SCP-1249-JP

登録日:2025/03/16 Sun 13:16:30
更新日:2025/05/14 Wed 23:51:51
所要時間:約 4 分で読めます



SCP-1249-JPとは、怪異創作コミュニティサイト『SCP Foundation』に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「人々」。
オブジェクトクラスは「Nagi」。


「Nagi」ってなに?

あまり聞いたことのないオブジェクトクラスが出てきたが、これも公式のオブジェクトクラスである。
由来は日本語の「凪」であり「なんらかの理由でオブジェクトが長期間異常性を失っており収容も安定しているオブジェクト」に付けられるモノ。ざっくり言うなら『なんらかのキッカケで異常性を取り戻すかもしれないNeutralized』だと思ってくれれば良い。
SCP-1249-JPは財団に収容された時点で異常性を失っており異常性を再生させて実験を行う試みがされていたが、成功には至らなかったことがオブジェクトクラスNagiに分類される理由となっている。


概要

SCP−1249-JPとは「人」の字が集合したように見える図である。収容下におかれている現在はその図を囲むように「匚」が書かれている。
未知の黒インクで描かれており、異常性を失う前は自身を『この図は〇〇〇〇と読む』と思わせる異常性ミームを持っていた。現在の姿の読み方は推測によると「なかしんでんたけおとしらかわみなみといとわはるたかとしおいわりゅうじとおうせりんとひきたしょうせいとはぎわらいつか」。
平仮名の連発で読みにくいことこの上ないので読み仮名を我々に分かりやすくなるよう漢字に再変換すると「中新田武生と白河美波と糸和春高と潮岩龍二と逢瀬凛と疋田将星と萩原一華」になる。見ての通り7人の氏名を列挙したものだ。

SCP-1249-JPの異常性は前述の異常性ミームの他にもう一つあり、周辺に存在する人物を消滅させ自身に新たに「人」という字を加えるというもの。この際ミームも「読み方が前段階のモノに『と[消滅した人間の名前]』を繋げたものになる」というふうに若干変化する。
周囲にいる人間が複数の際は、20秒程の間隔を開けて次々と消滅させてしまう上に消滅させられた人間がどこに行くのかは不明。十中八九「人」という文字に変えられたか文字を増やすエネルギー源にされているのだろうが。

収容時点で既に異常性を失っていたためこれは確定的な情報ではなく、「周辺」というのが具体的にどれくらいなのかも判明してない。


SCP-1249-JPは2018年5月19日に東京都江戸川区の中新田武生の自宅で発見された。調査により中新田氏は██大学で漢字に関する研究を行っていたことや創作漢字を作ることを趣味としていたことが判明しておりこれがSCP-1249-JPの発生に何らかの関わりがあるとみられている。
SCP-1249-JPが書かれていたノートのいくつかのページにはこのオブジェクト以外にも存在しない漢字と思われる図とその読みが鉛筆等を用いて書かれているため、このノートは中新田氏が自身の創作漢字を書いておくために使用していたものと考えられている。
奇妙なことにSCP-1249-JP以外の図は一切の異常性を見せていない。どちらかと言えばSCP-1249-JPだけ異常性を有していることの方が奇妙ではあるが。


特別収容プロトコルは既に異常性を失ってるゆえか

  • SCP-1249-JPのが書かれてるノートはサイトのロッカー内に保管しておいてね。研究以外で持ち出し禁止。
  • 新たにSCP-1249-JPが発見された際は「匚」書き足して、確保および収容してね。

とかなりシンプルな物になっている。
「匚」は「はこ」と読める非常用漢字の一つで、「はこがまえ」という部首として「区」や「医」等に使われる。


収容経緯

SCP-1249-JPは2018年5月19日に中新田武生の家で発見されている。「行方不明になった中新田氏の家に入った人が誰も出てこない」という報告を受けた財団は警察の調査にエージェントを1名潜入させる形で調査を行った。

エージェントが突入した時のSCP-1249-JPの読みは「なかしんでんたけおとしらかわみなみといとわはるたかとしおいわりゅうじ」であったと判明しており、この時点で既に中新田氏とその交際相手であった白河美波、初期通報を受け中新田氏の住宅に進入した警察官の糸和春高と潮岩龍二の計4名がSCP-1249-JPの被害を受けたと考えられている。

以下は調査に赴いたエージェント・鰆の映像記録を転写したものである。エージェント・鰆は警察の調査に潜入する形で同行しているため警察官の逢瀬凛 疋田将星 萩原一華を含めた計4名で中新田氏宅に突入した。

[記録開始]

前略。

逢瀬: ちょっと皆さん、こっちに来てください。

4名全員が居間に集合する。

Agt.鰆: 何かありましたか?

逢瀬: いえ、このノートに書かれてる漢字みたいなのなんですけど、これが──

疋田: 何、なかしんでんたけおとしらかわみなみといとわ──

Agt.鰆: 読める……しかも人名ですね、これは。

萩原: あれ? 逢瀬さんは?

逢瀬凛が消失していることが確認される。
早速一人目が犠牲になった。

疋田: 待ってくれ、ここ「おうせりん」って読めるぞ。

萩原: 待って、待ってください、何か変ですよこれ!

Agt.鰆: (小声での連絡) SCiPと思われる物品を発見しました。回収します。

疋田: なんだ、なんだ一体、何が起きてるんだ……

萩原: わかりませんけど、人が消えてるみたいです! 早くここから出ましょうよ!

疋田: クソ、落ち着いてられんこれは。外に──

疋田将星が消失し、その瞬間が映像に明確に映る。
続いてコテコテの死亡フラグを立てた2人目が犠牲になる。

Agt.鰆: 疋田さん!

萩原: (地面に座り込みながら) さ、鰆さん、助けて……これは何ですか、何が起きて──

Agt.鰆: 萩原さん、立って! 今はとにかく外にで、出ましょう、急いで!

エージェント・鰆がSCP-1249-JPの存在するノートを手に持ち、萩原一華とともに中新田氏の住宅を後にしようとするも、玄関を出た直後に萩原一華が消失したとみられ、以降映像には映らない。
3人目が犠牲になる。ノートを保持していたエージェント・鰆より先に萩原氏が消失したあたりある程度の近距離であれば近い者順に消失させるということでは無いようだ。

Agt.鰆: 萩原さ……ああクソ! そんな、こんなのどうしろって!

エージェント・鰆は一度大声で叫び、慌てた様子で独り言を繰り返す。

Agt.鰆: いや、そうか……もしこれが漢字だってんなら。

エージェント・鰆は懐から咄嗟にマーカーペンを取り出し、SCP-1249-JPの周囲に“はこがまえ”を書き足す。

Agt.鰆: クソが、これでどうだ!

[記録終了]
現在収容されているSCP-1249-JPに書かれている「匚」はこの時書き足されたのだろう。
「匚」を書き足されたSCP-1249-JPは異常性を失っておりこの捜索の後、エージェント・鰆はSCP-1249-JPの影響を受けずサイト-8154へ持ち帰ることに成功している。

SCP-1249-JPが異常性を失った理由について財団は、『曲がりなりにもSCP-1249-JPは漢字であるため書き足された「はこがまえ」によって字義が変化し収容された、または閉じ込められた』と考えている。



余談

エージェントの咄嗟の機転により無力化されたこのオブジェクトだが、なぜ「囗(くにがまえ)」ではなく「匚(はこがまえ)」が選ばれたのか気になったアニヲタ諸兄もいたのではないだろうか。
これについて著者のFennecist氏は「くにがまえ(囗)のように囲むだけでは足りず、「箱に入れる」のが収容として最適だ」と話しており、考察として
  • 「匚(はこがまえ)」は箱を意味し特に何かをしまっておく箱なにかを閉じ込めておく箱を表す部首。
  • 対して「囗(くにがまえ)」は城郭や柵を表し特定の区域を表す部首。
以上2点から「異常存在が収容されている状況」を字義的に表すなら前者の「匚(はこがまえ)」のほうがより適しており、「囗(くにがまえ)」を選んだ場合SCP-1249-JPの字義変化は「異常存在が存在する区域」程度に留まりここまで完璧な異常性剥奪は不可能であったろう。
というものもある。

ちなみに日本語では「匚(はこがまえ)」は「匸(かくしがまえ)」という別の部首と区別されていないため字義的には「秘匿された異常存在」という意味にも取れる。財団に収容された後のSCP-1249-JPを表すのにもピッタリである。





追記・修正は漢字を創作してからお願いし…



   人
人 人人 人
 人人人 人



















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│   人
│人 人人 人
│ 人人人
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追記・修正は「匚」をしっかり書き込んでからをお願いします。

SCP-1249-JP - 人々
by Fennecist
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1249-jp
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最終更新:2025年05月14日 23:51