劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕

登録日:2009/06/07 Sun 00:21:50
更新日:2025/07/04 Fri 22:37:02
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火の神氷の神雷の神に触れるべからず。

されば天地怒り、世界は破滅へ向かう。





ヤドキング「ルギア」

サトシ「あれが伝説のポケモン……」

命をかけて、かかってこい!!





◆概要


1999年7月に公開されたポケットモンスターのアニメ映画。ポケモン映画第二作。
歴代で一番スケールがデカイ作品。
同時上映は「ピカチュウたんけんたい」

『他者との共生』『行き過ぎた個人主義の功罪』といったテーマが盛り込まれているが、
子どもを意識してアクションシーンを全面的に押し出した結果、それが飲み込まれる形になってしまった。
そうしたことやルギアの声、主題歌の都合もあって脚本の首藤剛志は後に不満を述べている。

だが、疾走感溢れるアクションシーンは素晴らしく、後味のいい作品に仕上がった。


海のシーンが美しいことも本作の特徴。
全編に渡って海が描かれ、ラストでは壮大なことになっている。
彩色方式がデジタルになったため気付かれにくいが、
驚くべきことに作画のほとんどは手書きで行われている。この点においても評価が高い。

劇中に登場する古代のミュウのカードをパンフレットにつけるなど様々な商業戦略が行われた結果、
興行収入53億円記録し、1999年邦画興行成績第1位を達成した。
また、文化庁メディア芸術祭マルチメディア部門でも入賞している。

サトシの手持ちラプラスカビゴンが加わっていて、且つリザードンがサトシの言う事を訊くようになっていると言った点や、オレンジリーグやラプラスの離脱の有無と言った本編要素と矛盾しないようにすると、時系列は107話~113話以前の間に限られる*1
また、第223話では別個体のルギアに対してサトシ達が以前オレンジ諸島でルギアと会った事があると話べており、本作とテレビシリーズはリンクしている。

◆ストーリー


オレンジ諸島を巡るサトシ一行。
しかし航海の途中に嵐に巻き込まれてしまい、オレンジ諸島の最果ての島「アーシア島」に辿り着く。

島はちょうど年に一度の祭りの時期で、久しぶりの来訪者であるサトシ達は歓迎を受ける。
時を同じくして、ポケモンコレクターのジラルダンが“伝説の3匹”の一体であるファイヤーの捕獲に成功する。
それを察知したサンダーとフリーザーも動きだすが、ジラルダンの本当の目的は別にあった……。


◆主な登場人物


CV:松本梨香
ご存じ、主人公。
アーシア島の伝承にある“あやつり人(=ポケモントレーナー)”として、祭りの儀式に参加することになる。

CV:飯塚雅弓
ご存じ、おてんば人魚。
フルーラに嫉妬していたが、後に…

CV:関智一
旅に同行しているポケモンウォッチャー。
え?こんな奴いたかだって?
そんなこと言っちゃいけません。
ファイヤー・サンダーの救出時に水素爆発の化学式を披露する。

ムサシ(CV:林原めぐみ)
コジロウ(CV:三木眞一郎)
ニャース(CV:犬山犬子)
のいつもの3人組。
ニャースはポケモンであるがゆえに世界の危機を一番察知していた。
本作で一番輝いている人達。
これまでの悪役としての活躍とは一転し、終盤においてまるで劇場版某ガキ大将ばりにサトシを漢気全開でサポートする。
彼らがいなければ世界は滅亡していたと言っても過言ではない。

  • フルーラ
CV:平松晶子
本作のヒロイン。
歴代劇場版ヒロインの中でも特に可愛いと評判な娘。
アーシア島での祭りを司る一族の末裔で、この度の儀式で巫女を務める。
初対面のサトシに歓迎の証としてキスした。
彼女の笛の音階はルギアの鳴き声を模しており、世界を救う鍵となる。後の劇場版21作目でも重要な場面で流れる。
余談だが中の人は後のAG編で一時的にムサシの声を演じている。

CV:石塚運昇
ご存じポケモン研究の権威。
世界各地で起こっている異常現象について簡潔に説明してくれる。

CV:豊島まさみ
サトシの母。
オーキド博士に同行し、ラストではサトシに「一人の母親」としてある言葉をかける。

  • ジラルダン
CV:鹿賀丈史
本作の悪役。ポケモンコレクター。富豪らしく自身の天空宮にコレクションを飾っている。
別にゴミ箱ポイポイのポイよッ!!とかいいですとも!とか言ったりはしない。

伝説の3匹を捕獲しようとするが、本当の目的は“海の神”ルギアを捕獲すること。
その過程でファイヤーとサンダーを捕獲した結果、気象のバランスを崩して世界滅亡の危機を呼び込んだ。

他者に意図して危害を加える悪人ではなく、間違って捕まえたサトシ達を天空宮内で「コレクションには触れないように」と言いつつ解放した。捕まってるファイヤー達を見たサトシは触れるどころかコレクションに総攻撃をしたが
自分のことにしか興味がない“コレクター”であり、今作において彼を動かすものは「伝説のポケモンが欲しい」という欲求。
つまり実は伝説のポケモン・幻のポケモンを欲しがるゲーム版ポケモントレーナーのメタファーともなっているキャラクター。劇中では捕獲器を用いてファイヤーとサンダーを捕獲したことをサトシたちに「モンスターボールで捕まえるべき」と非難されるも「私はトレーナーではなくコレクターだから」という理由で歯牙にかけず、世界の環境崩壊危機を招いたが、もしマスターボールを用いて捕獲した場合気象バランスは大丈夫だったのかは不明。
キャラクターソング「我はコレクター」での「私は誰かの王様ではない 私は誰かの兵隊でもない」が彼の本質を象徴している。
まとめると自分のことにしか興味がないゆえにブレることがなく他者の世界を蹂躙しても一切気にしない究極の自己中人間。
首藤氏のコラムによれば最終的に「コレクションを集めたいという自分本位の欲望は、壊されたわけではない」とのことで、そもそも悪意で行動したのではないので改心も何もするわけもなく事件後もブレず、ルギア達に興味をなくした彼は今度はミュウに標的を定めた様子。

この自分本位の姿は、最終回没プロットのテーマにもつながる対比だった様子。

後の劇場版5作目にも本に載った写真でチラッと登場。


◆主な登場ポケモン


CV:大谷育江
我らがマスコット。
世界の危機を救うため、サトシと共に奮闘する。

CV:こおろぎさとみ
チョッゲッp(ry

CV:かないみか
ケンジの手持ち。
こちらも可愛い。

CV:浜田雅功
アーシア島伝説の生き証人。
他の個体と比べて知能が非常に発達しており、人語で喋る。
サトシ達に世界を救う方法を教えた。
台詞のほとんどは「困ったなぁ」である。

  • 全世界のポケモン
世界のバランスが崩れたことを察知。
泳げるポケモンと飛べるポケモンはアーシア島へ向かい、それ以外のポケモンは今いる陸地においてアーシア島へ一番近い場所に集結する。

CV:愛河里花子
「火の島」に住む"火の神”
このファイヤー含むアーシア島にのみ住む三匹は極めて特殊な個体で、サイズも通常の同種より一回り大きく、何よりパワーも段違い。1体欠けるだけで、海流をはじめ自然界のバランスが崩壊してしまう。
ジラルダンに最初に捕らえられる。炎タイプなのに凍結弾で。*2
後に救出されるが、サンダーとフリーザーと共に三つ巴の戦いをすることに……。

CV:小西克幸
「雷の島」に住む“雷の神”
ファイヤーが捕獲されたのをいいことに「火の島」を侵略しようとするが、
待ち伏せしていたジラルダンに捕らえられる。

CV:冬馬由美
「氷の島」に住む“氷の神”
唯一捕獲を免れるが、三つ巴の戦いになった際に近海の海を全て凍らせるなど一番迷惑なことをしてくれる。
そして最後に出てきたのに1番最初にやられた不遇な子。

CV:山寺宏一
幻のポケモンX。
「世界が滅亡の危機に瀕した時に現れる」とアーシア島の伝承で語られている“海の神”
ファイヤー、サンダー、フリーザーの三つ巴の戦いによって世界のバランスが崩れたことを察知し、海洋深層の底から復活。
“伝説の3匹”を相手に互角に渡り合うなど強大な力を持ち(空中・水中での高機動力、生体バリアー、ルギアビーム等)、人語を解して対話することもできる。

ジラルダンの攻撃により戦闘不能に陥るが、フルーラの笛の音を聴いたことで復活。
異常気象の原因の海流を元に戻し、再び海底で眠りについた。

映画『ポケモン・ザ・ムービーXY 光輪の超魔神 フーパ』では同一個体(小説版で明言)が多少だが登場した。


ちなみに山寺宏一は前作ミュウに引き続き、幻のポケモンを演じた。
そのイケメンボイスやデザイン・活躍で、『ポケモン銀』は子供達の大人気となり、後の登場回数も多い。
だが脚本家的には、「海は母性の象徴」ということで女性声優がよかったらしい。
もし女性声優ならその後の人気なども色々変わっていたかもしれない。


◆主題歌


『ライバル!』

オープニングテーマ。TVアニメ本編のものと同じ。

『toi et moi』

エンディングテーマ。歌:安室奈美恵

余談だが、この曲の作詞・作曲・編曲・プロデュースは小室哲哉氏であり、映画宣伝の番組にてコメントをしていたのも遠い過去の話である。

脚本の首藤剛志氏によれば『toi et moi』は元々は主題歌の予定ではなかった。
当初はフルーラの笛の音に監督の湯山邦彦氏が作詞をし、フルーラ役の平松晶子氏が歌った『はてしない世界』がEDになる予定だったという。
そのため上映中に流れた『toi et moi』を聞いて首藤氏はたいへん驚いたという。

首藤氏は『toi et moi』を「何を言いたいのか分からない聞き取りにくい歌詞と、
うんざりするほど聞きなれたオリジナリティのないポップ調の曲が、まるで作品内容にあっていない。
前作の『風といっしょに』がよかっただけに、残念だ」とコラムで冷静且つボロクソに批判している。

小室氏も「結局便乗しただけ」と思われないためにただ制作するだけでなく、
スポンサー・事務所と普段より長い時間緻密に話し合う等、宣伝展開にはかなり気を配ったことを振り返っている。
裏を返せば、「そればかりに時間を割いて、ポケモンの世界観の本質を掴むのを怠ってしまった」とも取れるわけで…


英語版の主題歌はドナ・サマーの『The Power of One』と(ジョジョ3部で一部筋に有名な)アル・ヤンコビックの『Polkamon』である。
『Polkamon』はポルカに乗せてポケモンの名前を歌う内容であり、英語版の『ポケモンいえるかな?』とも言える。


◆余談


冒頭でも紹介したキャッチフレーズは、発表当初の『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモンX 爆誕』の時のもの。
宣伝の都合上、脚本完成前にキャッチフレーズやタイトルを決めてしまったため。
実際はそんな展開にはならず、ルギアも思いっきり味方のポケモンだった。
どころか劇中でもそんな発言はなかった。
以降の劇場版でも初報ムービーと本編は初報と異なる展開になる事が多いので今となってはある種のお約束になっている。

後にポケダンシリーズ内で使用された。









「どうして助けてくれるの?」

「一緒に住んでいるから壊してはいけない……相手の世界を」

「世界滅亡の危機に正義も無い」
「目指すは泥棒ができる平和な世界!」

「サトシがいなくなったら、サトシの世界はもうないの!私の息子はもういないの…!あなたがいるから、世界はあるの!」

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最終更新:2025年07月04日 22:37

*1 なお、公開初日の時点では107話はまだ未放映である。

*2 映画の公開時点では氷タイプの技が炎タイプにいまひとつではなかったため、ファイヤーは氷タイプの技で弱点を突かれた。