デイ・アフター・トゥモロー

登録日:2025/02/07 Fri 19:34:04
更新日:2025/03/11 Tue 23:21:45
所要時間:約 21 分で読めます




WHERE WILL YOU BE.


あなたはその時、どこに居ますか?






デイ・アフター・トゥモロー(原題:The Day After Tomorrow)とは、2004年に公開されたアメリカのSF・ディザスター・パニック映画。




概要

地球温暖化が原因で現代の地球が氷河期に突入して行く様を描いたパニック映画にしてディザスター映画。
監督は以前にインデペンデンス・デイ1998年のハリウッド版ゴジラを、そして後に『2012』等を手掛けるハリウッドきっての災害映画の第一人者ローランド・エメリッヒ。
人類が海流を乱した結果地球規模の災害に見舞われる様を描いており、その点に限って言えばポケモン要素を全部抜いたルギア爆誕と言える……かもしれない。
真面目な話ルギア爆誕と同様パニック映画でありつつも環境問題に対するメッセージを多分に含んだ作品でもあり、WWF(世界自然保護基金)でも本作の特集記事が組まれた事がある。

公開後は全米で興行収入約1億8600万ドル、日本でも約52億円(公開後3週連続1位)という大ヒット作となった。
2004年興行収入ランキングで言えば全世界第6位、日本国内第7位という成績を収めている。

日本版主題歌はday after tomorrowの『more than a million miles』。

あらすじ

古代地球の気候について研究している気象学者ジャック・ホールは、南極でのサンプル採掘中に途轍もない規模の棚氷の崩壊に遭遇する。
危うい所を辛くも生還したジャックはこのことを国連地球温暖化対策会議で発表、「このまま温暖化を放置すれば将来的に氷河期が到来する」と警鐘を鳴らすも、
温度上昇の行く末が氷河期という逆説的な彼の説明を真面目に聞く者は少なく、ベッカー米副大統領も経済への負担を理由に彼の訴えを一蹴する。

ところが、ニューデリーで大雪、大西洋の各地で海水温の異常低下、東京でも巨大な雹が降り……と世界中で異常気象が頻発し始める。
やがてロサンゼルスは超巨大竜巻で壊滅し、イギリスでは異常な猛寒波スーパーフリーズでヘリが墜落、そしてシベリアとヨーロッパと北米の北半球三ヵ所で同時に大陸ごと覆う規模の超巨大寒波の渦が発生する。
ジャックの息子サムも学力コンテストの為に訪れていたニューヨークで、膝まで浸かる程の豪雨と自由の女神像を飲み込む程の巨大高潮、そして暴風雪に襲われた。

やがてジャックが気象データを解析した結果は、「10年後か100年後か、いつかは分からないが将来的に起こるかもしれない」と思われた氷河期が、約6~8週間後――後にその予想すら甘かった事が判明し、実際には僅か数日後――に確実に到来するという絶望的なものだった。
ジャックは息子とその友人たちを救うべく、危険を承知で雪と氷に閉ざされたニューヨークへ向かう。
一方のサムもまた、大切な仲間の命を救うために重大な決断に迫られる。

親子の、そして地球の運命は……。


登場人物

  • ジャック・ホール(デニス・クエイド)*1
本作の主人公。古代の地球の気候について研究している気象学者。
仕事の為に世界各地を飛び回るなど家はほったらかしにしがちだが、そういった映画主人公にしては珍しく夫婦仲や親子仲はそこまで険悪ではなく、息子サムからも慕われている。

「地球温暖化が氷河期を招く」というパラドックスめいた主張の根拠として「極地の氷が溶け海流が乱れれば、赤道の温暖な海水を運ぶ海流が停止し地球規模の気温低下が起こる」「極地の氷が解け、海水の塩分濃度が薄まった事で海流が停止した可能性が高い」と丁寧に説明する。
……が、NOAAの専門家たちはともかくそうでない者、特にベッカー副大統領には理解は示されなかった。

かつての氷河期発生時の気候シミュレーションモデルを保有していたため、前代未聞の超大規模異常気象の前ではあらゆる気候シミュレーションモデルが太刀打ち不可能に陥る中で唯一ラプソン教授のデータを反映させる事ができる可能性があったため、
彼のデータを託されNOAAのスパコンで解析した結果、現状の異常気象は悪化して行き、6~8週間後には氷河期になるという結果が出てしまう。
アメリカ北半分の市民は絶望的、南半分の市民も今すぐ南へ脱出せねば命が危ない状況でサムはニューヨーク(アメリカ東海岸の北端)に取り残されてしまったため、彼を救出すべく雪と氷に閉ざされたかの地に向かう。

「採取したサンプルを回収すべく、落ちたら即死の巨大クレバスをジャンプで往復」「副大統領に何度も食って掛かる」「外に居たら即死レベルの寒波が迫っていると承知で息子の為にニューヨークに向かう」と、信念の為に無茶を厭わない行動力の高過ぎる男。
上司に当たるトムからも突拍子に見える提案を「この20年、お前がイカレてないのはいつもの事か」などと皮肉られている辺り彼にとってあれらは平常運転なのかもしれない。


  • ルーシー・ホール(セーラ・ウォード)
ジャックの妻。医師。
頻繁に仕事で数ヵ月も家を空けたままにするジャックには思う所がある様だが、関係は決して険悪ではない。
小児がん患者の少年ピーターの面倒を見ていたが、救急車でなければ動かせない彼は他の患者や医師と一緒に避難はできず、さりとて置いてもおけなかったため寒波が到来する中で病院に一人で留まる事を決意する。
方向性が異なるだけで彼女もまた医療従事者としての覚悟ガンギマリな、ジャックとはある意味似たもの夫婦と言えよう。


  • サム・ホール(ジェイク・ギレンホール)
ジャックの息子。事実上の準主人公。
学校の成績は常にオールA、微積分のテストを暗算で解くなど非常に優れた頭脳の持ち主だが、なまじ途中計算を書かなかったばかりに教授にカンニングを疑われ「自分が無理だからって決めつけるな」と反論した結果数学の成績にF評価(落第点)を付けられた。
「優秀ではあるが微妙に一言多く、そのお陰で目上の人とトラブルになりがち」という点でジャックとは非常に似た者親子この親にしてこの子あり
飛行機が苦手だが学力コンテストの為に仕方なく飛行機でニューヨークに飛び、早速乱気流で激しく揺れる機内にハラハラさせられる羽目になる。
同級生のローラに片思いしているが、中々思いを告げられずにいるなどシャイな部分も。

学友達と共に家に帰ろうと土砂降りの雨の中で駅に向かう最中に巨大高潮に遭遇、身を寄せた図書館の公衆電話でなんとか父と連絡を取り合い、彼から聞いた即死級の猛寒波到来予測と「寒波の「目」に入っている内は絶対に外に出ず、火を絶やさず暖を取り続けろ」という指示と「必ず助けに行く」という言葉を信じて待つ事を決意する。
しかし、吹雪が少し弱まった隙に図書館に避難していた人々は今のうちに温暖な南へ避難しようと言い出し、留まり続ける事を提案した彼は周囲から孤立してしまう……。

+ ネタバレ注意
結局他の避難民たちを引き留め切れず、学友達と数名の避難民を除いた全員が図書館を出てしまう(結局この時図書館を出た人々はスタテン島*2一人残らず凍死した事が判明する)。
図書館に残った彼はリーダーシップを発揮し始め他のメンバーを取り纏めると共に、図書館に残った食料をかき集めつつ父の指示に従い暖炉に図書を投入して暖を取りつつ助けを待つ。

しかし図書館に逃れる最中の負傷が元で敗血症を起こしてしまったローラを救うべく、寒波到達直前という状況ながらブライアン、J.D.と共に図書館の前に流れ着いたタンカーに乗り込み薬を調達に向かう。
途中で野生化した狼の襲来という予想外の事態に見舞われつつも凍死直前でなんとか食料と薬の確保と図書館への帰還に成功、彼女の命を救うと共に回復した彼女に告白した。

最後には助けに来た父と再会、仲間達と共に無事生還を果たした。


  • ローラ(エミー・ロッサム)
サムの同級生の女の子。彼と共に学力コンテストに出席する。
優しくも少々危うい面のある性格で、図書館に逃れようとしている最中に足を金属片で切って大怪我を負ってしまうも、
フランス語が分かる事からタクシーに閉じ込められながらも言葉が通じないせいで近くの警官は助けたくても助けられないでいた黒人母子をわざわざ来た道を引き返してまで助けに行き、
しかも高潮が迫っているのに彼女らがバッグを置き忘れた車内に取りに戻るなど結構無茶な行動が多い。

サムから片思いされていた事には気付いていなかったようだが、危うく高潮に呑まれかけた所を助けてもらった事で彼を意識するようになる。
しかし時間を経るごとに体調が悪化して行き……。

+ ネタバレ注意
遂に朝になっても目覚めず意識を失ってしまう
原因は大怪我した足を手当せずに長時間放置していたせいで*3傷口が化膿し敗血症を起こしていたためだった。

サムらの決死の行動により何とか快復、ラストではサムと思いが通じ合った事が示唆されている。


  • ブライアン(アージェイ・スミス)
サムの同級生の黒人少年。彼と共に学力コンテストに出席する。
お調子者な面があり、大の飛行機嫌いのサムに乱気流に巻き込まれた飛行機内で「乱気流で飛行機が墜落する確率って10億分の1だっけ?」などと言い出したり*4、サムがローラに片思いしていると知った上で彼女にナンパしようとするJ.D.を見て「ライバル出現だな。しかも向こうは大金持ち」とからかうなど口の減らないヤツ。
本人曰く「電子工作クラブと数学クラブとチェスクラブの部長」「ここに居る人々(高潮から逃れた避難民)の中で一番のオタク」との事で、図書館内で見つけた壊れたラジオをあり合わせの装備で応急修理し1分間だけ受信できた情報から北半球全体が猛吹雪になっている事を知る。


  • J.D.(オースティン・ニコルズ)
学力コンテストに参加していた男子高校生。
資産家の息子で、ニューヨークに豪邸を構える。仲の良い弟と執事が居る一方で両親とは不仲らしい。
ローラに粉を掛けようとするがサムと行動を共にするうちに彼の気持ちに気付き、身を引いて彼を応援する。

+ ネタバレ注意
サムの猛寒波到来の予想を信用し、共に図書館に居残る。

終盤では倒れたローラを救うべくサムらと共にタンカーに潜入、薬と食料を持ち帰るも途中で動物園から逃げ出した狼に襲われて足を負傷し歩けなくなってしまう。
しかしサムとブライアンの助けでなんとか狼の潜む船とスーパーフリーズから逃げ延び、最終的に生還した。

一方、寒波の到来前にサム達を駅に届けるついでに合流しようとしていた弟については、巨大高潮の後の混乱で連絡が取れないと語られたのを最後に以降の言及が無い。


  • ルーサー(グレン・プラマー)
ブッダと名付けた犬を連れているホームレスの男性。耳垂れ付きの帽子を被っているように見えるがよく見ると耳垂れではなくレジ袋
ホームレスな上に図書館に本来入れられない犬を連れている事で市民や警官などからは何かと邪険に扱われる。
何かとコメディリリーフを振られがちな本作の貴重な清涼剤キャラ

+ ネタバレ注意
猛寒波の到来を警告したサムの言い分を信用し、彼と共に図書館に居残る。
暖炉のある部屋に到着後は食料を探す時はゴミ箱も見てみる事を促したり、寒さ対策に紙を丸めて服の間に挟むといったホームレス生活で得た知識を皆に共有する。
その後は目立った活躍は無いが、皆と一緒にブッダ共々生還した。


  • ジュディス(シーラ・マッカーシー)
ニューヨークの公共図書館の司書。
サムの証言を聞き入れ、図書館に居残ると共に暖炉のある部屋に一同を案内した。

+ ネタバレ注意
当初は本を薪替わりにする事に反対していたが、さもなくば全員凍死という状況だったためすぐに思考を切り替えた。
しかしその後倒れてしまったローラを医学書を参考に敗血症を起こしている事を察知、「本は燃やす以外にも使い道がある」と皮肉りつつ彼女を助ける方法を導き出した。
最終的に一同と揃って生還。


  • テリー・ラプソン(イアン・ホルム)
スコットランドに居を構えるヘドランド研究所の海洋学者。海流について研究している。
温暖化対策会議で他の参加者に文字通り一笑に付されたジャックの発表を唯一真剣に聞き、興味を示した事で彼と交流を持つ。
当初は機器の故障と思われた海水温の異常低下が同時多発的に確認された事でジャックが危惧した氷河期到来が目前と悟り、現状に最も近い氷河期時代の気候モデルを持つ彼にデータを送信し今後の気候変動の予報シミュレーション作成を依頼する。
その後も異常気象についての知り得るデータをジャックに度々提供した。

+ ネタバレ注意
気温低下の進行に連れて彼の研究所も雪に埋もれ*5ジャックからも避難を促されるが、彼は既に手遅れに陥っている事を理解しており「一人でも多くの人々を救ってくれ」と言い残したのを最後にジャックとも交信不可能となる。
程なくして研究所の発電機の燃料も底をつき、助手たちは隠しておいた12年もののスコッチを取り出して燃料にできないかと言い出すが彼も隠していたグラスを取り出し、英国と人類とマンチェスターユナイテッドの未来を祈りながら乾杯した。

彼らはこれ以降出番もその後についての言及もないが、氷河期同然の寒波が到来する中で暖房が停止したとあっては間も無く凍死した可能性が高い。


  • サイモン(エイドリアン・レスター)
  • デニス(リチャード・マクミラン)
ラプソン教授の助手二人組。
海水温が突然13度も下がったと言い出した観測ブイを当初は(荒れやすい海域だった事もあって)故障と思って気にも留めなかったが、一度に2ヵ所も3ヵ所も同様の報告を吐き出すようになった事で事態の深刻さに気付く。
生まれたばかりの赤ちゃんを可愛がっていたりマンUのファンだったりと、覚悟ガンギマリ勢やパニックものにはお約束の無能や石頭が目立つ本作の登場人物たちの中でも一際人間臭い


  • フランク・ハリス(ジェイ・O・サンダース)
ジャックの同僚。
ジェイソン曰く「ジャックとは石器時代からチームメイト」との事で、ジャックからも信頼篤い。
ジャックからは南に避難するように促されていたが、息子を救うべく既に氷河期に突入したニューヨークへ向かうジャックに同行する。

+ ネタバレ注意
ニューヨークへ向けてショッピングモールのガラス天井を徒歩で移動中に足場が割れて落下、二人と命綱を繋いでいたため床まで一気に転落こそ回避するも宙吊り状態になってしまう。
始めは「ちょっと買い物がしたくなった」と冗談を飛ばすも、ジャックとジェイソンが自身を助けようとするうちにガラスのヒビが大きくなって行くのを目撃、このままでは最早全滅は避けられないと判断し二人を救うべく自ら命綱を切って転落死した。


  • ジェイソン・エヴァンス(ダッシュ・ミホク)
ジャックの同僚。本人曰く「ジャックとの苦役(・・)期間は2年ほど」
ジャックからは「あいつに(サンプル採取の)ドリルを任せて大丈夫か」などと言われたりジャネットに粉をかけようとしてフランクに頭を叩かれるなど、ベテランのジャックや親分肌のフランクに対して彼はいろんな意味で若さが目立つ。
しかし彼もまた息子を救うべくニューヨークに向かうジャックとフランクに「方向音痴のあんたら二人に任せていたらクリーブランド*6に行っちまう」と同行を申し出る。
とはいえ道中でも弱気な発言を何度も零すなど、強靭な意志力を持つジャックと比べてやはりまだ若い。

+ ネタバレ注意
フランクには何かとキツめの物言いをされる事が多かったが嫌っていた訳ではなく、彼が転落死しかけた時は助けようと全力で奮闘し、結局助けられなかった後は悲しみに暮れていた。
その後はニューヨークまであと60kmという辺りまで懸命に歩き続けるが途中で力尽きて倒れてしまい、しかもその状態でスーパーフリーズに巻き込まれてしまったためジャックは屋内に逃れる為にやむを得ず彼をバーガーキングの天窓から店内の床に投げ落とした(軽傷で済んでいる)。
意識を取り戻した後はジャックと共に再び歩き通して公共図書館まで到着、天井を残して雪に埋まった図書館を前に絶望するもサム達を捜索・発見し共に生還した。


  • ジャネット・タカダ(タムリン・トミタ)
NASAのハリケーン学者の女性。苗字はアルファベット表記をローマ字読みすると「トカダ」である。
NOAAの会議に参加し、「太陽活動に変化は見られない」と太陽は此度の寒波とは無関係な事を報告する。
トムを始め他の職員たちが信じ切れずにいるジャックの仮説を早期に信用し、彼のデータを元にした今後の気候変動のシミュレーションモデル製作に協力する。
ジャックがニューヨークへ出発した際は彼の無事を祈りつつ見送り、以降はトムと共に寒波の観測を続けつつ情報を送り続ける。


  • レイモンド・ベッカー(ケネス・ウェルシュ)
アメリカ副大統領。パニック映画には付き物の経済活動を理由に専門家の警告に耳を貸さず、そのせいで被害を拡大させることになる無能指導者枠。

のっけから「環境は脆い」「今すぐ手を打たないと子孫にツケを払わせる事になる」と温暖化について忠告するジャックに対して「経済も脆い」「京都議定書のツケは誰が払う」と尽く突っ撥ね、
異常気象が頻発し始めジャックが「あと7、8週間で氷河期が来る」と改めて国民の避難指示を願い出た際も「氷河期は100年後の筈だろう」「今回もその予想は外れる」と全く聞く耳を持たず、今すぐ北部の住民を避難させるべきとの必死の訴えも全く取り合わなかった。
後にこの判断が事態を致命的に悪化させる事になる。

+ ネタバレ注意
トムの手引きでベッカー含むブレイク大統領や国務長官、米軍将軍といった政府首脳に対し改めて状況説明の機会を与えられたジャックは「アメリカ南半分の全住民を即避難させるべき」「ここ(アメリカ中央部)から北はもう無理。下手に避難させるより屋内に籠り暖を取らせ続けた方がまだマシ」と主張するが、
実質北半分の市民を見捨てようという意見に彼は今更ながら反対、トムからは「誰かがもっと早く専門家の話を聞いていれば見捨てなくて良かった」と皮肉られ、大統領を始めとした他の首脳陣もジャックの意見を受け入れつつある中、
この期に及んでもただ一人「この様な予想をしているのはジャックのみ」「この安全なワシントンでは何とでも言える」とジャックの提案を反対し続ける。
しかしトムから「ジャックの息子は今ニューヨークにいる(=ジャックは国に自分の息子を見捨てろと進言している)」とまで言われては二の句を繋げられなくなり、結局大統領のジャックの提案受け入れ決定を承諾し他の政府首脳陣と共にメキシコに避難する。
後にワシントンに最後まで居残っていた大統領が寒波に追い付かれ遭難死した事で繰り上がり的にアメリカ大統領となるが、この知らせには彼も呆然とする他無く、以降の彼はこれまでとは打って変わってほとんど覇気を無くしてしまう。

自身の置かれた立場や状況もあって以降は改心し、メキシコでジャックとその息子の無事を聞いた際は嬉しそうに微笑んでいた。
結果的には地球が氷河期に突入するというジャックの予想はまたしても外れ、一過性の「世界的な異常気象と猛寒波」に留まったが、これまでの傲慢振りを反省しラストでは環境問題に真剣に取り組む事を発表した。

ちなみに、彼の容姿は公開当時の米副大統領ディック・チェイニーとよく似ている


  • リチャード・ブレイク(ペリー・キング)
アメリカ大統領。
いつまで経ってもジャックの説明を全く信用しようとしない副大統領に対し、こちらは(既に事態が相当深刻化していたとはいえ)彼の言い分を早くに信用する。
国境を閉鎖したメキシコに国民を逃がすべくラテンアメリカ諸国の債務全額免除を提案するなど、アメリカ国民の命を救う為に奔走するが……。


  • トム・ゴメス(ネスター・セラーノ)
NOAAの長官。ジャックの上司に当たる人物。
ジャックが副大統領に食って掛かったのを「彼を怒らせて予算を下げられるような真似はするな」と苦言を呈したり、間も無く氷河期が来るという彼の忠告も適当に聞き流したりと、パニック映画には欠かせない人の話を真面目に聞かない頭の固い奴枠に当たる人物。
しかしアメリカ中の天気の専門家たちを取り纏める立場というだけあって副大統領と比べて遥かに話が通じ、ジャックが今後の気象予想モデルを作る為のスーパーコンピューター使用を許可し、その結果が出た後は彼の味方となり様々な形でジャックをサポートした。

+ ネタバレ注意
「僅か数日での氷河期到来」というジャックの予想通りに進行して行く現状を直接米政府に伝えるべく、ニューヨークへの出発直前の彼を、話を聞かない副大統領を飛び越し大統領を含む政府高官の元に直接案内し、その後はニューヨークに向かう彼の無事を祈りつつ見送った。

メキシコの難民キャンプに避難後もジャネットらと共に気候の観測を続け、遂に寒波が去りジャックとその息子の生存を確認すると自らヘリに乗ってニューヨークに駆け付け、彼を迎え入れた。


  • ISS乗組員たち(ヴラスタ・ヴラナほか)
宇宙ステーションに滞在している数名のクルー。中には日本人のヒデキ(ラッセル・ユエン)もいる。
間も無く地球に帰還予定だったが、悪天候により延期になっていた。
宇宙から巨大寒波の発生を目撃し、地上に向けてデータを送信するなどして状況打開に協力する。

+ ネタバレ注意
メタ的には「宇宙から地球全体を観測し状況を視聴者に伝える」という役割を担う。
終盤、嵐が過ぎつつあることを宇宙から目視、ようやく寒波が過ぎ去った様を見た彼らが「見た事ないほど地球の空気が澄み切っている」と言い残して映画は幕引きする。



用語・地理

  • ラーセンB棚氷
冒頭にてジャックのチームがサンプル採取を行っている南極東部の地名。
サンプル採掘中に巨大な亀裂が入り、ロードアイランド州(愛媛県より少し大きい程度)と同じだけの氷が一度に流れ出した。
ラーセンB棚氷は現実でも2002年に崩壊し、同規模の氷が失われている。
劇中の災害描写は全てフィクションかつ規模にしても進行速度にしても災害パニック映画として(意図的に)かなりの誇張が入っているがこの部分だけは事実に基づいている。


  • NOAA
アメリカ海洋大気庁。
実在するアメリカの省庁で日本の気象庁その他を複合したような組織。劇中でも描かれている通り本部はワシントンD.C.近く。
ジャック達が所属する組織であり異常気象の解明や対策に奔走する。


  • ワシントンD.C.
アメリカの首都が設置されている東海岸側の都市。上記の通りNOAAの本部も近くに設置されている。
中盤、ジャックが説明した「この線より上は助けに行くだけ無駄」ラインのギリギリ下辺りに位置している。
南北で言えばアメリカのほぼ中央部北寄りに当たる地域にあり、当初は多少の風雨や雪で程度で済んでいたがやがてここにも猛烈な寒波が到来し、ホワイトハウスが雪で埋没した。


  • ニューデリー
序盤、国際地球温暖化対策会議が開かれたインドの首都。
2004年当時の平均気温は春から夏にかけては30度前後、冬場ですら低くても10度を下回らないという温暖な地域だが作中ではいきなり大雪に覆われており、ホームレスに凍死者も出ているという。
今後の異常気象の先駆けと言える現象だった。


  • 千代田区
我らが日本の首都、東京の官庁街。作中では官庁街というより雑然とした飲み屋街として描かれている。
「暴風・雷雨警報(原文ママ)」が発令され警察が市民の避難を促していたが、直後にソフトボール程の巨大な雹が無数に降り注ぐ。

お約束というべきか仕方ないというべきか、その情景はいかにもハリウッド映画に出て来そうなインチキ日本そのもの。何故か屋台飲み屋のカウンターにこけしが置かれている
街にも「高級鉄板焼き 山本」「スーパー電気屋」「サヌン(「ン」だけ鏡文字になっている)」「宅急便クロネコ*7といったインパクトのある看板も多数並んでいる。

日本パートの主人公に当たる会社員の男性タカも「スーツを着用し眼鏡をかけたサラリーマン」といういかにもなステレオタイプ。
風雨が酷くなったことで屋台呑みを切り上げ、アキなる女性と携帯電話越しに会話しながら帰宅しようとするが、巨大雹が降り注ぐ中で身動きが取れなくなり、意を決して頑丈な建物に移動しようとした矢先に頭に直撃を受け倒れてしまった。
なお日本パートの台詞は全て日本語で収録されている。

日本そのものの描写はこのシーンのみだが、日本向け映画ポスターでは東京タワーと足元のビル群が氷漬けになった様が描かれたものがある。


  • ロサンゼルス
序盤、いよいよ異常気象が本格化し始めた頃に舞台となるアメリカ南西部カリフォルニア州の都市。
アメリカで竜巻と言えばそのほとんどが東側半分であり西海岸に面したカリフォルニアでは竜巻など滅多に起きず、大規模になる事は輪をかけて稀だが*8作中では超巨大な竜巻が一度に何本も発生し、ハリウッドサインが吹き飛ばされて行ったのを皮切りにビル群が尽く破壊され全米屈指の大都市が瞬く間に廃墟と化した。

ロサンゼルスの場面ではニュースキャスターや気象関係の人間の様子が色々と描かれているが、報道車で街を走り回りながら実況していた(直前には巨大な雹で身動きができなくなっていた様子もある)アナウンサーのトミーは暴風の中で懸命に実況するも飛来して来た巨大な看板に撥ね飛ばされ、
現地気象センターのボス、ジェフは竜巻警報を出させると共に街に車で出向き竜巻をビデオで撮影するなどという呑気な事をやっていた市民を逃がそうとするが、自身も逃げようとした矢先に風に煽られて転がって来た大型バスに車ごと潰され、
竜巻発生の直前までオフィスで恋人とイチャコラしていた気象センター職員はその恋人諸共目前に迫る竜巻に呆然としながら(おそらくは)オフィスごと消し飛び……と、尽く凄惨な最期を迎えている(一応何れも死亡したと明言はされていないが)。


  • オーストラリア
言及のみ。
史上最強の台風が発生し壊滅的被害が発生したとされる。
オーストラリア版の映画ポスターではオペラハウスが高潮に呑まれる様子が描かれている。


  • ニューヨーク
北東部に位置するアメリカ最大級の都市。
高校生学力コンテストが開かれ、序盤でサムとその学友達が訪れた。
中盤以降ハリケーンの影響で3日間豪雨が降り続き、膝、次第に腰や頭まで水に浸かる程水位が高まり、下水まで溢れ出す。
おまけに自由の女神像(全高約46m)を飲み込む程の巨大高潮が発生し内陸にまでタンカーが入り込む程の水位になった挙句、猛吹雪とスーパーフリーズで完全に凍り付いた。
ジャックが示した「助けに行くだけ無駄」ラインの向こう側であり、中盤以降の現地住民の生存は半ば絶望視された地域にある。

サム達が避難したニューヨーク公共図書館は実在し、位置は大体マンハッタン島の中央南寄り辺り。作中でも描かれているがかの有名なエンパイアステートビルの近くにある。
左右の川からは1~2km程、自由の女神像がある南側の岸からは5km程離れている。そんな所にまで建物の2階が余裕で沈む程の高潮が押し寄せ、タンカーが座礁せずに侵入して来たという事である。

ワシントンからは直線距離にして約300km程離れているが、ジャックは現地で身動きが取れなくなった息子達を救うべく雪の中を進んで行く。


  • ヨーロッパ各地
ほぼ言及のみ。
劇中ではスコットランドが雪で埋もれている様子しか描かれていないが、ブライアンが修理したラジオの情報によると各地で4.5mの積雪が発生しているとされる。
ヘドランド研究所のサイモンの妻子はスペインに避難したそうだが無事かは不明。
因みにスコットランドや、ヨーロッパのほぼ中央に当たるフランスやドイツ辺りでは雪は降らない訳ではないが普通4mも積もる程の豪雪地帯ではない。


  • メキシコ
アメリカの南、赤道に程近い位置にある国。中盤以降は雪がちらつき始め、やがて数センチ程の積雪が発生している。
0℃未満になる事自体滅多にないメキシコでは僅かなりと雪が降るだけでも十分異常事態だがアメリカ本土やヨーロッパ程の大規模災害には見舞われていない。
メキシコからの不法入国はアメリカでは度々問題となっているが、本作の温暖な土地を求めたアメリカ人がメキシコに不法侵入して行く様は劇中でも異様な光景と語られている。
ブレイク大統領の尽力により大幅な譲歩と引き換えにアメリカ人が避難することを正式に認められ、後半にはアメリカの難民キャンプや暫定政府が設置される。


  • スーパーフリーズ
北半球同時三ヵ所に発生したハリケーンに酷似した超巨大寒波の「目」の中で起こる現象。
大気圏上層部にある極寒の空気が急速に地上まで流れ込んで来る事で1秒毎に気温が10度ずつ低下し、少なくとも-101℃以下という超低温にまで達する。
通常であれば同じような事は起きても空気が地上に到達する頃には温まるものだが、今回はあまりの速度故に空気が温まる前に地上に到達してしまっており、スーパーフリーズの中ではヘリの航空燃料がエンジン稼働中に凍結し墜落、人間などたちまち凍り付き生きたまま氷像と化して死ぬ



余談

製作・配給は20世紀FOXだが、本作のロゴ表示は作品に合わせてか天候が大嵐になっている。


中盤のニューヨークを襲った巨大高潮は、やはりと言うべきか近年のテレビ放送では大抵カットされる
しかしながらサムとローラの関係の変化や終盤のストーリーを描く上で重要なシーンなので完全に無くしてしまう訳にも行かないためか、「高潮そのものは頑なに描写せず、とにかく『迫って来る恐ろし気な何か』から必死に逃げる様子だけ描く」「逃げるシーンを全部カットしつつも『ローラが(描写外で)サムに助けられていた』事にしてしまう」といった力業が用いられる事も。


上記の通りWWFで特集を組まれた事があるが同記事によると地球温暖化への警鐘というテーマを描きつつも「壮大なスケールの映画を撮る事で大量の温室効果ガスを出している」という批判が寄せられたが、
エメリッヒ監督もそういった批評は織り込み済みだったのか撮影で排出した温室効果ガスの補填として森林再生プロジェクトとエコプロジェクトに向けて20万ドルを提供したとされる。


サメ映画のタイトルに何でも「ジョーズ」と付けられ隕石衝突パニックにも「アルマゲドン」と付けられるのと同様に、本作を切っ掛けに氷河期到来パニック映画にも何でもかんでも勝手に「デイ・アフター・トゥモロー」と付けられる便乗邦題が続出するようになってしまった
「デイ・アフター・トゥモローシリーズ(・・・・)」は2024年現在、「デイ・アフター・トゥモロー2017」「デイ・アフター・トゥモロー2018」「デイ・アフター・トゥモロー2020」「デイ・アフター・トゥモロー2021」「デイ・アフター・トゥモロー2023」「デイ・アフター・トゥモロー2024」等がある。
もちろん「アルマゲドンシリーズ」と同様に全部アルバトロスが勝手に付けた邦題なので本作とは全く関係無く、原題は何れも独自のものなので本来「シリーズ」ですらない。
なおこれらの評価は一様に「いわゆるクソ映画」。






教授、あなたも一刻も早くアカウント取得してください!


残念ながらもう手遅れだ……


……何かできる事は?


一回でも多く追記修正してくれ



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最終更新:2025年03月11日 23:21

*1 『インデペンデンス・デイ』にラッセル・ケイス役で出演したランディ・クエイドの実弟。

*2 公共図書館から南に十数km程下った位置にある島。

*3 劇中では触れられていないが、作中では下水が溢れる程の豪雨の中で怪我した足を長時間水に浸けている等、とても衛生的にしているとは言い難い状態だった

*4 後に悪化して行く気候により墜落した飛行機のニュースの前でサムから「何が10億分の1だ」などと言い返されている。

*5 ヘドランド研究所の外観は劇中何度か繰り返し描かれているが、異常気象発生前、発生直後、寒波到来後、最後の登場場面と時間が進行するにつれ、当初は見えていた芝が雪に埋もれて行き、最後には研究所の前の石垣すら見えなくなる程に積雪量が増して行っている様子が描かれている。

*6 三人が居るワシントンから北西にある都市。ワシントンの北東に位置するニューヨークの真反対。

*7 ロゴはクロネコヤマトとは全く似ていない

*8 日本人的にはピンと来ないかもしれないが、実際作中でも「ロサンゼルスが竜巻警報を出す(出した)」事はそれ自体が稀に見る異常事態として描かれている。日本で言えば稚内に暴風域を保った台風が上陸するようなものか。