登録日:2024/10/02 (水) 19:29:33
更新日:2025/06/19 Thu 14:26:18
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『X エックス(原題:X)』とは、2022年に公開された米映画。
あの漫画が映画化されてたの?と思ってこの項目を開いた方、この先はショッキングな内容が続きますのでお戻りください。
『
ヘレディタリー/継承』『
ミッドサマー』などで知られるインディペンデント映画スタジオのA24が製作・北米配給したホラー映画である。
日本ではハピネット・ファントム・スタジオ配給で2022年7月8日に公開された。
概要
本作の舞台は1979年のアメリカ・テキサス州の人里離れた農場。
そこに、ポルノ映画の撮影のために滞在することになった撮影スタッフ達が、農場の主人である老夫婦に次々と残虐に殺されていく。
いわゆる、名作ホラー映画『
悪魔のいけにえ』の系譜を継ぐ「田舎の殺人鬼もの」ジャンルの1作ではあるが、本作はさらに一捻りを加えている。
テーマとなるのは「セックス」と「老い」。
「若さ」を売りにしてセックスに興じることで夢を叶えようとする若者に羨望と嫉妬に満ちた眼差しを向ける老女。
彼女の夢への執念が凶行へと駆り立て、血みどろの惨劇へと発展していく。
そんな中で、老女に嫌悪感を抱く若い女優。彼女が老女に抱くのは自分の成れの果てへの危機感なのか?
そんな、奇妙な関係のヒロインと殺人鬼の老女を、『サスペリア(2018年版)』のミア・ゴスが二役で演じた。
セックスシンボルとして自負する若い女性と、若さに嫉妬する老女の合わせ鏡のような関係に、観客は何か気づくものがあるはずだ。
他には、『SCREAM/スクリーム(2022年版)』『
ウェンズデー』のジェナ・オルテガや『ピッチ・パーフェクト』シリーズのブリタニー・スノウが脇を固めている。
監督は『サクラメント 死の楽園』のタイ・ウェスト。本作で名前を一気に世に知らしめた。
本作は、最初から三部作の第1作(第2作の『
Pearl パール』、第3作の『MaXXXine マキシーン』)として製作されており、主演は全てミア・ゴスで統一されている。
ストーリー
1979年、テキサス州。
真夏の田舎村で、3組のカップルが人里離れた農場へと車を走らせていた。
彼らの目的は、巷で流行しているポルノ映画の撮影。
ポルノで一山当てるというアメリカンドリームを大成させるため、農場を舞台にした『農場の娘たち』のロケを敢行しようとしたのだ。
皆が欲望を剥き出しにしつつ濡れ場を演じる中、女優のマキシーンは農場を貸し出している老夫婦の奇妙な視線に気づく。
農場に響く嬌声と、彼らに向けられる偏執的な老女の視線。やがて一人、また一人とスタッフが姿を消していく。
惨劇の夜は、まだ始まったばかりなのだ……。
登場人物
演:ミア・ゴス/吹き替え:森千晃
本作の主人公。普段はストリッパーをしている若い女優。
濃い青のアイシャドウにそばかすの多い顔が特徴。
「私はセックスシンボル」を自負している自信満々な性格だが、追い詰められるとすぐコカインに手を出すなど、どこか精神的な余裕のなさがうかがえる。
ドラマ『ワンダーウーマン』のリンダ・カーターに憧れて女優になったが、ポルノ業界で足止めを食らっており、やがてスターになることを夢見ている。
農場の老女・パールに何か憧れのような目で見つめられ、嫌悪感を抱くが……。
演:ジェナ・オルテガ/吹き替え:中井美琴
録音係の女子大学生。
大人しくて気が弱く無口なため、マキシーンが苦手なタイプ。
どちらかというと、彼女の方がホラー映画における王道ヒロインのように見える。
彼氏のRJに誘われて『農場の娘たち』の撮影に参加したが、ポルノだと知り愕然。
それでも黙々と仕事に取り組みつつも、潔癖症な性格ゆえにスタッフ達に嫌悪感を抱いていた。
しかし、次第に女優に憧れを抱き、自身で濡れ場を演じることになる。
行方不明になったRJを探すうちにハワードに誘われ、自宅の地下室に閉じ込められてしまう。
演:ブリタニー・スノウ/吹き替え:弘松芹香
『農場の娘たち』の主演のポルノ女優。
金髪にセクシーボディが売りの、いかにもなビッチタイプ。
性に奔放であり、喘ぎ声の演技が上手い、ポルノ業界が天職のような女性。
奥手なロレインを小馬鹿にする程度には性格が悪いが、一応立ち往生している老人には気を配れる程度の情はある。
演:マーティン・ヘンダーソン/吹き替え:遠藤大智
『農場の娘たち』のプロデューサーで、マキシーンの恋人。
ポルノ映画で一攫千金を狙っており、そのためにあらゆる努力も惜しまず、人使いも荒い。
マキシーンに「Xファクター(特別性)」を見出し、彼女をスターにすると約束してポルノ映画に抜擢する。
演:スコット・メスカディ/吹き替え:田所陽向
黒人のポルノ男優で、ボビー・リンの恋人。
シルエットだが、かなりの巨根持ち。
ベトナム戦争に2回出兵経験があり、何かとつけてそのことを自慢したがる。
演:オーウェン・キャンベル/吹き替え:赤坂柾之
『農場の娘たち』の監督で、ロレインの恋人。
映画監督を夢見ており、「ポルノを超えた映画」として芸術性を見出して仕事を引き受けた。
しかし、恋人のロレインが映画に出演し、途端に機嫌を悪くする。
演:スティーヴン・ユーア/吹き替え:小林操
農場の主人の老人。
偏屈で排他的な性格だが、妻には甘く、彼女のためなら何でもする。
果てには殺人の手伝いとその隠蔽も平然と行っている。
既に老いているため、心臓が悪く、妻とは行為を長いことしていない。
演:ミア・ゴス(二役)/吹き替え:宮沢きよこ
農場の老婦人にして本作の殺人鬼。
若い頃はマキシーンによく似た美女だったようだが、今となっては老いて枯れ果てた肉体を持つ哀れな女性。
農場に訪れた若者の「若さ」に嫉妬しては次々と殺害し、湖に遺棄してワニに遺体を食わせていた。
特に金髪の若い女を憎悪している。
マキシーンに何か「特別なもの」を感じ取り、彼女と自分を同一視するような行動を取るが……。
演:サイモン・プラスト
本作のテレビに登場する狂信的なキリスト教父。
マキシーンの父親であり、映画に憧れる娘を「悪魔に誑かされた」と断じ、彼女を糾弾。
結果、マキシーンは家を出ることになった。
余談
- タイトルの『X』には様々な意味がある。アメリカにおけるポルノ映画を意味する「Xレイティング」、マキシーンを指した「Xファクター(特別性)」、性的快感を意味する「エクスタシー」。
- 本作は、新型コロナウイルスのパンデミック中の2020年に製作され、アメリカがロックダウンされたためニュージーランドにてロケが行われた。
追記・修正は「特別性」を秘めた人がお願いします。
- 撮影クルー全員性格悪めだから月々やられてもストレス無しで見れる善人が死ぬのは映画でも辛いもん -- 名無しさん (2024-10-05 02:13:26)
最終更新:2025年06月19日 14:26