営団地下鉄(東京メトロ)05系電車

登録日:2025/04/10 Thu 14:44:11
更新日:2025/04/20 Sun 16:02:48
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05系とは、営団地下鉄(現・東京メトロ)が導入した電車である。

画像出典: 写真素材Railstation、日本の旅・鉄道見聞録 https://uraken.net/sozai/railstation/kanto/tokyom_index.htmlhttps://uraken.net/rail/chiho/tokyomet/tokyomet05.html
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概要

東西線の5000系置き換え・輸送力増強・車両冷房化率向上を目的に1988年から導入された。
導入当初から東西線に一貫して導入されてきたが、千代田線(北綾瀬支線)に転属した車両も登場した。

5000系は増備と並行して冷房化および延命工事を実施したことや、その間の輸送対応及び技術革新などに伴う設計変更が頻繁に実施されたため、製造グループごとにおける差異が細かいのが特徴。
導入期間は足掛け19年と、鉄道車両の中でも屈指の長期生産形式となった。


車両解説

共通項

既に導入された0シリーズ同様にアルミ合金製だが、東西線の規格に合わせ20m車体を採用した。
前面形状はスピード感を出すために流線型の先頭形状となっており、1~7次車(前期型)と8次車以降(後期型)では形状が大きく異なる。

帯色は東西線のラインカラーである水色の濃淡2色となっており、8次車以降は一方の帯が濃いインディゴ系に変更された。

前期型

1994年まで増備されたグループで、運転台はツーハンドル式を採用。
計画当初は日比谷線の03系に近い前面形状だったが*1、諸事情で03系への導入が前倒しされたためデザインはそちらに廻され、急遽別のデザインを用意したという経緯を持つ。

  • 第1~13編成(1~4次車)
1988年~1991年に導入されたグループ。
制御方式は高周波分巻チョッパ制御で、ドアの間隔が均等かつ行先方向幕は幕式。
1次車は、暫定導入されていた半蔵門線の8000系置き換え用として導入された経緯がある。
2次車から自動放送装置を搭載し、4次車よりバケットシートが採用された。
15000系の導入に伴い東西線からは撤退し、後述する千代田線に転属、ジャボタベック譲渡、試験用として近畿車輛に搬送と処遇は様々。

  • 第14~18編成(4~5次車)
1991年~1992年に導入されたグループ。
混雑緩和のために東西線では初となるワイドドア車(乗務員室後方部を除く)となった。
しかし、ワイドドアではかえって駆け込み乗車が多発するなど遅延を生んでしまい、ワイドドアはこの5編成のみでいったん中断。
5次車では車いすスペースの設置、および非常通報装置の対話型への変更が行われた。
このグループ以降、行先表示はLED式に変更された。
また、第14編成はGTO式VVVFを試験採用している。

  • 第19~24編成(6・7次車)
1993~1994年に導入されたグループ。
ドア幅が通常に戻ったが、ドア間隔が同時期に落成した06・07系をベースとした不均等な配置になった。
このグループよりIGBT-VVVF制御が採用されている。
第24編成は廃車となった5000系のアルミニウムをリサイクルした部品を使用したことから「アルミ・リサイクルカー」の愛称を持ち、前面や側面にそれを表すロゴが取り付けられている。

後期型

1999年以降に製造されたグループで、「05N系」や「新05系」と呼ばれる。
前面形状は曲面的なものとなり、ライトが吊り目となって厳つい表情となった。
このデザインが同時期にモデルチェンジしたトヨタのミニバンに似ていることから「エスティマ」と呼ぶ人もいる。
運転席は左手式ワンハンドルとなっている。

  • 第25~33編成(8~10次車)
1999~2001年に増備されたグループで、側面構造は6・7次車に準ずる。
パンタグラフは千代田線・有楽町線の6000・7000系に搭載されていたものを再利用している。

  • 第34~39編成(11・12次車)
2002~2003年に増備されたグループで、車体がセミダブルスキンとなりドア間隔が08系と同じ均等配置に戻された。
このグループからパンタグラフはシングルアーム型を5基搭載。第34編成を除き3基を上げて運用されている。
また、ヘッドライトがHID式に変更され、各種表記がステッカー式となっている。

  • 第40~43編成(13次車)
2004年に増備されたグループ。
東京メトロ発足後初となる新造車両で、日立製作所の「A-Train」車体を採用したフルダブルスキンとなった。
また、パンタグラフも3基に減らされている。
このグループだけ何故か車内案内表示器が片側交互設置となっている。


更新工事

東西線用

1~3次車は次述の千代田線用を除き15000系に置き換えられたが、4次車以降については修繕工事を実施して使用が継続されることとなった。
外観では帯色が後期型と同じカラーリングとなり、前面にスカートが設置されたほか、行先もフルカラーLED式となった。
車内は内装が一新され、扉上の車内案内表示器はLCD式となった。13次車での片側交互設置もこの工事で解消済み。
運転席も15000系と同じワンハンドル式となっている。
また、チョッパ制御車についてはVVVFインバータへの換装が行われている。

千代田線用

1~3次車のうち4編成は、北綾瀬支線の5000系・6000系(ハイフン車)置き換え用に修繕工事を受けて同線に転属した。
3両編成に短縮され、帯も16000系と同じ緑の濃淡となり、東西線と異なり窓上にも帯が追加された。
それ以外の更新内容は東西線用とほぼ同じだが、正面の方向幕はフルカラーはもったいないと判断され8色式LEDという珍しいものを採用している。
運転席はワンマン運転対応のため両手式ワンハンドルとなっている。
北綾瀬支線以外では、新木場車両基地内にある総合研修訓練センターの訓練車としても使用される。


派生形式・譲渡車

20m4ドア車体ということで営団各線に似たような構造の新車が導入されたが、いちいち挙げてゆくと例によってキリがないので、本項では東西線絡みの派生車種とインドネシアへの譲渡車について解説する。

画像出典: 写真素材Railstation(裏辺研究所) https://uraken.net/sozai/railstation/kanto/toyokosoku_index.html
閲覧日: 2025/04/11

直通先の東葉高額高速鉄道の車両。
開業当初に導入された1000系(元東西線5000系)置き換えのため、2004年から2年間で11編成が導入された。
同時期に増備された05系13次車とほぼ共通設計で、帯色は1000系と同じオレンジと赤帯となっている。
前面はライトケース含めてブラックアウトされて窓下に帯が入るなど、05系よりもおとなしめの外観となっている。
車内案内表示器はLCDになっておらず、製造当初からの3色LED、かつ05系13次車と同じ片側交互設置のままである。

  • 東京メトロ15000系
画像出典: 写真素材Railstation(裏辺研究所) https://uraken.net/sozai/railstation/kanto/tokyom_index.html
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輸送力増強および05系初期車置き換えのため、2010年に登場。
副都心線有楽町線用の10000系をベースに開発された。
基本デザインは05系13次車に準じているが、カラーリングは大幅に一新され、乗務員室後方も含めフルワイドドア車となった。
また、メトロの車両設計方針変更に伴い、台車はボルスタ付きとなっている。
当初は本形式の14次車として導入される予定だったが、設計変更が多岐に及んだため形式名を新しくしたという経緯がある。

  • KRL Seri 05
初期車の第2・4・5・7~10・12編成はインドネシアのKRLジャボタベックに譲渡された。
東西線車両のジャボタベック譲渡は5000系・東葉高速1000系に次いで3例目。



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最終更新:2025年04月20日 16:02

*1 開発そのものはほぼ同時に進められていた。