ウェンズデー(ドラマ)

登録日:2022/12/07 Wed 00:00:41
更新日:2023/01/18 Wed 22:31:38
所要時間:約 34 分で読めます






誰の思い付きか知らないけどどうかしてる。

思春期の子供達を何百人も資金不足の学校に入れるなんて。

しかも経営者はとっくに夢破れた奴ら。

まあサディスティックでいいけど。



概要


『ウェンズデー』(原題:Wednesday)は、2022年11月23日(水)よりNetflixにて独占配信されたドラマシリーズ。
様々なメディアで展開される世界的人気作『アダムス・ファミリー』の長女・ウェンズデーを主人公に据えたミステリー風ダークファンタジーで、ティーンとなった彼女の活躍が描かれる。
監督(第1話~第4話)・製作総指揮は、本作が初のドラマ作品となるティム・バートン
第5話・第6話はガンディア・モンテーロ、第7話・第8話はジェームズ・マーシャルが監督している。

これまでダークファンタジーやはみ出し者をテーマにしてきたバートンと、お化け一家の物語『アダムス・ファミリー』。
今まで手がけてこなかった事が不思議に思えるほどぴったりの組み合わせである。
事実、91年の映画版の時にオファーを受けたが、『バットマン リターンズ』の撮影のために断っていたといういきさつがあった。
そのため、企画の発案者である『ヤング・スーパーマン』のプロデューサー、マイルズ・ミラーとアルフレッド・ガフは、オファーしても再び断られるのではと考えていたという。
ところが2人の予想に反して、バートンは第1話の脚本を受け取ってから3日後、彼らに連絡をしてきた。
2人によると、彼はミステリーの謎の部分に関心を持ち、過去に手がけたテレビドラマについて、どのようにして作り上げたのかたくさん質問をしてたのだという。
さらにバートンは、映画と違いドラマなら短い尺で完結させる必要がなく、じっくりとキャラクターを掘り下げられる点を気に入っていた。
中でも主人公のウェンズデーには「彼女にはとても強い繋がりを感じるんだ。彼女の人生観、人間観、親や教師に対する考え方など、僕らはどれも共有している。だから、この作品にはとても共感できたし、何故かよりリアルに感じられたんだよ」と、深い共感を寄せる姿も見せていた。

こうして出来上がった本作は、近年の作品で見られがちだった「いい大人になっちゃって昔ほどの才気がないなぁ」という評価を覆すほどのバートン色たっぷりの快作に仕上がっている。
ネトフリのドラマという新たな舞台で、水を得た魚のように才気をほとばしらせるバートン。
どうやら恐ろしい巨大サーカスから脱出できたというのは事実だったようである。よかったね。
ミラー曰く、本作は「上映時間8時間のティム・バートン映画」。ファンにとっては大変贅沢な作りと言えるだろう。
評判も上々で、配信開始から1週間の総視聴時間で3億4120万時間を記録。ネトフリの英語シリーズ作品として、1週間における最多視聴時間の新記録を達成した

また本作は映画版、特に『アダムス・ファミリー2』へのオマージュもしっかり完備している。
カヌーレースに感謝祭やピルグリム*1への強烈な皮肉、“健全な”映画を観せられてゲンナリする場面などは、知っていればニヤリとなるはず。
他にも、学校の名前などエドガー・アラン・ポー作品由来の小ネタが盛りだくさんなので、調べたり読んだりしてみるのもいいだろう。

あらすじ


変わり者の一家、アダムス家の長女・ウェンズデー。
彼女は優等生でありながら、その独特の価値観や我の強さ故に行く先々でトラブルを起こし、5年間で8度もの転校を繰り返していた。
そんな彼女が送られた先は、両親の母校にしてのけ者達のための学園、ネヴァーモア学園・オフィーリア寮*2
しかし、彼女がそこに転校する前から周辺では、謎の怪物による殺人事件が相次ぎ始めていた。
さらにそれは、アダムス家にも深く関わるものらしいというのが明らかになってくる。
周囲を巻き込みながら謎解きに挑むウェンズデー。
そこから浮かび上がってきたのは、一族や学園、ジェリコの町との因縁の歴史であった。

用語


  • ネヴァーモア学園
ニュージャージー州にある、のけ者達のために設立された寄宿制の学園。
モーティシアとゴメズだけでなく、かのエドガー・アラン・ポーの母校でもある。
一口にのけ者といってもその対象は広く、超能力者はおろか、人外までもがひしめいているという、そっち方面のエリート校。
故に、普通の世界で変わり者扱いでも、こちらでは変わり者のハードルが高すぎて逆に平凡になってしまい、再びのけ者になってしまうという部分も描かれている。
校内では主にヴァンパイア牙族人狼毛皮族セイレーン鱗族ゴルゴン石族の4つの派閥がある。
イーニッド曰く、

牙族……何十年も在籍している生徒がいる。
毛皮族……バカの集まり。満月の夜に変身し、ノイズキャンセリングのイヤホンを持っていた方がいいほどうるさくなる。
鱗族……学園の女王蜂*3ポジションのビアンカが属する。
石族……かわいいけど、脳味噌が石。

名前の由来は、ポーの詩『大鴉』で繰り返し用いられる「Nevermore(もはやない)」というフレーズから。
バートンの監督デビュー作に当たる短編『ヴィンセント』でも使われていたので、そちらから知った人もいるかもしれない。

  • ジェリコ
ネヴァーモア学園の近隣にある田舎町で、徒歩25分圏内の距離にある。
生徒達がそこに行くには許可が必要で、週末にはバスが出ている。
学園との地域交流の日もあり、この日は学生達がボランティアにやって来る。
しかし、そこの住民の多くはのけ者である学生の事を快く思っておらず、露骨な差別意識をむき出しにする者も少なくない。
実際はこの学園がスポンサーとなり、公共事業費などこの町を支えているのだが。

  • ポー・カップ
125年の歴史を持つ、ネヴァーモア学園の伝統行事。
寮対抗のカヌーと陸上の混合レースで、クラックストーンの霊廟から旗を獲得し、“沈むことなく”ゴールする事が勝利条件。
……“沈むことなく”で察した人もいるかもしれないが、その展開はルール無用という過激さを持ち、破壊工作や殺人未遂などが当たり前に行われている。
この大会の参加に乗り気でなかったウェンズデーだが、ビアンカの策略で欠員を出したと知り、参加を決意。
途中、霊廟に辿り着いた時に幻視が発動し遅れてしまうも、他の舟を沈めて見事勝利。
オフィーリア寮にとってはモーティシアがリーダーだった時以来の優勝であり、ビアンカにフェンシングの時のリベンジを果たしたのであった。

ちなみに、カヌーや衣装デザインはポーの短編作品をテーマにする事になっている。
ウェンズデーやイーニッドのチームは『黒猫』、ビアンカのチームは『黄金虫』とメジャー所だが、
他チームは『落とし穴と振り子』や『アモンティラードの樽』と、なかなか渋いチョイスとなっている。
そして黒猫チームの衣装は『バットマン リターンズ』のキャットウーマンのセルフオマージュ。

  • レイヴン
ネヴァーモア学園のダンスパーティーで、「rave(音楽パーティー)」ならぬ「raven(大鴉)」。
ウェンズデーは殺人事件の犯人候補となったゼイヴィアを観察するために彼と参加しようとするが、秘密を嗅ぎ回りすぎた事で拒絶される。
その後何やかんやでタイラーと共に参加する事に。
他の生徒達も様々な事情を抱えながら参加しており、パーティーという舞台でそれぞれの人間模様は複雑に絡み合うのだった。

ここでウェンズデーが披露した一度見たら忘れられない奇妙なダンスは、演じたジェナ・オルテガ自ら振り付けたもので、本作でも屈指の人気シーン。
このシーンの撮影2日前、バートンとこんなやり取りがあったとか。
「ジェナ、自分で振り付けしたいって言ってたけど……君なら大丈夫だよね、信じてるよ♪」
「任せて♪(やっばい、チェロやフェンシングの練習が忙しくて何も準備してない……)」
そこで彼女は、英ロック歌手のスージー・スー、リサ・ローリング、80年代のゴス系のダンスを元に振り付けして乗り切ったという。
さらにこの時、彼女自身コロナに感染して体調最悪の状態で撮影に望んでいた事が明かされている。

  • ベラドンナ・クラブ
ネヴァーモア学園にある秘密クラブ。
ローワンへの幻視や、予言の絵に花の紋章の透かしが入っていた事がきっかけでその存在を知ったウェンズデーだったが、ソーンヒル曰く「何年も前に解散した」という。
しかし、ポーの像に紋章が入っているのを見たウェンズデーはそこに刻まれていた暗号を解き、拠点である秘密の図書館へ足を踏み入れる。
そこでローワンに切り取られた絵の出所であるベラドンナの会誌を見つけるが、何者かに捕らわれてしまう……
「像の前で指ならし2回」は、有名なテーマ曲のオマージュだろう。


  • ピルグリム・ワールド
ジェリコの名所の、開拓者をテーマにしたテーマパーク。
舞台設定はジェリコにピルグリムが入植した1625年*4
見所はクラックストーンにまつわる歴史的遺物が展示されている集会所、アメリカ初の性別不問トイレ、魔女裁判ショーなど。
地域交流の日にウェンズデーはクラックストーンの謎に迫るべく、イーニッドと職場を交換し潜入*5
ファッジ*6専門店で働く事になるが、彼女らしく白人入植者の犯した罪や欺瞞を語る宣伝で客を追い出していた。
一方でユージーンはファッジをドカ食いしており、いじめた連中にゲロをぶちまけていた
立ち入りを禁じられていた集会所にユージーンを利用して侵入した彼女は、クラックストーンの霊廟で幻視した少女の描かれた絵画を発見するのだった……

  • コブハムの森の集会所
ピルグリム・ワールドで発見した絵画に登場する集会所を探している時、タイラーに教えられた場所。
既に廃墟になっており、ホームレスやジャンキーのねぐらになっているため、かなり危険な場所。
そこで見た幻視は、自分の先祖とクラックストーンの因縁にまつわるものだった……

  • ジョセフ・クラックストーン
ローワンの母が描いた予言の絵の片方に描かれていたピルグリムの長。
その絵では学校の中庭に立っており、ウェンズデーと対峙するような構図になっている。
ジェリコの町の創設者で町民からはとても尊敬されているが、その実態は土地を奪い、異端や先住民を徹底的に迫害した典型的な侵略者。
その恐ろしさは、ウェンズデーが幻視で姿を見た時に初めて恐怖の感情を抱かせた程。
新たな銅像の落成式の時には復讐のため、像の立つ噴水の中にガソリンを混ぜて炎上させた。
皆が逃げ惑う中、ウェンズデーは不敵にチェロでヴィヴァルディの「四季~冬」を演奏するのであった……


  • グッディ・アダムス
ウェンズデーの幻視に度々警告するかのように現れる、アダムス家(父系)の先祖に当たる少女。
第一世代の開拓民のメキシコ人で、ベラドンナ・クラブの創設者。
先住民とも仲良く共存していたが、クラックストーン率いるピルグリム達が現れた事で魔女裁判にかけられ、火あぶりの刑に処される事に。
そこから脱した後、クラックストーンに復讐を果たしたが、強すぎる復讐心により身を滅ぼしたという。
果たして、「あなたが鍵となる」の言葉の真相とは?


  • ゲイツ家
ジェリコで絶大な権力を持っていた名家。
しかし、32年前の事件で長男のギャレットが殺されて以降、一家は崩壊の一途を辿っていった。
母は首吊り自殺、父アンセルは酒浸りで早死に、身寄りのなくなった妹ローレルは船で海外に送られる途中で溺死したという。
アンセルは学園の土地は200年前に先祖から盗まれたものと主張、のけ者達を激しく憎んでいた。


  • 怪物
ネヴァーモア学園やジェリコ周囲の森で出没する怪物。
犠牲者からは何故か体の一部が切除されており、そのため正体は人間ではないかと疑われている。


登場人物


【アダムス家】

  • ウェンズデー・アダムス
演:ジェナ・オルテガ / 日本語吹替:遠藤璃菜

ご存じ、お化け一家アダムス家の長女。
名前の由来はマザーグースの『水曜日に生まれた子は不幸』からだが、実際の生まれは13日の金曜日
文武両道の優等生ながらも、その性格は冷徹にして危険。口を開けば語彙力キレッキレの皮肉が飛び出し、何があっても決して折れたり媚びたりしない孤高の少女。
その分人間の感情に疎い所があり、周りを利用するかのような言動で傷つけたり、危険な目に遭わせたりする事も少なくない。
しかし、イーニッドと衝突した時は流石に少し落ち込んでいた他、ハンドが何者かに刺されて死にかけた時にはいつもの冷静さが嘘のように取り乱し、涙していた。
このように、学園生活を経て感情を見せる事が多くなっていくのは見所の一つ。
実際、周りからも何だかんだで認められており、サプライズの誕生パーティーを開いてもらえるほど。
もっとも、本人の性格が性格なのでうんざりしていたが……

色彩アレルギーを持つため、制服は黒とグレーの特注品*7相部屋のステンドグラスも「虹のゲロに耐えられない」と、半分色を剥いでしまった。
趣味は探偵小説『死の毒蛇(ヴァイパー・デラ・ムエルテ)』の執筆だが、アナログ派でタイプライターで書いている。
とはいえ、イーニッドにPCの使い方を教えてもらったりしている辺り、必ずしもテクノロジーに否定的というわけでもない模様。
チェロも得意で、第1話でローリング・ストーンズの「黒くぬれ!」を演奏する場面は必見。
運動神経も良いほうで、フェンシングや弓術・カヌーの操作もこなし、ケンカの際も複数の男子を一人で瞬殺するほど強い。
また、学園に来る2~3か月前から触れた対象の残酷な過去や未来が見える能力を持つようになったが、その発動は不安定で家族にも打ち明けていなかった。
曰く「電気ショック療法に似てるけど、あんな素敵な余韻がない」。
この能力を知った母は、強い幻視能力を持つ分正しく鍛えないと正気を失う事と、その訓練には先祖グッディの協力が必要である事を教えるのだった。
第1話での制服姿を始め、カヌーチームの服装やファッジ販売時の衣装など各エピソードで様々な姿を見せてくれる。ほとんどの場合、本人は嫌々着ているが……


  • ゴメズ・アダムス
演:ルイス・ガスマン、ルシアス・ホヨス(学生時代) / 日本語吹替:辻親八

ウェンズデーの父。
モーティシアとはいつもラブラブだが、娘からはウザがられている。
しかし、ドノバンによると実は殺人容疑をかけられた過去を持っているらしいが……?
なお、伊達男な映画版を知っていると「役者のイメージが違う!」となるかもしれないが、原作に近いのはこちらである。


  • モーティシア・アダムス
演:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、グウェン・ジョーンズ(学生時代) / 日本語吹替:深見梨加

アダムス家の女家長で、ウェンズデーの母。旧姓はフランプ。
学生時代はフェンシング部の部長、闇プロムの女王、霊媒協会の会長と様々な肩書を持ち、ポー・カップでは4度の優勝経験を持つ。
絶賛反抗期中の娘にどんなに毒づかれても動じず、母子の絆の印として「W(M)」のイニシャルの入ったお守りを渡す。
これに使われている黒曜石はアステカの僧侶が儀式に使ったもので、霊を呼び寄せる強い力を秘めるという……
また、娘と同じく幻視能力を持つが、見える内容は対照的にポジティブな内容なのだという*9


  • パグズリー・アダムス
演:アイザック・オルドネス / 日本語吹替:永竹功幸

ウェンズデーの弟。
ナンシー・レーガン高校にて、水球部の生徒から縛られた状態でロッカーに閉じ込められるといういじめを受けていた。
これを知ったウェンズデーは「私の弟をいじめてもいいのは私だけなの」と、プールにピラニアを放ち殺人未遂という、初っ端から強烈な報復をかました*10
ちなみに1人はタマを失いましたとさ
この事件によって、ウェンズデーはネヴァーモア学園に転校してくる事になる。そのせいで姉の水責めの拷問がなくなって寂しいらしい……
キンボットが置いておいた室内香のポプリをおやつだと思ってゴメズと食べたり、手投げ弾で魚釣りしたりと自由気まま。

  • フェスター・アダムス
演:フレッド・アーミセン / 日本語吹替:落合弘治

第7話で登場した、ウェンズデーの伯父。手から電流を流す力を持つ。
いつもは鉄面皮のウェンズデーも、再会した時は満面の笑みになるほど心を開いている。
ネヴァーモア学園には学力が足りなくて入学出来なかったが、弟のゴメズにはよく会いに行っていたという。
その生き方は自由人……というかかなりのアウトローで、ハンドと共に金庫破りをやったり、触法精神障害者の施設でロボトミー手術を受ける事にハマったりしてたらしい。
そして彼曰く「40年前にも怪物と遭遇した経験がある」という。

  • ハンド
演:ビクター・ドロバントゥ

両親からウェンズデーのお目付け役として送り込まれた「手」。
お気に入りはオレンジとベルガモットの香りのハンドローション。「ペット」と言われると怒る。
物陰からその様子をうかがっていたものの、その匂いで彼女にあっさり見つかり、事件の謎解きのために働かされる事に。
実際、映画版同様大変有能で、要所要所で大活躍する。
また、従来のハンドとは違いツギハギとなっており、バートンの趣味を感じさせるデザインとなっている。


【ネヴァーモア学園関係者】

  • イーニッド・シンクレア
演:エマ・マイヤーズ / 日本語吹替:天野心愛

ウェンズデーのルームメイトになった、毛皮族出身の少女。
アイスホッケーのシャークスのファンで、好きな映画は『ドラゴンへの道』。
カラフルなものが大好きで、様々なSNSを使いこなして学園の情報を発信するいわゆる陽キャ。自分を監視していたハンドと仲良くなったりもした。
しかし、毛皮族でありながら爪を長く伸ばす事しか出来ず、専門家からも一生変身出来ない可能性を宣告されたため、人知れずコンプレックスを抱えていた。
意外と怖がりな部分もあり、ウェンズデーが調査の過程で集めたグロ写真を見せられた時は失神したほど。
一方で、母親からは狼化のためのキャンプに行く事を押しつけられそうになっても、「いつ変身するかは自分で決める」と言い切る芯の強さも見せている。
このように、ウェンズデーと対照的な性格からお互い初見時の印象こそ最悪だったが、
  • 彼女の個性を認め、苦手なことは無理強いしない
  • 好みのカラーに合わせた誕生日プレゼントを贈る
  • ウェンズデーのわがままに振り回され、ケンカして部屋を去った後も彼女のことを気遣う
  • そして最後はウェンズデーの元に戻る
……など、とにかくいい子。


  • ビアンカ・バークレー
演:ジョイ・サンデー / 日本語吹替:高梁りつ

鱗族出身の「女王蜂」。
セイレーンらしく声で相手を操る能力を持ち、クラブ活動ではコーラス部に所属。
イーニッド曰く「最も高貴な方」だが、学期の初め頃にゼイヴィアに振られた事で没落しかけている。
それでも実力は高く、ウェンズデーからフェンシング勝負を挑まれた時は返り討ちにしている。
一方で、別れたゼイヴィアについては未だに未練がある様子。
レイヴンではよりを戻したかのように見えたが、結局ウェンズデーの件で再びケンカしてしまう。
そしてウェンズデーに、本当に誰かに好かれているのか分からない事や、ゼイヴィアを信じられなかった事への悩みを打ち明けるのだった……


  • ゼイヴィア・ソープ
演:パーシー・ハインズ・ホワイト / 日本語吹替:熊谷健太郎

ビアンカの元カレで、描いた絵を動かす能力を持つ。クラブ活動ではアーチェリー部に所属。
別れた理由は、操られる事に耐えられなくなったからだという。ビアンカ曰く「それは誤解」だというが……
幼い頃のウェンズデーを知っており、落ちてきたガーゴイル像が直撃しそうになった彼女を助けた。
助けた理由は、10歳の時祖母*11の葬式でかくれんぼをしていた所、祖母の棺に入ってあわや生きたまま火葬されそうになったのを救われた借りなのだという。
父親は有名な超能力者で、パグズリーも大ファン。
そのため彼女の幻視能力にも勘づいており、超能力は論理に根差してないとし「見えた事が全てじゃないから幻視は鵜呑みにするな」「正直、感情は君の長所じゃないだろ?」と忠告する。
が、首元にフェンシングのものと思えない傷跡があるのを見られた事を切っ掛けに、
アトリエに大量に怪物の絵があった事や、タイラーが負傷し助けに行こうとした絶妙なタイミングで現れたりした事で、連続殺人事件の容疑者として見なされていく。
怪物の絵を描いていた理由はその悪夢を頭の中から追い出そうとしていたためで、首筋に傷跡があったのも描いた怪物に襲われたためにできたものだというが……


  • ローワン・ラスロー
演:カラム・ロス

ビアンカにフェンシング勝負を挑んでいた男子学生。喘息持ち。
イーニッド曰く「陰キャのぼっち」で、ゼイヴィアのルームメイト。
のけ者の学園でものけ者になってしまった事を悩んでおり、似たようなタイプのウェンズデーに共感していた。
しかし感謝祭の日、ジェリコから脱出しようとしていたウェンズデーは彼が殺害される未来を幻視してしまう。


  • エイジャックス・ペトロポラス
演:ジョージー・ファーマー / 日本語吹替:野津山幸宏

石族出身の学生で、イーニッドが思いを寄せている。
見た相手を石にしてしまう能力のため、普段はニット帽を被っている。
その危険性から他者と関われない種族出身故に、奥手で鈍感な性格だが、イーニッドと共に「ユーライアズ・ヒープ」で働いた事により、初めてデートのお誘いを受ける。
ところがデートの前にシャワーを浴びた後、誤って鏡に映っていた自分の姿を見てしまい石化
おかげでデートをすっぽかす事となり、イーニッドは深いショックを受けるのだった……
この場面では各々の人間模様がシリアスに描かれているだけに、彼のうっかりが際立つ形になっている。


  • ユージーン・オティンガー
演:ムーサ・モスタファ / 日本語吹替:永竹功幸

養蜂部の創立者の生徒で、自らのクラブを「ブンブンズ」と呼んでいる。
両親は母親2人の同性カップル。
部員や友人は誰もおらず、「選ばれし者の部活だ」と呼んでいたが、ウェンズデーとイーニッドが来た時は心底嬉しそうな様子を見せた。
こんな立場だが、相手から振り向いてもらえる可能性がわずかでもあれば決して諦めない健気な性格。
ウェンズデーからも「あなたや私はみんなとは違うの。自分を持ってて、思春期の吹き溜まりの中ではどうしても浮いてしまうけど、バカな通過儀礼なんかなくてもブレずにいられる」と、珍しく好意的に評価されている
クラブの創立者だけあって養蜂オタクで、知識を語りだすと止まらなくなる。さらに吹き替え版でのセリフ回しは必見。


  • ラリッサ・ウィームス
演:グウェンドリン・クリスティー / 日本語吹替:きそひろこ

ネヴァーモア学園の校長で、モーティシアとはルームメイトだった。
本来学期途中の編入は認められていないものの、ウェンズデーが成績優秀だった事やアダムス家と学園の長い付き合いもあって、特例を認めてもらったのだという。
彼女が問題児という事もあってガッツリと監視しようとするが、何度も何度も校則を破って楯突いてくるウェンズデーに手を焼く羽目に。
そしてモーティシアとの間にも因縁があるようだが……?


  • マリリン・ソーンヒル
演:クリスティーナ・リッチ / 日本語吹替:小島幸子

オフィーリア寮の寮母で、植物学の教師。
寮生に合わせて歓迎の印の花をプレゼントしており、ウェンズデーの場合は「ブラック・ダリア」。
彼女も「大好きな未解決殺人事件の名前だから」とまんざらでもない様子だった。
また、学園スタッフで唯一の普通の人間であり、かなり苦労している模様。

演じたクリスティーナ・リッチは、映画版でウェンズデーを演じた女優。
つまり、新旧ウェンズデーの共演という事で、ニヤリとさせられることだろう。
また、バートン作品でも『スリーピー・ホロウ』に出演しており、元から縁があると言える。



【ジェリコの町の人々】

  • タイラー・ガルピン
演:ハンター・ドーハン / 日本語吹替:岩中睦樹

風見鶏カフェの店員。ウェンズデーと同じくキンボットのカウンセリングにかかっている。
イタリア製のエスプレッソマシンが故障したところをウェンズデーに修理してもらった事で、学園からの脱出の手引きを依頼される。
この計画はローワンの事件で失敗に終わったものの、唯一怪物の存在を信じてくれた。
純情な性格でウェンズデーに惚れ込んでいくが、彼女自身その手の感情に疎いので散々振り回される羽目に。
しかし、ゼイヴィアは彼について何かあったらしく、ウェンズデーに再三「あいつには近づくな」と警告していた。
さらに父ドノバンとは死んだ母親の件で何かしらわだかまりがあるようだが……


  • ドノバン・ガルピン
演:ジェイミー・マクシェーン / 日本語吹替:増元拓也

タイラーの父で、ジェリコの保安官。
謎の殺人事件の犯人をネヴァーモア学園の生徒だと決めつけており、証拠が見つかるまでは熊の仕業にして隠蔽する事にしていた。
昔起きたギャレット・ゲイツ殺害事件の犯人はゴメズだと信じて疑わず、ずっと追い続けている。
当然、ウェンズデーは彼に睨まれる事になるが、彼女自身も事件解決のために協力を申し出たため、だんだんその働きを無視出来なくなってくる。

  • ヴァレリー・キンボット
演:リキ・リンドホーム / 日本語吹替:園崎未恵

法廷命令により、カウンセリングを受ける事になったウェンズデーを担当する臨床心理士。
性格的にカウンセリングと相性最悪のウェンズデーは当然反発しまくり、最初のカウンセリングでは脱走された。
その後も効果ははかばかしくなかったため、親子参観の日にアダムス一家全員でカウンセリングを受けさせる。
また、「ユーライアズ・ヒープ」の常連らしく、そこで色々な置物を購入している。


  • ノーブル・ウォーカー
演:トミー・アール・ジェンキンス

ジェリコの町長。
元保安官でドノバンとは旧知の仲であり、ウィームス校長から資金援助を受けている。


  • ルーカス・ウォーカー
演:イマン・マーソン

ウォーカー町長の息子。
ネヴァーモアの学生に対する差別意識バリバリで、仲間と共にウェンズデーやユージーンにちょっかいを出していたが、返り討ちにされている。
第4話では、何故かエイジャックスにデートをすっぽかされて傷心のイーニッドにレイヴンのお誘いをしていたが……?


余談


〇劇中で圧倒的な目力を発揮しているウェンズデー。
ジェナ・オルテガのこの演技は、スタンリー・キューブリック監督の映画『シャイニング』のジャック・ニコルソンにインスパイアされたもの。
この瞬きをしない演技をタイラーと初めて出会う場面で見せたところ、バートンはいたく気に入り、「この後も、瞬きはしないでほしい」と言われたという。
そのため、その後数週間にわたる撮影では、瞬きをしないように過ごしていたのだとか。
ちなみに演技のコツは、「顔の筋肉の力を全部抜き、眉間から見るようにする事」らしい。

〇本作のマスコットポジションとして活躍するハンド。
その自由自在な動きと細かい感情表現から一見全てCGに見えるかもしれないが、実はこれは“手”作業で作られたもの。
演じたピーター・ドロバントゥの本業はマジシャン。
デジタル処理で姿を消すためにブルーのボディスーツを着用し、机の下に潜って穴から手を出したり、床に這いつくばったりと、様々な場面で窮屈な体勢を強いられながら撮影に挑んでいた。
また、感情表現については毎回ドロバントゥと制作チームがその場で決めていたとのこと。

〇ハンドは作劇中外でもマスコットとして大活躍。
ニューヨークをお出かけして子供を泣かせたりスケボーしたり*13バートンに(ケーキ製とはいえ)唐竹割りをかまされたり*14と、微笑ましい姿を見せてくれる。

〇寮母役*15は元々『ゴーストワールド』のソーラ・バーチが演じる予定で、大部分の出番は撮り終えていたが、家族の病気のため、降板。
ちなみに『ゴーストワールド』で彼女が演じた役名はイーニッドである。

〇のけ者だけを集めてもその中でヒエラルキーが生まれ、再びのけ者になってしまう者がいるという部分も描いた本作。
実際、バートンは脚本に自分自身の過去を重ねており、

脚本を読んだ瞬間に学生時代の思い出が蘇ってきたんだ。
プロムに行った時のことや、学校が嫌いで、馴染むこともできなかった、あの時の気持ち。
変わり者として変わり者の集団の中にいてもやっぱり孤独だった。
それから、親の事や、セラピーや、あの頃経験したこと全部ね。
水球のシーンもあったけど、実は高校時代に水球をやっていたんだよね(笑)
そんな風に、学校や両親にまつわる奇妙で、ちょっと辛い、変な思い出がたくさん蘇ってきたんだ。

と語っている。



THE END?

追記・修正は死ぬほど楽しいでしょう?


参考文献
アダムス・ファミリーの新ドラマ「ウェンズデー」について、わかっていることのすべて
「ウェンズデー」のクセ強ダンスシーン、ウェンズデー役が自ら振り付けしていた
「ウェンズデー」主演、クセ強ダンスシーン撮影中はコロナ感染中だった
一度も「まばたき」をしないように…『ウェンズデー』主演俳優が明かす驚きの役作り
「ウェンズデー」劇中でウェンズデーがまばたきをしない理由とは?
「ウェンズデー」ハンドの撮影風景、大変そう ─ 机にもぐったり床に這いつくばったり
「ウェンズデー」ティム・バートン、精神年齢は「14歳の女の子」ヒロインに投影した学生時代
‘Wednesday’: Thora Birch Departs Netflix’s Addams Family Series For Personal Reasons
Wednesday star came up with viral dance herself in just 2 days

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最終更新:2023年01月18日 22:31

*1 旧大陸で続く迫害から逃れるためアメリカへ移住した清教徒達。「ピルグリム・ファーザーズ」と言えば世界史で習うだけにピンと来る人も多いだろう

*2 オフィーリアはモーティシアの姉の名前でもある。

*3 女子のスクールカースト最上位を表す言葉。「クイーンビー」とも。

*4 ちなみに後のニューヨークとなる、オランダの入植地ニューアムステルダムが設立された年でもある。

*5 元々ウェンズデーが引いた職場は「ユーライアズ・ヒープ」なる剥製の骨董屋でイーニッドからドン引きされたが、エイジャックスもそこに割り振られたと知るやあっさりOKした。もちろん仕事内容にはドン引きしていたが……

*6 イギリス発祥のキャラメルに似た菓子。ちなみに実際に生まれたのは入植の258年後なので、このテーマパークの欺瞞を象徴していると言えるだろう。

*7 通常の制服は紫と黒のストライプ。

*8 小説家。19歳の時に『フランケンシュタイン』を執筆した。

*9 ポジティブな幻視は「ハト」、ネガティブな幻視は「カラス」と呼ばれる。

*10 この場面で流れた曲は、クリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』でも使われたエディット・ピアフの「水に流して」。皮肉が効きすぎている……

*11 字幕では代母。また、ウェンズデーの祖母と共に若い頃は詐欺師としてヨーロッパ中を荒らしまわったらしい。

*12 この時は大声で彼の名前を呼びながら森を全力疾走していた。

*13 出典:https://twitter.com/TimBurton_JP/status/1598150119907790851

*14 出典:https://youtu.be/q_48s5HG8tI

*15 完成版とは名前が異なり、タマラ・ノヴァクとなっている。