登録日:2024/04/01 Mon 00:00:00
更新日:2024/09/08 Sun 23:54:05
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だいたい漫画ってさあ……
私 描くのはまったく好きじゃないんだよね
楽しくないし メンドくさいだけだし 超地味だし
一日中ず~っと絵描いてても全然完成しないんだよ?
読むだけにしといた方がいいよね 描くもんじゃないよ
じゃあ藤野ちゃんはなんで描いてるの?
2021年7月19日に上記サイトで公開されてから、その日の内にX(旧Twitter)上でのトレンド1位に輝く。閲覧数は同月中に500万を超えるほどの話題作となった。
同年9月3日には単行本化。同年12月に宝島社より発行された「このマンガがすごい!2022」のオトコ編では1位を獲得している。
さらに劇場アニメ化され、2024年6月28日に公開となった。
山形に住む、「漫画」を描く2人の少女の人生を時に爽やかに、時に生々しく、流れるように描いている。
【あらすじ】
小学4年生の女の子、藤野は毎週発行される学年新聞に4コマ漫画を載せ、周囲から称賛されていた。
普段は新聞の中に2枠分漫画を載せているのだが、ある日担任の先生から依頼を受け、1枠を隣のクラスに在籍する不登校児、京本に譲ることとなった。
当初は京本を見下していた藤野だったが、学年新聞に出た京本の漫画は誰の目にも明らかなほど「上手い画」で、藤野自身も彼女の方が画力が高いことを認めざるを得なかった。
悔しさから絵の勉強を始め、周囲から孤立しながらも必死に努力を重ねたがそれでも勝てず、6年生の時についに漫画作りを止めてしまう。
それから時は流れて小学校卒業の日。藤野は先生に頼まれて卒業証書を京本の家に届ける事になるが、彼女の家に上がった時に見つけた4コマ漫画用の台紙に即席で漫画を描き、それがたまたま京本の目に入った事で彼女から昔からのファンである事を告げられた。
彼女からの言葉を受け、藤野は京本と組んで「藤野キョウ」名義で再び漫画を描き始める……。
【主な登場人物】
CV:河合優実
本作の主人公で下の名前は「歩」。
家族は父親・母親に加えて姉が1人いる。勝ち気な性格で、時折強がりを言う。
(劇中での京本の発言からして)小学3年生の頃から学年新聞に4コマ漫画を毎週出し、周囲から絶賛されていたが、
京本の漫画で画力の才能の差をまざまざと見せつけられ、努力してもそれを覆すことが出来なかった結果、漫画作りを6年生の途中でやめてしまう。
その後は距離が出来ていた友人や家族との交流を再び始めるが、卒業証書を渡す際のやり取りから京本と共に「藤野キョウ」として漫画賞の受賞を目指した漫画作りを再開する。
CV:吉田美月喜
藤野と同じ学校に通う女の子で彼女の4コマ漫画のファン。
家族構成などに関する描写は無いが、藤野の家で遅くまで背景作りに勤しんでいても気にするそぶりも見せていないため、親との関係はあまり良好でない可能性がある。
詳しい経緯は不明だが対人関係の構築がうまく出来なかった事で不登校となっており、家では絵を描いている。
藤野からは画力の面で嫉妬の念を抱かれていたが、京本の方はクオリティの高い話を週1ペースで作成ができる藤野に尊敬の念を抱いていた。
「藤野キョウ」として背景部分の作画を担当しつつ漫画を共に作成し、藤野と交流を深めていく内に外へ行く描写も増えている。
劇場版では、他の登場人物に比べかなり訛りの強い喋り方になっている。
【以下、更なるネタバレ注意】
1年間かけて作成した漫画が準入選したのを皮切りに、外へ飛び出して集英社に多くの読切作品を出していく2人。
それらの努力が実を結び、高校卒業後から連載することを勧められることとなった。
が、京本は高校卒業後は美大に進学する予定でいる事を藤野に告げる。
コミュニケーションの面や美大進学後の就職先などの問題から引き留めようとする藤野だったが、「もっと絵が上手くなりたい」と言う彼女の思いを聞き、彼女の要望を受け入れることとなった。
こうしてコンビは解散し、藤野はそれまで使っていた「藤野キョウ」のペンネームをそのまま用いて「シャークキック」の連載を開始。
一方、京本は地元・山形市にある美大に進学し、絵の勉強を始めた。
「シャークキック」の連載は順調に進み、既刊11巻でアニメ化までされる程になっていた。
それから月日が経ち、2016年1月10日。
いつものように原稿を作っていた藤野は、とある信じられないニュースを知る。
京本の通う大学に精神面が不安定になった男が侵入。学生に襲いかかり、多数の死者が出たこと。
そしてその男の凶行の犠牲者の中に京本が含まれていることを……
私のせいだ……
私があの時……漫画描いたせいで…京本 死んだの
あれ?私のせいじゃん……
京本っ 部屋から出さなきゃ 死ぬことなかったのにっ
あれっ?なんで…?
なんで描いたんだろ…
描 い て も 何 も 役 に 立 た な い の に ……
ショックによる体調不良から藤野は「シャークキック」を休載。
彼女の家に線香をあげに来た時に二人が出会うきっかけになった4コマ漫画を見つけ、
自分が京本の死の原因なのではないかと思い悩み、思わずその漫画を破り捨ててしまう。
するとその破った漫画の中の1コマが京本の部屋に入り込み……。
引きこもっていた小学生の京本の所に届いた。
突然入ってきたそれをいぶかしげに見つめる京本だったが、突如玄関のチャイムが鳴る。
藤野が卒業証書を届けに来たのだ。
が、ここでは2人は顔を合わせることなく、藤野は卒業証書を置いて出ていってしまった。
京本も「幽霊」の仕業としてそれ以上は破れた漫画のことは気にしなかった。
それから時は流れ、京本は自力で不登校状態から脱し、山形市の私立大学にAO入試で進学していた。
学業に勤しむ京本だったが、2016年1月10日。
ソファで休んでいた所を、凶器を持った男に襲われてしまう。
発狂しながら凶器を振り下ろしてくる男。
万事休すかと思われたが……。
男の背後から女性が飛び蹴りをかまし、京本の危機を救ったのだった
曰く、「異様な様子の男が大学に入っていくのを見て後を追ってきた」との事。
女性自身も足を負傷して救急車に運ばれることになったが、そこで連絡先を知り、
藤野……藤野先生…!
もしかして藤野先生ですか!?
先生?
彼女がかつての憧れだった藤野である事を知り、ここで初めて彼女のファンだった事を告げる。そして……
あの!なんで漫画描くのやめちゃったんですか!?
最近また描き始めたよ!
連載できたらアシスタントなってね!
藤野と別れた京本は家に帰り、ふと見つけた4コマ漫画用の台紙に漫画を描き込む。
すると風が吹いて台紙がドアの下に入り、京本の死の件で塞ぎ込む藤野のもとに滑ってきた。
その漫画が目に入った藤野は京本の部屋に入り、かつて自分がサインをした彼女の服、窓際につられていた4コマ漫画の台紙、そして彼女が買っていた「シャークキック」の単行本を見つける。
藤野キョウとして2人で考え、作り、過ごし、笑いあった時間に思いを馳せ、藤野は涙するのだった……。
やがて藤野は立ち上がり、仕事場へと戻っていった。
一度立ち止まった「漫画」にまた向き合うために……。
【余談】
- 藤野・京本の名前から1文字ずつ取ると「藤本」と言う名前になる為、明言等はされていないが、両者の名前の由来は藤本タツキ自身の名前と思われる。
- このためか、京本のモデルはTwitterにて
ながやまこはるという小学3年生の妹名義で影響を受けたと公言した漫画家の故・高畠エナガではないかと推測する読者も多い。
- ちなみに、劇場版では「シャークキック」はコミックスカバーなどのデザインから、より「チェンソーマン」のセルフパロディである事が強調されている。
- 京本が進学している山形市の美術大学だが、所在地と建物の外観から「東北芸術工科大学」を元にしたと思われる。なお本校は藤本タツキの出身校であり、劇中の京本同様、AO入試で本校に入学している。
- 本作では物語開始時のコマで黒板に「Don’t」と書かれており、逆に最後のコマでは床に置かれた本の中に「In Anger」と書かれた本があることから、タイトルの「ルックバック」も併せて、オアシスの名曲「Don’t look back in anger(悪い思い出にしないで)」と言うワードが浮かび上がってくる。
- 劇中の時系列は大学内での事件の発生日の2016年1月10日以外、具体的に書かれていないが、京本が死ななかった世界線での入学年度が2012年度になっているので、仮に京本が浪人していないと仮定すると物語開始(小学4年生)時点での時系列は2003~2004年になる。
- 男が京本に放ったセリフについてだが、その時の男が精神状態が不安定であるとみられる描写が見られており、実際に同様の症状に悩む方への配慮として、掲載後に1度修正され、その後単行本化に際して再び修正がされている。劇場版も単行本版の方に準拠している。
じゃあ私ももっと項目作りウマくなるね!アニヲタみたいに!
おー wiki篭りも追記・修正して成長するんだなー
- web掲載の漫画は公開されたらすぐ読めという教訓を教えてくれた漫画 -- 名無しさん (2024-04-01 02:45:48)
- あの放火事件を意識してしまう… -- 名無しさん (2024-04-02 18:03:56)
- 修正しなくてよかった でもあの騒動からセリフの修正までが意図された演出のようにも思えた -- 名無しさん (2024-05-22 07:30:05)
- 映画が傑作だった -- 名無しさん (2024-07-14 17:45:21)
最終更新:2024年09月08日 23:54