登録日:2024/08/28 (水曜日) 23:59:00
更新日:2025/01/25 Sat 08:10:29
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俺が天下を獲ったなら
あいつらみんな消えてもらう
KUBI
首
どいつもこいつも、狂ってやがる。
『
首』とは、
北野武の小説作品。
本項では北野自らが主演・監督を務めた同作の実写映画についても解説する。
概要
北野武が構想に30年を費やしたとされる戦国スペクタクル作品。
本能寺の変を主題に置き、信長を殺したのは誰がどういった経緯だったのかを独自に描くと共に、侍・忍・芸人・農民など多様な身分の人物がそれぞれの思惑で動くのが特徴的である。
小説刊行後、2021年に映画製作が発表された。
途中世界的なコロナの流行により製作が滞ったが、最終的には2023年秋に公開された。
ただ当初から脚本が大幅に変わったようで、俳優の加瀬亮は「当初と全然内容が違う」と発言していた。
公開された2023年は同じ戦国時代を題材とした作品として、
NHK大河ドラマで『どうする家康』が、同年1月には木村拓哉と綾瀬はるかを主演に迎え、織田信長と濃姫を題材にした東映製作の映画『LEGEND&BUTTERFLY』も公開されている。
そのためか北野はインタビューで「大河ドラマのように
戦国武将を夢に燃える理想家のように格好よく描く風潮がイヤでたまらなかった」「成り上がりや天下をとるということの裏にある人間関係や恨みを描きたかった」と語っており、戦国時代のリアルを北野式に解釈した作品といえよう。
また本作映画はR-15指定作品で、作中では容赦の無い出血描写や男色的要素が演出されている。
そのため、本作はカンヌ国際映画祭のLGBTQ映画部門である「クィア・パルム」にてノミネートされた。
あらすじ
時は戦国時代。
天下統一を目指す織田信長は毛利軍や武田軍を相手に戦を続けるが、ある時配下の荒木村重が叛逆を起こし行方不明となってしまう。
激怒した信長は家臣らに「跡目が欲しければ手柄を立てろ」と豪語すると共に村重の身柄確保を急がせる。
秀吉は千利休を通じて曽呂利新左衛門に捜索を依頼するが、村重の身柄は光秀の元へと渡り、代わりに信長が息子へ宛てた密書を渡される。
そこに書かれていた事実を知った秀吉は激怒すると共に一計を案じ、同じく跡取りを画策する光秀・家康らを謀略に巻き込み、やがて本能寺の変へと繋がる事態へ陥らせる。
登場人物
本項では映画作品を基準に記載する。
演:北野武
本作の主人公。
世に知られる"豊臣"姓の前の段階で、作中時点では未だ信長の一家臣という立場にいる。
謀略家としての才能を買われて毛利攻めを指揮するが存外に苦戦しており、事あるたびに信長からの叱責を恐れていた。
一方の信長からは前述の知恵を評価される一方で、目の前に餌をチラつかせておけば直ぐに食いつく侍もどきと見做されており、息子へ宛てられた密書でも光秀と家康と異なり軽んじられている。
しかし本人の出世欲はその二名より遥かに上を行き、政敵に頭を下げてでも信長の跡目を継ごうと強かな姿勢を見せている。
更に毛利城攻略ではエゲツない事で有名な兵糧攻めや水攻めを行い優勢に進めると共に、曽呂利ら抜け忍を上手く使って光秀の信長叛逆の意志を固めていた。
一方でやはり侍出身者ではないせいか、芸術関連や男色家などの面で倒錯的な所が一切無く、弟の秀長や参謀の黒田官兵衛とトリオでどこかコミカルな会話を繰り広げるシーンが多い。
何処までも侍の感性を嫌い、ひたすらに出世欲を求めては謀略の限りを尽くす姿は茂助と似通る所がある。
本作の本能寺の変は、裏切った荒木村重と密書を手に入れた秀吉に後押しされた光秀が行ったものとして描かれ、漁夫の利を狙う形で秀吉が玉座を奪うという筋書きとなっていた。
一方で家康に対しては平服する振りを見せて、彼から天下人の機会があった時には譲る事を条件に暗殺者からの魔の手を救うなど、必要な時にはプライドを捨ててでも最大の利益を手にしようと努力した。
最後には光秀討伐のために中国大返しを行い合戦を行うが、大将首=侍が出世をするための条件には全く興味が無く、侍のしきたりや慣習を嫌うように「首なんかどうだっていいんだよ!」と首を蹴飛ばすシーンで終わりを迎える。
演:加瀬亮
「鬼畜」「パワハラ」「第六天魔王」「サディスト」「名古屋弁」大名。
当時最強の勢力を誇っていた大名で、部下をパワハラと権威で支配している横暴な男。
そのくせ知略知謀に長け、一大名からのし上がるに相応しい力と知恵を持っており、その実力と気性からこの世の者ではないとさえ言われていた。
生粋のサディストにして男色家で、偏執的な愛情表現をもって相手を支配する癖がある。
作中では荒木村重とはただならぬ仲であったと噂されていたが、その村重が謀反を行うと「皆殺しに決まっとるがや!」と叫んで彼以外の一族郎党を殺害する一方で彼は生きて連れてこいと命令したり、森蘭丸や弥助を抱いているシーンでは弥助の肩に嚙みついて「クソ野郎!」と言われている。
あれほど暴行を加え殺す寸前にまで至った光秀も、彼から
命乞い目的で放たれた偽の告白を耳にした途端に喜んでおり、根っからのドメスティックバイオレンス気質だったと思われる。
また独特な感性を持っており、小説版では弥助に暗闇で金粉を身体に塗らせ舞を躍らせる謎の芸術を披露。
諸大名から内心困惑されていた。
侍としての感性は持ち合わせているが「人間生まれた時から、全て遊びだわ!」と公言するほどにふざけている節もある。
作中では部下たちに跡目をチラつかせる事で共食い状態に陥らせていたが、端から息子を後継者として立てるつもりであり、親書が流出する失策を起こすまでは実際に光秀・秀吉・家康による苛烈な競争が起こっていた。
しかし腹の底を探られてしまった事で三者が水面下で共闘してしまい、秀吉によって光秀が良いように動かされると家康の暗殺失敗など自分の思うように動かなくなってしまう。
やはり本能寺の変によって光秀叛逆の憂い目に会ってしまい、小説版では直接死の描写は書かれないが死亡したと思われる。
映画版では森蘭丸を介錯したうえで弥助にもしようとするが、侍ではない外人には理解されず逆に首を撥ねられてしまう。
演:西島秀俊
信長に仕える家臣の一人。良くも悪くも実直で家臣からの信任が厚いが、真面目過ぎるせいで空気が読めず腹芸ができないなど短所も多い。
日頃から信長のパワハラを受けており、他家臣の前で「ハゲ」と罵られ、蹴飛ばされたり刀の切っ先を向けられるのは日常茶飯事となっている。
更に森蘭丸と弥助からも暴行を受けており、その双方から陰口を叩かれ見下されていた。
その酷い仕打ちから他の家臣に「信長様を恨んでいらっしゃるんじゃないですか」と言われているが、「すべて私への愛情の賜物で、この世の者ではないが故の行為なのです」と語る……が実際には腹に据えかねており、夜ごと領民を誘拐してきては信長や蘭丸と見立てて殺戮し鬱憤を晴らしていた。
荒木村重とは蜜月の仲で、彼からは通称の十兵衛と呼ばれ愛されている。
反逆の渦中で彼を幽閉する事になってからはその想いを一身に受け止めざるをえず、代わりに信長の機嫌取りなどでアドバイスを受けた。
史実通りに本能寺の変を起こすが、その直前に村重を用済みと判断し排除。
かつては愛した男ではあったが既に過去のものでしかなく、反逆には一定の理解こそしていたが対信長用の切り札以上の価値は存在しなかった。
ただし史実における荒木村重は本能寺の変の後も生存している事も考えると、『これ以上乱世と関わらずに生きてほしい』という光秀なりの最後の愛ともいえるかもしれない。
そして本能寺の変自体は信長討伐に成功するが、肝心の首を手に入れる事に失敗し諸侯の臣従を得られなかった。
そのうえ中国大返しにより軍勢を一気に戻した秀吉との決戦に敗れ、山中に敗走する最中で茂助に遭遇し小説版では殺害される。
映画版では重傷を負ったうえで茂助と相対し、侍大将になりたい夢を語る彼に自ら首を差し出すため自害した。
しかし直後の落ち武者狩りによって手柄が曖昧となったうえ、首は損壊が激しく誰からも光秀のものと認識されなかった。
そのうえ秀吉からは「首なんかいらねぇんだよ!」と蹴飛ばされ、死後も踏んだり蹴ったりと哀れな末路であった。
演:中村獅童
代々農民の一族だが、つまらない生活に飽き飽きとしており兼ねてから侍への出世に憧れていた男。
村を通りかかった秀吉の軍勢に参加し、友人の為三(演:津田寛治)が討ち取った侍の首を横取りした所を曽呂利に咎められ、以後彼に付き従う。
基本的には曽呂利の任務に付き従い、戦があれば秀吉の軍勢として参加し
虚飾も混ざった戦果を立ててきた。
無学で小物という性格で官兵衛らも使い捨てとして見做す程度だったが、曽呂利らには友誼を感じていたようだようで、彼が秀吉の元を去る時には電々太鼓をお守り代わりに渡している。
だがどこまで行っても倫理観の無い畜生同然で、見捨てた家族が死んでもすぐに立ち直り、戦乱に巻き込まれた農村に立ち寄っては
レイプを繰り返していた。曲りなりにも良い思いができた事で恩を感じるべき曽呂利に対しても、彼の抜きん出た出世には妬みを感じている。
信長の敵討ちを名目に光秀討伐へ向かう秀吉の麾下として戦に参加し、小説版では見事に光秀討伐に成功する。
だが直後に周囲に群がった落ち武者狩りによって自らも命を落とし、その首は検分に回され曽呂利に首を見つけられ哀れに思われた。
映画版では自害した光秀の首を取る事で手柄としようとするが、やはり落ち武者狩りの手に落ちる。
その際にかつて自分が殺した為三の幻影を見ており、少なからず負い目を感じていたように見えた。
首は検分に回され官兵衛によりその死を確認されている。
演:木村祐一
甲賀で修行をしていた忍者だったが脱走し、各地を転々とした後に千利休お抱えの密偵となった抜け忍。
本人は落語家を志しており、実際に噺は上手で客を取ったり秀吉を感心させたりしている。
また甲賀出身ということもあり忍としての腕前も達者で、密偵や暗殺者の看破などで権力者の助力を多数行っている。
自分の配下として丁次と半次、そして偶然知り合った茂助がおり、4人で道中を共にする事が多く、それなりの友情を育んでいた。
小説版と映画版で立ち位置や末路が大きく変わり、
小説版では家康を裏切り暗殺しようとして失敗した後、戦に辟易として秀吉の元からも離脱。戦後に再び彼の元へ現れると、一連の出来事を噺として纏めると共に、茂助の死を何とも思わない秀吉に憎しみめいた感情を露わにしていた。
映画版では家康こそ裏切らないが秀吉の元を無断で去り、その後千利休の茶室へ帰還する。しかし間宮無聊との問答の中で、事情を知りすぎたがために危険視され腹を刺され、仕返しに間宮の腹も突き刺すが相討ちという形で死亡する。
演:遠藤憲一
信長の家臣だったが反旗を翻した男。
叛逆した事で一族郎党皆殺しの憂い目に会うが自身だけは生き延び毛利領へ逃亡を図るも失敗、曽呂利らによって捕縛される。
その後千利休を通じて光秀の元へ譲渡され、以後彼の居城にて幽閉される身となる。
元々信長とは蜜月の仲だったようだが一方で待遇には不満を持ち、幼き頃から同じく蜜月の仲で遠縁の関係でもある光秀を「十兵衛」と呼んで親しむ。
幽閉後には信長の愛想を取るための相談役として用いられつつ、光秀に愛を語るなどかつての仲を取り戻そうとしていた。
小説版では関西弁で話すが、映画版ではべらんめえ口調である。
だが光秀にとってはただの反逆者で過去の男でしかなく、本能寺の変開始直前に用済みとなってしまい崖から木箱に入れられた状態で落とされ排除された。その後、死亡したかどうかは語られていないが、史実通りであるのなら生きている可能性が濃厚か。
演:東根作寿英/中村育二
織田家の重臣。信長から、長秀は"神妙面"、一益は"鬼面"と呼ばれている。両者とも信長を恐れて何も発言できなくなっている模様。なお、小説版では同じく織田重臣であった柴田勝家について出番こそないものの秀吉により多少は言及されているが、映画版では存在について一切触れられず、前田利家に至っては小説版・映画版のいずれにおいても影も形もない。
演:小林薫
信長に仕える家臣かつ同盟相手。史実では40歳前後であるが、映画版ではイメージ通りの白髪の老人として描写されている。
「狸」と呼ばれるほど腹の底が見えない男で、信長からは先ず排除しなければならない男として警戒されていた。
実際に好物の鯛に毒を盛って宴の最中に殺そうとしたり、光秀を通じて暗殺者を多数投入し排除を試みた。だがどれも上手くいかず、必ず家康自身の転機、本多忠勝や服部半蔵などの彼の家臣の活躍、さらに秀吉の支援によって難を逃れ、結局最後まで仕留める事は叶わなかった。
小説版では鯛の天麩羅に手を付けようとするたびに邪魔が入り苛立っていた他、映画版では遊女の斡旋に来た遣手婆を指名して醜女好きを強調した様子が描かれた。
演:岸部一徳
わび茶の完成形を作り上げた茶人。
本作では茶室を舞台に信長・光秀・家康・秀吉の勢力を巧みに操るフィクサーのような立場で、配下の間宮無聊(演:大竹まこと)や曽呂利新左衛門を駒にして情報収集などを行った。
当初は特定の勢力に肩入れする事なく茶室にて政争を見守っていたが、秀吉が優勢になるとみると彼に肩入れするようになった。
映画版では部下の間宮に曽呂利を殺すよう指示し、時勢を知る者の始末を徹底している。
演:大森南朋/浅野忠信
秀吉の弟と参謀役。
秀長は秀吉の権威を傘に着て部下に威張り散らかす「腰ぎんちゃく」だが、文字を読み書きできるうえ機転も効くため無能ではない。
秀吉の命令通りに動くため、秀吉から絶大な信頼を置かれているが、黒田官兵衛に「兄者が死んだら俺が大将だな」とこぼすなど、したたかな面を見せている。
官兵衛は秀吉が跡取りとなるために度々策を張り巡らせ、茂助の指揮や曽呂利の処理などを徹底した。
三人が揃うシーンではコントじみた掛け合いになるシーンが多く、本作きってのシュールな笑いを提供している。
演:仁科貴/堀部圭亮
秀吉の家臣…なのだが、秀吉にはこき使われ、秀吉の威を借りている秀長や黒田官兵衛には尊大な態度をとられいびられるなど、さんざんな目にあっている。そうして、二人は秀吉に叱責されるたび、互いに責任を擦り付けては口論になっているのだが、このシーンも作品内においてシュールな笑いを提供している。
しかし、史実では小六は秀吉の家臣の中では最古参で、主君の弟である秀長はまだしも、小六から見て後輩筋の官兵衛が彼に対して尊大な態度をとっていいはずは本来はない。また、忠家は秀吉の家臣ではなく宇喜多家の陣代(主君が出陣できないときの代わりの大将)なので、本来なら秀吉は彼に対して主君と同等の敬意を持っていなければならない。
演:寛一郎
信長の家臣その1。
信長の威光を傘に着た虎の威を狩る狐も同然で、家臣らを平然と馬鹿にする素振りを見せている。
命令があるとはいえ光秀に対して暴行を奮う姿さえあり、平時からそんなせいか秀吉などからは殺意を向けられていた。
映画版では地味で、素行の悪さは小説版で発揮されている。
演:副島淳
信長の家臣その2で、史実では元々ある宣教師が家来として日本に連れてきたとされるモザンビーク出身の黒人
こちらも虎の威を狩る狐で、信長の威光を傘に秀吉や光秀相手にも威張り散らしている。
命令とはいえその二人を投げ飛ばすなど乱暴な振る舞いが目立ち、映画版では「猿の癖に侍のふりをしている」と英語で馬鹿にしたファッキンジャップくらい分かるよ馬鹿野郎!。
また一方で宣教師に対しても「白いクソ坊主」と呼んでいて、肌色差別主義を隠そうともしていない。
小説では暗闇に光沢を塗りたくった身体で舞を踊る珍妙なシーンがあった。
秀吉と同じく侍文化や風習を理解しない人物として描かれており、刀も刃渡りの太いものを使用し、男色文化を嫌悪するような視線も送っている。
小説では、本能寺の変で光秀の軍勢に囲まれる中、果敢に軍勢に飛び込んでいくシーンが最後の姿となった。
だが映画版では、燃え盛る本能寺の中で信長から侍の誉として切腹を命じられた際に「黄色いクソ野郎!」と英語で罵倒し信長の首を撥ね、その首を持って何処かへ消え去った。
このように本作品では少なくとも"侍"という扱いを信長からは受けており、小説では地の文でその旨が記載されている。
演:アマレス兄弟
曽呂利新左エ門に仕える護衛。
小説ではチビとデカブツと称されており、真田の領地で出会ったと記述されている。情報漏洩防止のために雇い主から舌を引っこ抜かれており、それ故に喋る事ができない。
武芸は達者で茂助と共に戦場を渡り歩く実力がある一方、俗物らしく賭け事や酒に溺れる事も多かった。
最期は甲賀への反旗を翻したが失敗し殺害。映画版では落ち武者狩りの手にかかって死亡している。
演者は「
細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」の常連コンビで、2024年夏大会では本作出演の裏側というネタを披露している。
演:桐谷健太
本多正信に仕える忍者。
家康に多数差し向けられた暗殺の魔の手を悉く排除している。
演:中島広稀/坂東龍汰
信長の息子。
家臣らの前で不甲斐ない息子だと馬鹿にされる程度だが、信忠には裏で跡取りをさせる手筈で進めていた。
しかしその信忠は村重から「子守りは嫌です」と拒絶され、信雄は信長の敵討ちで秀吉が提供した財宝により指揮権をあっという間に剥奪されたため、言葉通りに無能だった可能性がある。
演:寺島進
甲賀五十三家の一派として仕える忍。
曽呂利新左衛門の兄貴分で、竹藪の中にある小さな村で同胞たちと暮らしていた。
信長の密書を曽呂利を介して秀吉に渡すが、一方で光秀からは間者として敵視され村を崩壊させられ、上司の多羅尾光源坊までも殺害される。
以後敵討ちとして虎視眈々と狙い続け、秀吉と光秀の交戦に乗じて本陣に乗り込むが寸での所で討ち損ない死亡する。
小説版では多羅尾四郎兵衛という名前で四肢欠損者などを纏めた傭兵集団の長として登場。家康側に就いた人間として曽呂利と対立するが、弓矢で頭部を射抜かれ死亡する。
演:ホーキング青山
信長が信忠に宛てた書状を「闇ルート」で入手し所持していた、甲賀の里に住む盲目のキリシタンで、甲賀の忍者組織の首領。般若の佐兵衛(=多羅尾四郎兵衛)の上司にあたる。白塗りの巨漢で、狐の面をつけた二人の女性の従者を常に横に従えている。登場からほどなくして、光秀の手勢によって、従者二人もろとも惨殺される。
演:荒川良々
毛利家に仕え高松城の守護を任された武将。
秀吉の軍勢を阻み毛利攻めを難航させたが、水攻めによる被害が甚大となり劣勢に陥っていた。
だが秀吉側は本能寺の変が発生した事で毛利攻めどころではなくなり、後顧の憂いを断つべく安国寺恵瓊(演:六平直政)を介して和睦の交渉をする。
交渉の結果、多数の領地と清水宗治に詰め腹を切らせる事で双方合意が取れたため、清水は戦の責任を取るために自ら切腹を行った。
実は安国寺恵瓊という坊主は外交僧として毛利に仕える身でありながら親信長派で、つまりは裏切り者の生臭坊主だった。
裏で黒田官兵衛と密通してした安国寺は、自らの保身と引き換えに領地提供と清水宗治の切腹という提案を飲み、徹底抗戦をするフリをして真面目な清水に切腹をさせようとしていたのだった。
映画では清水と泣きながら抱き合うシーンで、彼に見られない角度で舌を出して清水を馬鹿にする顔を数度しており、見ていた曽呂利からも呆れられている。
これを知らない清水は生真面目さから水没しかけた高松城付近に小舟で繰り出し、船上で礼に則った儀式を行い始める。
酒と肴を食べ、舞を踊り、複数の膳を準通りに口にし、辞世の句を詠み、介錯人と共に刀を出し切腹の手筈を整える。
この冗長な進行に秀吉からは「さっさと死ねよ!」と苛立ち混じりに言われており、ようやく腹に刃先を入れた段階で撤収の準備を始めていた。
清水は腹を水平に切り裂いた時に儀式を見てない秀吉たちに気付き「え?」と声を出したが、その瞬間に介錯人に首を斬られ絶命した。
演:柴田理恵
マツという名前の遊女屋の監督者。
高天神城に居を構えた家康の元へ遊女を派遣するが、醜女が好みだった家康により直々に指名されてしまう。
想定外だったとはいえ身を整えて寝室へ向かい家康を暗殺しようとするが、曽呂利からくノ一の存在を事前に忠告されていた半蔵により拘束後、毒を飲んで自害した。
俺はな、追記・編集なんてどうでもいいんだよ!!
- 戦国版アウトレイジかと思って観たら結構コメディ寄りで驚いた -- 名無しさん (2024-08-29 01:37:04)
- 森谷司郎監督作の方かと思った -- 名無しさん (2024-08-29 09:17:19)
- 説明だけ見ると裏で色々操る千利休とか信長を倒す弥助とか文字通り色々狂ってる…でもこれが北野さんって感じでなんか良い -- 名無しさん (2024-08-29 11:01:30)
- お、編集長じゃん! -- 名無しさん (2024-08-29 11:16:45)
- 登場人物のところに清水宗治の解説も入れて欲しい。小説版は読んでないから分からんけど映画だと秀吉から「さっさと◯ねよ!」って言われてたのが印象に残ってる。 -- 名無しさん (2024-08-29 12:06:40)
- 戦場の描写が割と独特だった。相手の足元に身体ごと転がってぶつかっての足払いからの組打ちとか初めて見た -- 名無しさん (2024-08-29 14:39:15)
- 最近何かと話題の弥助が結構なクズとして書いてあるのが面白い。上映時期被ってたら騒がれたかもな -- 名無しさん (2024-08-29 19:56:03)
- そういえば、たけしさんのニックネームって「殿」だっけ -- 名無しさん (2024-08-30 09:26:39)
- 最近の評価見直しや歴史の紐解きもあるけど、逆に不自然なくらい善人扱いされてた信長を、ちゃんと恐ろしく余人には理解し難い怪物として描いてくれてるとこ好き -- 名無しさん (2024-08-30 09:42:43)
- すげぇ映画だな… -- 名無しさん (2024-08-31 19:40:20)
- 村重の最期は史実を考えると、散々利用してきたケジメはつけつつも修羅の道を行く自分とは関わるなっていう不器用ながらも真面目な光秀なりの最期の愛だと思ってる -- 名無し (2024-09-01 10:25:29)
- どうも最近の大河ドラマの信長って美化されがちだから、こういう獣畜生な信長は新鮮に感じる -- 名無しさん (2024-09-01 12:16:17)
- 実際にこの通りだったかはさておき、数百年前の人間が現代的な価値観持ってるわけ無いだろという当たり前のことを思い出させてくれる映画 -- 名無しさん (2024-09-02 11:00:50)
- 当時の武士の感性を何にも知らない人に見せたら狂ってるだろといわれるのはそれはそうなるって話。もちろん知らない世界の常識を自分の常識で測ってはいけないのもまた真理だが。 -- 名無しさん (2024-09-02 11:49:22)
- 本当に絵が奇麗で映画館で感動してた。 安国寺恵瓊や清水宗治の振る舞いも歴史知ってるとあれか!ってなってより笑えるんだよね。 信忠/信雄欄の無能だった説だけど指揮権買い取られたのは史実でも無能寄りの信雄の方じゃないのかな。 -- 名無しさん (2024-09-03 11:04:40)
- 本当に首がポンポン翔ぶ -- 名無しさん (2024-10-24 14:33:04)
- 作中唯一活躍する女性が柴田理恵だけ。 -- 名無しさん (2024-10-24 15:29:05)
- 秀吉陣営の3人の会話シーン、時々ガチでお互いに笑いこらえてる所あるよね -- 名無しさん (2024-10-28 22:01:05)
- 信長は良くも悪く史実通りではないけど(史実だとどっちかと言うと真面目委員長タイプ)あの狂った感じが好き。なお村重はだいたい史実通り -- 名無しさん (2024-11-12 08:54:45)
- 今更だが“首(北野映画)”とかのが分かりやすい気が。 -- 名無しさん (2024-11-12 10:39:23)
- こういう時代劇待ってた。男色とグロとギャグがほどよく配合された万人受けしない名作。勝村政信さんの利三が脇役ながらも印象に残った。 -- 名無しさん (2024-12-02 20:21:46)
最終更新:2025年01月25日 08:10