登録日:2025/03/23 Sun 19:56:52
更新日:2025/04/23 Wed 07:19:02
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Byakheeとは
クトゥルフ神話体系にて言及、登場してくる神話生物。
邦訳では
バイアクヘー(バイアキー)または
ビヤーキー(ビアーキー)と表記されていることが多い。
基本的には風を司る神格
ハスターの眷属、下僕(奉仕種族)として扱われている。
【概要】
初出はオーガスト・ダーレスの『永劫の探求』5部作の第1作『アンドルー・フェランの手記』である。
同シリーズではラバン・シュリュズベリイ博士を初めとした主人公達が邪神と戦う為の足や、何よりも脱出の際の助けとして利用しており、
この“人間にも使役可能な神話生物”として描かれた影響は大きく、その後のクトゥルフ神話を取り扱った作品にて戦力に乏しい人間側の助けとなる存在として度々に登場・言及されることになった。
ダーレスはラヴクラフトの著作である『魔宴』にて描かれている秘祭に登場してくる儀式の主催者に飼い慣らされた奇妙な飛行生物の描写から着想を得てバイアクヘー(ビヤーキー)を創造したとされている。
なので、現在では遡って『魔宴』に登場してくる奇妙な生物はバイアクヘー(ビヤーキー)であると解説されていることが多く、その場合には『魔宴』が初出となる。
それに伴い、この『魔宴』の物語自体もクトゥルフ神話に組み込まれると共に作中の100年に一度の秘祭が=で“外なる神”(旧支配者)”への祭祀であったと解釈されており、
作中の描写からトゥールスチャかニャルラトホテプ、またはバイアクヘー(ビヤーキー)と関連付けられてハスターの祭事であるとして補足・解説がされている場合もある。
【特徴】
全長は2〜3㍍程。
コウモリの翼を持つ爬虫類や両生類、或いは昆虫、或いは其れ等の特徴を併せ持つ生物としてイメージされることが多い。
上記に加えて哺乳類的な特徴を付与されている場合や、翼の形状が昆虫のような形とされている場合もある。
また、基本的には上述の通りで様々な獣の集合体としてイメージされているのだが、細かく記述した場合には人間を思わせる目や皮膚を持つとされていることもある。
これは、前述の通りで後に“初出”として扱われる『魔宴』にて言及される「カラスでもなく、モグラでもなく、ハゲタカ(ノスリ)でもなく、アリでもなく、吸血コウモリでもなく、人間の腐乱死体でもない」の記述から膨らまされたものだと思われる。
知能は高く、会話こそ不能だが人間の言葉や意思は理解しているとのこと。
前述の通りでハスターの眷属であることから、ハスターと敵対する勢力(主にクトゥルフとその眷属やダゴン教団)のことは嫌っているらしく、その敵対勢力と戦う目的ならば比較的に容易に手助けしてくれる模様。
反対に、少しでもハスターと敵対したり不敬を働くと全く助けてくれることは無いらしい。
見た目通りの飛行生物であり、地球上では時速70㌖程のスピードで飛行するとされる。
……デカいだけあってか案外に遅い━━と思わないでもないが、これはそもそもが気圧が高い空間では本領を発揮できないためで、気圧が下がる程に飛行速度が増すという。
何よりもバイアクヘー(ビヤーキー)が本領を発揮するのは“ハスターの風”が吹くエーテル宇宙であり、このエーテルの海では通常時でも
光速の1/10━━腰部の
“フーン器官”を用いて“カイム”と呼ばれる特殊な空間を作り、その中に入って移動する場合には、何と
光速の400倍もの速度で宇宙空間を渡ることすらも可能だという。
物理法則を無視しまくりに思えてしまうが、これは後の設定の補足にて外なる神(旧支配者)や神話生物が本来的に属しているのは、人間や通常の生物が生きるアインシュタイン的相対性理論の働く3次元世界の上位世界であるからで、その上位世界では人間の世界では否定された
エーテル宇宙論が働いているためとされている。
そして、そのエーテル宇宙では“風”を司る神格ハスターの興す風が星間宇宙に吹き荒れており、バイアクヘー(ビアーキー)や、同じくハスターの奉仕種族とされる
ミ=ゴは、その
“ハスターの風”に乗って高速で移動できるという訳である。
とはいえ、流石にエーテル宇宙でも人間が生身で活動するのは厳しいらしく、バイアクヘー(ビアーキー)に乗って宇宙を渡る場合には霊魂のみを運んでもらう形となる。
……が、前述の後に初出として扱われるようになった『魔宴』では秘祭の参加者が生身で異空間(解釈次第ではアザトースの玉座)に渡っていると思われる描写があるので、この辺は別々の作家が各々の設定で描いているので擦り合わせが出来ていない部分というか。
尚、地球上では普通に騎乗できるのだが、肝心の乗り心地は最悪とのこと。
尚、雌雄もあるようで『Surery You Joust』という作品では、アーサー王の円卓の騎士に数えられるトリスタンとダゴネットが“バイアクヘー(ビアーキー)の使役者”として描かれており、同作ではダゴネットがトリスタンの手引きで雌のバイアクヘーとパートナーシップを結んでおり、彼女を翼ある貴婦人と呼んでいる。
【召喚方法】
何故だか、召喚のための呪文(の一部)が昔からネタとして定着しておりクトゥルフ神話関連の話題となると飛びだしてくる。
とはいえ、流石に正式な呪文や形となるとマニアでもないと分からないだろうが。
以下に手順を紹介。
- ①地平線上にアルデバランが上る夜に黄金の蜂蜜酒と秘薬を飲み待機する。
↓
- ②アルデバランが上ったら魔法の石笛を吹き、ハスターを讃える呪文(讃歌)を唱える。(通常は古き印)も必要。
■ハスターへの讃歌
いあ! いあ! はすたあ!
はすたあ くふあやく ぶるぐとむ
ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
あい! あい! はすたあ!
【登場する作品】
ゲーム作品『ペルソナ2 罰』では、当初は出現しないもののハスター教徒と思われる女性と接触することで出現させることが可能。(当初は普通の市民かと思いきや讃歌を聞かせると反応が変わる。)
かなり印象的な扱われ方だったのだが再登場は『P5R』まで待たねばならなかった。種族は“DEVIL”。
再登場作の『P5R』では月アルカナのペルソナ/シャドウとして登場。
基礎レベルは70。高レベルペルソナ/シャドウだけに火、風、呪無効と優秀な無効耐性を持つ一方、氷、核弱点と弱点属性を2種類持つ若干ピーキーな耐性となっている。覚えるスキルは火炎系と恐怖付与。
ストーリー中ではロイヤル版の追加ダンジョンで登場。門番的な役割として登場する他、ダンジョン内でも複数回戦闘することとなるため、それなりに存在感は強い。追加ダンジョン内の敵としては弱点を突きやすい敵であるため、戦闘時にはしっかり弱点を突いて戦略の起点としておきたいところ。
”ロードビヤーキー“という巨大ロボット(鬼械神)が登場しており、搭乗者であるクラウディウスはハスターの力で風を操る事が可能。
続編ではラバン・シュリュズベリイ博士が"バイアクヘー"と呼ばれるさらに上位の鬼械神を召喚する。操縦には黄金の蜂蜜酒を必要とし、大鎌で何度も斬りつける「戯曲・黄衣の王」という必殺技を持つ。
アイレム社のSTGであり、
R-TYPEの血を引くバイオメカニカルな世界観の作品。
「人間に寄生しすぐさま死に至らせる細菌型エイリアン」による被害が続出する中、対処方の為に
エイリアンに寄生されて死亡した女性の亡骸へミクロ化させた戦闘機を送り込んで調査&退治しに行くという衝撃的な内容となっている。
そんな当作のラスボスが"バイアクヘー"、および"バイアクヘーヘッド"。
バイアクヘーはエイリアン達の母体とも言える存在で、寄生先のとある場所へ巣食っている。
見た目は俗に言う「西洋の悪魔」で、青い卵を守っている状態にあるが、バイアクヘー自体は前座のようなもの。
撃破すると卵が孵り、中から4体のエイリアン幼生であるバイアクヘーヘッドが現れるため、これを全て殲滅することでようやくクリアとなる。
……で、こいつらが寄生している場所というものが
冒涜的かつとてもアレであり、そこを考えると「卵と赤子」というモチーフも非常に意味深となる。
加えて「エイリアン」とやらはどうにも同社作品の複数世界観にまたがって登場する根絶不能な侵略生物ではないかという疑惑もある。
追記修正は“いあ! いあ! はすたあ!”
- ウルトラマンにも出てたよね -- 名無しさん (2025-03-23 20:41:54)
- ↑ガイアのOVだね -- 名無しさん (2025-03-24 04:19:29)
- ペルソナのビヤーキーは本当に好き。一目で地球上の悪魔じゃないことがわかるデザインがイカしてる -- 名無しさん (2025-03-25 16:00:58)
- デモンベインにも「機神ロードビヤーキー」として名前だけ出て来る -- 名無しさん (2025-03-25 22:35:12)
- ロードビヤーキーは『ビヤーキーの主』=ハスターのことでは -- 名無しさん (2025-03-26 13:11:13)
最終更新:2025年04月23日 07:19