ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!

登録日:2025/02/14 Fri 23:43:40
更新日:2025/03/31 Mon 10:22:49
所要時間:約 5 分で読めます




概要


『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』は2025年1月3日よりNetflixで配信されている*1、クレイアニメ『ウォレスとグルミット』シリーズの第六作である。
ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!』にて、ウォレスとグルミットの活躍によりお縄についたペンギンの泥棒、フェザーズ・マッグロウの復讐劇が繰り広げられる。

ウォレスを演じていたピーター・サリス氏が2017年に死去したことにより長らく新作が作られずにいたが、新たにベン・ホワイトヘッド氏を後任として迎え入れ、17年ぶりの新作が公開された。
日本語吹替版でも、スタジオジブリ配給版で演じていた津川雅彦氏は既に逝去、長く演じていた萩本欽一氏は2024年で83歳とご高齢であることからか、チョー氏が演じている。欽ちゃんを意識したような吹替で好意的に受け入れられている。

久しぶりの新作であるが、いつものメインテーマをはじめ、過去作の小ネタ、名作映画のパロディとお決まりの要素そのままに帰ってきた。

第97回英国アカデミー賞にて、長編アニメーション賞と、チルドレン&ファミリー映画賞の二冠を受賞した。

あらすじ


とある雨の夜、発明家のウォレスと愛犬のグルミットは紅茶を片手に意気揚々と、「お尋ね者を捕まえた」と警察に連絡。その後ろには光り輝くブルーダイヤモンドと縄で縛られたお尋ね者の姿。
そのお尋ね者こそ博物館からブルーダイヤモンドを盗み出し、ウォレス達を追い込んだ大悪党フェザーズ・マッグロウだった。
時は流れ、相変わらずヘンテコ発明によって借金まみれのウォレスは、返済も兼ねて発明したお手伝いロボットノーボットを地域住民へ派遣して庭の手入れをしてもらう便利屋事業を開始する。しかしノーボットが客先で物を盗むなどのトラブルを起こし始め……。

登場人物


  • ウォレス
声:ベン・ホワイトヘッド/チョー(日本語吹替版)
ご存知チーズが大好きなおとぼけ自称天才発明家。すぐに浮かれてグルミットの忠告を気にせず、大ごとになってから自分の過ちに気づく相変わらずの性格だが、終盤では土壇場の発明で相手の戦力を大幅に削るめちゃくちゃ久々の活躍を見せた。

  • グルミット
ウォレスのパートナーのビーグル犬。ノーボットの様子がおかしいことに気づき、単独で調査を始める。彼も相変わらず浮かれたウォレスに蔑ろにされたりするが、今回の騒動はグルミットに全く非がない訳でもなく、自分を責めるような描写もある。

  • フェザーズ・マッグロウ
『ペンギンに気をつけろ!』にて、ブルーダイヤモンド強奪を阻止され、刑務所(動物園)に収監されたペンギン。
刑務所内では大人しくしていたが、反省している様子は全くない。ある日警備員が見ていたテレビから、ウォレスがノーボットを開発したことを知り……。

  • ノーボット
声:リース・シェアスミス/宮田幸季(日本語吹替版)
厳密にはウォレスの発明品だがここに記載。
ウォレスが発明したノームのロボット。声で命令するだけで作業に取り掛かる。腕は確かだが、初仕事のガーデニングでは、それまでグルミットが行っていたガーデニングのコンセプトを完全に無視して作り変えるなど、強引なところがみられた。
元から人形特有の不気味さがあったが、様子がおかしくなってからはつぶらな瞳が真っ黒になりさらに不気味になる。集団のノーボットに見つめられるシーンはかなりホラー。

  • ムカジェー
声:ローレン・パテル/松岡美里(日本語吹替版)
本作のヒロイン。新人警官の黒人女性で仕事には真面目だが、サドル泥棒捜査で大量の資料を用意したり、ウォレス宅を家宅捜査した際はウォレスの発明品を全て押収するなど、融通が効かないところがある。本作は警察側の視点からも物語が進み、彼女は第二または裏の主人公とも言える。

  • マッキントッシュ
声:ピーター・ケイ/鈴木勝美(日本語吹替版)
『野菜畑で大ピンチ!』に登場した警察官。階級は警部。『ペンギンに気をつけろ!』でウォレスが取り戻したブルーダイヤモンドを受け取り、博物館の金庫に保管するまでの作業を行った。
余暇用の船(ナロウボート)を所有しており、恋人のように大切にしている。
融通の効かないムカジェーに「訓練学校で学んだことは全て忘れろ。警察に必要なのは直感のみ」と説いた。しかし本人も、引退前最後の仕事であるブルーダイヤモンド再展示の式典のことばかり意識してそれ以外の事件や捜査を適当に済ませるなど、問題点がある。また、被り物を被ったフェザーズ・マッグロウを別人と誤認する*2前回のこと忘れたのか……?

そしてあの作品から思わぬ客演が……。

乗り物


  • 作業車
『野菜畑で大ピンチ!』以降登場するウォレスの愛車。実在するオースチンA35のバン仕様。
過去作では様々なギミックが搭載されたトンデモ便利車両となっていたが、今作では精々ノーボット達(が乗るキックボード)を発進させる機構くらいしか出てこない。
更に物語中盤でエンジンとタイヤが外され不動車にされたうえ、終盤では黒幕の逃走に利用され*3クラッシュするなど散々な扱いとなっている。
余談だが過去作に比べて地味に屋根が低くなっている。

  • サイドカー
『危機一髪!』以来の活躍となるサイドカー付きバイク*4
前述の作業車が不動となった際に車庫の奥で眠っていたのをグルミットが引っ張り出し、後述のノームレーダーを用いてノーボットを追跡する際に使用された。
サイド部分が飛行機に変形する機能もあるが今作では使われていない。

  • インタイ号
マッキントッシュ警部所有のナロウボート。
終盤、別のナロウボートで逃走した黒幕を追うためにウォレス達(主にグルミット)が無断で拝借。
最後はマッキントッシュ警部の元に戻され引退後の余暇の場となっている。

発明品


  • 早起きマシン
恒例のウォレスのベッドに仕込まれた発明。
今回もさらに改造されており、

グルミットがボタンを押すとベッドが傾斜し、ウォレスが射出

滑り台の仕組みにより下着を脱ぐ。

風呂と自動身体洗い。からのウォータースライダー

そのまま落下地点にあるズボンを履く。そしてセーター、ヘルメット着用

グルミットがボタンを押すとボタン押し装置が作動してボタンを押し、ウォレスが上向きに発射。

発射の勢いの頭突きで「おはよう」のゴングを鳴らし、食卓に着席(ヘルメットを脱ぐ)。

ジャムをスプーンで飛ばす。ジャムの種類を変更しながらセットしたパンの枚数分行う。

同時に予めセットされていたトースターからパンが跳び出す。ジャムが命中してジャム入りトーストのできあがり。パンを掴んで口に持っていくまでも機械が行う。

終盤のジャムパンのシーンなどを見ればわかる通りだが、簡単に言えば『ペンギンに気をつけろ!』の時のコンセプトをそのままに大幅に発展させたものとなっている。セーターの袖だけ通していた時よりは改良されたかもしれないが、それでも突っ込みどころ満載の装置。特にウォータースライダーは透明なうえ、一部が屋外に出ている。景色を楽しむためだと思うがつまるところ、全裸で外に出ているということである。やっぱ倫理観が欠如しているんじゃないのかこの爺さん。

  • ポンポンマシン
ロボットハンドが伸び、グルミットへの頭ポンポンを代わりにやってくれる装置。しかし少し力が強い模様。何より楽しみを機械で代用されたことにグルミットは不服そうだった。

  • お湯を注ぐマシン
自動でお湯を注ぐ装置。この装置のおかげでティーポットを何年も使わなくなった。しかし、警察の家宅捜査で発明品が押収され際、仕方なくティーポットを使おうとしたウォレスだが、ティーポットの使い方を完全に忘れ、「壊れている!」と吐き捨てた

  • ノームレーダー
ノーボットの位置が分かるレーダー。パラボラアンテナから電波を受信し、複数のモニターに表示する。ノーボットの仕事を確認するために作製されたが、中盤では失踪したノーボットを探すために最低限の設備をグルミットが持ち出した。

  • 長靴飛ばしマシン(正式名称不明)
フェザーズ・マッグロウを追う最中、その場に合った自転車と長ぐつで発明した装置。ペダルで車輪を回転させ、車輪の先に取り付けた長靴を飛ばす。さらにウォレスが計算したのか、長靴がブーメランみたいに戻り、後ろから不意打ちできる。
ちなみに長靴など発明に使用したものはマッキントッシュの私物
「あれは私のビンテージブーツコレクションだ!!」

余談


  • 前作の背景にフェザーズ・マッグロウの指名手配ポスターがあったり日本未発売のゲームで脱獄したりしたが、本作ではそれらについて触れられず、今回が初脱獄ということになっている模様。



「ノーボット、この項目をもっと見栄えよくして」

「もっと見栄えよく。お任せください」

「面倒くさい追記修正は全部あいつに任せよう!」

実際の追記修正は機械やAIに頼りすぎないようにお願いします。

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最終更新:2025年03月31日 10:22

*1 イギリスではBBCでテレビ放送された。

*2 この時警部達はフェザーズ・マッグロウが脱走したことを知らなかったとはいえ、「あれはフェザーズ・マッグロウ!?」と直前に言われた上で誤認している。

*3 この時ノーボット達が車体下に足だけ出る形で持ち上げて動かしているため、傍から見るととんでもなくシュールである。

*4 実は前作『ベーカリー街の悪夢』の時点でワンシーンのみ登場している。但しアードマンスタジオの火災で実物が失われていたためかあくまで背景画としての登場となっていた。