近江彼方【再作成】

登録日:2024/12/16 Mon 21:39:00
更新日:2025/05/17 Sat 11:45:19
所要時間:約……41分……で…………すやぁ……





近江(このえ)彼方(かなた)は、ラブライブ!シリーズに登場するスクールアイドル。
現在は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会に所属している。


プロフィール

CV 鬼頭明里
誕生日 12/16
身長 158cm
3サイズ B85/W60/H86
血液型 O型
星座 射手座
イメージカラー すみれ色
メンバーアイコン 眠り羊
肩書き 甘えん坊お姉さん → マイペース
部活 保健委員
趣味 妹と遊ぶ
編入前の学校 東雲学院
所属ユニット QU4RTZ

概要

初代ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルの「転入生」、所謂「モブライブ」を出身とするスクフェス組のひとり。
同じくスクフェス組である桜坂しずくエマ・ヴェルデと同様、スクフェスで開催された第3回転入生総選挙にて3位に選出されたことで虹ヶ咲への加入が決定し、それにあたって設定がリファインされた経緯を持つ。

……が、基本的に同じ経緯で虹ヶ咲にやってきた彼女ら3人の中でも設定のアレンジ具合にはかなり幅があり、しずくがほぼ原作そのままの設定で続投したのに対し彼方とエマはかなりの変更が加えられている。
特に彼方は違いが大きく、容姿以外の共通点は妹に遥を持つこととよく寝ることくらいと言っていい。

人物像(虹ヶ咲)

ライフデザイン学科フードデザイン専攻の3年生で、同好会初期メンバーのひとり。
虹ヶ咲へは物語開始直前の春に転入している*1

オレンジブラウンのウェーブヘアーに紫の垂れ目が特徴。
左サイドヘアーにはヘアピンを備え、左の後ろ髪が胸元にかかる。スクスタの新規衣装以外ではこの髪型が基本。
制服は冬服ではブラウンのカーディガンを中に着ており、夏服では薄いベージュのカーディガンをブラウスの上に羽織る。
スクスタでは全体的に着こなしがややだらしなく、制服もリボンタイが曲がっているほか私服ではよく肩がずり落ちている。一方アニメ版以降は比較的きっちり着るようになった。

多くの人が彼女に対して抱く第一印象は、「いつも眠そう」。
とにかく寝ることが大好きで、暇さえあればお昼寝している。スクールアイドルの練習や打合せ中に寝落ちするのも日常茶飯事。
特に枕にはこだわりがあるようで、紫の縞模様が入った特大サイズの枕を愛用しており部室や外出先にも持ち込んでいる。
スクスタでは保健委員を務めているが、その理由もいつでもベッドが使えるから
屋外で居眠りすることにも全く躊躇がなく、学園内の数箇所を「お昼寝スポット」としており部室や教室で姿を見ない場合はだいたいそのどこかでお昼寝している。
また仲間達に膝枕してもらってお昼寝するのも好きで、同好会のほぼ全員の膝枕を経験している。ちなみにその中でも特にお気に入りなのはエマだとか。
とにかく「眠ること」にかける情熱は誰にも負けないと彼方自身も自負しており、スクールアイドルとしての活動方針にも掲げるほど。
……どういうことかと言うと、自分が寝ている様子を自ら動画配信にするのは序の口で、ベッドをステージに持ち込む、巨大な枕をモチーフにしたステージを作ろうと提案する、果てはライブパフォーマンスの一環として観客とお昼寝する。これがスクールアイドル・近江彼方である。

こうした言動からもわかる通り、ひたすらにマイペースなのんびり屋さん。
話し方にもそのマイペースさが現れており、スクスタでは語尾のほとんど、台詞の節々に「〜」や「……」がついていた。
楽観的な性格で、並大抵のことでは動じない。
前記の隙あらば寝ようとすることも相まって周囲がてんやわんやの大騒ぎを繰り広げている中、彼方だけは意にも介さず爆睡中なんて事は日常茶飯事である。

そんな「個性」がキーワードの虹ヶ咲の中でも特に強烈な個性を発揮しているメンバーの一人だが、一方で誰よりも周囲をよく見ており、皆を一歩後ろから見守っている「お姉さん」でもある。
普段は気ままに振舞ったり周囲のなすがままにされている彼方だが、そんな中でも相手の身だしなみが少し崩れていることに気付いてこっそり直してあげたり、仲間のオーバーワークを案じてお昼寝に誘うふりをして代わってあげたりといったさりげない気遣いも多く見られる。
そんな彼方の様子を見た歩夢は『にじよん』にて「甘え上手で甘やかし上手」と評している。

お調子者なところもあり、何気ない会話でも冗談を言っておどけてみせたり、真面目な話の最中に何食わぬ顔でボケてみたりして周囲を和ませる姿もよく見られる。メンバー弄りにも積極的で、特にかすみをよく可愛がっている。
それもまた、空気が重くなり過ぎないようにとあえて自ら道化を演じているがため。
そのマイペースさは同好会の空気を保つ潤滑剤であり、彼方がふざけていられない状況になるといよいよマズいという一種のバロメータ的な存在とも言えよう。

また、「よく眠る」と双璧を成す彼方のもうひとつの個性が家庭的な一面も持っていること。
特に料理に関するスキルは頭ひとつ抜きん出ており、専攻がフードデザインであることもあって授業で作ったお菓子を同好会に差し入れたり、合宿では夕食作りで大活躍したりと料理の話題になれば必ずと言っていいほど名前が挙がる存在。
ラブライブでメシマズと言えばまず挙がる存在であるせつ菜とはある意味で対になっており、あのせつ菜の料理をも見た目はそのままきちんと食べられるレベルに手直しできる
このように料理上手な一面がよく注目されるが、それ以外にもお世話好きな一面も持っているのは上記の通り。
そのため、かすみはQU4RTZメンバーで近江宅にお泊まりした際に「お母さんが2人いるみたい」と彼方を評している。


いつも眠そうにしているのに加えて普段わりとテキトーに振る舞っているため成績も……と思われがちだが、実は特待生待遇を受けているほどの優等生でもある。
というよりは特待生を維持するために夜遅くまで勉強を頑張っているから昼間に眠くなるというのが”眠り姫”彼方の真相。
しかし苦手分野自体はあるようで、スクスタでは数学の成績が低下気味でこのままでは特待生を維持できなくなるため、スクールアイドルより勉強を優先していた……というのが序盤にて同好会に通わなくなっていた理由であった。

なぜそうまでして特待生を維持しているのかと言えば、それは家計を案じてのこと。
そのためにアニメ版ではバイトの掛け持ちまでしており、同好会の活動もあることまで考えるとぶっ倒れない方がおかしいと言っていいほどのオーバーワークな毎日を送っている。
だが、それも自分のやりたいことをすべき叶えるために自ら選んでのこと。
彼方は、自分や皆のためならば苦労を苦とも思わずに進んでやる人物なのだ。

遥と彼方

彼方には、遥という名前の妹がいる。
遥は東雲学院に通っており、1年生ながらスクールアイドルとしても既に頭角を現しておりセンターを任されることすらあるほど。

彼方は遥を溺愛しており、あらゆる物事の原動力とすら言っていい。
スクールアイドルを始めた理由さえも、遥がスクールアイドルになったことをきっかけに自らも遥のためにできることをしたい、遥に喜んでほしいと思ってのことである。

当然のように彼方自身がスクールアイドル・近江遥の大ファンであり、東雲のライブには欠かさず参戦している。時には虹ヶ咲での活動より遥の応援を優先することも。
普段はマイペースでのどかな雰囲気の彼方だが、遥を応援している時だけは別人かと思うほど熱狂的なエールを送る。

きゃー、遥ちゃん!
遥ちゃーーーーーーんっ!!

ラブリー・ハルカ! ラブリー・ハルカ!!
遥ちゃん宇宙一可愛い〜!

きゃーーー、遥ちゃんと目が合ったぁぁぁぁ!

その普段の姿からは想像もつかない熱狂ぶりに、付き合わされた同好会メンバーが度肝を抜かれるのもお約束である。


彼方にとってあらゆる物事の判断基準は遥が中心と断言できるほどの溺愛ぶりのため、遥が彼方に向ける態度がそのまま彼方の調子に直結している。
基本的に仲良し姉妹のため喧嘩することこそ滅多にないものの、遥が彼方を避けたり嫌われたと思えるような態度を見せた日にはまさしく「この世の終わり」かのように絶望し、何もかもが手につかなくなってしまうほど。

遥本人にも「過保護」と言われてしまうほどに強い妹愛の持ち主ではあるが、決して妹を私物化しているわけではなく遥の成長を心から喜び応援してもいる。
その一方、遥も高校生になり少しずつ「姉離れ」を始めるようになっており、そんな彼女との向き合い方は彼方をめぐる物語の核心にもなっている。

「転入生」時代の設定

近江 彼方です。
ちょっと甘えん坊だけど、妹思いの
お姉さんです。

お昼寝が大好きで、
いつもおっとりマイペース♪

不思議な魅力でみんなのハートを
射抜くこと請け合いです!




……以上、
妹の遥がお送りしました。

妹の遥共々、東雲から音ノ木坂に転入してきた3年生。

「すごい てん☆ふぇす」では基本的に簀巻きのように布団にくるまった状態で登場する。立ち姿も簀巻き姿のまま立ちあがる。
元々普段から2.5頭身程度にデフォルメされて描かれる同漫画だが、衣服すら布団の下にされろくに描かれないのは彼方くらいのもの。
そんな姿でしかほぼ登場しないことが既に物語るように何に対してもぐーたらで、基本的に遥や周囲になすがままに引っ張られて生活している、言ってしまえば絵に描いたような「ダメ人間」。
こんな姉ではあるが遥からは慕われており、彼方の自己紹介回では肝心の彼方本人が爆睡中なのを尻目に健気に自己紹介を代行していた……というのが冒頭のやり取りである。

しかし同時にリアル頭身で描かれる頻度も高いキャラクターでもあり、彼方(と作者)が本気を出すと直前の簀巻き姿が嘘のような美人に変貌する……が、その姿は遥のイメージだったとかのオチがつけられることもまた多く、上記の自己紹介はまさにその典型。

料理に興味があるのは虹ヶ咲での彼方と同様ではあるが、スクフェス時点では主に食べる担当という点で大きく異なる。
バレンタインでは遥に向けてチョコを用意するなど作らないわけではないようなのだが、肝心の遥宛のチョコを自ら食べてしまい箱の中に「うっかり食い申した。 彼方」と書いたメッセージカードだけを入れて渡すのがもはや恒例行事であった。
もちろんホワイトデーにも……

バレンタインには…
大変立派なケーキを作って頂きまして…

今回は…
とっても素敵なクッキーを焼いて
頂きました…

妹に渡すヤツ
私食べちゃったから…

実質ぜんぶ
私が食い申した


(妹さん…!!)

基本的にはそのマイペースさを活かしたボケ担当ではあるものの、ツッコミもイケる両刀使い。
彼方が、というかてん☆ふぇすシリーズ全体に言える作風ではあるが特にツッコミを入れる際はかなり砕けた口調になることが多い。「おう やってみろ」「それでいいのかキミ」
ある意味この点はスクスタに引き継がれた要素と言える……かもしれない。

活躍

スクスタ

同好会が空中分解する以前から彼方の調子は変わらないようで、旧メンバーであるかすみ・しずくはその行方に見当をつけていた。
果たして2人の予想通り保健室でお昼寝していた彼方。だが、「部員を10人集めないと廃部」という状況は阻止したいと語るものの、「今戻るのは難しい」とも語る。
というのも、中間テストの成績が振るわなかったようで、期末では挽回する必要があった*2のだが、数学だけはどうにもならないと頭を抱えていたのだった。
……が、ちょうど直前に加入してくれた愛と璃奈が2人とも理数系の学部であることに気づいた「あなた」が、2人に勉強を見てもらうことを提案。
目下の懸案が一瞬にして解決したため、ならば我慢する理由もないと案外あっさりと復帰したのだった。

  • 彼方の想い、遥の想い(キズナストーリー8話〜13話)

いた……たすけて……彼方ちゃんもうダメ……

彼方ちゃんもう生きていけない〜うあ〜ん!

ある日突然、「あなた」達を見るなり「この世の終わりみたいな顔」で泣きついてきた彼方。
「だってこの世の終わりだもん〜」と嘆いた彼方が語ったのは……「遥ちゃんが今朝、お弁当を受け取ってくれなかった」というものだった。
さすがの「あなた」も拍子抜けして聞き返す。

え、え〜と……それだけ?
それだけって、これ以上なにかあったら本当に死んじゃうよ〜

……彼方はあくまで、至って大真面目である。
なぜか歩夢も「私だって、あなたに作ったお弁当を受け取ってもらえなかったら彼方さんみたいになるよ!」と彼女に共感している。
彼方が語るには、別にケンカなどはしていないらしい。昨晩までは本当にいつも通りの日常で、今朝になって突然「自分の分は自分で作るから」と自分でおにぎりを作って持って行ったのだそうだ。
原因にまったく心当たりがない彼方は、遥に嫌われてしまったのかと気が気でない様子だった。

その日以降もずっと、遥には「自分のことは自分でやる」と言われて避けられているようで、初めての事態に彼方は途方に暮れていた。
彼方には言いにくい理由があるのでは、と考えた「あなた」が思い切って遥に直接話を聞いてみたところ……遥は彼方を嫌うどころか、その逆だった。

遥は彼方がスクールアイドルとしての活動を心から楽しんでいることを知って、とても嬉しく思っていた。
だからこそ、自立しなきゃ、と思ったのが事の真相であった。
何よりも自分を優先してくれる彼方の姿勢に、我慢をさせてしまっているのでは、と思ったのだ。もし自分に何かあったら、スクールアイドルなどの「本当にやりたい、大好きなこと」よりも自分を優先してしまうのでは、と。

「自立」という言葉に、遥がいつの間にか想像以上に大きく成長していたことを感じて少し寂しさを覚える彼方。
しかし、自身がそうであるように、遥もまた姉のことを何より大切に想っての行動であることもまた事実。
遥の気持ち、自分の気持ち。その両方を大事にしないといけない。そう思った彼方は、自分も成長しなきゃ、と感じると同時に、スクールアイドルという「自分のわがまま」にももっと向き合うことを決める。

  • 差し伸べて、応える(メインストーリー4th season・第46章)
進路希望調査をきっかけに将来と向き合うこととなった虹ヶ咲の面々。
自身の夢を見つめ直す好機を得たこともあって、将来に向けて何かに挑戦しようという機運が同好会内で高まっていた。

そんな時勢もあって、彼方はかねてから興味のあったイベント「全国高校生No.1パティシエ決定戦」への挑戦を本格的に考え始める。
しかし、彼方はそのことについて悩みも抱えていた。
一緒にチームを組んで出ようと誘いたい友達がいるのだが、しかしその友達は最近、ぱったりとお菓子作りをやめてしまったという。
なにやら事情がありそうな様子を前に、彼女を誘うのが躊躇われる状況だったのだ。

その悩みを愛としずくに打ち明けたところ、「もしも『好きなのに作れない』という状況なのだとしたら、誘うことで前に進むかも」という2人のアドバイスを受けたことで、彼方はその友達───ツムギに、思い切って誘いの言葉をかけるが……結果は、芳しいものではなかった。
やはり、ツムギにはワケがあってお菓子を作れなくなってしまっていたのだ。

彼女のそんな様子を前にかける言葉を失ってしまった彼方は、パティシエ決定戦には1人で出ることを決意する。
しかし、やはりふと脳裏を過ぎるのは、ツムギが誘いを断った時の辛そうな表情。

好きなことが
できなくなるほうが辛いよ……



(私は、お菓子作りはもうしないって決めたの)
(私のお菓子は失敗の象徴)
(大好きだった人を傷つけて、大好きな人から
大好きなことを奪った象徴だから……)

ツムギにはかつて、応援していたスクールアイドルがいた。
彼女のためにと、こだわって作ったマカロン───「あなたは特別な人」という菓子言葉を持つ───を差し入れたこともあった。
しかし……ツムギは、彼女を応援したい気持ちが行き過ぎて活動方針にまで口出しし始めるようになってしまう。
果たしてそれが原因なのかはわからないが、結果として彼女はある日突然スクールアイドルをやめてしまった。
ツムギはその顛末に「応援という都合のいい言葉で自分の願望を押し付けていた」ことを悟り、そんな自分には誰かを応援する資格などないと考えてしまう。
そして応援する気持ちの象徴でもあったお菓子作りに対しても、「また誰かを傷つけてしまうのでは」と恐れを抱いていたのだ。

ツムギと知り合いだった「あなた」からそんな過去があったことを知った彼方は事情を理解しつつも、同じスクールアイドルとして応援を受けている立場だからこそ「ツムギの応援は、確かにその子の力になっていたはず」と信じる。

彼方ちゃん、応援して貰えることが
どれだけ嬉しいか、力になるのか、
ツムギちゃんに伝えたいな……

そう考えた彼方は、次のライブに向けて同好会の仲間たちに協力を依頼。
またエマの発案で、ツムギがかつて応援していたスクールアイドルの行方も探してみることに。

ライブをやるって決めてから
ずっと考えてたんだけど、
やっぱり応援ってすてきだよね

応援してもらえるから、
彼方ちゃんはスクールアイドルでいられるの

だけど、彼方ちゃんだって応援したい
誰よりもお菓子作りに真剣で、
誰よりもお菓子に愛情をたっぷり注ぎ込む
ツムギちゃんを応援したい

そのライブに込めたメッセージを受け取ったツムギは、大好きなお菓子作りと再び向き合う決意を固め、パティシエ決定戦にも彼方と出たいと申し出る。

テレビアニメ

第1期

  • #7:ハルカカナタ

彼方ちゃんはいつも全力です。
週5日のアルバイトも、お料理を作るのも。
世界一大好きな遥ちゃんの笑顔が見られるなら、どーんとこいだよ!

多忙な両親の支えになれればと勉強もアルバイトも頑張り、大好きな妹の面倒を見つつもそれら全てとスクールアイドルとを両立させる日々。

ある日、普段は東雲学院でスクールアイドル活動をしている遥が、虹ヶ咲の同好会を見学したいと彼方に相談する。
彼方はもちろん大喜びで歓迎し、遥に頑張っている姿を見せようと奮起。
……が、そんな彼方の練習風景を見る遥の目は、どこか物憂げであった。

一通りの練習を終え、同好会は休憩しつつ改めて遥をもてなす。
楽しげに遥と談笑する同好会の皆だったが……そんな時、彼方が突然音を立てて机に突っ伏した。
今日一日いつにも増して頑張っていた反動か、電池が切れてしまったかのように寝落ちしてしまったのだ。
しかし彼方のそんな様子にもすっかり慣れた調子の同好会に、遥は驚く。彼方は、遥の前では自分のお昼寝姿はほとんど見せていなかったのだ。

遥は彼方のそんな様子を見て彼女が無理を重ねていることを悟る。
そもそも、今回遥が虹ヶ咲を訪れた理由は多忙な彼方の身を心配してのことだった。遥にとっては、案の定というべき事態だったのだ。
だが、彼方が同好会でとても楽しそうに過ごしていることも確かに感じ取っており、そのことは素直に嬉しくも思っていた。

……だから私、決めたよ。
私、スクールアイドル辞める

家事に勉強、アルバイトの掛け持ちにスクールアイドルまで。
彼方本人は家族……特に遥のためならばと苦とも思わずにこなしてきた日常だったが、そもそもそんなに多くの事柄を両立できるはずがない。そんな生活を続けていては睡眠時間が足りなくなるのは当たり前で、このままではいずれ彼方の身が持たなくなる。
そんな姉の姿を見ていながら、自分だけ夢を追いかけることなどできない。だから、今度は自分が姉のために頑張らないと。
そう思っての決断だった。

だが、「大好きな遥が自分の夢を諦めてしまう」……それこそ彼方にとっては辛いことだった。
驚いた彼方は、なんとか遥に考え直してほしいと説得を試みるが……

そんなの、気にしなくていいんだよ〜。
だって、遥ちゃんは大事な妹なんだもん!


どうして……?
妹だったら、気にしちゃいけないの?


心配させちゃってごめんね。
彼方ちゃん、もっと頑張るから!

違う。
ただでさえ頑張り過ぎているのに、もうこれ以上頑張ってはいけない。
だから、本当にやりたいことだけに向き合って欲しいのに───!

……お姉ちゃんの、わからず屋っ!

遥はとうとう部室を飛び出して行ってしまった。
その後ろ姿に、愕然とする彼方。

……は…遥ちゃんが……怒った…………

自分のせいで心配をかけて、せっかくなったばかりのスクールアイドルを辞めようと決意させてしまうほどに遥を思い詰めさせてしまっていたことに気付き、彼方は落ち込む。

遥ちゃんが辞めるくらいなら、いっそ、彼方ちゃんが……

彼方ちゃん。
それは本当に、彼方ちゃんが望んでいることなの?


……違う。
彼方ちゃんの望みは、ずっと探してた夢は、ここにある

でも、遥ちゃんの幸せも守りたいの。
そんなの、わがままだよね?


そうかしら?
それってわがままじゃなくて、「自分に正直」って言うんじゃない?

それぞれの話を聞いていた璃奈は、彼方と遥の関係を「似た者姉妹」と評した。
2人の言っていることは、実はどちらも同じこと……「私のことはいいから、自分の夢を追いかけてほしい」。そう言って、2人分の重荷を全部一人で受け持とうとしているのだ。

彼方さん。
遥ちゃんはもう、守ってもらうだけの人じゃないと思う

仲間達の言葉を受けて遥の想いに気付いた彼方は、次の東雲のステージを借りて、想いを伝えることを決める……。

第2期

  • #2:重なる色
みんなとなら、見慣れた街だって
まるで違う景色になる!

彼方は、スクールアイドルフェスティバルに惹かれて虹ヶ咲にやってきたものの、同好会に入らないと宣言したランジュが気がかりなエマの様子を気にしていた。
彼方もまた、同好会に加わることに対して否定的な意見を述べるランジュには疑問を抱いており、「本当のことを言っていない」と考えるエマの言葉に頷く。

そうして、かすみや璃奈も交えた4人で「スクールアイドルらしいやり方で、ランジュの本音を聞き出す」方法を考える。

……ねぇ。
今度の合同ライブ、4人でやってみない?

エマのその言葉で、同好会初のユニット活動、QU4RTZが始動することになる……。

  • #12:エール!
年末が迫る中、果林発案の単独ファーストライブに向けて計画を練っていた同好会一同。
だが、そんな会議の最中に侑と歩夢の様子がどこかおかしいことに彼方は気付く。

家では、ラブライブ!予選でセンターを務めることとなった遥も、先輩達からの期待に少なからずプレッシャーを感じている様子も気がかりだった。
そんな遥を応援するために使えないかと巨大な書道アートの横断幕を作っていた彼方だったが、そこへ侑と歩夢の相談をそれぞれ受けることに。

今じゃなくて将来の話か〜。
みんな考えることは一緒だねぇ

2人の悩みは違う内容ではあったが、悩んでいる「本質」はどちらも同じだった。
お互いがお互いを応援してほしいけれど、それぞれやりたいことは違う。だからお互いの背中を押したら、2人は離れ離れになってしまう……

一緒にいられたらいいのにって気持ち、彼方ちゃんもわかるよ〜……

悶々としながらも完成した横断幕を抱えて帰ろうとした矢先、彼方はまたしても相談を持ち込まれる。今日の彼方はやけに大人気。
今度は、東雲のファンクラブの面々からだった。
「ラブライブ!に挑む遥たちに、エールを届けたい」と語る彼女たちとすっかり意気投合した彼方は、オンライン開催のため現地に行けない代わりに、東雲だけでなく予選に臨むスクールアイドルみんなへのエールを込めた動画を送ることを決める。

この企画のために様々な学校から集まってくれた有志達の様子に、彼方は「離れていても想いは伝わる」ことを改めて実感する。

突き詰めると、みんな根っこは一緒で。
大切な人を応援できる友達なのかもね。
歩夢ちゃんと侑ちゃんみたいに!

そして、侑と歩夢にも「背中を押して距離が離れたって、押してくれた手のぬくもりは残るよ。ふたりならきっと大丈夫!」とエールを送るのだった。

人間関係

人物称は原則「名前+ちゃん付け」で統一。
遥を除けば相手によって対応を変えることもほとんどなく、基本的に誰に対しても同じようにマイペースに接する。

自由気ままに過ごしているように見えて、実は誰よりも皆のことをよく見ている……彼方の人となりを簡潔に表すならそんなところか。
基本的には一歩引いた目線から周囲を見守るスタンスを貫いており、物事に積極的に関わっていくことこそ多くないがさりげなく気を回して「目立たない程度に貢献する」といった、まさしく「影の立役者」な立ち位置にいることが多い。
相手が悩みを抱えていることにいち早く気づいて自分に打ち明けるよう促したり、仲間同士の仲がぎこちなくなってしまった時は自ら仲裁に動き出したりといった場面も多く、いざと言う時に的確に手を差し伸べてあげられる存在でもある。

上述の膝枕だけでなく相手が起きてようが構わず抱き枕にして寝ようとすることも少なくないが、これによって頑張りすぎている仲間を自分のお昼寝に付き合わせる形で休ませてあげることにも繋がっており、時にはその隙に相手が受け持っていた仕事を引き継いであげることも。

3年生組は大なり小なり「お姉さん」らしい一面を備えていることが共通しているが、彼方も間違いなくその一人と言えよう。

  • 「あなた」
私がわがままにスクールアイドルをできるのは、
遥ちゃんもだけど、やっぱり一番はあなたのおかげだもん

のんびり屋さんなところも、わがままなところも、実はがんばり屋さんなところも。
その全てを受け止め、支えてくれる相手。

部室で眠ってしまい部活終わりまでそのままなことも多い彼方のために、起きるまで一緒に部室に残ることも多い。
彼方もその献身ぶりに加え、自分が頑張るために選んだ場所である同好会を建て直してくれた彼女に強く感謝している。


みんなのことは、私が幸せにします!!
わーお、大胆発言ー
大胆……問題発言ね

スクールアイドルのファンとして遥や東雲は前々からチェック済だったようで、彼方が遥を連れて来た日にはテンションが急上昇している。
そのため彼方ともこの一幕で一気に打ち解け、距離感が急接近した。
地味に好きなものを前にするとテンションが急上昇するという共通点もあり、特に遥の話題では大盛り上がりを見せる。

幼馴染ということもあって普段は侑と歩夢が仲良しであるため大体の問題は2人で解決できると考え見守っている様子。
侑が悩みを抱えていることに気付き自身に打ち明けさせた際のアドバイスにもその点が現れている。


こうして見ると
物増えたねー

ライブで使う物もこれだけあるし
それに…

増えていく置き傘
璃奈ちゃんの予備のボード
差出人不明の手紙
彼方さん
それから…


歩夢ちゃんにも
スルーされるようになっちゃったかー

何かとよく寝る彼方に対しては「ここで!?」なシチュエーションでは相応のリアクションを見せるものの、部室にいる時など平常運転な様子には程なくして慣れた模様。
冒頭の通りさらっとモノ扱いするほどに歩夢の日常風景に溶け込んでしまった様子……。

一方で妹と幼馴染、形は違えど共に「家族、あるいは家族同然の何より大切な存在」を持つ者同士であり、彼方の遥に対する想いには誰より強く共感している。
元々人に共感しやすい性格なのもあってか、遥にお弁当を受け取って貰えなかったために「この世の終わり」かのように落ち込む彼方にも全力で共感している。

アニメ版でも歩夢は彼方にどこか親近感を抱いている様子で、侑に相談できない悩み事を彼方に持ち掛ける場面も。


やっぱりかすみちゃんはいい子だねぇ〜
バカにしてませんかー!?
してないよ〜

ユニット仲間であり初期同好会メンバー同士でもある後輩。
その付き合いの長さもあって彼女の魅力の引き出し方をよく心得ているようで、かすかす呼びこそしないもののまた違った方向でよくからかっている。

他方で(主にパン限定とはいえ)かすみも料理はある程度作れるため、数は少ないが料理関連の話題をする場面も。
また「わがままに見えて実は尽くす側」という彼方の特徴はかすみにも通じるものがある。
事実彼方も「本当はすごくみんなのこと考えてくれるよね〜」と評し、かすみも「マイペースに見えて、本当はすっごくお世話好きじゃないですかぁ!」と返している。


彼方ちゃんもこの部室で
いっぱいお昼寝してきたよね


みんなの声が心地よくて
良い夢見られるよー


普通は騒がしくて
寝づらいと思いますけど…

エマと共に初代スクフェスからの付き合いであり、現在でも特に絡みの多い相手。
実際「普段はしっかりしているが、歳相応に甘えん坊な一面もある」しずくと「マイペースで甘えん坊だが、お姉さんらしい一面もある」彼方は好対照な関係といえ相性抜群。
普段はのんびり屋さんな彼方をしずくが引っ張ることが多いが、彼方もこっそりしずくの身だしなみを直してあげたりたまに甘えたがるしずくを可愛がったりといった場面も多く、まさしく彼方の妹が1人増えたかのよう。

彼方もしずくと遥を「似たもの同士」と評したり重ね合わせて見ている節もあり、自分の夢にしずくを遥の姿として連れ込んでからかったことも。
一方のしずくも、愛犬のオフィーリアと彼方がどこか似たような雰囲気を持っていることを感じており、またしずくにとってオフィーリアは妹のような存在であることにも言及されている。

…お互い、かわいい妹を持ちましたなぁ
はい。自慢の妹です

カナちゃんは
今日はいつもよりテンション高いね


うん高いよ〜
テンアゲ彼方ちゃんだよ〜

愛さん…本当にすごい……
全然わからない…

愛からは「カナちゃん」のあだ名で呼ばれている。
観察眼に長けた愛の目をもってすれば一見「平常運転」な彼方のテンションを一目で見抜くこともできる様子。
一方の彼方も愛のダジャレのキレ具合にツッコミを入れたりとお互いの「些細な変化によく気付く」長所が現れている。

彼方にとっては「愛さん=ダジャレ」というイメージらしく、彼方の周囲でダジャレに関するネタがあるとだいたい言及される。
お調子者なところもある彼方がダジャレを言うこともあり、愛を相手にダジャレを連発して沈めたことも…。


毎日”イマ”を全力で楽しんでいけば、きっと、
寂しいだけじゃない未来が来てくれると思うよ〜!

3年生同士であり、エマと共によく一緒にいる相手。
エマから話を聞いているのか、果林の「本当の姿」をかなり早いうちから知っている様子。誕プレにぬいぐるみを貰った果林が内心すごく喜んでいることを見抜いていたりといった場面も。

3人の関係性としては、果林が特にエマと仲がいいことから彼方が一歩引いた立ち位置で2人を見守っていることが多い。
一方で2人とも普段しっかりして見えて案外不器用なところも多いため、そうした場面では率先して助け舟を出すこともまた多い。
特に果林は大人っぽく振る舞う裏で悩みを内に抱えてしまうことも多いことから、同学年としてそうした弱みを打ち明けられる数少ない友達でもある。
特にスクスタにて2人がすれ違いを起こしてしまった際には内心かなりハラハラしていたようで、仲裁に奔走しつつ事態が解決した瞬間には安堵の涙を見せていた。


…むむむ〜!
この彼方ちゃんが寝落ちしないなんて…!

もっともっと
眠気を誘うパフォーマンスにしないと…!


彼方さんが燃えている……!
というか独特の目標ですね…

せつ菜から見てもその独創的な活動スタイルは衝撃だったようで、「身近でリスペクトしている人は?」という話題ではものすごい長文で彼方の魅力を語っている。

一方、普段のテンションこそ正反対ではあるものの「スクールアイドルが大好き」「好きな物を前にするとテンションが爆上がりする」といったように共通点も案外多い。
……もっとも、彼方の場合はほぼほぼ遥限定の共通点だったりもするのだが。

「人物像」の通りせつ菜の壊滅的な料理をも美味しく手直しできるほどの腕前の持ち主ではあるが、それはそれとして(だからこそ?)せつ菜の料理自体は避けたがる様子で寝たフリをしてやり過ごそうとしたことも。


いや───
平和だねー


そうだねー

ちょっと
平和過ぎちゃうかなー


そうだねー

でもQU4RTZは
これでいいのかもねー


そうだねー


いや───
ひたすらに平和だねー


そうだねー
平和だねー


時間通りに来ただけでこの騒ぎよう……
日頃の行いでしょうかね

どこか妹っぽい一面を感じさせる璃奈の様子はお世話好きな彼方の心をくすぐるようで、もうひと組の姉妹……どころかかすみも言及した通り「お母さんがもう一人いるみたい」な場面を見せることも。

璃奈はどちらかと言えば「寝る間を惜しんで頑張る」タイプであるようで、そんな様子を心配しているのか彼方が積極的にお昼寝に誘う相手でもある模様。
その誘いに釣られた結果、璃奈ちゃんボードを着けたまま寝てしまうのはもはやお約束。

  • 三船栞子

はぁ…素敵ですね
なんて幸せな世界なんでしょう…


また来たくなったら
いつでも連れて来てあげるよ
彼方ちゃんにお任せ〜

同好会のなかでもかなりしっかりした性格の持ち主だが、特に同好会加入以降は弱みを見せることも多い。
そのためか彼方もこっそりと気にかけているようで、生徒会としての業務もあって多忙な栞子を見るとあえて甘えに行って半ば強引に休ませてあげることも。
そうして栞子が寝落ちしたのを見ると、その横で栞子の仕事を引き継いであげる……という「お姉さん」らしい光景が『にじよん』にて描かれた。

彼方の夢の世界に連れて来られた栞子は、「なんでも手に入るしとっても美味しくていくら食べても太らないお菓子も食べ放題」をはじめとした文字通りの「夢の世界」には純粋に目を輝かせていた。やはり栞子も女の子。


飛び級生ゆえ年齢こそ違えど同じ3年生であり、ミアの加入後はエマや果林と共に過ごすことも増えている。
共通点が少ないせいか直接の絡み自体はさほど多くないものの、いつの間にか傍にいたり率先してミアに話題を振ったりといった様子はたびたび見られる。
ミアもどちらかと言えば歳の近い1年生達といることが多いため、現在でもミア以外の3年生3人で過ごしている光景も見られる。


彼方が!
彼方がランジュの膝枕で寝たわ!
みんな静かにね!


ランジュが一番うるさいよ…

アニメ版では特にランジュを気にかけていたエマを通してとはいえ、登場当初のランジュのやり方に疑問を抱いたことでエマやかすみの提案に乗っている。

同好会加入後、ランジュは彼方のお昼寝ライフをサポートするべくそば殻の枕を勧めたことも。
……が、そんなランジュに対し彼方はその場でランジュに膝枕をさせてそこで眠ることに。
これはこれでご褒美なランジュ、大喜びなのであった。

  • 近江遥

宇宙一かわいい遥ちゃんにふさわしいお姉ちゃんになるために、
彼方ちゃんは毎日勉強とスクールアイドル、
がんばるのですよ〜……

彼方が溺愛してやまない最愛の妹。
都内有数の知名度を誇るスクールアイドル部を擁する東雲学院に通う1年生で、1年生でありながら「あの東雲学院で注目度No.1のスクールアイドル」と話題になるほどの存在。
事実グループではセンターの座を射止めるほどの実力者でもある。

その溺愛ぶりはまさに「目の中に入れても痛くない」の諺通りだが、その評を聞いた彼方は「痛くないけど、入れたら遥ちゃんとおしゃべりしたり遊んだりできないから入れない」と(やけにハキハキした声で)返している。

さすがに朝起こしてもらったりなどのお世話を遥にしてもらっているのには姉としての威厳を考えることもある様子。
遥のことなら何でもしてあげたいという想いが彼方の言動の数々から垣間見ることができ、実際に遥に「過保護」と言われてしまうことも。
一方で遥の自立心を目にして以降は2人で協力して家事などをこなす姿も見られるようになり、お互いにお互いを支え合う仲良し姉妹としての結束はより固くなっている。

アニメ1期時点では卵焼き作りに苦戦していたが、彼方との練習の結果2期までの間に絶品の手料理を作るまでに成長させている。

  • 加藤ツムギ

彼方のクラスメイトで、スクスタのメインストーリー4th seasonのキーパーソンとなるゲストキャラクター。
彼方が一目置くほどの料理の才能の持ち主で、特にお菓子作りに関しては彼方もそのアドバイスに助けられていた。

「応援することに、意味なんてない」という考えを持っており、ある種虹ヶ咲の物語におけるアンチテーゼ的な存在である。
それはかつて応援していたスクールアイドルを行き過ぎた応援で潰してしまった過去を持っているためであり、その経験から「応援には少なからず自らのエゴが含まれており、『純粋な応援』などというものはない」「それは応援を続ければ続けるほど膨らんでいって、いつかただのエゴになる」という考えゆえのもの。

だが、璃奈達の挑戦やそれを献身的に支える「あなた」に触れたことで、徐々に「応援」に対する心境も変化してゆく。
そうして、彼方の声掛けもあってトラウマの象徴でもあったお菓子に再び向き合うことも決める……。

ソロ楽曲

全体の傾向

アニメ化前後で持ち曲の傾向が大きく変わったメンバーの一人。
1st〜3rdソロ曲までは「眠り姫な彼方ちゃん」を主軸とした、おとぎ話のミュージカルを思わせるメルヘンチックな楽曲が続いていた。
その中に、彼方の見る『夢』……「理想」と「幻想」という両方の意味を詰め込んだステージを形作る、というのがスクスタにおいて彼方が得意とするパフォーマンス。
すなわち、彼方が普段観ている夢の世界に観客を引き込むと同時に、その「夢の世界」の中で彼方の目指す理想や内に秘めた想いを描く……というもの。

アニメの放映以降にリリースされたソロ曲では、彼方のもうひとつの個性である「家庭的で妹想い」という一面をクローズアップした楽曲が主体となっている。
披露回のサブタイトルが示す通りに遥との関係性にスポットを当てた『Butterfly』はもちろん、物語中のヒロインにとっての大切な存在を遥と重ね合わせて歌い上げる『Silent Blaze』、彼方の考える恋愛観を料理になぞらえて表現した『Cooking with Love』など。
楽曲の方向性が変わったことに伴ってかテンポや曲調も大きく変化しており、最近の曲ではEDMや熱いロックも担当するようになっている。

ソロ楽曲一覧

▶眠れる森に行きたいな

作詞・作曲:Ryota Saito・Diz
編曲:Diz

1stアルバム『TOKIMEKI Runners』収録。
言うなれば彼方の自己紹介ソングで、彼方というスクールアイドルの日常をベッドの上からゆる〜く歌い上げる。
タイトルにもあるように『眠れる森の美女』をモチーフとした楽曲なのだが、ヒロインの美女を指して「ずっと寝ていられるなんて羨ましい」と評するのがなんとも彼方らしい……。

パフォーマンスの最後は「おやすみ〜♪」とベッドに寝転がったところでステージが暗転するというもの。
リアルライブではこの暗転中にステージの配置転換が行われるのだが、このベッドにはキャスター式になっており、配置転換の際に鬼頭さんはそのままベッドごとガラガラとスタッフ達に押されて退場していくんだとか。緊急搬送かな?

▶My Own Fairy-Tale

作詞:Ryota Saito
作編曲:Ryota Saito・Diz

2ndアルバム『Love U my Friends』収録。
ある日、遥に避けられてると感じひどくショックを受けてしまった彼方。
しかし、その真相は……スクールアイドルとして成長してゆく彼方の姿を見て、そんな彼女がいつも自分を優先してくれることに負い目を感じ、我慢させなくていいように自立しようと思ってのことだった。
いつの間にか、遥が大きく成長していたことを強く実感した彼方は、遥にも自分のことで心配させないようにならなくてはと思い立つ。
そうして、彼方が考えたのは……「ステージに立つ時だけ、いろんなことを全部忘れて自分の好きなことだけをしちゃう、わがままな私の歌!」

前作が現実側の視点に立っていたのとは対照的に、彼方の夢の世界へ観客を誘う内容の一曲。
シナリオ中で「ステージに上がってる時の彼方ちゃんは無敵」と語った通り、彼方の大好きな夢の世界を遊園地のパレードを思わせる煌びやかなメロディに乗せて歌い上げる。

テレビアニメ2期最終話では他メンバーの『LUmF』収録曲と共にダイジェストで披露。
ラストでは上記の『眠れる森へ行きたいな』を思わせる演出も。

▶Märchen Star

作詞:Ryota Saito
作曲:Ryota Saito・Diz
編曲:Diz

3rdアルバム『Just Believe!!!』収録。
「あなた」の発案でファンクラブを作ることにした彼方。
「彼方ちゃんすやすや配信」「みんなで集まってお昼寝ライブ」など、ファンクラブの企画でもいつも通りというか型に嵌らない発想で人気を博していく。
そんなある日に彼方が閃いた次のライブ会場は、「彼方ちゃんの夢の世界」───!?

「夢の世界の表現」というテーマこそ引き続き採用されたものではあるが、こちらでは「夜」と「魔法」をテーマとして、よりファンタジックな楽曲に仕上げている。
またファンクラブイベントに向けた楽曲という要素も反映させてか、ファン達への感謝も歌詞に込められている。

MVでは三日月形のリフトが登場し、サビで月に腰掛けた魔女っ子衣装の彼方がそのまま空へと浮かび上がりながら歌うシーンが印象的。
もちろんこの演出はリアルライブでも再現されている。
鬼頭「乗っちゃったねー、月。」

▶Silent Blaze

作詞:鈴木エレカ
作曲:鈴木エレカ・田中マッシュ
編曲:田中マッシュ

4thアルバム『L!L!L!(Love the Life we Live)』収録。
校内フィルムフェスティバルに向けて作品を制作する各部活動のお手伝いをしているスクールアイドル同好会。彼方は、漫画研究部を受け持っていた。
作品の内容は、かつてより人々に危害を加えてきた怪物「アヤカシ」を倒し、平和を取り戻すため戦うくノ一を描いた熱血バトルものである。
そのテーマソングにも、「疾走感と熱血感」が求められるだろう。……今までの彼方の曲にはなかった方向性だ。

これまで自分が築いてきた世界観に寄せるのではなく、物語の主人公であるくノ一になりきって歌うことにした彼方だったが、今までとは全く異なる曲作りを求められたためにやはり苦戦してしまう。
しかし、「誰かのためなら無理を無理と思わず実行する」という主人公の戦う理由が彼方の姿と重なることに気付いた「あなた」は……?

彼方はこれまで比較的スローテンポな楽曲を中心に歌ってきたが、今回は彼方のイメージを180度覆す疾走感と熱血さに溢れるアニソン調の一曲に仕上がっている。
4thアルバム自体が「映画のテーマソング」というテーマによって各スクールアイドルがこれまで培ってきたイメージとは異なる方向性の試みを打ち出した楽曲を中心としているのだが、本楽曲はその中でも「意外性」という点ではトップクラス。
しかし彼方らしくない曲なのかと言えばそうでもなく、物語のヒロインと彼方との共通項である「何より大切に思っている妹がいる」ことを主軸としてヒロインの守りたいものを遥の姿と重ね合わせていると見ることもできる歌詞にもなっている。

▶Cooking with Love

作詞:miyakei
作編曲:Em.me

5thアルバム『Fly with You!!』収録。
この秋、「ラブソングカーニバル」への招待状を受け取ったスクールアイドル同好会。
出演に向けて各々の考えるラブソングを制作することになったのだが……彼方の曲作りは難航していた。彼方は、自分の考える恋愛観があやふやだと感じ方向性を定められずにいたのだ。しかし仲間達とも話をする中で、歩夢との会話から「押し付けがましくしたくない」が考えの根幹にあることに気付いた彼方は……。

熱く想いをぶつけるよりも、そっと傍に寄り添っていたい。
好きな人が幸せでさえいてくれるなら、他には何も望まない。
そんな彼方の恋愛観を、得意な料理になぞらえた一曲。
ひたすらに相手に寄り添う彼方の家庭的な一面を前面に押し出した内容となっており、歌詞の中に多数登場する料理の用語に例えた「恋の味付け」は、ひたすらに甘く優しい仕上がり。
一方でシナリオ中でも突っ込まれた通りに「相手が幸せになれるのなら、もし想いが叶わなくなっても構わない」と言ってしまうほどの献身ぶりも歌詞中に覗かせており、歩夢の『Walking Dream』などとはまた違った方向の「重さ」もまた隠し味。

▶Butterfly

作詞:Ayaka Miyake
作編曲:Em.me

テレビアニメ1期挿入歌シングル第3弾『Butterfly / Solitude Rain / VIVID WORLD』収録。
1期第7話『ハルカカナタ』挿入歌。

いつの間にか彼方の想像以上に大きくなっていた遥とのすれ違いを経て、姉妹のあり方を見つめ直した彼方。
そうして2人が実は全く同じことを考えていたことを知った彼方が、「これからは手を取り合って歩いていこう」と遥に語りかける……そんな一曲である。

ジャンルはkawaii future bass
誕生は2010年代という最新鋭の音楽ジャンルであり、字面から連想される通りに甘くポップなシンセサウンドを主体としたEDMで、未来的なサウンドを持ち味とする「future bass」の派生ジャンルである。
MVの主な舞台となったのはかつてお台場にあった商業施設、ヴィーナスフォートの教会広場。
中世ヨーロッパの街並みを思わせる同施設を背景にベリーダンス風衣装の彼方が踊る光景は、どこかエスニックな趣も感じられる。

このヴィーナスフォートはアニメ劇中にもたびたび登場していたほかに彼方も所属するユニット・QU4RTZの1stアルバム『Sing & Smile!!』のジャケットイラストの背景にも選ばれたりと彼方にちょっぴり縁の深いスポットでもあった。
しかし、そんなヴィーナスフォートも母体であるパレットタウンが借地契約を満了したことに伴ってアニメ2期放映直前の2022年3月27日に閉館。彼方やQU4RTZの面々が映っていた光景を実際に見に行くことは叶わなくなってしまった

……と思いきや、その後2023年10月に同施設の跡地を活用したテーマパーク、イマーシブ・フォート東京が翌年春にオープン予定であることが発表された。
ヴィーナスフォート時代の面影がどこまで残っているかにもよるものの、純粋に観光として訪れても楽しめる場所であったあの光景を再び見られる日は近い……かもしれない。続報に期待である。

▶︎Daydream Mermaid

作詞:Ayaka Miyake
作曲:鈴木エレカ・田中マッシュ
編曲:田中マッシュ

劇場版挿入歌ミニアルバム『どこにいても君は君』収録。
『完結編 第1章』挿入歌。

「スクールアイドルGPX」参加中は「わがままさん」として振る舞うことにした彼方は、遙が同行してくれなかった寂しさもあってか沖縄での活動中はほぼ終始しずくに甘えっぱなしであった。
その一方で、今の彼女にはとても多くの「やりたいこと」があるのだという。そして、それらはすべて彼方が本気で挑戦してみたいことだった。
そんな「欲張りさん」な自分を全力で肯定し、「3年生の冬」という今だからこそ、これからの展望を今目の前に広がる未知の大海を思いのままに泳ごうとする人魚に準えて歌い上げる一曲。

今の彼方が抱く心境をありのまま表現したかのように、楽曲・MVともに「遊び心」がふんだんに盛り込まれている。
中でも印象的なのは逆空耳だろう。言葉遊びでありつつもどちらの意味でもきちんとハマる歌詞は見事。是非歌詞カード片手に聴いてみてほしい。
映像面では「遙と沖縄デート」という本編で見られなかった私欲シチュエーションもさることながら、リアルライブの幕間ネタをもガッツリ盛り込まれている。これまでのライブを全通してきたニジガクマニアならばニヤリとくるものがあるはず。

ちなみに、途中に映り込んでいるなんだか物凄く見覚えしかない作画のロボットはR3BIRTHの1stライブに登場したトキメキゴーレム
そしてその作画はまさか……というかやっぱりというか、ご存知大張正己先生。自重しなさすぎである。

余談

貧乏?

「学費の負担を抑えるために特待生を維持している」「アニメ版ではさらにバイトの週5掛け持ちまでしている」「自宅が庶民的な一軒家」といった描写からか、近江家貧乏説がたびたび噂になる。
薄い本の動機作りにしやすいからか二次創作では比較的メジャーな設定で、ネット上でも「お金のためなら何でもやる彼方ちゃん」はネタ寄りの話題としてよく挙げられる。

ただし、確かに状況証拠が多いのは否定できないものの公式で貧乏キャラとして描かれたこと自体は一度もないことは留意されたい。
そもそも虹ヶ咲の登場人物が基本的にお台場在住という土地柄もあってタワマンなどに住んでいる描写が多いこととの対比として語られているという点も考慮する必要がある。
少なくとも作中の描写を見る限りでは生活に不自由している様子はないし、「お金に困っている」といったような悩みを打ち明ける場面もない。
虹ヶ咲学園の学費がどれほどなのかは流石に推測しかできないが、勉強やバイトを頑張らないと家計に影響が出る子が転入してまで虹ヶ咲のような巨大な私立校を選ぶのか?という点を考えても、「彼方が頑張らないと生活が成り立たないというレベルではないが、より家族に楽をさせてあげたいがために頑張っている」と考えるのが自然か。

ともあれ二次設定は二次設定なので、ネタとして扱うにせよTPOを守られたし。

てるてる彼方ちゃん

上記「すごい てん☆ふぇす」での彼方の簀巻き姿を基にした、巨大な彼方のぬいぐるみ。

簀巻き彼方自体はアニメ版でも『Butterfly』MVに背景として一瞬だけ映り込んだりと小ネタ程度に扱われていたが、2期で天気の心配をする仲間達に「じゃあこれを飾ろうよ」と遥と2人で作ったというこのぬいぐるみを持ち出したのが「てるてる彼方ちゃん」の初出である。
後に作中でもグッズ化を果たしたらしく、同じグッズを持っているモブが確認できる。

リアルでも5thライブにて公式グッズ化を果たし、全高約45cmという特大サイズで立体化。
その大きさとほぼ筒型という形状ゆえに枕や抱き枕としても使えるほどで、実際にそのように使用している人もいるとか。
コスパも良好だったため多くの彼方推しが買って行ったのだが……いかんせんライブの物販アイテムとしてはデカすぎた。
そこそこのトートバッグに入れても頭が出るくらいには大きいため、後先考えず購入してしまい後悔してしまったファンも多いとか……。

とはいえ現地購入すると色々苦労すること以外は「寝そべり」とほぼ同じ感覚で扱えることから人気は上々で、後年にはマスコットサイズにサイズダウンした上で彼方以外のバージョンも用意した「ニジガクてるてるマスコット」シリーズが登場するなど展開は広がっている。

なお「てるてる」とついてはいるが、実際のてるてる坊主のように吊って飾ろうとすると……なんか……絵面が洒落にならなくなることは公式からも言及されている。
これは…
おろそっか…


さぁ始まりました!
『追記・修正誰が早いか選手権』!
果たして勝つのは
キーボード入力の璃奈選手か
フリック入力の愛選手か!


───完成!!

なんと!二人とも同着です!
これはかなり白熱したバトルでした!
素晴らしい試合を見せてくれた
お二人に拍手を!


ちなみに彼方選手は1000文字以上打っていますが
全て間違っている
ので
失格とさせていただきます!


Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz.....

それでは皆さんごきげんよう
また来週!

{この項目が面白かったなら……\すやぴ/

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最終更新:2025年05月17日 11:45

*1 スクスタでの設定。本編で全く言及されない裏設定に近い上、アニメ版や『スクフェス2』ではプロフィールに記載がないため「生きた設定」ではない可能性がある

*2 彼方本人は語っていないが、「家計を助けるため特待生として通っている」という設定から特待生維持が期末に懸かっていたことがうかがえる