登録日:2025/03/13 Thu 23:29:34
更新日:2025/05/26 Mon 08:27:58
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EVERHOODとは、Foreign Gnomesより配信されたゲームのことである。
タイトルは「エバーフッド」と読み、「エバーフード」は間違いなので要注意。
「EVERHOOD」と「Everhood」でよく(公式でも)表記ゆれが起きるが、タイトルロゴは前者。
概要
ヨーロッパのジョディ・ロカ(Jordi Roca)とクリス・ノーディグレン(Chris Nordgren)の二人が中心となって開発したインディーゲーム。
最初は2021年3月4日にPC(Steam)で、後に
Nintendo Switchのプラットフォームで配信している。
インディーゲームの金字塔とも言うべき有名作『
Undertale』に強い影響を受けて作られたゲームであり、ドット絵のユニークなキャラクター達や世界観の造形にその趣が感じ取れる。
本作ではそこに
サイケデリックな要素がプラスされており、インスパイア元以上に「奇妙」な雰囲気が強い。
シナリオの大筋は「木の人形が盗まれた腕を取り戻しに動き出す」というオーソドックスなもの。
だが、その道のりは多くの謎に満ちており……何と言っても奇抜、なおかつ予測不能の一言に尽きる。
公式でも「プレイヤーが唯一すべきことは、ゲーム内の予想外な出来事に慣れること。」なんて言われるだけあり、バトル、ストーリー問わず、不意を突くかの如くプレイヤーの予想を裏切る(超)展開が多い。
初めてゲームを開始した直後、「不死を受け入れますか?」といきなり謎めいた選択を突きつけられるのは序の口。敵の罠にかかったかと思えば高熱にうなされてる時の夢でも見てるのか?と不安になるような演出の戦いに飛び込んだりもする。
本筋と関係ないサブイベントでさえ、時には思わず「そうはならんやろ」と突っ込みたくなることも。
少なくとも、本作を「アンテの二番煎じ」などと侮ってプレイするようでは呆気に取られること請け合いだろう。ネタ的な意味でも、真面目な意味でも。
総括して非常に難解なストーリーである上、プレイヤーの行動によるセリフ差分も(アンテ程ではないにせよ)豊富に含まれている。
1周しただけでこのゲームの全てを理解することは難しく、合う人は合うがそうでない人は合わないかもしれない、そんな作品。
海外のゲームではあるものの、日本語のローカライズにも対応済み。
配信直後は各所の日本語訳精度に難があったり、そもそも翻訳されてない箇所もあったりしたが、少しずつ改善が図られた。
その甲斐あってか続編の『EVERHOOD2』配信直後は、(一部未翻訳があったりで完璧とは言えないが)本作初期と比べて最初からそれなりに精度は上がっている。
……が、今度は輪をかけてストーリーが難解極まっており、もっと人を選ぶと同時に楽曲のボリューム・バリエーションは圧倒的に増加したという怪奇な作品となった。
本作も続編も、楽しむのであればまず他人のレビューを目に入れないでプレイすることを勧める。
なお、本作は演出の都合上光の点滅を含む描写が存在するため、感光性てんかん等の疾患を持つプレイヤーに悪影響を及ぼす可能性があることが公式で注意喚起されている。
起動直後にも最初に注意喚起の画面が表示される。該当するプレイヤーは気をつけよう。
ゲームシステム
ゲームの核である遊びのコンセプトは「逆ギターヒーロー+Undertale」。
ゲーム内で繰り広げられるバトルでは、音楽に合わせて相手から飛んでくる攻撃=音符(俗にノーツとも呼ばれるもの)をジャンプや横移動でひたすら避ける、という変わった戦い方をする。二つ同時に組み合わせるとジャンプしながら横移動もできる。
つまり音ゲーは音ゲーでも音(を避ける)ゲー。
本作の肝となるシステムだけあって、戦う相手ごとに豊富なバトルBGMが用意されておりプレイヤーを飽きさせない。
同一人物との戦いでもない限り、バトルで使い回される楽曲はほぼ存在しないと言ってもいい。中には一人で二つも持ち曲がある敵さえいる。
基本的にはひたすら敵の攻撃を避け、曲が終了するまでやり過ごすが、ストーリーの途中ではTRPGパートが始まり、その最中だけは敵の赤い弾を剣で弾き返すという攻撃手段が使える。
これにより、TRPGパート中は例外的に敵のHPをゼロにして勝利することが求められる。
この他にもバトルに入らず、フィールド上を動き回って敵の攻撃を耐え凌ぐという変わった場面もごく一部だけある。
あらすじ
ある森の奥に、一人の赤い木の人形(レッド)がバラバラの状態で倒れていた。
すると、そこに素早く忍び寄る青い影……小人のブルー・シーフは人形の片腕を盗むと、そそくさと走り去ってしまう。
その直後にレッドは合体して目覚める。だが、片腕は失われた状態だ。
盗賊に腕を盗ませたのは、黄金のブタという欲深い怪物の仕業だった。
しかし、なぜレッドの腕を盗む必要があったのか?
なぜレッドはあの森で倒れていたのか?
何も思い出せないまま、盗まれた己の腕を求めて木の人形は歩き出した……
登場人物
主人公と相棒
「・・・」
本作の主人公。赤衣をまとった木の人形。
他作品で言うと人形つながりで
青衣のあいつをどこか思わせる風貌。
プレイヤーキャラのテンプレ通り極めて寡黙であり、何があっても自分の言葉で喋ることは皆無。顔グラでさえごく限られた場面でしか見ることができない。
ただし自我や感情が全く無いわけではなく、うつむいたり驚いたりはする。
あらすじの通り腕をブルー・シーフに盗まれ、その後を追いかける所から物語が始まる。
腕を盗むよう彼に命令した黄金のブタと対峙するが、逆に魔法で焼却炉に落とされてしまうもなぜか生還。
その間、黄金のブタによって足を奪われていたブルー・シーフと何やかんやで手を結び、互いの腕と足を取り返す旅が始まることになる。
隻腕の状態ながらも敵の攻撃を華麗に捌ききったり、カートレースで爆走したりと何でもこなすハイスペック人形。
「この町は気に入ったぞ!」
レッドの片腕を奪った小人の盗っ人。もとい、レッドの相棒。
青い帽子に赤い鼻と髭面が特徴。
黄金のブタに命令されてレッドから腕を盗んだまでは良かったが、彼が焼却炉に落とされている間に、今度は黄金のブタから足を奪われるという理不尽かつ因果応報な目に遭う。
その後、焼却炉から生還したレッドに自分を連れていくよう持ちかけ、黄金のブタを目指しての二人旅が始まった。
レッドが非常に無口なのもあって、代わりによく喋る相棒ポジション。感情豊かなお調子者として描かれている。
同行している間はアイテム扱いとなっており、インベントリ画面で次にすべき大まかな目標を喋る他、アイテムとして使うとその場その状況に応じたコメントも喋る。
ストーリー上行く必要のないorなくなった場所でもわざわざそれに合わせたコメントが用意されている。しかも進行状況では更に変わることもある。
この世界の住民たち
「木の人形が歩き始めたようだ。」
「目を覚ますとは思っていなかったよ…」
目覚めたレッドがブルー・シーフを追った先で、最初に出会った住民。
藁の帽子に青いコートを羽織ったカエルそのままの姿で、木の古めかしいギターのような弦楽器を抱えている。
レッドが片腕をなくしていることに気づき、この先自分の身を守れるかどうかを試してくる。つまり本作のバトルのチュートリアル担当。
チュートリアル後も所々で神出鬼没に現れる。
どうもレッドについて何か知っているような素振りも見せるが…?
「いいね!」
「君のやろうとしていることがうまくいくといいね!」
この世界の各所に存在する、街灯の姿をした喋るセーブポイント。
基本的に本作では彼らに話しかけることでゲームの進行を記録していく。
「20シュマック。ATM行ケ。」
「見タ目ヨシ。味ハマズイ。ウーム、幸運ヲ。」
ダンスクラブの入口をはじめとして、各所でガードマンのような働きをしている喋る石像たち。
ピンク、青、赤、紫の四種類がいる。
このうちピンクはシュマックルチケット、青と赤はVIPカードを持ってないと開けてくれない。
紫はストーリー上必須ではないが、ケーキを食わせるとロケット噴射でどこかに飛んでいく。
ちなみにチケットの確認時は食う。ただしVIPカードはマズく、赤はその味を知っているため見せずとも素直に通してくれる。
紫が食うのは単に腹が減っているだけ。
「悲惨な一日になりますように。」
ダンスクラブの入り口近くに設置されている、画面が真っ赤なATM。
一見、普通のATMだが実際は
某クソ花ばりに毒も吐く凶暴なマシンで、ダンスクラブに入るためのお金=シュマックルを引き落とそうとしたレッドに魂を要求して襲いかかってくる。
「こんなうるさい環境で働くのはホントうんざり。」
「でもその時がくるまで、やるべきことをやり続けるしかない。」
「人生ってそういうものでしょ?」
ダンスクラブの受付でやる気なさそうに座っている人。
人外が多い本作では数が少ない、人間の見た目をした女性。ただ、顔グラではどっちとも判断しづらい顔つきではある。
うるさいダンスクラブで働く自分の現状に不満を抱きつつも、それを変えようと行動を起こす気はなさそうな、諦観の念に満ちている。
「すまん、立ち入ったことを聞いちまったか?」
「とにかくお悔やみ申し上げるよ。俺の記憶チップは最近調子が悪いんだ。」
首元の赤い蝶ネクタイがオシャレな、片目が大きいロボット。
ダンスクラブで酒を提供しているマスター……なのだが、その割に彼のカウンターに酒は一本も置いてない。
上記の台詞通り記憶チップの調子が悪いせいなのか、酒の仕入れをいつも忘れてしまうのである。
サーキット・カーニバルでは「レースボット」という名前で、カートレースの受付と実況を担当している。
「私は踊りが得意じゃないが 楽しんでる人を見るのは好きなんだ。」
「いつか私も踊ってみるかもな。」
白いタテガミ?が特徴的な、額に一本角の生えた強面の獣人。
不良のような厳つい外見と格好に反して物腰は柔らかく、ダンスクラブでジグに絡まれたレッドを気遣ってくれたり、カートレースでも彼を追い抜くとジグに気をつけろと警告してくる。
緑の魔法使いのTRPGでは、勇者と同じく邪悪な魔法使いの打倒を目指す登場人物の一人を演じ、道端で話しかけるとスパーリングができる。
レッドに対して友好的な一方、どうやら彼について重要な何かを知っているらしく、砂漠のサブイベントではレッドにこれ以上先に進まない方が良いかもしれない、という旨の意味深な忠告を残す。
その真意は……?
「木製の君の手足には血が無さそうなのが残念だよ。」
「やあ! ホ! しゃべりすぎたよ!」
笑顔がチャーミングな、お坊ちゃんスタイルの吸血鬼。
大抵陽気に踊っている。
名前は一応、最初に出会った時に「ルートヴィヒ」と名乗るのだが、別の場所で登場する、あるいは再度話しかけるとその度に改名するという困ったちゃん。翻訳ミスではなく、本当に気分とノリで「ファング」やら「カシウス」やらと名前が一定しない。
カシウスとして現れるサーキット・カーニバルでは彼の用意した障害物競走に挑むことができ、彼のレコードを更新するとケーキが貰える。ただしプラスチック製。
\アクシュンッ/
「…すまない。」
「…でも、時にはもう一度試してみることも大切だと思うんだ。」
いつも鼻水を垂らしている灰色の男。呪われた城に住んでいる。
薄暗いところにいるのが好きなようで、本来はうるさくて眩しいダンスクラブに好んで来る程ではないようだ。
風邪気味なのか、彼と会話すると必ずクシャミする。きたない。
彼の部屋は迷宮の怪物が徘徊するエリアの入口付近にあり、ゲーム機を調べると
SMEGAなるメーカーの「
スーパーテニス」というゲームで対戦ができる。
ルールは相手から飛んでくるボールをひたすら打ち返す。それだけ。
バトル画面で(テニスウェア装備の)ノーズフェラッチュの姿を拝めるのはここだけで、実質彼とのバトルと言えなくもない。
特にご褒美がもらえるわけではないが、Steam版では実績のアンロックに関わる。
「お前…」
「2,000,000シュマックルもする酒を台無しにしやがったな。」
「何か言い訳があるのか?」
「お前何をしでかしたかわかってないな!」
「俺はVIPなんだぞ!お前みたいなゴロツキは絶対痛い目に遭わせてやる!」
いつも不機嫌でイライラしている、青い肌に金髪、長身でサングラスをかけたヤンキーみたいな男。
見た目に違わずガラが悪く、チンピラ然としている。
ダンスクラブでレッドが話しかけようとした拍子に高い酒入りのグラスが落ちて割れてしまい、VIPであることを鼻にかけレッドに因縁をつけてバトルになる。傍目には自分で落としたようにしか見えない
その性格上、周りからはかなり嫌われているようで、バトルに勝つと隣の吸血鬼から「ほんとにクズ野郎のジグをやっつけたんだね。」、多くを失った騎士からは「あのムカつく奴に一発お見舞いしたな。」と喜ばれる有り様。そもそも上記の因縁のつけ方からして自分を棚に上げてゴロツキ呼ばわりする図々しさ。
唯一、ラスタビーストからは「きっと後で謝りに来るだろうさ」と根は優しいように思われているが、謝る気配は全くナシ。
カートレースでは常に一位の座を死守し、追い越そうとすると画面に酒入りのボトルを投げつけて視界妨害してくる。マリオカートじゃねーか!
こんな近寄りがたい人柄の割には、緑の魔法使いの招集に割と素直に応じる。
TRPGにも参加するが、所々で進行にツッコんだり難癖つけたりでよく口を挟む。よくないTRPGプレイヤーの見本である
ゲーム的には「横移動でしか避けられない音符」「チェックポイント」が初めて登場する敵。
それでいて序盤とは思えないほどバトル時間が長く、最初の関門といっても差し支えない。
「黄金のブタのやつ、めちゃくちゃ働かせやがって。」
「だから今は、楽しいことしてリラックスしたいんだ。」
トランクス一丁にバケツ兜という出で立ちの、なんとも哀愁漂う人間の男。
黄金のブタに従っている(従わされている)手下で、リラックスのためにダンスクラブを訪れている。
後に呪われた城へ向かうレッドの前に現れ、引き返せと警告してくる。拒むとバトルに……と思いきや、実は結構なヘタレであり、結局戦いにはならない。
その後に話しかけると、黄金のブタに会ったら自分は勇敢に戦って負けたことにしてくれと口裏を合わせるよう頼んでくる。コスい
砂漠でも再びレッドの行く手を阻もうと参上。彼もラスタビースト同様、何か知っているような口振りだが……
「僕たちキノコは普段、森で遊ぶんだ。」
「いつか訪ねてくるといいよ。」
キノコに顔が付いた不思議生物。
ダンスクラブにいるレッドデッドマッシュルームをはじめとして、この世界には様々な種類のキノコが暮らしている。
全員「キノコの森」という場所を住処にしており、かくれんぼで全員見つけるともう一体のキノコと会う道が開ける。
それぞれが色とりどりの帽子を被った小人たち。
とある場所で彼らの集団に絡まれる他、更に別のとある場所では隠しボスの立ち位置にいる。
このうち前者のバトルは本作のサイケデリックで奇怪な世界観を象徴するかのようにカオス極まる。あまりに強烈すぎて一度体験したら忘れられないだろう。
悪いやつと魔法使いたち
「まだ機会があるうちに、泥棒を捕まえておくべきだったな。」
「お前を生かしておいても、頭痛のタネになるだけだろうな。」
「始末するとしよう。」
紫色の巨体を持ち、宝石の首飾りをぶら下げた一つ目のブタ。
レッドの腕を欲した黒幕であり元凶。常にセリフの文字が震えている。
財宝などのあらゆるモノを手に入れたがる強欲なブタで、彼の部屋は常に財宝で満ちた悪趣味な装い。
紫の魔法使い等を従えている他、彼自身も強力な魔法を使うことができ、レッドは成すすべもなく浮遊させられて焼却炉に落とされてしまう。
この焼却炉だが、内訳としては「マス目の足場に吹きあがる炎から一定時間逃げ続ければいい」というもので、バトル同様にレッドの体力は自然回復する。
しかし、炎の噴出パターンは
最初から全て把握していないとぶっつけ本番で避けるのはほぼ無理な完全覚えゲー。実質
負けイベントである。
初見は確実に燃やされ、得体の知れない場所に飛ばされて謎の戦いを強いられることになる。
一応クリアにはなるが、突如謎の声に「すごいけど君はここで生き残っちゃダメだよ(意訳)」と言われてまさかの第2ラウンド突入。
当然のようにさっきまでと比べて炎のパターンはより激しく、より嫌らしくなる。
公式的にはここでレッドが生き残ることは正史じゃないようで、第2ラウンドもクリアすると呆れたようなメッセージと共に出口が出現。
外に出て上記の「得体の知れない場所」パートが実質スキップされる。
焼却炉に落とされている間、今度は何故かブルー・シーフの足を奪い、コズミックハブを通じて砂漠の神殿に逃走。その際に砂漠へ通じるドアをバラバラにし、三つに分けて各所に隠した。
ストーリーではこれら三つのドアの破片を探すことが当面の目的となり、三つ目以外はどちらを先に取るかプレイヤーの自由となる。
「この道を進ませるわけにはいかない。」
その名通り、紫色の装束を身にまとった背の高い魔法使い。
物静かでどこか不気味な存在。
黄金のブタ初登場時にしれっと隣に立っているが、この時点では一言も発さず、オレンジ博士の研究所脱出後の中間報告か呪われた城で初めて喋る。
呪われた城では南の屋外にぽつんと佇んでおり、普通に話しかけることができる。
この時はバトルにならないが、まるでこの世界(EVERHOOD)がゲームであることを自覚しているかのような真意の読めない発言でプレイヤーを困惑させてくる。
後に砂漠の神殿では黄金のブタの命を受けて立ちふさがり、召喚した手下をけしかけた末に自ら戦いを挑む。
「私の目を見つけたのか?」
緑色のボロボロの装束を身にまとった、一つ目の魔法使い。
ある意味でこのゲームを象徴する名(迷)キャラクター。
いつも楽しいこと、面白いことを求める、めちゃくちゃテンションが高い魔法使いでとにかくうるさい。
初登場時には目を失って弱り果てているが、偶然拾ったレッドが渡すや否や人が変わったようにはしゃぎ倒す。
後ろでドンドコ鳴っているイントロからして愉快なイベントBGM「Squid Jazz」は最早彼を象徴する名曲。
その後、助けられた借りを返すといって道の障害物を取り除いてくれたかと思えば、なぜか急にレッドを襲うなど思考の読めなさと気まぐれっぷりもひどい。
結局見逃してくれた後は、自身の家があるミッドナイトタウンに帰っており、彼が招待したであろう他の住民たちと共にレッドがTRPGに参加するのを待ち続けている。
TRPGではGM兼ラスボスの邪悪な魔法使い担当。
リリース当初は翻訳精度の影響をモロに受けていたキャラクターの一人で、上述の初登場イベントで発した「フーオワコン!」は屈指の迷言。
……この他にも多様で奇妙なキャラクターたちが登場する。
余談
本作の開発者ふたりは、なんと作中でも敵キャラとして登場する。
上記に挙げたノームとのバトル中に登場する、1頭身の不審なノームのコンビがそれ。
追記・修正はリズムの攻撃を避けながらお願いします。
未プレイのあなたは知りすぎてはいけないのです。あなたの楽しみが無意味になりますから。
この作品の根幹にかかわるネタバレをしてもいいのですが、誰にも話してはいけませんよ。
もし望むなら、あなたに教えましょう。絶対的なネタバレを。
ですが面白さは感じるかもしれません。あるいはこれから遊んで得るはずの楽しみをひどく奪ってしまうかも。
いいえ
世界の真実
それまで「奇妙な世界の珍道中」であったレッドの冒険は、やっと黄金のブタを乗り越えて己の片腕と対面する。
だが、雷のフラッシュと共に壁へ映し出されたのはレッドを引き留めるような、不穏な言葉の羅列であった。
気圧されずに片腕を体に取りつけ、遂にエンディング……と思われた途端、なぜかカエルが登場。
そして彼が持ちかけた「依頼」により物語の構図は一変してしまう。
ここも色々な設定が絡んで難解なので要約すると、実は『EVERHOOD』世界の住民はみな不死の命を手に入れており、既に悠久の時を生き続けている。
だが、結果としてそれは世界全体と心の停滞をも招いてしまい、やがて不死からも解放されたいと願う者が現れるようになった。
何より「世界そのものの意思」もまた、全ての命の解放を願っていた程なのだから、これを知った後、及び「停滞は悪」という価値観の持ち主ほど事の深刻さが理解できるかと思われる。
そこで求められたのが、不死の彼らを「殺して」解放できる力を持つ者。
この過酷な役割を担った(あるいは担わされた)者こそが他ならぬレッドだったのである。
物語開始以前にもレッドは多くの命を奪っており、粛々と世界に終わりを告げようとしていた。
最序盤にレッドを導いたカエルの正体は「世界」側の人物であり、レッドが本来の役目に戻ることが彼の願いでもあった。
しかし、黄金のブタや魔法使いたちをはじめとする一部の住民は現状維持を望み、反発。
レッドをバラバラにして、片腕を奪ったのも自分たちが殺されないようにするため。
ラスタビーストなどの住民がレッドを引き留めたがっていたのも、彼が再び殺人者と化し、親しい住民たちが殺される可能性を恐れてのことだった。
真の目的
本来の役目を教えられて以降は、今までの冒険で交流した人々「全て」をプレイヤーの手で殺して回ることが最大の目標となる。
しかもこれはストーリー上必須なので、大雑把にUNDERTALEで例えるなら主人公以外のキャラ全てを殺して回るGルートが正史みたいなモン。
殺害可能な対象は重要人物からそこそこ目立った活躍をしたサブキャラ、モブ同然の脇役まで、果てはセーブポイントたちと非常に幅広く、当然だが長く連れ添ってきた相棒・ブルーも例外ではない。
とにかく、喋るキャラクターは大体殺せると捉えて差し支えないだろう。
次に殺すべき人物が分からず迷ったら、コズミックハブにいる「失われた魂」が教えてくれるほか、授けられる「エイトボール」などのお助けアイテムもヒントや道しるべになる。
上記の転換点を経たあと、キャラクター(セーブポイント)に話しかけると最初に殺すか会話するかの二択になる。
話しかけただけで殺すわけじゃないのでまだ有情と見るか、プレイヤーの手で殺害を選ばせることに悪趣味と見るかは人によりけり。
「殺す」を選んだ際の反応はキャラクターによって様々で、ようやく解放されることを喜ぶ人もいれば、静かに、または諦めたように受け入れる人もいる。
無論……全員が全員、死を認めるわけではない。
レッドの片腕が取り戻されたことを察知して身を隠す者や、死を拒む抵抗の意思としてバトルを挑んでくる者もまた存在する。
中にはこのルートで初めてバトルになる意外なキャラクターがいる……どころか、そんな奴と戦うなんて想像すらしなかったキャラクターも。
ストーリーの方向性が大きく変わっても尚、本作はどこまでも予測不可能だ。
変化するバトル
片腕を取り戻したレッドは、バトル中に敵の音符を吸収して打ち返すという攻撃手段が加わる。
具体的には同じ色の音符を2つ続けて吸収することで、そのエネルギーを敵に撃ち出すことができる。
これを敵のHPが0になるまで繰り返す。
ゲームシステムの項で述べた、受動的な攻撃が可能になるTRPGパート自体がまさかの伏線になっていたわけである。
加えて向こうと違うのは、空想の世界ではない本気の命の攻防が繰り広げられる点だろう。
逆に途中で違う色の音符を吸収したり、ダメージを受けたりしてしまうとやり直し。
また、黒い色を帯びた音符は吸収できず、柱状の音符は貫通できないなど弱点も存在している。
音符の密度が薄い列に移動する、音楽の盛り上がりが低い=攻撃が落ち着いたタイミングで撃つなど工夫しよう。
単純に音符を消せることから回避手段としても利用価値は高い。
気を付けたいのが、転換点を経たあとはバトル時間に気を配らねばいけないこと。
ループし続ける=残り時間の概念がない敵の方がむしろ少なく、曲=バトル終了までの間に倒し切れないと失敗扱いになってしまい、やり直しとなる。
敵によっては取り逃がすと別の場所へ移動されることもあるが、どちらにせよ撃破失敗しても再戦は可能。
やがて、全ての登場人物を殺しきったレッドは、失われた魂たちに促されて世界を終わらせる準備に取りかかることになる。
この先に何が待ち受けているのか、そして多くの命を殺めたレッド自身は救われることができるのか……結末は実際にプレイして確かめてほしい。
一つだけ言えるのは、「死は救済」という言葉がこの上なく似合うゲームだということである。
- 昔のバージョンは日本語訳が酷かったが、それはそれで味があった -- 名無しさん (2025-03-13 23:40:37)
最終更新:2025年05月26日 08:27