セイバートゥース(X-MEN)

登録日:2024/04/02 Mon 13:13:19
更新日:2024/04/03 Wed 18:09:12
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セイバートゥース(SabreTooth)とは、米国MARVEL社のヒーローコミックス『X-MEN』関連誌を中心に登場してくることの多いスーパーヴィラン。
本名はビクター・クリード

『X-MEN』の主人公の一人であるウルヴァリン最大・最凶のライバルとして知られる。

初登場は1977年の『IronFist』誌。
ここから暫くは様々なヒーロー相手のやられ役として登場するばかりで本格的な定着はしなかったものの、1986年に『Uncanny X-MEN』誌で展開された「ミュータントマサカー」事件にて人気を得ると、本格的にウルヴァリン、及びX-MENの宿敵としての地位を確立すると共に強さと設定も見直されていった。

高名な女性ヴィランのミスティークとは元夫婦だが、ミスティークはその当時は全く別の容姿の死亡した女スパイの姿に化けていたので、後に事実を知ったにせよクリードが結婚当時にその事実に気づいていたかは不明。

二人の間に生まれたグレイドン・クリードはただの人間であったが、それ故(両親に育てられることなく捨てられた)に病的な反ミュータント主義者となりセイバートゥースとも敵対した。


【人物】

MARVEL世界でも“最高の殺し屋”と称えられることもある自他ともに認める危険な精神異常者であり、自身が狂っていることを自覚しながらも、身を焦がすような殺人衝動を満たすべく殺し屋をやっているという超々危険人物。

実写映画版のイメージもあってか、一見すると粗野な暴れん坊に見られがちなのだが、実際には(本人が覚えているのか開示されている情報が真実なのかも定かではないが)長年に渡り諜報活動に携わってきた一流のエージェントでもあり、決して低脳でも無ければ単純な力押しを好むような直情径行の持ち主でもない。

……寧ろ、戦闘能力がバカ高い狡猾なサイコパスと呼んだ方が正確であり、一匹狼的な傾向が強いのもセイバートゥースの複雑なパーソナリティを理解できる相手が少ないからのようである。*1

その正体は、過去の大戦を発端とする超人兵士誕生計画の一つである“ウェポンX”計画の被検体の一人。
同じく同計画の産物であるローガンことウルヴァリンとは、両者ともに記憶がハッキリしていないものの被験体となる以前からのエージェント仲間でもあり、つまりは何処までも因縁の付きまとう関係にある。
同じく大戦中のエージェント仲間であり、同じく超人兵士として改造されながらも改造の方向性の違いからかハッキリとした記憶を残すマーヴェリック(クリストフ・ノード)はオメガレッドの復活に関わる任務にてウルヴァリンとは味方で、クリードとは敵として出会ったが、両者ともに当時の記憶を無くしていることを複雑な思いを抱えつつ見つめていた。

Mr.シニスターに率いられた殺人集団“マローダーズ”の一員というイメージが強いが、これも殺しの腕を見込まれてプロとして雇われていただけの関係である。

クリードは、本来は極めて理性的で頭脳も明晰な男なのだが、同時に成長過程での両親からの虐待*2に起因するトラウマに関わる精神疾患を抱えた不安要素を抱える人物でもあり、前述のマーヴェリックの回想によれば過去の任務中にクリードの突発的な暴走により任務に失敗したらしいことが示唆されている。
現在では更に“ウェポンX”計画に於ける実験の過程でウルヴァリン同様に本来の記憶を歪められたり、全く別の記憶を植え付けられたりしたことで更に精神が不安定となってしまっている。

クリードは根源的な殺人衝動を抱えているが、慾望の赴くままに暴れ続ければ身の破滅が訪れることは自身でもよく理解しており、そんな状態ではビジネスにならないので、個人的な私設秘書としてテレパスのバーディー*3を雇い入れて彼女に精神の安定をさせていた。

こうして、何とか自我を保ちつつ殺し屋稼業をしたりウルヴィーにちょっかいかけてたクリードだったのだが、ある時に敵対勢力(というか、自身の呪われた出生を憎む実子グレイドン・クリード)との戦いの中でバーディーが殺されてしまうことに。
……自らが完全に狂ってしまうことを恐れたクリードは、何と自らX-MENに登降してプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの治療を受けることを望んだ程だった。

そのように、己が狂っていることは自覚しつつもプロフェッショナルとしての矜持は守ろうとしているクリードことセイバートゥースだが、ウルヴァリンのことだけは別で、彼の誕生日になると何処からともなく現れては彼のその時に大切にしている存在を奪っていったという。
ただし、最初にクリードが10代当時のウルヴァリンことローガンより“奪った”のは恋人のシルバーフォックスだったが、後に彼女は生存していた上にウルヴァリンやクリードと同じく超人兵士であったことが明らかになった上に、当時(その記憶の中で)のクリードとローガンの関係は一方的に息子に虐待を加える親子……という、有り得ないような設定だった。
……なので、上述の“誕生日の度に現れた”というオカルトめいた思い出自体も捏造・嘘の記憶の可能性が高いと思われる。(……なのだが、それに現実的な記憶や敵対意識が綯い交ぜになってしまっているので、結局は二人が余計に争い続ける理由になってることには変わりがない。)
尚、クリードがウルヴァリンを「坊主」と呼ぶのは、この記憶が原因と考えられている。

前述のように治療の為にX-MENに身を寄せて以降は、以前のような“邪悪なだけのヴィラン”として描写されることが少なくなっていった。

身を寄せてから間もなくしてXマンションが機械生命体ファランクスに占拠された時には、X-MENから離れていたことで入れ替わりに巻き込まれなかったバンシー(ショーン・キャシディ)に協力する形で、同じく患者であったエマ・フロストと共にX-MENでもないのに事件解決に尽力。(しかも、途中で爆弾付きの拘束具から抜け出して自由の身になったのに最終決戦にて駆け付けるという粋な自己演出を披露。…挙げ句にはその後で拘束具付きで戻っている。)

その後、Xマンションへと戻ってきたウルヴァリンとは殺し合うも敗れ、止めを刺されようかという直前に宇宙が崩壊。
歴史改編された『エイジ・オブ・アポカリプス(AOA)』では、世界崩壊前の最初の戦いこそアポカリプスに雇われていたのだが、この戦いにて捕らえられた後にアポカリプスに見捨てられると、自分を助けてくれたX-MEN側に加担し、何と損得感情無しで正義のために戦うという、パラレルワールドにしてもまさかの姿を披露。じゃあなんでアポカリプスに雇われてたんだアンタ。

ウルヴァリンとは仲が悪いままのようだが、こっちの世界ではウルヴァリンが恋人(●●)のジーンの処遇を巡ってマグ様に反発して途中で出て行ったためか、他のメンバーとはトラブルも起こさずに問題なく正史世界でのウルヴァリンポジで活躍していた。*4
このAOA版のクリードさんは相棒としてワイルドチャイルドなる、能力が似ている若者ミュータント*5をペットのように連れている他、忘れてならないのが正史世界では前述のファランクス事件にて解決に貢献するも呆気なく命を落とした少女ミュータントのブリンクことクラリス・ファーガソンに命の恩人として慕われるどころか明らかに異性として想いを寄せられているという、羨まけしからん関係なのがよく話題に上がる。

命の恩人のオッサンにティーンな美少女が恋をする……という、寧ろ日本のマンガ文化的な定番の萌えポイントを持ってくるとは……。
単に正史世界でのウルヴィー&ジュビリーorキティの関係を反映しただけなのかも知れないが、AOA版のブリンクがその二人よりも圧倒的にセクシーで可愛かったのである。

遂には、余りにもAOA版ブリンクの人気が高すぎて名残惜しまれ続けた結果、正史世界にて再登場。
更に後には、実は生きてた設定で正史世界のブリンクがAOA版に近いキャラクターに改変されて復活している。

さて、AOA世界が並行世界の自分達の力で消滅すると、ウルヴァリンに敗れて脳を爪で刺し貫かれる所から再スタート
……これによって植物人間状態となったのだが、超回復能力はこの状態からでもクリードを復活させることに。
この眠っていた期間にはXフォースの一員であるブーマーが大人しく眠っていた(と思われていた)クリードの面倒を見ていたのだが、目覚めると共にブーマーを殺害しようとする。
結局、これはサイロックに邪魔されたのだが、そのサイロックを血祭りに上げて復活。
ウルヴァリンをはじめ、怒りのX-MENに捕らえられる。

その後、罪を償うという名目もあってかヴァレリー・クーパーが率いる政府公認チームとして活動していた頃のX-FACTORへ所属するが逃亡。

その後は再びフリーランスに戻ったり、気まぐれだったり嫌々ながらX-MENと共闘したりしていたものの、最終的には超回復能力を封じる“ムラサマ”を用いたウルヴァリンに首を切り落とされて今度こそ死んだ……と思われていた。
しかし、実はクローンでした設定で本物が復活。

しかし、その後にレッドスカルがチャールズ・エグゼビアの脳細胞を移植し、オンスロートの力を得て引き起こした正義と悪が反転した「AXIS」事件が発生。
事件の解決と共に他のヒーローとヴィランが元に戻る中で、クリードのみは元に戻れずにヒーロー・セイバートゥースが正史世界にて誕生してしまった


【能力】

“ウェポンX”による被験体ということもあってか、ウルヴァリンと同じく超回復能力(ヒーリングファクター)と超人的な五感がミュータント能力。
後には、ウルヴァリン同様に驚異的な身体能力も発揮している。
ウルヴァリンとは互角の戦闘能力の持ち主で、体格的には圧倒的に上回っている。
アダマンチウムの爪と骨格は持っていないが、アポカリプスにウルヴァリン共々に捕まって“デス”の座を競わされた時には、アポカリプスの技術によりアダマンチウムの爪と骨格を持たされていたが、ウルヴァリンに敗れて剥奪された。

……上記の特徴はウェポンX”の被験体としての特徴であり、クリードが元よりそうしたミュータントパワー(超回復能力)を持っていたのかは不明。




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最終更新:2024年04月03日 18:09

*1 MARVELとDCコミックスの世界が融合した“アマルガム”ではバットマンとウルヴァリンが合体した“ダーククロー”の宿敵として、ジョーカーと合体した“ハイエナ”となっているが、その意味でもピッタリの人選だったと言える。

*2 ミュータント撲滅主義者の両親の下に生まれてしまい、鎖に繋がれて獣のように育てられるも脱出出来る程に成長した後に両親を殺害して自由の身に。

*3 CAPCOM製格闘ゲームにて必殺技や超必殺技でマシンガン撃ってた彼女である。

*4 …実は、正史世界でもウルヴァリンが居なければ悪の道に進んでいない可能性が微レ存……?

*5 正史世界ではカナダ政府直属のヒーローチーム・アルファフライトの二軍メンバー