留守番を押しつけられた人(ドラえもん)

登録日:2024/06/02 (日) 21:10:47
更新日:2025/04/15 Tue 20:53:28
所要時間:約 2 分で読めます




「留守番を押しつけられた人」とは、藤子・F・不二雄の漫画「ドラえもん」のエピソードのひとつ「さいなんくんれん機」に登場するゲストキャラクター。
登場エピソードは「ドラえもん好きなら誰もが知っている有名なもの」という訳でもない。
おまけに彼の出番は1話のみであり本名も設定されていない…が『引くえもん*1』では便宜上"「災難訓練機」の被害にあったお客さん"という名前で掲載されていた。

しかし、そのエピソードは彼を中心に話が進むことと、おそらく「ドラえもん」史上で1、2を争う気の毒な扱いであったことから彼のことを覚えている読者も多いのではないだろうか。
以下、彼のことは「お客」と表記させていただく。

【概要】

外見は、小さな山が2つ並んだような髪型と、鼻の下に生えている、パックマンが下に向かって口を開けたような形の黒いヒゲが特徴の恰幅のいい中年男性。
のび太の両親、もしくはどちらかの知人だが、詳しい関係は不明。作中ではママに会いに来たようだが、それが災難の始まりとなる。

【発端と顛末】

ママから留守番を頼まれたドラえもんとのび太が、退屈しのぎにと、ひみつ道具「さいなんくんれん機」を使用したのがことの発端。
これでスリルを味わって遊ぶことにした2人だが、操作が適当すぎたせいでいつまで待っても何も起こらず、待ちくたびれたのび太は留守番を放り出して遊びに行こうとし、ドラえもんはそんなのび太を引き留めようと後を追う。……機械のスイッチを入れっぱなしにして。
そこへお客が尋ねて来るが、玄関でお客と顔を合わせたドラえもんは、あろうことかお客に留守番を押しつけてのび太を追って行ってしまう。

状況が呑み込めないながらも家に入ったお客は2階に迷い込むが、運の悪いことにその時になって機械が作動したため、短時間のうちに5つの災害全てを体感する羽目になってしまう。
最終的には、そんな目に遭っても(泣きながら逃げ帰ろうとしたところを戻ってきたドラえもんとのび太に引き留められたからとはいえ)ママが帰宅するのを待っていてくれるのだが、その待っている間にとった行動は、留守中に機械が作動していたことを知らないドラえもんとのび太を非常に困惑させることとなった。

【アニメ版】

原作通りのタイトルで帯番組時代にアニメ化された。
内容にも大きな変更は無いが、終盤に「ドラえもんが洪水(の幻覚)の中を泳いでいって機械を止める」というシーンが追加され、原作ラストののび太の台詞は(事情を知らないママからすれば)お客に無礼な対応をしていることを叱るママに反論する形で言っている。


【さいなんくんれん機】

漢字で書けば『災難訓練機』。
その名の通り、さいなん(災害)に備えて慌てないよう訓練するための物である。
地震、雷、火事、洪水、台風の5つの中から災害の種類、発生する時間、場所を選ぶとそれをリアルに体感することができる。
指定された範囲内にいる人だけが感じる幻覚なので、範囲外では何も起こらず、体感している人も怪我などの心配はない。
噴火がセットされていないのは、山が近くにない場合を考慮したからだろうか。

長細い本体の一端に、災害を選択するためのダイヤルが付いており、逆の端にはアンテナが1本立っている形状。
ダイヤルに向かって左側の側面には二つの小さな、右側面委はやや大きめのツマミが一つ付いている。
恐らく、これらで発生する時間や場所(効果範囲?)を指定するものと思われる。
また、作中のドラえもんの発言から、タイマーは1年以上のスパンでセットできるようだ。
ただし、一度セットすると、いつ発生するかをあとから確認することは不可能
“災害は忘れたころにやってくる”ものなので、外部から見えないのも理に適っているといえばそうなのだが…。

なお、アニメで登場した際には「ふぶき(吹雪)」も追加された計6種類になっていた。


◇以降のエピソードでの登場

『気まぐれカレンダー*2の話では、『地球最後の日』を作り出すために使用された。
ドラ曰く「地球は太陽にひきよせられ、吸いこまれてしまうのだ!!外をみろ!!太陽がぐんぐん近づいてきてるぞ!!」
とのことだが、そんな災害を訓練してどうしようというのか…。
まあ、ドラえもんのセリフはただのハッタリで、いくつかの災害を組み合わせてそのように見せかけていただけ(太陽も別に近づいてはいない)の可能性も否定はしきれないが。
なお、アニメ版の『気まぐれカレンダー』のエピソードで登場した際には、『災害体験シミュレーター』の名称で登場。

また、『みえないボディガード』*3の話では、しずかちゃんの警護を行う『かげながら』の性能を確かめるために、災難訓練機を使用。
実施したのは地震と火事のみだったが、そのいずれに対しても『かげながら』は完璧な対応を見せるのであった。
ある意味では、正しい使用方法と言えるか。
まあ、いきなり災害が起きた挙句、勝手に連れ出されたり、放水を浴びてしまったしずちゃんはいい迷惑だが…。

その他、『のび太の宇宙開拓史』(大山版)では、『大型災難訓練機』という(恐らく)バリエーション機が登場。


追記、修正は知人宅で留守番をしていたらひどい目にあった方がお願いします。

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最終更新:2025年04月15日 20:53

*1 『100年ドラえもん』の購入特典である索引。てんとう虫コミックス版『ドラえもん』に登場するありとあらゆる事項が網羅されている。

*2 てんとう虫コミックス 第41巻に収録

*3 同じく、てんとう虫コミックス 第41巻に収録