爆発!暴走族

登録日:2025/03/06 Thu 19:50:14
更新日:2025/03/12 Wed 09:14:55
所要時間:どけどけどけどけ、オラ約 5 分で読めるぜ!







アスファルトジャングルを爆走に爆走する!




『爆発!暴走族』は東映が製作した岩城滉一主演のバイクアクション映画。1975年9月20日に公開された。
監督は『網走番外地』シリーズや『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』等で知られる石井輝男。


【概要】

新幹線大爆破」、「トラック野郎 御意見無用」と並んで制作された東映の乗り物映画シリーズの第一作で、オートバイとそれに乗る暴走族を題材としている。
主演としてバイクチームからバンドへとシフトしたグループ「クールズ」のメンバー岩城滉一(「新幹線大爆破」で俳優デビュー)を当て、作中たくさんのオートバイが公道を走行するバイクアクションや、終盤の全国の暴走族グループが集結するシーンは必見である。
続編として、同じく岩城滉一主演の「爆発!暴走遊戯」、「暴走の季節」「爆発!750cc族」が制作公開された。


【あらすじ】

オートバイの修理工場に勤め、夜は全身黒ずくめでバイクを走らせる1匹狼のライダー岩城。
「地獄」をはじめとするオートバイグループと対峙し、その名を轟かせていた彼はある日、たまたま参加した「紅バラ会」のパーティでライダーたちに迫られている路子を見かける。
路子を助けた岩城はマブダチの俊や解散した紅バラ会の元メンバー、元地獄のメンバーとオートバイグループ「ブラックパンサー」を結成する。

【主要登場人物】

  • 岩城
演:岩城滉一
バイク屋で働きながら週末は愛車で道路をぶっ飛ばす若者。両親は既に他界している。
夢はレーサー、暴走族と一括りされるのを嫌って一人か連れの俊と二人で走り「街道レーサー」を自称している。しかし、成り行きでオートバイグループ「ブラックパンサー」の頭になってしまう。
地獄のリーダー赤川とは因縁深い。
愛車は集合管マフラーを装着した黒色のカワサキ 750RS*1

  • 路子
演:藍とも子
本作のヒロイン。元レーサーである雅之の妹で唯一の家族。
紅バラ会のたまり場で危機的状況にあったところを岩城に助けてもらって以降いい感じになるが、岩城が暴走族を嫌う路子の兄雅之に関わらないよう釘を刺されていたことを知らず。
結果的にブラックパンサーと地獄の抗争に巻き込まれて人質にされてしまう。

  • 雅之
演:千葉真一
路子の兄。マン島TTを制し、多くレースに出場した元レーサー。両親は既に亡くなっており、自分が亡くなったら路子が独りなってしまうことからレーサーを引退し現在は兄妹でヘルメットを販売している。
でも暴走族にはヘルメットを売らない主義。
愛車は緑色のホンダ CB750 Four。
予告編では「主演:千葉真一」と千葉真一が主演のようになっていたが、これは岩城滉一がこの映画が初主演なぐらい無名であったがために、集客を考えてこのようにしたと思われる。

演:豊岡晋
岩城のマブダチでガソリンスタンド勤務。
岩城とは反対にグループ化にはノリノリで元紅バラ会と元地獄のメンバーが着いてきたことで結成されたグループを「ブラックパンサー」と命名した。
愛車は岩城と同じく黒色のカワサキ 750RS。

  • 新一
演:町田政則
最初は紅バラ会のメンバーで自分のバイクが修理中だったので、彼女の路子のバイクを借りて紅バラ会のたまり場に一緒に行った際、路子が酷い目に遭わされそうになったところを岩城に助けてもらって以降、岩城に着いていくようになり「ブラックパンサー」のメンバーになる。
路子の兄とは関係が悪くヘルメットを売ってもらえない。
おしゃべりでだらしない面もあるが岩城のスピードに着いていくぐらいの運転技術を持つ。
愛車は黒色のカワサキ マッハ750SS H2。

  • 光田
演:夏夕介
オートバイグループ「紅バラ会」の頭。
目隠しチキンレースで崖の手前50cmでバイクを止める離れ業を披露したが、岩城が前輪を崖から突き出した状態で止まったことで敗北し、これにより紅バラ会は解散となった。その後、岩城と因縁のある地獄に入り対峙することとなる。
愛車はキャンディゴールド色のホンダ CB750 Fourとスズキ TR750*2

  • 赤川
演:貝ノ瀬一夫
オートバイグループ「地獄」のリーダーで、髪を角度が危ない「卍」柄に剃ったタンクトップの男。
開幕からシンナー遊びをかまし、飲酒運転や喧嘩、果ては殺人や強姦にも躊躇がない危険人物。
岩城とは彼の運転技術に翻弄されて以降因縁があり、彼を付け狙う。
愛車は白色のカワサキ マッハ750SS H2。

  • 矢間
演:津森正夫
実質的に「地獄」のナンバーツー。
なぜかいつも歯ブラシを持っていて歯を磨いている。
愛車は白色のホンダ CB750 Four。

  • 全国の暴走族の皆さん
終盤とある事情があって東京に集結した全国のオートバイグループ達。

ブラック・エムペラー
薩摩連合
ハイウェイスター
マッドスペシャル
加賀会
蛮牌殺
總眼龍

鼠小僧
小次郎
網走連合
ジェロニモ
行田連合
鬼面党

全て実在した本物の暴走族で、東映がエキストラを募集した際「解散する記念に出たい」やら「名を全国へ轟かせたい」といった理由から安い報酬でも多くの人が集まった。警察は激怒した
他のシーンでもエキストラとして本物の暴走族が多数出演しているため、撮影現場は危ない雰囲気が漂っており、しつこい俳優だなと思ってよくみたら本物の警察官だったなんてことも起きた。
これには低予算で本物の暴走族を起用していた某豪映画もびっくり。

【当時の暴走族】

もう既に裕福な若者主体だったカミナリ族から、不良少年主体の暴走族に代わった時代になっているが、まだ現在の一般的に想像される目立つことに全振りした派手なカスタム*3、特攻服、アクセルコールなどの文化はない時代で、そのような暴走族が登場したのは湘南爆走族などが連載されていた1980年代に入ってからである。
作中はまだオートバイ免許に排気量制限が無かったため登場するのは750cc*4が主体で、ノーヘルで一般道どころか首都高を爆走する場面もあるが、1978年の道路交通法改正前だったので原付以上のバイクでもノーヘル運転は一応合法である。

当時オートバイの免許は簡単に取ることができた時代だったが、ゲームチェンジャーとも評された大排気量オートバイのホンダ CB750 Fourやカワサキマッハ500 SS H1が登場すると、それに乗った暴走族やそうでない一般人でも高性能バイクに付いていけず死人が続出したことが社会問題となり、1975年に免許制度が改正され普通二輪免許と限定解除で取得できる大型二輪免許が分けられることとなり。
暴走族が乗るオートバイも400cc主体となったことで後のヤンキー漫画に登場する暴走族へと変わっていったのである。



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最終更新:2025年03月12日 09:14

*1 通称ZⅡ

*2 スズキ GT750のレース用車

*3 ロケットカウルなどのパーツは既に存在したが、未認可で販売されていなかった

*4 メーカーの自主規制により国内の市販車は750cc以下となっていた