登録日:2024/01/08 (月曜日) 01:09:00
更新日:2024/12/01 Sun 18:03:26
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『死亡遊戯で飯を食う。』は、MF文庫Jにて2022年より出版されている
ライトベル作品である。
著者は
鵜飼 有志、イラストは、ねこめたる。
2024年12月現在で7巻まで発売中。また、
万歳寿大宴会によるコミカライズが、
月刊コンプエースにて連載中。こちらは同月現在で既刊2巻。
第18回MF文庫Jライトノベル新人賞で優秀賞を受賞した作品をもとにしてシリーズ化されており、『
このライトノベルがすごい! 2024』において新作部門1位と文庫部門2位を獲得している。
2024年9月の「MF文庫J『夏の学園祭2024』」にて、アニメ化が発表された。第一報のPVは、高橋李依がナレーションを担当している。
概要
少女たちによる「見世物としての
デスゲーム」を舞台に、その
デスゲームを生業として生きている少女たちを描く物語である。
おおむね、
ゲームごとにエピソードが分割された連作短編の形を取っている。なお、収録の順番は時間軸どおりではなく、主人公の幽鬼にとって何回目のゲームか、という表記でいつごろのストーリーなのかがわかるようになっている。
タイトルでも示唆されているとおり、幽鬼にとって
デスゲームはあくまで「飯を食う」生活の手段という位置づけであり、殺し殺されの関係性はドライ。
デスゲームものの定番である、「たまたまグループごと巻き込まれ、極限状態において友人や恋人を手にかけることができるのか」といった人間性のドラマとはまったく無縁の作品である。
むしろ、登場するキャラクターの大半は
デスゲームで生きるプロであり、助けあうのも殺しあうのも、ゲームをクリアするために必要ならそうするといった類のものでしかないと、非常に尖った作風となっている。
語り手である主人公も、その例にもれずドライな死生観を持った人間であり、少女たちが傷つき命を落としていく様も淡々と描かれる。
そのため、新人賞の受賞も決して満場一致というわけではなく
賛否両論だったようではあるが、結果としては順調に巻数を重ねており、読者には受け入れられたといってもいいだろう。
世界観・用語
ゲーム
謎の組織が運営している、文字通りの
デスゲームである。
プレイヤーは若く美しい少女・女性に限られ、彼女たちが殺し合う様は常に監視カメラで写され、〈観客〉へと伝えられているようである。
舞台として毎回、小さければ屋敷一つ、大きければ遊園地や数時間で一周できる程度の
無人島などの完全に隔離された場所が用意され、
ゲームの内容も毎回違うものが実施される。
ゲームの参加人数は、少なければ5人程度、多ければ100人を超える場合もある。期間も、短ければ1時間以内、長ければ一週間以上かかる場合も。
共通しているのは、
ゲーム中に死ぬことなくクリア条件を満たして生還すれば、ある程度の額の賞金を手に入れられること、生還率はおおむね7割程度を想定したルールとなっていること、そしてプレイヤーたちは
ゲームのテーマに応じたコスプレをさせられること。
このコスプレは、メイド服、バニー服、水着、場合によっては裸に
バスタオル一枚ということもある。基本的にはどれも露出が多いアレンジになっており、コスプレといってもコミケというよりは
コスプレ風俗のほうがイメージに近いだろう。
ちなみに、ある程度の額といっても数百万円と1回のクリアで人生あがりになるようなものではなく、命を懸けているにしてはむしろ端金といえる程度だが、それでもそれぞれの目的のために常連となっているプレイヤーも多い。
〈防腐処理〉と医療サービス
〈防腐処理〉は、この物語の
デスゲームにおける最大の特徴であり、ものすごく雑に言えば「
デスゲームの見た目が陰惨にならないための人体改造」。
ゲームの参加時には、すべてのプレイヤーの肉体は運営によって処置されており、
- 血液は、空気に触れると白いもこもことした綿のようなものになる
- 体臭や体液、糞尿にいたるまで無臭化される
- 死体を放置していても、肉や内臓が腐ることはない
といった効果がある。
このため、仮に腹を裂かれ、手足も内臓も解体された死体があったとしても、その見た目だけであれば十分に血抜きされた肉と骨と内臓と白い綿がそこにあるだけ、というものになる。
この結果、たとえ大きな怪我を負ったとしても止血の必要はなく、筋肉や腱が繋がっている範囲であればある程度は動き続けることも可能。
ちなみに、〈防腐処理〉に加えてプレイヤーに提供されている医療サービスも一般常識の範疇を超えており、手足が切断されても、その大部分がまるまる残っていれば、
ゲーム終了後には何事もなかったかのように繋げられる。
このため、常連のプレイヤーともなれば、
ゲームクリアに必要であるのならば手足の一本や二本を切断することは当然のオプションとして想定されている。
エージェント
ゲーム経験が3~4回目くらいのプレイヤーには、ゲームの運営サイドから派遣される専属のエージェントがつくようになる。
主な仕事はゲーム会場への送り迎えだが、それ以外にもプライベートの面でも助けてくれるようである。
ただし、どの程度の関わりを持つのかについては、エージェントの性格やプレイヤーとの関係性にも左右される。特に性格の面では、最低限の仕事だけをこなす放任タイプと、あれこれ世話を焼く保護者タイプとがいるらしい。
基本的には、黒いスーツ姿の女性が担当するようである。
ゲームの進行
プレイヤーはそれぞれ運営から
ゲームへの参加を打診され、了承すると運営が用意した車で会場まで移動することになる。会場の場所はプレイヤーにも秘密とされるため、車中では睡眠薬を飲み、眠った状態でコスチュームに着替えさせられ、スタート地点まで運ばれる。
プレイヤーが起きた時点で
ゲームスタートとなるが、基本的には各プレイヤーは離れた場所で寝かされていること、起きるまでの時間には個人差があることから、最初のうちは多くのプレイヤーが起きるまで様子見のような状態となり、いきなり
ゲームが大きく動くことは少ない。
また、ルールが複雑な場合にはプレイヤーが揃ってから、勝利条件や敗北条件といった詳細な説明がなされることもあるが、多くの場合にはなんの説明もなく会場の一角で目を覚ますこととなる。
この場合には服装や会場の装飾といった
ゲームのテーマ、最初に支給されているアイテム、出会うことになる他のプレイヤーとの情報交換を通じて、クリア条件を推理していくことも必要となる。
ゲームのルールは毎回違うものが実施されるが、プレイヤー間では大きく「脱出型」「対戦型」「生存型」3種類の形があると認識されている。とはいえ、完全に分類できるものではなく、「対戦型の要素のある脱出型」といったものも存在する。
なお、どのタイプの
ゲームであっても、ルールの範囲内であれば、他のプレイヤーとの関係として助け合おうが殺しあおうが、孤高を貫こうが構わない。極論をすれば、チームによる対戦型
ゲームで、味方チームの全員を自ら殺してしまったとしても、チームとしての勝利条件を満たしているのであれば
ゲームクリアとなる。
脱出型
いわゆる脱出ゲームを
デスゲーム仕様にしたもので、基本的には出会ったプレイヤーたちは協力しながら会場内を探索し、脱出の鍵となるアイテムを見つけ、場合によっては謎を解いて、会場から脱出できればゲームクリアとなる。
当然、
デスゲーム仕様であるので至る所に罠が仕掛けられており、それに引っかかってしまうと良くて手足を失うといった被害を受ける。
原則としては脱出条件を満たしさえすればプレイヤー全員がクリア可能であること、探索には人手があったことが有利なことから、基本的には協力的なプレイが推奨される。
しかし、最後の最後に、クリア人数を制限する仕掛けが用意されていることもあるため、油断は禁物である。
また、脱出条件が早いうちから明らかになり、かつその条件を満たすことのできる人数が限られていることが明らかである場合には必然、脱出の鍵を奪い合う対戦型のような進行となる場合もある。
対戦型
全プレイヤーが複数の組に分かれ、チーム単位で勝敗を争うタイプのゲーム。
チーム分けと各チームの勝利条件は、すべてのチームが同一の条件となる対称型の場合もあれば、チームによって条件が異なる非対称型の場合もある。
非対称型の場合には、一方のチームは「最後まで生き延びれば勝ち」な生存型と同様のルール、もう一方のチームは最後までに一定のキル数を稼げばクリアというルールとなることが一般的なようである。
このタイプの場合には、同士討ちを避ける意味もあってか、事前に詳細なルール説明がなされることが多い。
生存型
個人単位で、
ゲームの終了時間まで生きていることができればクリアという、シンプルなもの。
しかしそれだけに障害となるものは積極的かつ強力であり、戦闘力の高い運営側NPCがプレイヤーを殺害しようと襲ってくることとなる。
当然、隠れ続けてクリアという戦法が許されるわけもなく、プレイヤーの位置をNPCが知覚しているなど、それを許さないような仕組みも用意されている。
しかしプレイヤー側も「逃げなければいけない」とルールで強制されていなければ反撃も可能であり、熟練のプレイヤーが多数協力すれば、障害を逆に排除してしまい、
ゲーム終了の期限を待たず全員が生還できたりもする。
師弟制度
プレイヤーの大半は、
デスゲームに参加し、生き残ることが最大の目的となっているが、なにぶん
デスゲームであるため一度の失敗はすなわち死を意味する。
また、他のプレイヤーも、ゲーム内で戦う必要がある場合を除いては、同じプレイヤーという緩い意味での仲間でもある。
そのため、先達のベテランプレイヤーが、センスのある新人プレイヤーに対して自らが持つ生き抜くために必要な知識や心構え、体術や武器の扱い方といったノウハウを教え、生存の可能性を高め育てるという師弟制度が自然発生的に存在している。
その他
- 基本的にはプレイヤーの死がイコール、ゲームの敗北であるが、対戦型で明確に敗北条件が定められている場合には、敗北時に運営が自ら命を奪いにくる。
その一方で、脱出型において脱出条件を満たせないことが確定した場合には、その時点で生存していたとしても運営が襲ってくることはない。とはいえ、会場内の食料は限られており、そのまま餓死を待つだけとなる。
- 特に生存型では一週間程度の期間がかかることから、必要最低限の食料はスタート地点やそこから近い場所に用意されている。
また、それ以外のタイプであっても、特にゲームとは関係のない食料や飲料が用意されていることもある。
それらの食料・飲料は毒物が入っているといった罠ではないことが暗黙の了解であると、プレイヤーたちは認識している。実際、ゲームの参加が十回を数えるようなベテランであれば、(ゲームのギミックである場合を除いては)その例外はないと考えており、食料を口にすることに躊躇いがない。
- ゲームの運営組織の実態は謎に包まれているが、作中の描写を見るかぎりでは毎週といっていい頻度でゲームが開催されており、その毎回で舞台の用意やプレイヤーへの賞金など決して少なくないコストがかかっており、〈観客〉も含めてかなり大きな規模でゲームは運営されているようである。
- そもそもプレイヤーの総数も、日本国内だけで常に数百人が存在することは間違いなく、毎週のように一定数が死んで一定数が新規参加し、しかも若くて見た目がいい女性だけと、深く考えるととても隠しておくことなどできなさそうなものではあるが……下手に探ろうとすると運営に消されるからね、仕方がないね
登場人物
物語の中心人物
CV:中島由貴(公式PV、ボイスドラマ等)
本編の主人公であり、基本的に彼女の視点で物語が紡がれる。
伸ばしっぱなしで腰まで届くストレートの銀髪、青い瞳(過去のゲームで傷つけられている右目は色素が薄い)の17歳。ちなみに「幽鬼」は本名の読みに別な漢字を当てた
デスゲーム時のプレイヤーネームで(他参加者も基本的には仮名使用)、本名は「反町友樹」。
女性としては背が高いほうということだが、
貧にyスレンダー体系で色白な美少女。
自らが生き残ることを最重要視し、「利他」をスタンスとしたプレイスタイルでベテランプレイヤーとなっている。
ただしこの利他というのも、あくまで自分が長く生き残るために効率的であるというだけであり、他のプレイヤーに対して友好的・敵対的のどちらかを選べるのなら友好的に接しておけば、もし次以降の
ゲームで会った時には助けてくれるかもしれない、程度のこと。
自分が生き残るためにルール上必要であれば、ついさっきまで手を引いて助けていたプレイヤーを、即座にためらいなく殺すことすらできる。
一通りの武器の使用を含めた体術はプレイヤーの平均以上の水準と言ってよく、一般の成人男性くらいであれば素手でも余裕で制圧できる。
このようにプレイヤーとしては優秀であるが、それだからこそというか、人間としてまっとうとは言い難く、大して家具もない狭く汚い安マンションに住み、日中に寝て夜になってから活動を始め、食料は
コンビニで調達する生活。
家の中でも外でも、特に理由がなければジャージで過ごすなど、ファッションにも頓着をしない。
人生のかなり早いうちから、自らを真っ当に生きていくことができない人間だと悟っていたようで、
なんとなくという程度の理由で最初の
デスゲームに参加。
センスは確かにあったようで、最初の2回は
なんとなくでクリアできたが3回目の
ゲームで白士に敗北。ルールの都合で運良く生き延びることができ、そのセンスに注目した彼女に弟子入りすることとなる。
それ以降は、これを天職と定め、やがて99回の
ゲームクリアを目標に、生きていくこととなる。
幽鬼の師匠であり、幽鬼にとって9回目のゲームである『キャンドルウッズ』の時点で参加96回を数える超ベテランプレイヤー。
このゲームの「99連勝」に何かがあるはずと考え、それを目標としている。
白い髪は綿菓子のようにウェーブがかかっており、幽鬼と同様に腰ほどまでの長さがある。
肌も血色がないといえるほどの白さで、肉体も無駄を削ぎ落したように細い。
生存を重要視する幽鬼のスタンスは彼女から教わったものである。
しかしそれは、結果としての生存率を高めるというものであり、決して逃げ切ることを目的としていない。
実際、非対称な対戦型の
ゲームで、「生存していれば勝利」のチームに入っている場合でも、襲撃側チームを積極的に襲う戦略を立案し、自らが打って出るようなタイプである。
伽羅色の長い髪で長身の女であり、プレイヤーの中でも異彩を放つ、「殺人鬼」。
ゲームに勝つことではなく、他人を殺すこと自体が目的の狂人であり、殺し合いとなった場合にはゲームのベテランプレイヤーを相手にしてすら一方的な殺戮を行える。
その手口も、体を開きにして内臓をすべて引きずり出すといった猟奇的かつ特徴的なものであるが、出会ったプレイヤーはごく一部の例外を除いて皆殺しにしてきているため、その存在は知られていなかった。
「締め付けられるタイプの服装が苦手」というのが、唯一の人間らしい部分、と言えるような存在である。
また、彼女と出会っても殺されず、何故か気に入られて「弟子」となった者も少ないながら存在し、幽鬼の前に現れることとなる。
幽鬼にとって10回目のゲームである「スクラップビル」において、同行することになったプレイヤー。
金髪のすごい縦ロールで、いかにもお嬢様然とした言動の少女。
プライドも相応に高く、スクラップビルでは、一応は最多回数のプレイヤーである幽鬼を差し置いてリーダーとなることを自ら宣言した。
スクラップビルでは、幽鬼への対抗心と未熟さが悪い方向に作用して、幽鬼にプライドを完全にへし折られながらも生還。
しかしその後、幽鬼にとって30回目のゲームである「ゴールデンバス」にて、幽鬼を大きく上回る40回のゲーム経験を積んだ強敵として再会する。
〈ゴーストハウス〉のプレイヤー
本作品の「第一話」の舞台となる、幽鬼にとって28回目の
ゲーム〈ゴーストハウス〉で、幽鬼と共にクリアを目指すことになったプレイヤーたち。
ちなみに〈ゴーストハウス〉は典型的な脱出型
ゲームであり、プレイヤーはメイド服を着せられている。
金色の
ツインテールが特徴的な少女。
見ていて心配になるくらいに身体全体が華奢な体形だが、初めての
デスゲーム参加であるにも関わらず、はっきりとした受け答えができるタイプ。
親の作った借金を返済するために
デスゲームへの参加を決めたとのこと。
アンダーグラウンドな雰囲気をまとう黒髪の少女であり、
デスゲームでの参加は2回目。
普通に労働するのはばからしいが、生活費は必要なので
デスゲームに参加したとのこと。
「簡単に稼げるバイト」という怪しげな文句に誘われて
デスゲームに参加するハメになった少女であり、こんなはずではなかったとスタート時から泣いていた。
ピンク色の髪にアニメ声、
ゲーム参加者の中でいちばんの美人で、さらに胸も腿も豊満で、少女である幽鬼も思わず触りたいと思うほどのいやらしさを持つ。
赤いショートヘアで背が高く手足も長く、王子様的な美しさの少女。
ゲームの噂は知っていたが参加は初めてということで、スタート時から雰囲気に飲まれている感がある。
自らの借金返済のために参加を希望したとのこと。
もしゃもしゃとした青い髪、不安げな表情といかにも内気そうな少女。
ゲームの参加は初めてだが、その理由は、幽鬼が推測するに、
ゲームに参加することでしか生きていけないタイプ。
無事に
ゲームに勝って生き延びることができたプレイヤーが、追記・修正してください。
- いつかくるとは思ってたけどアニメ化だー! -- 名無しさん (2024-09-01 21:59:01)
- 死亡遊戯……なんかそういう名前のカンフー映画、なかったっけ? -- 名無しさん (2024-09-08 21:33:43)
- キャラの倫理感やら防腐処理されててもエグい描写やら規制に負けずがっつり作りこんで欲しい -- 名無しさん (2024-09-20 18:17:12)
最終更新:2024年12月01日 18:03