱丸龍こそが公式にて姿と名前を現した初めての大天狗”となった。

因みに、日本の民話・伝承では超大物で魔王扱いすらされる大天狗という存在から、
上述の二次創作では天狗達の総大将や妖怪の山でもかなりの大物(或いは支配者)として扱われる傾向もあった“大天狗”なのだが、
公式から出されている情報を考えると飯綱丸以外にも同格の“大天狗”が存在している模様。

……というか、飯綱丸達も含めて天狗社会は更に天魔”と呼ばれる存在に統率されて仕えているらしいので、
“大天狗”といっても、天狗社会全体の役職ではあくまでも中間管理職止まり……らしい。(とはいえ“大天狗”の上ともなると後はトップの“天魔”しか居ないのだろうから、他に横並びの者が居たとしても二番手や殆ど同格でそれに続く者、となるので飯綱丸がかなり上位の存在なのは間違いないだろう。)*1

なので、配下の天狗達に対しては容赦なく命令が可能なのだが、その調子で他の種族の妖怪に命令しても、権利こそあれ(●●)言うことを聞いてもらえないこともあるらしい。

……尤も、キャラクターの元ネタが日本八大天狗の一つとして有名な飯綱三郎天狗こと、修験道に於ける重要な信仰対象である飯綱権現と思われることから、
二次創作にて上記の公式設定の印象以上に大物扱いされていることも少なくない。
飯綱山は神主(ZUN氏)の出身地である長野県の霊山である。

また、この元ネタの関係から上述の幻想郷の“大天狗”達も全八名体制なのでは……との予想もされていたり。(因みに“八大天狗”とは…愛宕山太郎坊、比良山次郎坊、飯綱三郎、鞍馬山僧正坊、相模大山伯耆坊、彦山豊前坊、大峰山前鬼坊、白峰相模坊……である。更に、彼ら八大天狗と比しても尚も別格(上位)の天狗として石槌山法起坊=役小角を加えるとする説もある。)
実際、過去には鞍馬山僧正坊(或いは魔王尊?)に由来すると思われる大天狗が「鞍馬諧報」なる新聞を発行していたと思われる描写がある。

管狐(飯綱)の典を配下としているのも元ネタに倣ったものであり、飯綱権現こと飯綱三郎は“飯綱の法”と呼ばれる管狐を使役する天狗として有名である。
この“飯綱の法”は=カマイタチの術の異名として、昔から創作世界でも定番のネタにされてきた歴史があり、漫画の他にも忍者物やファンタジー入ってる剣撃物にて目にした人も居るのではと思われる。

更なる余談としては、飯綱権現は不動尊信仰や稲荷信仰とも関わりが深い。
…というか、同地ローカルの修験道の天狗信仰(飯綱三郎)に他所でも有名な不動尊信仰と荼枳尼天信仰をミックスして飯綱山の山岳信仰の体系を整えると共に改めて本尊として習合させたのが=飯綱権現信仰の誕生の経緯なのだろう。
事実、飯綱権現とは鴉天狗が不動尊のように剣と羂索を構えて荼枳尼天のように白狐に乗る姿で表されている垂迹神である。
尚、飯綱権現は不動尊信仰も含むということで火伏せ(火防)のご利益も重要なのだが、飯綱丸は天狗要素が強いのでその辺までは設定に反映されていない。(なんなら荼枳尼天由来の白狐にも乗ってないしね)

……因みに、単に“狐”繋がりからの連想だったのかも知れないが、飯綱丸の登場より遥か以前に九尾狐であらせられる藍しゃまのスペルカードの中に「飯綱権現降臨」が存在していたのが改めて話題にもなった。(他に、藍には稲荷・飯綱権現関連だと「憑依荼枳尼天」というカードが存在。更に八大天狗関連だと「前鬼後鬼の加護」まで含まれたりする。)
飯綱丸は元ネタ(飯綱権現)より天狗・狐関連のネタを特に抜き出した感があるキャラ付けな訳なのだが、今後の展開にて公式でも藍(“式”を付けない素の藍とか?)と何かしらの関係が言及される可能性もあるのだろうか?

更に更に余談だが、はたては以前大天狗の頭をひっぱたいたことがあると語っている。だがひっぱたかれたのが龍かは不明である。


【物語での活躍】

初登場作となる『東方虹龍洞』の5ボスで、本作に於ける“龍珠異変”の元凶として登場。
……この辺の立ち位置も過去の5ボスの典型パターンの一つに倣っているというか。

異変の発端は、飯綱丸が友人である姫虫百々世が掘り出した龍珠の力に目を付け、零落して力を失っていたセンスのない派手な格好の地味子市場の神・天弓 千亦を利用して、龍珠から作れる“アビリティカード”を市場に流通させて順調に私腹を肥やしていたことである。
しかし、市場全体の活性化によって他にも妖怪や神様が市場に集まってきた結果、力を取り戻してきた天弓が直接的に利益を欲するようになったことで意見が対立するようになり彼女の扱いを手に余すことに。昔のハマスタや今の札ド問題かな?

こうなれば、自身でコントロール出来る領分を越えて天狗社会全体を脅かす程に増大するであろう天弓の存在を疎ましく思うようになっていた所に、興味本位(●●●●)で今回の異変を嗅ぎつけてやって来た自機組と相対。

どうせ追求されるなら…と、自機組を利用して序に天弓を討伐させようとした……というのが『〜虹龍洞』でのストーリーの大まかな流れであった。


……割とというか、中々にヒドい奴だよな、うん。

まあ、狡猾なのは天狗らしい(●●●)性と言えるし、私服を肥やしたとされつつも飯綱丸なりに天狗社会全体が潤うことを考えて行動していたようだったり(というか“大天狗”には天狗社会を成長、維持をさせる義務があり、決して私利私欲では行動しないとの解説もあるので、飯綱丸にとっての私腹=天狗社会全体のことだったとも解釈出来る。)、
事が発覚した後は大事な配下の典が傷つかないように自分が前面に出て自機組と相対して交渉したり(その配下が混乱の元だったりするのだが)、
昔から悪い噂が先行し過ぎて直に顔を合わせても居ないのに畏れられ続けて、遂には他の妖怪達からすらも正体不明の扱いとまでなっていた大蜈蚣の百々世とも以前から個人的に親交を深めていたり……と、
何だかんだで“大天狗”という肩書の印象に違わない大物感を感じられる部分もある。

実際、最終的には利用するだけ利用して裏切る形となったものの、忘れられていくばかりで力を失っていた天弓を救ったのは何だかんだで龍ではあるので、この辺は当人達で折り合いを付けて今後の付き合いを上手くやっていって欲しいものである。

『東方酔蝶華』にて再登場、時系列的に『虹龍洞』の後で注目されていた天弓との関係が描写された。異変の内容は天弓 千亦を参照のこと。エピソード終盤で、妖怪の山を吹雪の中歩いていた天弓の前に姿を現す。赤い雪を降らせたのが飯綱丸だと薄々感づいていた天弓が理由を問いただした際は、赤い雪は雪に赤土を少量混ぜたもので天弓への関係修復のための贈り物(神社で市場を開くためのきっかけ作り)だとあっさり暴露した。誰かが調べ始めれば、赤い雪の正体と飯綱丸が黒幕だと辿り着くと言う天弓に対し、市場の神、巫女、人間の里と関係者は全員得をし、あるいは不安が取り除かれた状況で「真実」を追求するものはおらず、そもそも情報を扱う報道機関は天狗のものだと飯綱丸は自信満々に返した。赤い雪を調べるためにこの会話を隠れて聞いていた射命丸 文にも気づいており、天弓との会話の中で「天狗の中に仲間を売るやつはいない」と釘を刺していた。このエピソードの登場人物は完全に飯綱丸の掌の上で動いており、大物として描かれている。


【容姿】

青や紺色系統、或いは黒で塗られたロングヘアーに、大天狗の象徴である青の天狗頭巾を被っている。
身に纏っているのも青系統の天狗衣装で、これは一般鴉天狗の白シャツや制服風の装束とは印象の違うワンピース系になっており、そこに金の肩装飾付きの黒いマントを羽織っている。
鴉天狗の特徴である一本足の高下駄も藍色をしており……と、全体的に青系統で纏められた統一感のある格好である。
ゲームにて後(ステージ6)に控えている毒々しい位にカラフルでセンスのない奇抜な格好をしている天弓とは対照的である。

なので、ZUN絵以外では大人っぽい姿で描かれることが多く、絵柄やデザインのアレンジ次第ではCAのやらOLっぽい雰囲気になることも。

この他の装束の特徴としては、腰に管をぶら下げているので、普段はここに典を入れて連れ歩いているのでは?との考察もある。(典自身も)
前述のように、元ネタとなる飯綱権現は管狐を使役する天狗なので考察通りで間違いないだろう。
典以外にもお付き(管狐)が居るのかどうかは不明。

装束以外では、得物として何故かカメラの三脚を携えている。
これは部下をしばき倒す為のものらしく、公式での立ち絵のポーズも三脚を(相手をしばくために)構えている所なのだとか。シェーみたいな足の形はどうなんだろう?
今のご時世ではパワハラと批判されそうな設定な上に、そもそも何故に持ち難い上に武器としては扱い難そうな三脚をわざわざと持ち歩いているのかは不明。
……一般の鴉天狗時代があったのならば、下積み時代には文やはたてのようにスクープを求めてキャメラを手にしていた名残り……とかなのだろうか。
次の登場となった『バレットフィリア達の闇市場』では、
やっぱり三脚が武器や凶器としては思い浮かび難いブツだったからなのか、久々に相対した魔理沙から手にしていたのを「椅子と勘違いしていた」と言われている。


【スペルカード】

  • 東方虹龍洞
    • 禍星「星火燎原の舞」(E / N)
    • 禍星「星火燎原乱舞」(H / L)
    • 星風「虹彩陸離の舞」(E / N)
    • 星風「虹彩陸離乱舞」(H / L)
    • 光魔「天馬行空の舞」(E / N)
    • 光魔「天馬行空乱舞」(H / L)
    • 虹光「光風霽月」
  • バレットフィリア達の闇市場
    • 星符「天真爛漫の星」
    • 星符「空々寂々の風」

能力の“星空を操る程度の能力”に従ってか、弾幕は星型の弾とレーザーで構成されている。
スペルカード名は天候等に因んだ故事や、そこから誕生した四字熟語からと思われる。(因みに“虹彩陸離”は本来は“光彩陸離”なのだが、眩い光で相手の瞳を眩ます=虹彩と掛けている?)


【天狗の麦飯】

ゲーム内で入手可能な彼女のアビリティカードは「天狗の麦飯」…効果は「パワーが1.00増える。フルパワー時はスペルのかけらがもらえる。」更に狭い範囲の弾を消す。
ここから、飯綱丸がおにぎりを握っていたり困窮時代の天弓ににぎり飯を与えたりといった姿が描かれることも。
因みに現実世界の“テングノムギメシ”とは中部地方の火山地帯に見られる微生物の塊のことで、所謂“エンゼルヘアー”等のように“よくわからんものに取り敢えず架空の存在の名前を付けて説明されてた”物体の一つ。
…“テングノムギメシ”は上記の通りで現代では正体は判明しているが。
因みに“テングノムギメシ”は、飯綱丸の元ネタである飯綱権現の奉られる長野県の特に小諸市では天然記念物に。
他の産生地も国立公園内にあるために許可のない採取は禁止されている。
尚、この“テングノムギメシ”は実際に「食べられる土」と呼ばれて、過去の記録によれば修験者が食用としたり、飢饉の時に食べられていたそうである。
乾燥させると茶色く変色して味噌のようにも見えることから産生地を「味噌塚」と呼んでいた、なんて記録も。
また、上記の「食べられる土」から「長者味噌」や「謙信味噌」や「飯砂」とも呼ばれ、一説には飯砂=飯綱が飯綱山の語源なんて話もあるので、決してネタ要素では無いのである。
見た目から味噌扱いされているが、実際には味が無いとのこと。
現在までに食中毒や感染症、胃腸障害、等の報告は為されていない模様。
因みに、ゲームでは『虹龍洞』が初だが、東方Project関連だと書籍版『文花帖 第百二十季 如月の一』にて、広告が掲載されているので、天狗達の取り扱う定番商品という可能性がある。


【二次創作】

公式に初登場した大天狗ということで、元より二次創作での扱いが多かった文やはたて、椛の(迷惑な)上司として登場することも多い。
手に三脚を構えてるような奴だからか、存分にパワハラ気質を発揮していることも。
一方、原作では威厳のある口調や態度なのだが、その原作での異変の経緯からか、原作での典の行動と(悪い意味での)働きぶりから、その被害者となるやらかし気質というかポンコツ属性を付けられてしまっていることも。
ポンコツ設定だと大天狗の権威は何処へやら……の配下に無視されたり、お付きの筈の典にもバカにされている始末である。

カップリングでは、矢張り関係が深い典、百々世、天弓あたりが主。
尤もペット(意味深)扱いの典はともかく、百々世とは親友と言いつつも原作の時点から「いつか食べる」と思われてたこともあってか一筋縄ではいかない関係として描かれたり、
天弓とは経緯もあってか、腹の探り合いを描かれたり仲違いの状態で描かれたりと解釈は様々。




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最終更新:2025年03月29日 08:31

*1 “天魔”は仏教用語であり、第六天魔王ことメガテンでもお馴染みのマーラ様を指してるのだが、その辺はどうなるのだろう。……天狗の親玉ということで=鞍馬山の魔王尊(サナート・クマラ)と解釈されそうではあるが。