登録日:2024/11/16 Sat 20:32:34
更新日:2024/11/23 Sat 10:13:57
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グラーキ(Gla'aki、Glaaki)は、
クトゥルフ神話における神と呼ばれる何か。
旧支配者に分類される。
初出は作家ラムジー・キャンベルの小説『湖畔の住人(The Inhabitant of the Lake)』である。
数世紀前に、地球外からユゴス、シャッガイ、トンドに立ち寄った後に都市の残骸である隕石を操りイギリスのブリチェスター外れのセヴァンヴァレーに落下しクレーターに水が溜まり出来た湖の底に潜むとされるが、
「グラーキの黙示録」には、隕石落下以前からタグ=クラターの逆角度を使い地球に飛来していたとも記される。
■この神の姿形や特徴について
昆虫のタマムシに似た金属質の楕円形の体をしており、複数の鋭い棘を生やしている。頭はスポンジ状で分厚い唇の楕円形の口がある。ナメクジのような長く伸びた目を3つ持つ。
夢を通して人間を誘惑する力を持つのだが、セヴァンヴァレーでは湖畔付近が寂れた影響にグラーキの力の衰えも重なり、自ら湖畔に移り住んだ人間に干渉するぐらいの力しか残っていない。
体表の棘を突き刺し、体液を注入することで人間をグラーキの脳から放つ電波か磁力に操られる奴隷----グラーキの体の一部とする力を持つ。
この力で端末にされたものは60年ぐらい経過すると強い日差しを浴びると「緑色崩壊」が起きる体質となる。
■グラーキの黙示録
グラーキについて記された書物。
原典は湖付近を拠点としたグラーキカルトの信者複数名が筆者が息絶えるごとに交代し書き継いだもので、全11巻の書籍として製本される。
しかし、製本時に抜け落ちた項目があるとのことで、無許可で手書きの内容を写し取った海賊版のみが唯一完全な内容を留めるとされる。
後にパーシー・スモールビームなる偽名の人物が上記を参照にマッターホルン・プレス社から9巻セットを出版するが、こちらもマスコミの攻撃により焚書され、原典共々現存するものは存在しない可能性が高いと語られる。
リヴァプールで出版されたものも存在するが、これはTRPGメーカーが捏造した偽書。
■作中での活躍
『湖畔の住人』では、湖畔に住み着いたトマス・カートライトに夢を通じて「グラーキの黙示録」の場所を教えて読ませたり、自身の姿を見せて絵に描かせたりと勧誘するが上手くいかず、配下のゾンビを送り込む強硬手段に移行。
……が、トマスは手斧でゾンビを真っ二つに引き裂きそのままグラーキ本体まで突撃。グラーキも配下にすべく棘を突き刺し応戦するが手斧で棘をたたっ斬られ、叫び声をあげてよろよろと湖に逃げ帰った。
なんとも情けない活躍だが、これは前述の通りセヴァンヴァレーから既にグラーキの影響力が失われているため。
※以下、『The Last Revelation of Gla'aki』のネタバレを含みます。
ラムジー・キャンベルの世界観における宇宙とは、生命・非生命問わずありとあらゆる存在が見る夢によって形付けられるもので、力ある言葉により定義付けられ存在を変化させる。
旧支配者は大なり小なり生き物の夢に干渉して世界に影響を与える力を持つのだが、他の旧支配者が自身の存在を認知させるために夢を使うのに対して、グラーキは生き物の心の中に入り込んで留まり、その夢を自らのものとして乗っ取る。
即ち人間の心----夢を支配して世界そのものを我が物として作り変える力を持ち、グラーキに支配された土地や周辺の生き物はゼリーやゼラチンのように流動する原初の形に回帰する。
「グラーキの黙示録」は書かれている文字ではなく夢を通じてグラーキの言葉を伝え啓蒙する代物で、存在するだけで言葉で形作られた周辺の世界を分解する。
種子の状態にまで弱体化していたセヴァンヴァレーでは実体を持ち棘を刺しゾンビに変え物理的に支配する必要があったが、「グラーキの黙示録」と影響下にある生き物が十分に存在する地域ではそもそもグラーキ自身が実体を取る必要もなく、それらが存在するだけで新たな生き物を取り込んで影響力を強めていく。
またこれはグラーキに限らず旧支配者に共通する特性だが、その存在について思考されるだけで世界に溶け込んでその場に出現する力を持つ。
余談
ネット上では見た目の似た「シシノケ」なる存在が語られることもある。
シシノケは
石川県の山中で目撃された怪物で、
群馬県や
北海道でも似たような目撃談がある。寝袋くらいの大きさで、全身に針のような剛毛を持つ巨大なナメクジのような姿をしており、手足はなく、顔の中心に大きく円形の口が開き、口の周りには触覚のようなものが3本生えていて、その先端に眼球がある。
追記・修正はグラーキの啓示に従ってお願いします。
初めての目撃証言はネット掲示板の
2ちゃんねるに書き込まれたもので、ソロキャンプ中の投稿者が夜間にテントの外で奇妙な気配を感じ、この怪物を目撃したという。怪物は赤ん坊や発情期の猫のような鳴き声を上げ、「ッチ…ッチ…トッ…シャ…ノウ」と聞こえる言葉を発していた。怪物はテントに近づいてきたが、投稿者の愛犬がかみついて撃退し、怪物は大きな叫び声を上げて逃げた。
ここでスレに石川県民を名乗る人物から「Aヶ丘にシシノケが出る。漢字で書くと「四肢除け」。四肢がなくただ蠢いているだけで人に害はない」との情報が寄せられたが、投稿者はこれを否定している。
投稿者がキャンプ場の管理棟に逃げ込み、管理人に話すと、「山に住む土俗の神の類」と説明された。カモシカを捕食するという言い伝えがありキャンプ客からも稀に目撃談はあったが人が襲われたとか追いかけられたという体験談は初めてだという。
前述の言葉については意図はわからないが「イトッシャノウ」(金沢弁で「かわいそうに」)ではないかという。
投稿者と愛犬と管理人の立て籠もる管理棟の玄関からは例の声が聞こえ、地響きのような音を立てて扉が叩かれたが、管理人が猟銃で撃退した。
朝になって管理人の連絡でやってきた猟友会の人達と現場を見に行くとテントは潰され、ヤマアラシの様な毛がびっしり落ちていたそうだ。
見た目は妖怪の「野槌」に似ているとされる他、棘の生えたナメクジ型の怪物で、顔から伸びた三本の触手の先に目があるという外見はグラーキと似ていることから関連性が疑われたこともあるが、
創作だとしてもこの体験談の初出は2010年。『湖畔の住人』が日本の書籍に収録されたのは2013年『古きものたちの墓 クトゥルフ神話への招待』が初めてのはずである。
投稿者がクトゥルフ神話ファンで英語の文献にも目を通していた可能性は、あるかも知れない。
追記・修正はグラーキの啓示に従ってお願いします。
- >旧支配者に共通する特性 イゴーロナクの特徴が一つ消滅した気がする… -- 名無しさん (2024-11-17 09:25:24)
- 設定的には凄い存在なのかもしれんけど、旧支配者の中でも物凄い弱体化してるのがな…他の連中が何十億年生きようがピンピンしてるだけあってその分凄い浮いてるというか -- 名無しさん (2024-11-17 14:12:36)
- 強いんだか弱いんだからわからんな。ゼリーがうようよしてる地域以外じゃ何も出来なさそうだし -- 名無しさん (2024-11-17 18:43:33)
- ↑ TRPGなんかやってるとすごく判る。オリジナルの神格出したい。でも有名どころ以上に強くしちゃうのは厨二っぽくて嫌。第一、強くしすぎちゃってPCたちが活躍できなくなるのはどうなの? で結局、設定上は壮大だけど実際は弱体化されまくったナニカが完成する…… -- 名無しさん (2024-11-19 07:27:11)
- やはり斧…斧はすべてを解決する -- 名無しさん (2024-11-19 16:14:57)
- 名を読まれるだけで現れるイゴーロナク要素に、ヴェールを剥ぎ取りクラゲのような人間の真の姿を見せるダオロス要素。キャンベル神話の集大成のように思える -- 名無しさん (2024-11-23 09:31:02)
最終更新:2024年11月23日 10:13