登録日:2025/02/08 Sat 05:07:28
更新日:2025/03/24 Mon 10:16:09
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『謎に包まれた孤島の愛』は、シーナ・クレイトン(Sheena Clayton)のラブロマンス小説。
原題は“Tide of Desire”。1983年に米国の出版社Pandraから出版された。
日本では松平操の訳で、日本メール・オーダーから1985年1月5日にペーパーバックとして出版された。
【あらすじ】
ニューヨークに住む無名の詩人アントニア・シエルは家賃を滞納する状況下で、水泳コーチの職をクビになる。
先行きが見通せず途方に暮れる矢先、マーシュ財団からの彼女の創作活動を支援するという手紙を受け取る。
幾つかの財団に援助を求めたことは確かだが、マーシュ財団という名前には心当たりがなかったため警戒するが背に腹は代えられず、アントニアは飼い猫を連れて財団が指定した条件であるメーン州沖合の孤島、スクアンポティス島のコテージに移住。島で出会ったランスに惹かれていく。
【登場人物】
詩人を目指す、青緑色の瞳を持つ金髪の女性。24歳。
一般的女性より少々いかつい肩と足、陰毛の薄さをコンプレックスに感じている。
スクアンポティス島の新聞社に勤務するハンサムで魅力的な男性。
移住したばかりのアントニアに取材を申し込み仲を深める。
スクアンポティス島に住む金髪に青緑色の瞳の少女。
島の人間に嫌気が差し、外から来たアントニアの家事手伝いを申し出て交流を深める。
アントニアの母。何らかの病気で失踪するまでの間暗い部屋に閉じ籠もっていた。
アントニアは母の詳しい症状は説明してもらえず、遺伝病ではないか漠然と不安を抱いている。
ニューヨーク在住のアントニアの恋人。
アントニアは、交際を始めてから現在でも、新鮮さを失わずにゾクゾクする感情を与えてくれると感じている一方、毎日寝起きを共にする関係になるのは……と関係を深める気にはなれずにいる。
追記・修正お願いします。
著者であるシーナ・クレイトンは、クトゥルフ神話小説『食屍姫メリフィリア』“Myrphillia”の著者ブライアン・マクノートン(Brian McNaughton)の別名義。
クトゥルフ神話に詳しい人物なら、マーシュ財団というワードでピンと来ると思われるが、舞台となるスクアンポティス島はインスマウスの系譜となる島である。
『インスマスを覆う影』で、インスマウスに
深みに住むものを連れ込んだオーベット・マーシュ、
その弟のケレブ・マーシュがスクアンポティス島の開拓者で住人の多くはその子孫に当たる。
島の主教はダゴン秘密教会の分派に当たるダゴン改革派で、島の住人達はダゴンと深みに住むものを信仰する。
成人すると体が変異するのも本家同様で、インスマウス面ならぬスクアンポティス顔と付近の船乗りには嫌悪されている。ただし、全ての住人が変異するのではなく恩寵を受けた一部の者に限られる。
【登場人物】
本家本元『インスマウスを覆う影』の主人公が、インスマウスの血を引く者だったのと同様に彼女もスクアンポティスの血を引いている。
愛猫にクチュルフと名付けるほどの
ラヴクラフト愛好家で『インスマウスを覆う影』も既読だが、終盤まで自身の置かれた状況と結びつけることはできなかった。
スクアンポティス出身で本土に渡り、アントニアを出産した後に変異し始める。アントニアの父は彼女を研究材料としか見ていなかったようだ。
謎の黒人の手引きでスクアンポティスへと帰還し海に還ったらしい。
アントニアの愛猫。名前の由来はラヴクラフトの小説に登場する
神様。
その名を聞いたメリサンドは動揺し、それが猫の名と知ると無表情となった。
スクアンポティス在住だが、出身は本土。
島の住人からの信用を得ていたが、アントニアに肩入れし始めたことをきっかけに疎まれるようになる。
正体はスクアンポティス島の協力者。
アントニアが島に向かうように誘導していた。
追記・修正お願いします。
- 原題のTide of Desireも、クトゥルフ神話小説と聞くと別の印象受ける秀逸なタイトルだな -- 名無しさん (2025-02-12 16:53:18)
最終更新:2025年03月24日 10:16