SCP-2089-JP

登録日:2024/11/30 sat 19:05:01
更新日:2025/05/15 Thu 14:35:36
所要時間:約 18 分で読めます





本報告書は反ミーム部門の管轄で管理されています。

SCP-2089-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「すっげーバスケの上手い死体」。
オブジェクトクラスは「Euclid」。


概要

SCP-2089-JPは██県██市の市立██スポーツセンターの中に存在する死体である。
死後3年ほど経ったような姿をしており、普段は施設内のバスケットコートでドリブルやシュートの練習をしている模様。
人間が近づくとバスケットボールのルールに則って行動し、コレを妨害するために財団は殺虫剤の散布や刃物を構えて周囲を周回したが特に効果は無かった。(バスケットボールと殺虫剤に何の関係が…?)
SCP-2089-JPは視覚由来のミーム汚染を引き起こし、コレを見た人はSCP-2089-JPを『スポーツセンターの備品』として認識する。この効果はビデオ越しでも発動するが、伝聞や文字では発動しない。
SCP-2089-JPの持つバスケットボールに人が触れると、『施設利用記録に記載された人数が実際に施設を利用した人間の人数より多くなる』という異常現象が発生する。コレはなんらかの認識災害に由来するものとされており、このスポーツセンターがある██市では少子化が他地域と比べ顕著となっている。
歴代の施設管理者の証言などから、SCP-2089-JPの出現は██スポーツセンターが開設されてから5年程経過した1999年からであると予想されている。

そんなバスケ達人死体ことSCP-2089-JPの特別収容プロトコルは大別すると
①スポーツセンターを封鎖し一般人の立ち入り禁止と収容対象の脱走防止に努めてね。
②施設管理の役職を割り当てられた8人の一般人はサイトで拘束しているよ。
③異常性により書類に齟齬が出た場合は修正せず保管してね。
④SCP-2089-JPを知る人物が現れた場合記憶処理してね。
というもの。
一般人の立ち入り禁止、改変確認のため書類は保管、認知する一般人がいたら記憶処理と基本的な所を押さえている


発見経緯

SCP-2089-JPは██市の人口調査で見られた前述の数値異常から発見された。
また当時その地域で放映されたニュースにて選手の一人が「成功の秘訣はスポーツセンターに設置されている自立型の練習器具」と話していたことから、財団はさらなる異常性もあると踏んで調査を開始。
調査の結果、██市はSCP-2089-JPの異常性を知った上で市ぐるみで隠蔽していたことが判明した。

調査開始時、第一調査団から「異常な物品は確認されなかった」という返答が来たため財団は認識災害の可能性有りとして対認識災害エージェントを派遣し収容に成功した。
この際実際に派遣したエージェントは1人なのに書類上は5名構成の部隊3隊を4度派遣したことになっていたので財団は施設の封鎖と分析作業も開始。ここから「記録の齟齬」という上述の異常性を発見したわけである。

また調査からそもそもスポーツセンター自体
  • 派遣される職員を常に8人に限定している。
  • 各部署の管理室を六角形状の施設の対角線状に配置している。
  • バスケットコートが施設の中心に設置されている
  • 定期的に職員の入れ替わりが行われている
と不審な点が有りすぎることも判明。財団は██市を監視している。





というわけで前情報が入った所でSCP-2089-JPの補遺を見ていこう。補遺は4つのインタビュー記録と1つの追記で構成されており、コレにはSCP-2089-JPの裏側も示唆されている。

インタビュー記録001

エージェント・porukaがスポーツセンターの用務員である佐々木氏にインタビューしたもの。インタビュー場所は駐車場である。
<録音開始>

インタビュアー:佐々木さん。では、始めます。

佐々木氏:[震えた声]……は、はい。

インタビュアー:まず、第一の質問です。あの「死体」はいつ頃からあそこに設置されていましたか? わかる範囲で結構です。教えてください。

佐々木氏:……あ、ああ、あの……。し、し……[言葉が詰まる]。び、「備品」は……俺が、ここで働き出す前からだから……かれこれ、3年以上前からに、なるな……。

インタビュアー:なるほど。前任の方からは何と説明を受けましたか?

[3秒間の沈黙]

インタビュアー:佐々木さん。

佐々木氏:き、基本的な事ばっかだよ……。あ、あれは、せ、性能は良いけど、極端に脆い部分があるから。持ってるボールには、絶対に触るなとか……こ、コートの掃除をする時は気を付けろ、とか。……あとは、時々コートの上に、こ、ここ、子供のだと思うけど、服の切れ端が散乱してるから、そ、それも随時処分しといてくれ、とか……言われてたな。

インタビュアー:前任者の方については何かご存じですか?

佐々木氏:く、久保田さんの事は……。あ、あの人は……去年、亡くなったよ。お、俺への引継ぎを終えてから、すぐだった……から、よく覚えてる。言うて、まだ70幾つだったし……若かった……。……ほ、本当に、惜しい人を……亡くしたよ。

インタビュアー:彼は、一体どこで亡くなりましたか?

佐々木氏:……丁度、コートの、ど真ん中だった。急に直立したまま、動かなくなって……そのまま。あ、あの、び、「備品」の、前だった……!

インタビュアー:死因は。

[3秒間の沈黙]

インタビュアー:死因については、語れますか。

佐々木氏:し、死因は……!

[佐々木氏の荒い息遣い]

佐々木氏:う、上……! ……上に! [荒い息]ひ、ひひ、引っ張られ……ああ、くそ! 口が……! くそ!

[5秒間の沈黙]

佐々木氏:じ、自殺……ああ、違う!ち、 窒息……! 違う、ええっと、ええっと……! く、首吊り……! よし……! 言えた……! 首吊りだった! ま、まるで、上に引っ張り上げられた、み、みたいだったんだ……! か、彼は、く、くく、首に、い、糸を……く、括り付け、ら、ららら、られ、て……! て、天井の……方に……上に……! そ、それで! あとは……あああ、くそったれ……!

[10秒間、佐々木氏の言動が詰まる]

インタビュアー:もう結構です。すいません、無理をさせてしまいまして。

佐々木氏:……いや、まだだ……! ぼ、ボール……! そう、ボール! ボールを、持ったから……! あの、ボールを持ったから……!

[何かが倒れる音]

インタビュアー:佐々木さん!

[3秒間の沈黙]

インタビュアー:もう充分です。ありがとうございます。

佐々木氏:くそ……くそ……! あ、あの子達にした、ことに比べたら……! こんなの……! くそ……!

<録音終了>

まどろっこしく要領を得ないながらも必死に答えようとした佐々木さんの言ったことを総括すると
  • ボールに触ってはいけない
  • 時折子供の服が散乱しているが気にせず掃除する
  • 前任者の久保田氏はコートの真ん中で何者かに首を吊られて死んだ
ということになる。また「死体」→「備品」、「窒息」→「首吊り」と言い換えられているように久保田氏を殺害した謎の存在に都合の悪いことは言えなくなっているようだ。

インタビュー記録002

エージェント・porukaが現センター長である橘氏にインタビューしたもの。インタビュー場所は施設外のコンテナ事務所である。
<録音開始>

インタビュアー:佐々木さんから話は聞きました。単刀直入に訊きます。あのバスケットコートの備品に関して、語れる部分だけでも教えてください。

樋田氏:わ、私は……! 私は別に、悪意を持ってここにいるわけじゃ……!

インタビュアー:言い訳は結構です。事実のみを語ってください。

[5秒間の沈黙]

インタビュアー:樋田さん。

[何かを強く叩く音]

樋田氏:わ、私だって! 必死に努力はしてきたんだ! 毎日、まるで誘蛾灯に集まる虫みたいに引き寄せられていく子供達を見て、何も思わなかったわけがないだろう!? あ、あれは……! あれには……誰も、逆らえないんだ!

インタビュアー:だとしても、あなたには全てを語る義務があります。洗いざらい、全部話して下さい。

[4秒間の沈黙]

[何かを強く叩く音]

樋田氏:あ、あれは……! 管理者……! そう、管理者だ! この土地、いや、ここいら周辺の区画全部は、元々の、あ、あの管理者様からのご厚意で譲ってもらった物なんだ ……! そ、それで、それのお礼として、いつも、お、贈り物を……渡していた風習が昔から残っていて……。それが、この土地の習わしで……。特に、あの人は、子供が……と、とても好きだから……。ここは小学校も近いし……土地開発が進んで表立って祀り事をするのも難しくなったから……! だ、だから……! ……わ、私達だって、最初は反対したさ! でも……言いつけを守らないと、全員が……! そ、それに、これは市が主導で行っていたことで、私一人の責任では決して……!

インタビュアー:……なるほど、よく分かりました。

[何かが倒れる音]

インタビュアー:樋田さん。

樋田氏:私は……! 私は悪くない……!

インタビュアー:既にもう、現状は取り返しの付かない域に達しています。我々も人のことは言えませんが、あなた方はあまりにも自分勝手で身勝手で、度が過ぎている。親御さんには何と説明するつもりですか。何を、どう釈明するつもりですか。近年、近隣地域の人口減少が囁かれているこの現状を、あなたは……!

樋田氏:う、うるさい! あんたに俺の気持ちが分かってたまるか! 私だって一人の父親だ! 平気な訳がないだろう! でも、こうでもしなきゃ、次は自分の子供が……! もう沢山なんだ! こんな町も! この土地も! 何が伝統だ……! 皆くそくらえだ!

[6秒間の沈黙]

樋田氏:もう、嫌なんだ……。全部……。

インタビュアー:……最後にもうひとつ、訊きたいことがあります。

[2秒間の沈黙]

インタビュー:生き残っている前任者の方について、教えてください。

樋田氏:そ、それは……。

インタビュアー:お願いします。あなたにその覚悟があるのなら。教えてください。

[10秒間の沈黙]

樋田氏:か、彼らに、何をするつもりだ?

インタビュアー:ちょっと話をするだけです。

<録音終了>

錯乱こそしているが佐々木さんよりはマトモに答えてくれている橘センター長。詰め寄るエージェントに対し語ったのは
  • 子供達は誘蛾灯に群がる蛾のごとく引き寄せられていたこと。
  • 佐々木さんの談にも出てきた存在は言わば『管理者』であり地域一帯を統べる存在であるということ。
  • 管理者は生贄となんらかの報酬でギブアンドテイクをしていること。
  • さらなる情報を知る前任者の情報。
の4つ。橘氏も子供を見殺しにすることに抵抗を覚えていたようだ。

インタビュー記録003

エージェント・porukaが現無職 4代目センター長である幕下氏にインタビューしたもの。インタビュー場所は幕下氏の自宅である。
<録音開始>

インタビュアー:お忙しいところ恐縮です。

幕下氏:いえ、定年後は暇な毎日ですよ。で、何の話でしたっけ。

インタビュー:はい。例のバスケットコートに置いている備品について、お聞かせいただければと思います。

[3秒間の沈黙]

幕下氏:……樋田は何と。

インタビュアー:樋田さんの話では、あれはあの土地の元々の管理者の物でかつその方へ送る贈り物に関係があると伺っています。ご存じでしたか。

幕下氏:……管理者。[笑い]あいつも上手い言い回しを見付けましたな。確かに、あの土地はあそこの管理者の物ではありますな。我々も含め。今もね。

インタビュアー:幕下さんが唯一の生き残りであると聞いています。どうか、あれらの概要を教えて下さい。

幕下氏:……私とて、未だにあれの支配下、足に過ぎません。ま、出来る限りの事はやってみましょう。私達は所詮、糸で繋がれた操り人形その物でしかありませんが、それでも、久保田のお陰で多少は語れるとは思います。全貌はまだ流石に無理ですが……。いえ。やれるだけの事はしてみましょう。

インタビュアー:語れる所からで構いません。まずは、あの備品の役割についてからお願いします。

[3秒間の沈黙]

幕下氏:あれは、謂わば疑似餌、罠です。

インタビュアー:罠……。

幕下氏:我々は常に8人選ばれます。何故か。あれには形が無いからです。だからこそ、我々はあれについて語れないし、残せない。直接的な言葉で形容しようとすると脳がそれを否定し、言葉が出てこないんです。確実にそれは存在するのにただ恐怖だけが蔓延し、それを形作っている。全ては連想です。今あるあれの周囲の要素が、あれの概念を固定しているんです。

インタビュアー:それは、あの施設の形も含めてですか。

幕下氏:ええ、そうです。我々は足と呼ばれ、あの建物の形も均一に6角形。そして、あのバスケットコートはその中心にあり、そこで子供を引き寄せる罠は操られている人形と来ている。子供が好む球技をさせているのも効率よくそのボールに見立てた糸を掴ませるため。全ての要素を繋いでいけば、言葉にせずともその姿位は想像できましょう。どうです。

インタビュアー:……つまり、あそこにいるのは……[言葉が詰まる]。

幕下氏:……そう。想像は出来るんですよ。想像はね。

[3秒間の沈黙]

インタビュアー:……では、あれの対抗策は。

幕下氏:それについてはまだ語れません。ですが、一人だけ語れるであろう人物がいます。

インタビュアー:その方は何処に……!

幕下氏:この住所の場所に行ってください。私の前任者です。彼が、ある意味我々の希望です。

インタビュアー:……本当にこの場所にいらっしゃるのですか?

幕下氏:ええ。行けば分かります。ご武運を。

インタビュアー:……ありがとうございます。

<録音終了>

段々とインタビューされる人の錯乱度が落ち着いてきている。どこか達観したような振る舞いを見せる幕下氏が語ったのは概ね
  • 職員は管理者により糸を繋がれた操り人形であるが、久保田氏のお蔭で束縛からは多少解放された。
  • 『管理者』に実体的な形は無く恐怖により概念を保っている。また『管理者』は反ミーム的性質を持つので周囲の要素からしか認知することもできない。
  • 8人の職員は『管理者』の足、六角形の施設は住処、バスケットコートは疑似餌でありバスケットボールは糸の先である。
というもの。話に出てくる久保田氏は佐々木氏のインタビューに出てきた前任の久保田氏と見て間違いないだろう。
さてココでついに『管理者』についてのおおよその正体を把握できた。8本の足、六角の巣、糸 これらから連想されるものと言えば「蜘蛛」しかない。

SCP-2089-JPの正体は疑似餌に触れた者を喰って存在を消す蜘蛛の姿をした仮想実体だったのだ。殺虫剤散布だの刃物持って周回だの概要にあった謎の試みも、真の相手が殺人巨大クモだと考えれば納得がいく。

話を聞く限りこのことに気づいた久保田氏は対抗策を練り、『管理者』になんらかのカウンターを喰らわせた上で殺されたのだろう。

インタビュー記録004

エージェント・porukaが初代センター長である武内氏にインタビューしたもの。インタビュー場所は精神科病院の面会室である。
<録音開始>

インタビュアー:どうも、武内さん。私は██と言います。

武内氏:……やっと、ここまで来てくださいましたか。

インタビュアー:単刀直入に訊きます。あのコートにある備品。いえ、あれを操る存在の対抗策について、教えて下さい。

[2秒間の沈黙]

武内氏:……もう、素直に死体と言っても良いでしょう。

[2秒間の沈黙]

インタビュアー:やはり、あなたは……!

武内氏:昔はボールに似せた糸の塊を子供に手渡ししていたんですがね。その役をこなしていたのが、今もあそこで球技に勤しんでいる彼です。

インタビュアー:彼の名は。

武内氏:前川 ██。元、私の補佐です。

インタビュアー:それが何故あのような形に。

武内氏:……私達はずっと、あれの支配に屈してきました。でも、そんな中、彼は一人で立ち向かっていった。餌食になる子供達を見るたびに罪悪感に苛まれ、耐えられなかったのでしょう。彼は、あの施設ごと燃やして全てを無かったことにしようとしました。でも、それは叶わなかった。……きっとあれはその罰なんでしょう。死ぬことも許されず、生まれなおす事も出来ない。操られ続け、挙句、罠としてなおも利用されている。あまりに惨い仕打ちです。……あそこを支配する存在は子供の肉を好みます。あの場所は、よく子供が遊びに来ますから。機嫌を取るには最適の場所なんです。市も、いや、あの町の老人達も全員が、それを承知の上であそこにあれを建てたんです。

インタビュアー:……それについては皆さんからも話を聞きました。あとは、あなたからある一つの事を訊くだけなんです。お願いします。教えてください。どうすれば、あれを止められるんですか。

[2秒間の沈黙]

武内氏:久保田さんが、私に教えてくれたんです。

インタビュアー:久保田さん……? 前任の用務員の方ですか?

武内氏:……久保田さんは、何とかあれの弱点を見つけました。ですが、結局はそれを悟られ、彼もまたあれの餌食になってしまった。そして、私も狙われた。だから、今はこんな場所で余生を過ごしてるんです。

インタビュアー:それは、何です。

武内氏:簡単です。忘れることです。

[ノイズ音]

インタビュアー:……忘れる?

武内氏:ええ。 奴の弱点です。何故、あれはああも捕食を続けるのか。隠れていたいはずなのに、何故わざわざ私達を選ぶのか。それは、あれを形作っているのが他でもない私達自身だからです。あれは、自分の存在を隠しながら尚且つその恐怖で自身を証明し続けている。いつまでも忘れ去られないために、必死になって恐怖の対象を演じ続けている。久保田さんも、あと一歩の所まで行ったんです。でも、まだ完全じゃない。

インタビュアー:それはつまり……。

武内氏:全ての伝承を燃やしました。あそこに纏わる歴史も、口伝で残っていた昔話も。それを覚えている人間も含め、全部。久保田さんはあれの監視を搔い潜りながら全てを葬っていった。それの御蔭か、もう、あれを祀っていた神社の名前すら我々は思い出せません。でも、最後の最後で、悲しくも人間に裏切られた。結局、奴を形作るのは人の恐怖という事です。

インタビュアー:つまり、我々のとる行動は……。

武内氏:はい。全部、全部消してください。書物も、伝承も、それを知る人も。何もかも。我々も含め、その全てを消し去ってください。そうすればきっと、いつかはきっと……。

[激しいノイズ音]

インタビュアー:これは……。

[3秒間の沈黙]

武内氏:……もう、潮時ですかな。あなたもそうでしょう? 派手に動き過ぎましたからね。あなたにも、もう糸が括り付けられている。

インタビュアー:……ええ。そのようですね。

武内氏:我々は勝たねばなりません。あれは、神などではない。……お願いします。我々を、この街を……。子供たちを、救ってください。

インタビュアー:……ええ。勿論です。

[ノイズ音]

インタビュアー:勿論ですとも。

<録音終了>

補遺に残る最後のインタビュー相手は初代センター長の武内氏。精神科病院にて隔離されているようだがかなり『管理者』の影響を脱しているようではっきり「死体」と発言できている。語った内容をピックアップすると
  • 死体の正体は武内氏の元秘書の前川氏
  • 元は生きた人間が標的に玉=糸の先を握らせていた
  • それを打破するため施設を燃やそうとしたのが前川氏でありその報いとして前川氏はバスケ達人死体にされた
  • 『管理者』は自分への認知を元に存在している
  • 久保田氏はそれへの対抗策として歴史を隠蔽し昔話を揉み消し人々の記憶から『管理者』の存在を消そうとした
ということになる。

久保田氏は歴史資料や昔話はおろか何をどうやったのか人々の生の記憶すらイジり『管理者』の記録を消そうとしたのだが、最後の最後で失敗しインタビュー記録001の通り佐々木さんの目の前で『管理者』に殺されたようだ。

彼を裏切ったのが『神への恐怖に屈し手先足先と成り下がった人間』なのか、『神を害することへの恐怖から秘密裏に記憶を継承した人間』なのか、そもそも神への恐怖が久保田氏の手に負えるものではなかった=『人間(の恐怖)に裏切られた』なのかは定かでは無いが、インタビュー内にある通り『結局、奴を形作るのは人の恐怖』なのだろう。

全ての話を聞き真相を知ったエージェント・porukaの元に『管理者』が近づいてくる。武内氏から託された思いを胸に最期を悟りながらも決意を込めたエージェント・porukaの言葉でこのインタビューは締められる。このインタビュー終了後エージェント・porukaは失踪した。

失踪後の追記

エージェント・porukaの失踪後スポーツセンター内にエージェントと同じ姿をした新たな備品もとい死体ことSCP-2089-JPが出現した。
またエージェント・porukaがインタビューを行った佐々木氏、橘氏、幕下氏そして武内氏もエージェントporukaの失踪後に皆失踪している。おそらく皆『管理者』に喰われたのだろう。

エージェント・porukaと協力者達の命と引き換えに情報を手に入れた財団は現在まで該当区画周辺の記憶処理作戦と関連情報の抹消作戦、SCP-2089-JPの概要を知る人物の捜索を継続している。
また施設内の『管理者』に対する交戦作戦も継続しているがコチラは未だ膠着状態の模様。

上記の作戦の完全完了が確認された後は全職員がSCP-2089-JPに関連する全ての情報の記憶処理を受けるよう義務付けられている。それに伴い、これまで読んできたSCP-2089-JPの報告書も抹消されることになっている。


エージェント・porukaや協力者達の存在が記憶から永久に葬り去られてしまうのはなんとも無常であるが、ここで情け心を出して語り継いでしまうのは久保田氏の悲劇を繰り返すことであり、かえって彼らへの侮辱となるだろう。
せめて彼らが報われるよう、街が『管理者』の魔の手から免れられるよう財団の健闘を祈るばかりである。



追記:修正は死体の持つバスケットボールに触れてからお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-2089-JP - すっげーバスケの上手い死体
by yanyan1
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2089-jp

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最終更新:2025年05月15日 14:35