登録日:2024/04/01 Mon 10:07:45
更新日:2025/09/02 Tue 11:28:57
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この項目は医療マンガ『スーパードクターK』『
K2』に登場する架空の国の紹介である。
【概要】
圧倒的医療技術を持つ
ドクターK。
彼の基本的な活動国は日本だが、その噂は海外にも広がっており、都度外国に赴くこともある。
そしてそこで医療技術無関係なフィジカルで解決する事件に巻き込まれることも多い。
これはそんなKらが訪れた個性豊かな国々を紹介する項目である。
なおKシリーズには
アメリカやロシア、中国などの実在国も出てくるがここでは割愛する。
【登場した架空国】
カサール王国
第2巻で登場。記念すべき初海外エピ。
実在したカ
ザール王国とは無関係。
情勢が不安定な小国で内戦に揺れており、王族ですら修復すらされていない古い建物に住んでいる。
だが軍事にはかなりの金を注ぎ込んでいるらしく、軍隊の装備は一丁前。
更に医療施設も最新のものを揃えているが、それは決して人命のことを考えているからではなく……。
このアンバランスな国にてKは
生涯の好敵手と出会うのであった。
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飛行機に乗っていたKに銃口を突きつけ無理矢理連れてくるなど粗暴な割には妙に説明的であり、また国民も善性を完全に失ってはいなかった。
だがKを連れてきた理由は兵士たちを強化し敵を圧倒する力を得るためであり、その最後の善性を捨てる間際であった。
勿論Kはそれを断るが、そこにカサール王国に雇われていたもう一人の医者「TETSU」が登場。
兵士たちに痛みを感じないコールドトミー処置を施し、彼らを「吸血部隊」に仕立て上げるも、ほんのわずかに残った「人の心」を持っていたおかげで部隊長が改心。
彼が本当に大切なものを思い出したのを察したKはなんと国王にも同じ手術を施し、彼の愚かさを説いた。
これによって国王は改心、内戦は停戦へと向かうことになる。なおTETSUは何故か投獄された。国のために働いてたってのに。
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バグラン公国
第7巻に登場。
東欧と中東の中間に位置する人口150万人の小国。位置的にはルーマニアの下の辺り……と架空国にしては詳細な位置情報が判明している。
この国から発せられる「バグラン国際医学賞」は、ノーベル賞と並び称されるほど栄誉ある賞。
戦乱に揺れている地域にしては珍しく君主制を敷いており、国自体もシャボン玉で遊んでいる子供たちの姿が見られるくらいには情勢が安定していたが……。
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そのバグラン国際医学賞に、Kの恩師・柳川が選ばれるところから物語がスタートするが、彼が訪れた時には7歳の国王・ブロールは病に瀕しており、その後釜を狙ってタカ派のベルレス首相が軍事政権を築こうとしていた。
一方、ドイツ政府はこの不穏な動きを察しており、そういう情勢下ゆえに件の賞も最近は出ていなかったという。
この国が欲しかったのは「国王の死」という大義名分。
ブロール国王は体質的に全身麻酔を受け付けず、更に柳川は先日罠に掛けられて左手にハンデを背負っていた。
つまり柳川は「彼ほどの名医ですら国王を救えなかった」という理由付けのために呼び出されたのだ。
また国王の主治医・チェンバレンもその体質のせいで苦悩の果てにブロールを見捨てる気でいたが……。
ベルレスは国王になることで私腹を肥やそうなどとは考えておらず、行動原理はあくまで国のためであった。
だが、軍部の中にはまだ7歳だというのに王としての威厳が備わっているブロールを慕う者も多数おり、国に訪れたKに応対した兵士「チェロキー」も「無関係な人たちを巻き込むわけにはいかない」と脱出の手筈を整えてくれた。
しかし幼き王を見捨てることを良しとしない柳川はこれを拒否。更にKの奇策によりブロールが救われる。
追い詰められたベルレスはブロールを射殺しようとする、彼にはもはや退路は無い。
そう思われた矢先、チェンバレンがブロールを庇い凶弾に斃れた。
彼が諦めていた理由はブロールが治らないと思っていたからであり、そのブロールが治ったとなればもはやベルレスに従う義理はない。
チェンバレンの命を捨てた説得、そして兵の声……もはや自分はこの国に不要な存在だとしてベルレスは自害しようとするが、Kに止められる。
そしてブロールの威厳ある命により、ベルレスは人の心を取り戻した。
こうしてベルレスは国王の器ではあるもののまだ幼いブロールを首相として支えることを決意する。愛する国を守るために……。
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シルバラ
第16巻にて登場した南米の国。
ちなみにこの巻はKとTETSUが軍服を来て吠えているという医学漫画とは思えない表紙が特徴的である。
ベネズエラ、コロンビア、ブラジルの国境あたりに位置する麻薬大国。
ここを収めるモロ悪役面の麻薬王アルベルト・シングルトンがもたらす麻薬はアメリカのコカイン需要の80%を賄っている。
その麻薬によりクエイド財団会長の孫も犠牲になった。これを受け、クエイドの副会長ジェフ・エクランドは軍の協力の下、Kや朝倉、紛れ込んだTETSU達と共にシングルトンの住まうシルバラの工場を攻略しようとするのだが……。
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シングルトンは国を守るために苦肉の策としてコカインを製造している良き領主であり、侵入者であるKに対しても真摯な対応をしていた。
……そして、彼らの一番の取引先はなんとジェフであり、その真の目的は麻薬工場を直接自分の手に収めること。
結果的にコカイン工場は爆破されるものの、一命をとりとめたシングルトンは「最初に戻っただけ」と仲間達に述べ、K達を見逃した。
彼らも自らの行いがいつか身を滅ぼすと理解していたのだろう。
そんな彼らにクエイド財団は救いの手として経済支援を決定。今度こそ正しい道を進むこととなった。
Kの言う通り彼らがコカイン製造に手を染めたのは貧困のためであり、生きるのに必死なだけだったのだ。
このエピソードでそれまで敵同士だったKとTETSUが始めて手を組み、またTETSUの過去も少し語られることになった。
お陰で一部からはKとTETSUのイチャイチャ回だとか言われている。
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マリピア
第18巻に登場。
東南アジアに位置する国。カジノがあるらしい。
悪徳政治家・木村によると日本政府が多額の支援金を出しているそうだが、反日感情が強く、訪れた日の夜に襲撃される。
ナイフで刺され金も奪われ、死の淵に瀕した木村を救ったのは、あの
真田武志であった。
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ネタバレ |
……も何も状況説明のためだけに登場した国であり、内情が描かれたのもたった数ページ。
このスピード感がKシリーズの魅力と言えるだろう。
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ビクシパール
第19巻に登場。
かつては非常に貧乏な国であり、国民は盗みをしなければ明日すらも分からない状態であった。
警察の質も悪く、窃盗しようとした人間をリンチし半殺しにしてしまうほどの粗暴さ。
子供ですら盗み目的で平然と軍事基地に忍び込み、地雷を踏んで爆死してしまうという壮絶な国であったが……。
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「ただ皆食べ物がほしかっただけ…」
それら壮絶な経験をし、父や仲間達と死別した少年「シアドク」は後に大統領となり、その優れた手腕でビクシパールを「東南アジアの宝石」と呼ばれるほどの国に成長させた。
彼の壮絶すぎる人生は異国・日本にて、頑なな少年の心を救うことになる……。
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ニューセルゲイ共和国
第20巻に登場。人口は300万人ほど。
ブランカ大統領による「ブランカ主義」に支配されたこの国は、太平洋に位置する島国でありながら折あらば軍事行動をする物騒な国と化していた。
国民は大統領や軍人を恐れ、眼前で騒ぎが起こっても見て見ぬふり。
そんな国をKとTETSUが訪ねるが……。
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ブランカ政権はアニマルウェポン=イルカや犬・鳥などを操って無差別テロを起こす計画を企てていた。
それに手を貸していたのは、またしても真田武志。
だが真田は宿敵Kと弟であるTETSUの出現を受け、同じ西洋人として彼らとの関係を疑われてしまう。
その場は誤魔化したものの、時を置かず不用意にもKを挑発するために電話を掛け、更にTETSUが弟であることがニューセルゲイ側にも判明。
疑われた真田はそのまま射殺されてしまうものの、今際にアニマルウェポンとなった犬に介錯を頼み、核爆弾のスイッチを押す。
そしてこの国の首都は少なくとも(ここ重要)50万人もの死者を出し亡びるのだった……。
今までの国はなんやかんやで救われてきたのだが、この国はあまりにも派手な終わり方をしたせいでたまにネタになる。真田家は4人で平均12万5千人殺しているとか。
なおブランカ大統領は姿自体は出てきたが作中では一言も喋らずに爆散した。
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A国
ニューセルゲイ編で話題に出た国。
「タンパ」という地名や「自由の国」という呼ばれ方から
明らかにあの大国であるが、ここだけはテロの標的になるためか名前が伏せられている。
ちなみに話題の中にはS国というのも登場している。
レビーク
第23巻に登場。
中東の大国で人口は約2千万人。
レアモスク教という架空の宗教を国教としているが、その教えと予言に忠実過ぎるが故に融通が利かない。
クエイドの中東支部設立の足がかりにしようということで朝倉とKが訪れるが、実は皇女サラメールが重病に伏しており……。
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Kはそのサラメールを救う救世主だと言われ、彼女の治療をすることに。
だが今までの外国シリーズと同じようにやっぱり縛りプレイが科せられ、今回のそれは「纏い物を取らない」というものだった。
レアモスク教徒の女性は配偶者以外の者に肌を晒すことを禁じられているのである。 要するにKが女性であったとしてもアウトだった。
朝倉は「なんとか誤魔化す」と言うが、Kは「郷に入っては郷に従うべき」と言いつけを守って皇女を救おうとする。
この回では普段真面目でクールな朝倉が珍しくギャグキャラ化している。
KAZUYAが本気でたじろぐオチも相まって、今までの外国シリーズに比べてコミカルな印象が強い国である。
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バラモ共和国
第26巻に登場。
南米にある内乱に揺れる国。
30年以上独裁を続けるモッサン大統領率いる政府軍と、ティーグレ率いる反政府ゲリラとの衝突が続いている。
その戦いは最早話し合いどうこうの段階ではなく、互いに「殲滅」「血の粛清」と過激な発言をするほどであったが……。
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反政府ゲリラのリーダー・ティーグレ。
彼はスパイと見切った刹那瞬時に殺害するほどの冷酷な男であるが、恩は忘れない男だった。
ティーグレの本名は「アンディ・ミヤナガ」。名字で解る通り日系三世であり、かつては祖国を救うという理想に燃え、多少日本語が話せたために日本に留学していた。
そこで働いていた際、頭を強打する大事故に見舞われながらも、まだマントを着ていなかった頃のKに救われる。
その後も互いに馬が合い、祖国のことや日本という国の良し悪しを学ぶ。
そして別れの際に「また何かあったら治してもらおうかな」と挨拶をし、正しい理想を以て事に臨めば国を救えるという希望を持ってバラモに帰るも、実際はゲリラのリーダーとして幾人もの人間を殺している状態であった。
更に彼は頭に爆弾があり、強い衝撃を再び受けると「頭が割れるように寒くなる」と言う。
そんな彼を再び救ったのもK。
彼はティーグレの別れの挨拶を冗談と受け止めず、地球の裏側から治しに来たのだ。
「恩を忘れない日本人の血」それはティーグレ=アンディにも流れている。
今までは刺客と断じたら即座に処刑していたが、それはモッサンのやっていることと変わらない。そう気づいたティーグレにKは「1ヶ月間、何もしなくてもいい」と言う。
そして1ヶ月後、大統領は急死する。
Kは大統領の「異常に膨らんだホクロ」から手遅れだということを察していたのだ。
そして完治したティーグレの熱き声明を持って、この国は新たな道を進むこととなる。
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アスタリオ共和国
第37巻に登場。
南米に位置する自然豊かな国。ウーリーモンキーが多数生息しており、彼らを動物実験用に捕獲するハンターが生計を立てている。
しかし自然豊かなジャングルには人類には解明できていない病原菌も多数あり……。
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猿達は未知の病原菌に感染し、凶暴になっていた。
悪いことに、その菌は人間すらも殺傷してしまう危険なもので、実験研究所は大パニックに陥る。
アスタリオという国自体はこのエピソードの最初と最後にしか登場しないが、その両方でも猿を捕らえるための銃口が響き渡っている……。
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ランビワール
第38巻に登場。
東南アジアの小国。慈愛に満ちた軍人・カオスァイ中佐の尽力により20年間続いていた内戦が停戦したが、国力を使い果たし、多数の怪我人も出ている。
中でも「キリング・ヒル」と呼ばれる場所には多数の重症患者がいた。
更に同じ軍人であるはずのチャマペット長官はそんなカオスァイに自らの立場を脅かされることを恐れている。
また内乱の名残のため、あらゆる場所に地雷が仕掛けられている。
「停戦=平和」というわけではないことを示す危険な国と言えるだろう。
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しかし戦乱に疲れた兵士達にとって、カオスァイの愛に満ちた言動は救いであった。
医者志望であった彼は来る日も来る日も怪我人を治し続け、やがて内乱を終わらせた。
そしてその功績のお陰で自分達だけでなく仲間をも救い、国王から国民栄誉賞を授与されるが、カオスァイは「本当の英雄」を知っていた。
そして、そんなカオスァイはその英雄=Kにある恩返しをすることとなる。
前述の通り地雷が埋まっている危険な国だが、実際にそれを踏んでしまい果てた人間が出てくる。
それはなんと今回の敵役のチャマペット。
彼は往生際悪くカオスァイの排除を狙おうと一時撤退するものの、その直後に地雷を踏んで爆死。
そのスピード感あふれる雑な処理方法や「本来なら主人公ら善玉を追い詰めるような悪辣な兵器なのに、よりによって悪役が引っかかって死ぬ」という展開に、電子化でKシリーズを知ったファンからの注目が集まった。
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タバレアス国
第43巻に登場。中米に位置する国。
今までの架空国と違い施設は立派だが、麻薬が国民を蝕んでいる。
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その麻薬は元々は人々を救うための純粋な薬品であったが、国家の陰謀により、一度吸うと行き着くとこまで行ってしまう「ZZZ(トリプルゼット)」なる恐ろしい薬物となっていた。
ZZZを意図せず作り上げてしまったベリアードは、麻薬捜査官のジョーンズの手引もあり無事アメリカに亡命、そこで証言し罪を償うことになる。
将来的にはタバレアスに巣食う麻薬も撲滅されるだろう。
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この国を持って『スーパードクターK』の架空国は最後。
続編『DoctorK』でも海外を飛び回るが、アメリカ、イタリア、スペイン、ドイツ、南極といった実在する国や大陸ばかりであった。(一応、架空の地域はいくつか出てくるが)
R国
『K2』第25巻にて登場した、久しぶりの架空国。
南米アマゾンに位置する国であり、そこの住民はマラリアに罹ることも多い。
さしたる医療技術もない彼らだがそれでもマラリアを恐れている節はなく、その理由は皆が定期的に飲んでいるお茶「ボロロネ」にあった。
一也の親友でもある香田が持ち帰ったそれは、なるほど日本人にも効果は抜群であったが……。
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マラリアの特効薬として期待されたボロロネだったが、その原料となる植物は絶滅の危機に瀕していた。
そのためR国から直々にFAXが届き、持ち出しを禁じられてしまう。
気落ちする香田であったが、一也の励ましにより地球上にはまだまだ隠された植物=特効薬があることが判っただけで良しとし、再びプラントハンティングに出かけていった。
動植物の持ち出しに関する話は比較的デリケートになりやすいことと、マラリアの特効薬はあったら革命的すぎるためか、物語の最後に「ボロロネはあくまで架空の植物である」という注釈が入る。
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ティガワール王国
『K2』第37巻から登場。なにげに珍しい架空国の長編である。
一也に渡した子供向けの本が出ているほどで、比較的著名である。
人口1500万人だが特に資源などはなく情勢も安定していなかったが、シンガポールをロールモデルに観光大国となった。
だがそれはかつての国の有り様が影を潜めるほどの急激な変化だったらしい。
放浪中の一也がTETSUに拾われて、ティガワール王家が住まう屋敷に向かうという話の流れなので、この国に訪れるわけではない。
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ネタバレ |
現国王・ギエムの跡継ぎの命が狙われるという事件が発生。その時は医師団の措置により事なきを得たが、国内は危険ということで訪日が決まる。
しかしルアン王妃は子宮頸がん合併妊娠という極めて危険な状態でありながら「出産の際にはいかなる時も人為的な手を加えてはならない」というしきたりのせいで治療を拒否している。
そんな状況の中、ドクターTETSUは秘密裏に世継ぎの暗殺を依頼されるのだが……。
今までの架空国とは違って「早急な国の移り変わりに対し今までのしきたりを優先する国民達」という極めて現実的な悪役が登場する。往生際の悪さはトップクラスだが
そんな国家の陰謀を前にTETSUと一也がどう動いたかは、ぜひ実際に読んで確かめていただきたい。
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追記・修正は情勢不安定な架空国にてお願いします。
- 本編見やすいように(初)登場巻数とか記載した方がいいか……? -- 名無しさん (2024-04-01 23:19:13)
- ニューセルゲイは人口300万人と真田が言ってるから6分の1があの回で亡くなったのか -- 名無しさん (2024-04-05 19:41:42)
- ティガワール編はその前の命の番人編と同じく「最新医療を施す事は宗教的に正しいのか?」がテーマで、どうしようもねぇ極悪テロリストだった命の番人の主張も、伝統という形で未だ残っている国もあるとすることで、一也の放浪を締めくくる回になってると思う -- 名無しさん (2024-04-18 18:39:57)
- K2に出てくるC国って、ビクシパールのこと? -- 名無しさん (2025-08-09 19:04:29)
- ↑続き。どちらも「東南アジアの宝石」って呼ばれてるし。そうだとしたら悲しい…。 -- 名無しさん (2025-08-09 19:06:24)
- Kの寺沢病院への入院回ではいろいろな国からKへの見舞品が届いていてたな -- 名無しさん (2025-08-24 23:36:17)
- 今頃はブロール国王も40歳ぐらいか。きっと立派な王様になってるんだろうな -- 名無しさん (2025-09-02 11:28:57)
最終更新:2025年09月02日 11:28